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テレワークのメリットとデメリットは?課題を解決する方法を解説

働き方

新型コロナウイルス感染症の予防をきっかけに、テレワークを導入する企業が増えました。しかし、感染状況が一段落した今、テレワークを継続するか迷う企業も多いようです。

Liberty Worksが2023年にコロナ禍の影響とテレワーク事情についてアンケートを実施したところ、テレワーク経験のある67.7%が「継続したい」、21.8%が「どちらかといえばしたい」と答えました。約9割がテレワークの継続を望んでいるようです。

テレワークには、企業にも従業員にもメリットのある働き方です。本記事では、あらためてテレワークのメリットを紹介し、デメリットを解消する方法についても解説します。

1.企業側のテレワークのメリット

テレワークの導入や継続は、新しく制度を作ったり、オフィスへの出社を前提とした制度を見直したりする必要があり、企業として大変なこともあるでしょう。その上で、テレワークは企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。

1-1.優秀な人材の確保や雇用創出ができる

オフィスへの出社を前提として採用する場合、通勤圏内に居住している人材しか採用ができませんでした。限られた範囲の採用は競合も多く、苦慮している企業も多いです。しかし、テレワークを導入している場合、遠方に住んでいる人や通勤が困難な障害者なども雇用の対象にできます。場合によっては、海外在住者も対象にできるかもしれません。オンラインの説明会や面接を取り入れることで、採用手法が多様化できるというメリットもあり、幅広く優秀な人材を確保できるでしょう。

また、テレワークを導入することによって、家族の転勤で引越しが必要な従業員、育児や介護などで通勤できない従業員なども在宅で働けるため、離職防止につながります。

1-2.従業員の生産性や効率性が向上する

テレワークを導入した場合、基本的にオンラインで業務を行うことになるため、突発的な打ち合わせや顧客対応などで中断されることが少なくなります。業務に集中できることで従業員の生産性が上がれば、企業の利益増加や、顧客満足度の向上につながるでしょう。

併せて、オンラインでの業務を前提とすることで、さまざまな制度の改革やツールの導入が必要になり、それによって非効率的な業務プロセスの改善や、DXの推進が見込めることもメリットです。

1-3.営業効率が向上する

テレワークを導入することで、営業効率の向上が期待できます。オンラインで商談を行えば移動する時間や費用が削減できますし、訪問する場合でも一度出社して客先へ出向くより、効率良く移動できます。加えて、オンラインで商談を行うことで、今まで訪問できる範囲に限られていた商圏が大きく広げられるでしょう。

また、ベルフェイスが2019年に実施した調査で、営業職の一日の労働時間のうち、移動に費やしているのは約25%ということがわかりました。この時間で商談回数を増やしたり、契約書や提案書のブラッシュアップといった本質的な業務が行えることもメリットです。

1-4.コストが削減できる

テレワークを導入することで、従業員の通勤費のコストがなくなります。オフィスに全員のデスクを用意する必要がなくなり、オフィスの縮小や撤退を行う企業もあるようです。そうなれば、オフィスの賃料や光熱費のほか、什器や機器のレンタル費といったコストが削減できます。

また、テレワークを導入する場合、オンラインで業務を行うことになるため、より一層ペーパーレス化が進むでしょう。電子化することで、資料管理の手間やスペース、印刷コストの削減の効果も期待できます。

1-5.BCPが立てられる

BCP(事業継続計画)は、非常事態が起きたときに、企業が事業を継続するための計画のことです。頻発する自然災害や新型コロナウイルス感染症の流行などで、より注目度が増しました。

テレワークを導入することで、非常事態が発生しても、在宅で業務を続けることが可能です。災害時やパンデミック時に通勤を行わないことで、従業員の安全を確保できるというメリットもあります。重要な書類や貴重なデータがオフィスの被災で破損したり、紛失したりといったリスクも避けられるでしょう。

1-6.デジタル化の推進ができる

業務のデジタル化、DXの推進は、今後も事業を継続していくための必須の課題として、多くの企業が取り組んでいます。前述のように、テレワークの導入は業務のオンライン化が必要ですから、必要性は感じていても、手間やコストがかかるからと避けていたデジタル化やDXが一気に進むでしょう。

