生産性とは?種類・算出方法から向上に有効な3つの施策まで

2019年4月1日に施行された「働き方改革関連法案」により、企業は労働環境の見直しと生産性の向上を迫られています。
しかし、深刻な人材不足に陥っている中小企業にとって、今いる人材を最大限に活用し、少ない人数で生産性を上げることは決して容易なことではありません。
では、一体どのような施策を立てたらよいのでしょうか。
「生産性」というワードに注目し、企業にとってプラスとなる取り組みのポイントをご紹介します。

1.生産性とは?

仕事における生産性とは、労働時間に対してどのくらい成果が得られたのかという「労働生産性」のことです。
既存の仕事内容を見直し業務を効率化することで、労働者1人における1時間当たりの生産性「労働者生産性」を上げることができます。

内閣府の発表によると、生産年齢人口(15歳~64歳)は1995年をピークに想定以上のペースで減少しており、2030年には6,773万人、2060年には4,418万人まで減少するといわれています。
深刻な人材不足と向き合う企業は、政府が掲げる一億総活躍社会実現に向けた取り組み「働き方改革」を推進しばければなりません。
長時間労働の是正や職場環境の改善、スキルアップへ向けた人材育成などの取り組みは、生産性の向上につながります。

【出典】平成29年版 情報通信白書のポイント - 総務省

2.「労働生産性」の2つの種類と算出方法

労働生産性とは、投入した労働量に対してどのくらいの生産量が得られたかを表す指標のことです。
以下の計算式により、従業員1人当たりが生み出す成果、または従業員が1時間で生み出す成果を求めることができます。

また、従業員1人1人のスキルアップや業務の効率化、経営効率の改善によって向上する労働生産性には、「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」の2種類があります。
それぞれ算出する目的によって計算式・計算方法が異なります。
上記の労働投入量とは、時間当たりの労働量または従業員数を指しますが、労働による成果が何を指すかはこれら2種類においてそれぞれ違います。

2-1.物的労働生産性

物的労働生産性とは、アウトプットに「生産数量」や「販売金額」を置く考え方です。
時間当たりor従業員1人当たりがどのくらい効率的にモノ・サービスを生産しているか求めることができます。

商品(製品)やサービスを対象としている物的労働生産性は、生産量の効率性を数値化したものです。
設備投資の判断や品質管理の向上を目指す企業は、参考値として活用しましょう。

2-2.付加価値労働生産性

付加価値労働生産性とは、アウトプットに「付加価値額」を置く考え方です。
付加価値額とは、企業が生み出した総生産額から、原材料や外注費などの非付加価値を差し引いた金額で、粗利益に近いです。
時間当たりor従業員1人当たりがどのくらい付加価値の高い仕事をしているか求めることができます。

付加価値労働生産性からは、商品やサービスに付加された機能的・感情的・自己表現的価値が明らかになります。
企業の利益を最大化させるための指標として活用しましょう。

3.労働生産性の向上が必要な理由

では、なぜ今「生産性の向上」が求められているのでしょうか。

まず1つに、日本の生産性が世界的順位から見て低いことがいえるでしょう。
公益財団法人日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較」によると、従業員1人当たりの労働生産性は84.027ドル(837万円)で、OECD加盟36カ国中21位です。
先進主要国であるG7では、最下位の状況が続いていることがわかりました。

【出典】労働生産性の国際比較 - 公益財団法人日本生産性本部

また、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査による「国民1人当たり平均年間総実労働時間」の推移では、日本の年間総実労働時間が減少傾向にあることが伺えます。

【出典】一人当たり平均年間総実労働時間(就業者) - 独立行政法人 労働政策研究・研修機構

下記データを見ると、国民1人当たりの平均年間総実労働時間が減っているにも関わらず、従業員1人当たり労働生産性の順位はあまり変わっていないません。
つまり、国民1人当たりの生産性は10年20年前から変わっていないということになります。

【出典】労働生産性の国際比較 - 公益財団法人日本生産性本部

現在日本では、少子高齢化問題から将来の労働人口減少が危ぶまれています。
総務省発表の「我が国における総人口の長期的推移」からもわかる通り、少子高齢化社会の到来により、2005年をピークに生産年齢人口が減少傾向にあることが予想されています。

【出典】我が国における総人口の長期的推移 - 総務省

労働人口が減少していく中で、生産性が従来通り低いままでは、グローバル競争にはますます遅れを取ってしまうでしょう。
こうした事態を受けて、日本の国力を維持するためには限られた人材を活用し、労働者1人当たりの生産性を向上させることが必要不可欠です。

4.生産性を向上させるために有効な3つの施策

生産年齢人口の減少により人材不足が深刻化する今、企業は生産性の向上させるための施策に頭を悩ませています。
従業員のモチベーションを上げて労働時間内に大きな成果を得るには、どのようなポイントを抑えるべきなのでしょうか。

4-1.スキルアップによる人材育成

限られた時間の中で高いパフォーマンスを発揮するためには、スキルアップによる人材育成が効果的です。

  • ブラインドタッチやショートカットキーといったパソコンを効率よく使いこなすための「パソコンスキル」
  • 要点を端的に相手に伝える「コミュニケーションスキル」
  • 難易度の高い仕事ができる「専門的スキル」
  • パフォーマンス向上を目標とした「セルフマネジメントスキル」

などの習得を目指す社内研修を取り入れて進めていくとよいでしょう。

また、個人のスキルアップを奨励する制度の導入や、資格取得に向けたサポート体制の整備、人事評価制度の策定により従業員のモチベーションを向上させることも重要です。

4-2.業務マニュアルの作成

業務の無駄をなくすためには、業務マニュアルを作成し従業員間で共有することが大切です。
明確なルールが決まっていないと、無駄な工程が増えたり、品質に差が出るなどトラブルが発生するリスクが高まります。
業務マニュアルを作成し、タスクを可視化・業務を平準化することで、特定の従業員が行う業務へのフォローも可能となり、生産性の向上が期待できます。

4-3.労働条件・環境の改善

長時間労働を強いられたり、給与や待遇といった労働条件の整っていない環境下では、従業員のモチベーションが上がらず、生産性の向上は望めません。
企業全体の生産性を高めるためには、従業員が働きやすい環境を整える必要があります。

1日の大半を過ごすオフィス環境・労働環境は、従業員のやる気に大きな影響を及ぼします。
内勤・外勤の従業員が心地よいと感じるオフィス温度設定やリフレッシュスペースの設置で仕事に集中できる環境を作ること、デスクの配置やチャットツールの導入によりコミュニケーションのとりやすい環境を整えることが大切です。

まとめ

深刻な人材不足に直面したいま、企業は「生産性の向上」を迫られています。
成功へのポイントは、5年後10年後を見据えた長期的施策により、企業の付加価値を高めることです。
まずは今回ピックアップした3つの施策からスタートしてみてはいかがですか?

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