コラム 働き方

業務改善とは?仕事の進め方や役立つフレームワークについて解説

働き方

業務の効率化やコスト削減、生産性向上のために、業務改善を図ろうとしている企業は多いでしょう。政府の打ち出す働き方改革とも関連しており、さらにテレワークの普及や働き方の多様化で、その必要性に迫られる企業も少なくありません。しかし、いざ始めようとすると、どこから手をつけたらいいのかわからず、業務改善が進められない企業も多いようです。
そこで本記事では、業務改善の目的や具体的な進め方、業務改善に役立つフレームワークなどについてご紹介します。

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1.業務改善とはビジネスの課題解決

業務改善とは、ビジネスにおける問題や課題を解決することです。業務の中で発生する「ムリ・ムダ・ムラ」を見つけ、非効率な作業を改良することで、企業の生産性をより高める目的があります。

業務のムリ・ムダ・ムラ

  • ムリ:能力以上に業務の負荷がかかって、予算達成や納期に追われている状態
  • ムダ:能力に対して業務の負荷が下回り、過剰生産や余分な動作がある状態
  • ムリとムダが混在し、タイミングによって仕事効率が不安定な状態

少子高齢化により労働力不足は深刻化しており、さらに働き方改革によって労働時間や休息時間の適正化が求められるようになりました。
より短時間で高い成果を上げるために、業務改善の必要性は高まっています。業務改善によって「ムリをなくし、ムダを減らし、ムラが出ないように改善する」ことが重要なのです。

2.業務改善を行うメリット

多くの企業が取り組む必要性を感じている業務改善ですが、実施することで具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。業務改善によって得られるメリットを見ていきましょう。

2‐1.効率化による生産性向上

これまで問題とされてこなかった業務のムダやムラに気づき、改善することで業務の効率化が可能です。
労働力不足により、少ない人員でこれまでどおりの成果を出す必要があるという企業は多くあります。業務を効率的に進められれば生産性が向上し、少ない人員でも十分に成果を生み出せる可能性があるでしょう。

2-2.品質向上とコスト削減

業務改善によってムダな業務を削減できれば、人件費はもちろん、採用や育成のためのコストやIT機器などのコスト、光熱費などの余分な費用も削減できるでしょう。業務改善によって業務効率化が進められれば、少ないコストでこれまで以上の成果が挙げられる可能性もあります。

2-3.属人化の解消

特定の従業員しかできないような属人化した業務は、ムリやムラが発生しやすいもの。属人化した業務は従業員に負荷が大きく、急な離職や休職などがあれば企業のダメージも大きくなります。
業務改善によってプロセスを把握したり整理したりすることで、属人化していた業務プロセスが明確になることが期待できます。さらに、マニュアル化したり、システムやツールを利用できないか検討したりすることで、誰でも同じように業務が進められるでしょう。

2-4.労働環境の改善

業務改善は、労働環境の改善につながります。特定の従業員にだけ業務が偏っていたり、一部の部署だけが残業時間が多かったりする場合、労働環境を見直さなくてはなりません。従業員にムリを強いる労働環境は、従業員のモチベーション低下を招きます。それだけでなく、長時間労働が続けば従業員が心身に不調をきたす可能性もあります。
業務改善を実施することで、そういった労働環境を整えることができれば、業務の効率化や生産性の向上のほか、従業員の働きやすさやモチベーションアップにもつながるでしょう。働き方が多様化している現代において、効果的です。

また、多様な働き方を取り入れる事はダイバーシティの推進にも繋がります。
ダイバーシティに関しては下記の記事もご覧ください。
ダイバーシティ(多様性)推進のメリット・デメリット・問題点とは?

3.業務改善の進め方

業務改善に取り組もうと決めても、何から始めていいのかわからないという人は多いでしょう。ここからは、具体的に業務改善の進め方について解説します。

3-1.業務を可視化する

まずは、業務を可視化する必要があります。どのような業務をどのようなプロセスで行っていて、どのような人が関わっているのかが見えなければ、ムリ・ムダ・ムラが見えません。何を改善すべきかを把握するために、すべての業務を可視化し、課題を洗い出しましょう。日常業務だけでなく、イレギュラーな業務も把握しておく必要があります。

業務可視化については、下記の記事もご覧ください。
業務可視化とは?行うメリットや方法、効率的な取り組み方を紹介

3-2.課題を抽出する

業務を可視化したら、その中から課題を抽出し、どこでムリやムダが生まれているのか、ボトルネックを見つけます。抽出した課題についてはまず、「なくす」「減らす」「変える」のどれかで対応できないか考えてみてください。
なくすは、その業務自体が本当に必要か考える、必要なければなくしてしまうこと。減らすは、省略できるプロセスはないか検討することです。変えるは、プロセスやフロー自体を変える必要があるのか、アウトソースやRPAで代用したほうが効率的ではないか、業務を効率化できるツールはないかといったことを検討します。

3-3.業務の優先順位をつける

業務を可視化したら、改善が必要な業務の優先順位をつけましょう。抽出する課題はひとつとは限りませんから、あれもこれもと手をつけると、なかなか業務改善は進みません。
優先順位は、改善できた際の効果や改善にかかる期間、かかる費用などから決めることをおすすめします。効果が大きく短期間でできるものを優先し、その後かかる費用で順位付けをしてください。