資料のペーパーレス化はもちろん、電子契約や電子印鑑の利用、クラウドサービスやITツールの導入など、さまざまな整備がこの機会に可能です。

1-7.企業イメージのアップにつながる

パーソル総合研究所が2022年に発表した「第七回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する調査」によると、勤務先で「テレワークが推奨されている」が29.6%、「テレワークが命じられている」は3.7%と、推奨や命令を行っている企業は33.3%でした。反対に、「特に案内がない」は61.2%と高くなっています。

未だにテレワークを導入している企業は多くなく、新型コロナウイルス感染症の終息を機に、廃止する企業も増えています。そういった状況でテレワークを導入することで、従業員に配慮した企業、先進的取り組みを行う企業として、イメージアップができるでしょう。

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2.従業員側のテレワークのメリット

多くの人が「テレワークを継続したい」というアンケート結果がありました。具体的に、従業員側にはどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

2-1.居住エリアの自由度が高い

企業側のテレワーク導入のメリットとして、居住地を問わず人材を雇用できることがありましたが、雇用される側にとってもこれはメリットです。通勤を考えずに居住地を選ぶことができ、土地や賃料の低い地方に移住することも可能です。働く企業の選択肢も増え、より自分の力を発揮できるでしょう。

2-2.ワークライフバランスが実現できる

テレワークによって通勤時間が削減できれば、その分の時間を有効活用できるでしょう。スキルアップのために勉強したり、家族との時間を増やしたりすることで、ワークライフバランスを実現することにつながります。プライベートが充実すれば、労働意欲の向上につながるメリットもあります。

ワークライフバランスについては、こちらの記事もご覧ください。
ワークライフバランスとは?今だから知りたい意義と取り組み

2-3.生産性が向上できる

働く場所が限定されないことで、自分が最も仕事がしやすい場を選んで働くことが可能です。周囲の雑音や同僚の目などが気にならず、来客や電話の対応が必要ないことで、仕事に集中できるようになるでしょう。

通勤がなくなることで、朝早くから身支度をしたり、混雑した交通機関を利用したりする必要もなくなります。そういったストレスがかからなくなることでも、生産性を向上させられます。

テレワークでの生産性を向上する方法については、こちらの記事もご覧ください。
テレワークでの生産性を向上させる3つのポイント

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3.企業側のテレワークのデメリット

企業にも従業員にもメリットの多いテレワークですが、デメリットがないわけではありません。続いては、企業側のテレワークの具体的なデメリットと、解決する方法をご紹介します。

3-1.マネジメントが難しい

テレワークを導入することで難しくなるのがマネジメントです。物理的な距離ができるため、マネージャーは部下の成果や結果は見えてもプロセスや業務姿勢は見えづらいため評価しにくくなり、部下は評価に納得しにくくなります。

そのような状況を改善するには、新たにテレワークでの働き方を考慮した勤怠管理の方法や評価制度、人事制度などを整備しければなりません。「思い切ってシンプルに成果だけを見る評価方法に変える」「1on1の機会を増やしてプロセスも報告させる」「自律して働ける従業員を評価する」など、さまざまな方法があります。

勤怠管理については、勤怠管理システムや業務可視化ツール利用がおすすめです。リアルタイムに近い状態で勤怠状況が確認でき、何の業務に時間を使っているのかもわかります。モチベーション管理などの機能がついているツールなら、部下の状態をいち早く察知して適切なアドバイスができるでしょう。

3-2.セキュリティリスクが高まる

テレワークを行う場合、業務で使用する端末を社外に持ち出すため、盗難や紛失のリスクがあります。オンライン上でデータをやりとりすることでデータ盗聴されたり、不正アクセスやマルウェア感染などで、データが流出したりするおそれもあるでしょう。2022年に総務省が行った「テレワーク セキュリティに関する実態調査」では、テレワーク導入で課題になった点として、51.6%の企業が「セキュリティの確保」と答えました。

総務省が2021年5月に改定した「テレワークセキュリティガイドライン」では、テレワークのセキュリティ確保について、ルール・技術・物理の3つの観点でセキュリティ対策を行うことが重要としています。従業員がテレワークを行うときの、データの保存方法やアプリのインストール条件といったルールの策定が求められます。

