生活残業とは、生活費を補うために意図的に行う残業ですが、従業員と企業双方に原因が生じている場合があります。この記事では生活残業が多い企業の特徴や問題点、具体的な対策方法を詳しく解説します。
目次
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1.「生活残業とは?」
生活残業とは、生活費を補填するため意図的に行う残業です。生活残業が続くと、従業員の健康や生活の質に悪い影響を与えます。企業にとっても数多くのデメリットがあり、早急に対策を講じることが重要です。
2.生活残業が多い企業の特徴
2-1.基本給が低いため生活費を残業代で工面している
生活残業が行われる主要な理由の一つは低賃金です。基本給が低いと、それだけでは生活を維持できないため、従業員は残業代で生活費を補填しようと考えます。家庭を持つ従業員は生活費がより必要になるため、特に生活残業が発生しやすい状況となります。このようなケースでは、残業代の大部分が生活費に充てられ、残業ができなくなると生活が苦しくなってしまう可能性があります。
実際に株式会社識学が発表したデータによると、22.4%の従業員が「実は残業をしたいと思っている」という回答があり、理由としても生活が苦しい。など金銭面の理由も存在しています。
2-2.労働時間の管理が不十分
労働時間の管理が不十分な企業では、出退勤の記録が曖昧で、正確な労働時間が把握されていないことが多いです。従業員が実際にどれだけ働いているかを正確に把握できないため、業務を適切な時間内で終了するのが困難です。また、労働時間を適切に管理するためのツールやシステムが導入されていないことも問題です。手動での記録が主流の場合や、管理システムが古い場合、正確な労働時間の管理が難しくなります。
2-3.コンプライアンス意識が低い
従業員と企業の双方において労働基準法の理解が不足しているため、法律で定められた労働条件が徹底されていない企業が多いです。また、労働時間や残業に関する制度が存在していても、実際の運用が徹底されていない場合もあります。管理職や現場リーダーがコンプライアンスを軽視することで、従業員の労働環境が悪化します。
3.生活残業をしてしまう人の特徴とは
3-1.退社時や残業時間が固定している
生活残業をしてしまう人の特徴として、明確な退社時間や残業時間を持つ人が多いです。こうした従業員は、その時間に合わせて仕事を進めるため、定時に終わらせる努力を怠ることがあります。この習慣がつくことで、不要な残業が発生しやすくなります。
3-2.職場の雰囲気に流されやすい
周囲の従業員が生活残業を行っていると、それに合わせて自分も残業をしなければならないという圧力を感じることがあります。職場の雰囲気に流されやすい人は、特に影響を受けやすく、結果として自らも生活残業を行うようになってしまいます。
3-3.業務効率を意識せずに行動している
生活残業をする人は、仕事の効率を意識せずに業務を進めることが多いです。例えば、仕事中に頻繁に席を外したり、必要以上に長い休憩を取ったりすることが見られます。このような行動は業務の進行を遅らせ、結果として余計な残業を生む原因となります。
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残業削減を失敗しない取り組み4選
いますぐダウンロードする ➤➤4.生活残業を放置することのデメリットとは
4-1.人件費の増加による利益率の低下
生活残業が増えると残業代が増加し、その結果、人件費が増加します。残業代によって多くのコストが発生する一方、業務の進捗には大きな変化がないため、売上は伸びず、コストだけが膨らむことになります。このため、確実に利益率は低下します。
具体例を挙げると、従業員が1か月に20時間の生活残業を行い、時給が1,500円と仮定すると、残業代は次のように計算されます。
1ヶ月あたりの残業代
- 20時間×1,500×1.25 = 37,500円
1年間(12ヶ月)の残業代
- 37,500円×12 = 450,000円
このように、1人あたり年間で約45万円の残業代が発生することになります。さらに、会社全体で多くの従業員が同様の生活残業を行うと、企業全体で発生する残業代は非常に大きな額となります。そのため、利益率は確実に低下します。
4-2.優秀な従業員のモチベーション低下
生活残業が長時間労働を誘発することで、優秀な従業員のモチベーションが低下します。日本の企業文化では、労働時間の長さで従業員を評価する傾向が残っている場合があり、長時間働いている従業員が出世しやすいという風潮があります。このため、効率的に業務をこなして定時に退社する従業員は「やる気がない」と見なされることがあり、優秀な従業員が正当に評価されない問題が生じます。
効率的に仕事を進めている優秀な従業員からすると、「ダラダラ働いている人が高評価される」と感じられ、効率的に業務を進めることへのメリットが実感しづらくなります。この結果、会社全体のモチベーションの低下は避けられません。
4-3.ブラック企業のイメージが付きやすくなる
SNSや口コミサイトで「長時間労働が常態化している」との評判が広まると、「ブラック企業」の認識をされてしまう可能性があります。最近では転職時に口コミサイトの評判が非常に重視されており、毎日のように残業や生活残業を行っている従業員がいることが投稿されると、外部からは「従業員に長時間労働を強いる企業」と認識されてしまいます。
これにより、優秀な人材の確保が難しくなり、企業の生産性や事業展開にも悪影響を及ぼします。
5.生活残業を撲滅するための対策・解決方法
5-1.基本給の適正化
生活残業を防ぐために、従業員の給与・待遇を見直し改善を図りましょう。生活残業をしている多くの従業員は、収入を補うために残業をしています。そこで、基本給を引き上げることで、従業員が意図的に残業する必要を削減できます。従業員を責める前に、まずは会社側に問題がないかを確認し、生活残業の原因を解消するために努めましょう。
5-2.労働時間の正確な管理
従業員のパソコンに客観的な労働時間を計測するモニタリングシステムを導入し、過度な残業を防止します。出退勤の時間だけでなく、パソコンの稼働時間を把握することで正確な労働時間を計測することが可能です。さらに、勤務時間中の業務内容をモニタリングシステムで把握することで、非効率な業務プロセスを特定し、迅速なフィードバックを行うことができます。企業全体としての労働時間の適正管理を徹底していくことが重要です。
5-3.生活残業を人事評価に繋げない
従業員を評価する際には、残業の内容を評価基準に含めないようにしましょう。長時間残業によって多くの業務量をこなしている従業員を評価基準にしてしまうと、評価を上げるために不必要な残業を行うケースが増加します。従業員の評価は労働時間ではなく、生産性や業務効率を重視するようにし、残業が評価に直結しないことを従業員に認識させる必要があります。好成績を上げれば良い評価につながる成果主義の評価基準を導入することで、従業員は効率的な業務進行のために努力するようになります。
6.生活残業の根本的な原因を理解し生産性を上げよう
生活残業が発生しやすい企業や従業員の特徴、生活残業によるデメリット、防止に役立つ対策を紹介しました。生活残業が常態化している状態を放置すると、企業全体に重大な悪影響を及ぼすため、日頃から徹底的な管理と対策を実施し、問題を未然に防ぐことが重要です。
逆に生活残業の発生を防ぐことができれば、従業員は定時内に効率よく業務を進めようと意識し、企業全体の生産性向上が期待できます。企業の生産性を向上させるためにも、生活残業の因を把握し、しっかり対策を講じていきましょう。
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監修:MITERAS部
「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。