3-4.業務改善の計画を立てる

優先順位をつけたら、具体的な計画を立てます。業務改善というと、「生産性向上を目指す」「無駄な時間を削減する」など、抽象的・定性的な目標を立てがちですが、できるだけ具体的な目標を立て、それに沿って計画することが重要です。
「20人の従業員の月あたりの工数を2時間削減する」「浮いた工数40時間を、属人化してムリが出ている業務に回す」など、できるだけ具体的に、金額や時間、割合などの数値を明確にして、業務改善の計画を立てましょう。いつまでにそれを行うか、期間も設定することがポイントです。

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4.業務改善に役立つフレームワーク

業務改善はフレームワークを利用することで、より円滑に進めることができます。ここでは、業務改善で役立つフレームワークについて見ていきましょう。

4-1.PDCA

PDCAは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(確認)」「Action(改善)」の頭文字を取ったもので、PDCAをひとつのサイクルとして回すフレームワークです。業務改善全体の進捗管理は、PDCAにもとづいて行うと、継続的に改善を進めていけます。
目標を設定し、業務計画を立てて(Plan)実行したら(Do)、その結果について検証し(Check)、計画に問題がないか考えます。それを踏まえて改善したら(Action)、また新たに計画を立ててください。

4-2.KPT

KPTは「Keep(継続)」「Problem(改善の必要な問題)」「Try(実践)」に3つの要素で業務改善を振り返るフレームワークです。
改善した内容のうち、うまく機能していて今後も継続していきたいことはKeep、実行したが十分でないことはProblemとして見直します。最後にKeepとProblemを踏まえ、新たに実施したい改善内容がTryです。

4-3.ECRS

ECRSは、「Eliminate(排除)」「Combine(結合)」「Rearrange(交換)」「Simplify(簡素化)」の4つの視点で業務改善を考えるフレームワークです。
なくせる業務や物、ルールがないか(Eliminate)、まとめられる業務はないか(Combine)、整理したり順番を変えて効率化できたりする業務はないか(Rearrange)、単純化できる業務はないか(Simplify)の順で考え、業務改善を進めます。

4-4.ロジックツリー

ロジックツリーは、1つのキーワードから樹形図のようにキーワードを派生させ、問題の原因を掘り下げるフレームワークです。
例えば、「長時間労働」という業務課題があったとすれば、その下に原因である「業務過多」「人員不足」などを書き出します。さらに、業務過多の原因として、「属人化」「管理不足」「能力不足」などと要素を分解して、解決策を考えていきます。

4-5.バリューチェーン分析

バリューチェーン分析は、開発や生産からアフターサービスに至るまで、事業の一連の業務を機能ごとに分類して、どの工程で価値が生まれるのかを分析するフレームワークです。
自社の強みと課題を可視化するもので、各フェーズの業務の価値を見直して、優先順位をつけるのに役立つでしょう。

4-6.BPMN

業務フローのイメージ

BPMN(Business Process Model and Notation)は、業務フローの国際基準です。業務フローにはさまざまな描き方がありますが、BPMNは誰が見てもわかるように、記号の意味が統一されています。
BPMNで業務フローを描き出すことで各業務が可視化でき、課題が抽出しやすくなるでしょう。

5.業務改善を行う際の注意点

業務改善は闇雲に進めると効果を感じられないばかりか、逆効果になってしまうこともあります。最後に、業務改善を実施する際の注意点をご紹介しましょう。

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5-1.現状を理解して目標を設定する

現状を理解し、課題を見極めた上で業務改善の目標を設定することが重要です。現状で問題がないのに業務改善のためにツールを変更したり、人員不足が問題なのに無理に残業時間削減に取り組んだりしても、効果は得られません。かえって業務がやりづらくなって、従業員が疲弊してしまう可能性もあります。

5-2.現場の声を聞く

業務改善を進めるのは、必ずしも現場の従業員とは限りません。管理職からのヒアリングに対して、心証を悪くしないように「業務に問題はない」などと報告することもあるでしょう。
問題の本質がわからなければ、業務改善は進みません。業務改善を行う場合は、現場の従業員と関係性を築くとともに、業務可視化ツールなどを利用して客観的に業務を俯瞰してみてください。

5-3.短絡的に結果を求めない

業務改善の施策は、短期的に成果が出るものばかりではありません。その場しのぎで業務改善を行っても、関連する業務に影響したり、再度同じ課題が浮かんだりと、かえって業務効率が落ちてしまうこともあります。短期的に結果が出るもの、中長期的に行うものと、優先順位をつけて取り組みましょう。

業務改善を実施して生産性向上を目指そう

業務改善は業務の効率化やコスト削減のほか、生産性向上のために、多くの企業にとって急務となっています。業務改善は決まったアプローチがあるわけではなく、自社の課題に合わせて何が最適かを考えなければなりません。現場の従業員とも連携しながら、無理なく自社の業務を改善してください。

業務改善を進めるためには、どのような業務を誰が行っているか、どの程度時間がかかっているかなどを把握しなければ、課題が見えてきません。
「MITERAS仕事可視化」は、PCログから従業員一人ひとりの仕事実態を把握できるツールです。長時間労働に対するアラート機能などもあり、業務改善を行うべきポイントも把握できるでしょう。業務改善のために、ぜひお役立てください。

監修:MITERAS部

「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。


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