また、ウイルスソフトやデータ暗号化ソフトの導入、安全な回線の選択など、技術的な対策も欠かせません。PCの保管方法や持ち出しの条件を決めておくといった、物理的なセキュリティ対策も必要です。

3-3.導入にコストがかかる

テレワークを導入するためには、一定のコストがかかります。従業員に貸与するPCやスマートフォン、タブレットといった端末はもちろん、場合によってはディスプレイやデスク、ワークチェアなども必要になるかもしれません。クラウドストレージやタスク管理ツールなども導入が必要です。また、テレワークではコミュニケーションが希薄になりがちなため、オンラインの会議やチャットツールなども用意しておくことをおすすめします。

テレワークで何が必要になるかを考え、そのためのコストを用意しなければなりません。まとまった金額になりますが、今後のデジタル化やDX推進への投資と考えて用意すべきでしょう。国や自治体では、テレワークの導入や推進のために「テレワーク助成金」を設けている場合がありますから、利用できるものがないか確認してみてください。

4.従業員側のテレワークのデメリット

テレワークを続けたいと考えている人は多いですが、従業員側にはデメリットはないのでしょうか。考えられるデメリットと解消法を紹介します。

4-1.長時間労働になりがち

テレワークによって、特に在宅で働くことでプライベートとの切り替えができず、長時間労働になる人もいます。オフィスの使用時間を気にする必要もなく、上司の目がないことで時間の自己管理がおろそかになり、深夜残業や休日出勤をしてしまう従業員もいるかもしれません。また、オンラインになったことで仕事の進め方が変わり、仕事の種類や内容によっては同じ作業でも以前より時間がかかってしまう、成果を上げられなくなったということもあるようです。

従業員の長時間労働については、時間によって社内システムのアクセスを制限したり、残業を許可制にしたりといった対策をとりましょう。この機会に不要な業務、非効率な業務を洗い出して効率化することも重要です。

長時間労働については、こちらの記事もご覧ください。
長時間労働の対策で企業がすべきこととは?原因と問題点を解説

4-2.コミュニケーションがとりにくい

オフィス勤務の場合は何の準備もいらなかったのに、テレワーク中のコミュニケーションは、テキストを打ったり、電話を掛けたり会議の時間を設定したりと、ハードルが上がります。コミュニケーションも業務に偏り、お互いの人となりを知る機会が減って孤独感や不安を感じやすいかもしれません。それにより、業務が非効率になったりモチベーションが下がったりする可能性もあります。

こういった状況に陥らないために、意識的に雑談の時間を作ることをおすすめします。ウェブ会議システムやチャットツールを利用して、気軽にコミュニケーションがとれる環境を作りましょう。グループウェアでドキュメントやナレッジの共有がしやすい状況を作ることも重要です。

4-3.セルフマネジメントが難しい

周囲の目がないテレワーク下では、自己管理能力が求められます。オフィスで勤務しているときと違って「つい怠けてしまう」という声もよく聞かれますし、反対に好きなだけ仕事ができることで長時間労働になる人も。

テレワーク中は、セルフマネジメントができるかどうかが生産性に大きく関わります。仕事環境を整えたり、意識的にオン・オフを切り替えたりといったことで業務効率を向上させることは可能ですが、従業員任せにしないことも大切です。タスク管理ツールを導入して、従業員が今行うべき業務を整理しやすくする、1on1で定期的に仕事の目的や目標を明確にするなど、セルフマネジメントしやすい状況を作りましょう。

テレワークのデメリットを解消してメリットを活かそう

テレワークは、経験した人の多くが継続したいと考えており、企業にとってもさまざまなメリットのある働き方です。もちろん、企業にも従業員もデメリットがないわけではなく、単に導入するだけで効果が出るというものでもありません。しかし、デメリットはシステムの利用や制度設計などで解消できる部分も多いはず。適切に運用して、テレワークのメリットを最大化しましょう。

テレワークで課題になりがちな従業員の稼働時間の把握は、「MITERAS 仕事可視化」が役に立ちます。いつ、どのような業務を行ったのかが把握でき、客観的な稼働時間もわかるため、テレワーク中のサボりや長時間労働の防止が可能です。ぜひご活用ください。

監修:MITERAS部

「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。


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