コラム 人事労務

テレワーク(リモートワーク)時の勤怠管理の課題・必要性について

人事労務

テレワークは社員がオフィスと離れた場所で働く勤務形態であり、場所と時間にとらわれない働き方を選択できることが特徴です。しかし、社員がオフィスに通勤しないテレワークにおける勤怠管理の適切な方法について、悩む方も多いのではないでしょうか。

今回は勤怠管理の必要性・課題から、テレワークと通常での勤怠管理の違い、解決方法等を詳しく解説します。

1.勤怠管理の必要性

勤怠管理とは、企業が社員の労働時間等を適正に記録・管理することです。企業は、社員の始業から終業するまでの時間を把握し、労働時間に応じた正確な賃金を計算して支払います。

時間外労働時間や深夜労働時間・休日労働時間、欠勤日数や有給休暇の取得状況等も、勤怠管理で記録する対象です。過剰な残業の発生を抑止したり、社員の健康状態を維持したりするためには、適正な勤怠管理を行わなければなりません。

社員の勤怠管理を行うことは、法律で定められている企業の義務です。労働基準法の第百八条と第百九条では、賃金台帳の作成・記入と保存について下記のように定めています。

(賃金台帳)
第百八条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

(記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

(引用:e-Gov法令検索「労働基準法」https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049)

ホワイトなはたらき方を実現する労務管理ツール「MITERAS仕事可視化」

MITERAS(ミテラス)仕事可視化は、「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツールです。
勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。

無料の資料をいますぐダウンロード

2.勤怠管理の課題

厚生労働省では勤怠管理の方法についてガイドラインを公表しており、下記の2点を原則として定めています。

  • 使用者(企業)自身が確認・記録を行うこと
  • タイムカードやICカード、パソコンの使用時間等、客観的な記録を基礎として確認・記録を行うこと

(出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187488.pdf

また、企業が労働者に対して、自己申告を適正に行う方法を十分に説明した上であれば、社員の自己申告制による労働時間の把握も認められています。

テレワークを導入した場合、労働時間の把握は社員の自己申告制で行うケースが多いのではないでしょうか。しかし、自己申告制では社員の労働時間が実態に合致しているか把握できず、長時間労働や労働時間の過少申告が発生しやすい問題があります。

3.通常の勤怠管理とテレワーク時の勤怠管理で気を付けるべき点は?

テレワークには在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務の3種類があり、いずれの場合でも、社員はオフィスに通勤しない日が発生します。そのため、テレワーク時の勤怠管理は、通常の勤怠管理とは異なることが特徴です。

ここからは、通常の勤怠管理とテレワーク時の勤怠管理を比較して、テレワーク時に気を付けるべき2つの点を解説します。

3-1.労働状況の把握

通常のオフィスワークでは、社員が出社すると始業時間を打刻して、退社時に終業時間を打刻します。社員が業務を行っているか、休憩しているかを上司が視認もできるため、労働状況の把握は難しくありません。
 
一方のテレワークでは、社員が始業や終業の報告を行ったとしても、実際の労働状況把握は難しくなります。たとえば労働時間中にサボっていても、上司には分からないことが多いでしょう。

カメラによる監視や、定期的な報告をさせることで勤怠管理を行う方法もあるものの、過度な監視・報告を強いることは、社員に心的負担がかかり、生産性を低下させる原因になり得ます。テレワーク時の勤怠管理は、社員に負担をかけない方法を選択する必要があります。

3-2.中抜け等があった時の規則設定

テレワーク勤務では、社員の「中抜け」が生じることも多くなります。中抜けとは、社員がプライベートな理由で業務を一時的に離れることです。テレワークでは中抜け以外に、業務に必要な移動時間が発生するケースもあります。

既存の就業規則に中抜けや移動時間についての項目がない場合には、中抜け等があった時の規則を設定して、就業規則を変更しなければなりません。もちろん、変更した就業規則は社員に周知し、運用上の注意も説明する必要があります。

【MITERAS仕事可視化 事例集】 サービス残業/過剰労働の抑止

無料の資料をいますぐダウンロードする ➤➤

4.テレワークの勤怠管理を適正に行うためには?

テレワーク時の勤怠管理にさまざまな課題が存在する原因は、企業側が社員の労働を始業・終業時間の自己申告のみでしか把握できないためです。休憩の打刻や休暇の申請・取得、業務の進行報告を社員自身が簡単に行うことができれば、勤怠管理の課題は解決できます。

テレワークの勤怠管理を適正に行うためには、下記2つのシステム・ツール導入がおすすめです。

4-1.勤怠管理システム

勤怠管理システムとは、企業の勤怠管理業務をサポートするためのシステムであり、基本的に以下のような機能を備えています。

  • 始業・終業時間や休憩時間の打刻
  • 休暇の申請・承認
  • シフト管理
  • 勤務時間や残業時間の集計

勤怠管理システムはパソコンやモバイル端末を通して勤怠管理が行えるため、リアルタイムに近い状態で勤務状況を把握できます。給与計算ソフトとの連携機能を備えている勤怠管理システムも存在し、人事・労務の効率化にも役立ちます。

4-2.業務可視化ツール

勤怠管理システムは、いわゆる自己申告制となるため、社員の労働時間が実態に合致しているかを完全に把握することは困難です。そのため、業務可視化ツールの導入も欠かせません。

業務可視化ツールを導入することで、社員の勤務時間や仕事内容の見える化ができます。社員の自己申告により記録された勤怠情報と、業務可視化ツールで示された情報を照らし合わせることで、より正確な勤怠情報・業務内容を把握することが可能です。

5.勤怠管理システムの選び方・ポイント

勤怠管理システムを導入する場合は、特徴や機能が自社に合っているかを確かめることが重要です。勤怠管理システムの選び方・ポイントを4つ紹介します。

多様な勤務形態・労働時間に対応しているか
テレワークの勤務形態には在宅勤務以外に、モバイルワークやサテライトオフィス勤務が存在します。労働時間についても、裁量労働制やフレックスタイム制を導入するケースは少なくありません。勤務形態ごとの利用端末・打刻方法に対応可能であり、自社の労働時間制に合わせた設定ができる勤怠管理システムを選びましょう。

社員にとって使いやすいシステムか
勤怠管理システムの操作が難しい場合、社員の生産性が下がったり、入力ミスが発生したりするケースもあります。テレワークで働く社員の中にも、パソコン操作が不慣れな方は少なからずいるため、勤怠管理システムは使いやすさを重視しましょう。たとえばUIが見やすく直感的に操作できたり、業務と連動して自動で打刻できたりすると、使いやすく便利です。

導入・運用費用が経営の負担にならないか
勤怠管理システムは導入に初期費用がかかり、導入後は運用費用もかかります。勤怠管理システムは長期的に利用することになるため、各種費用が経営の負担にならないかを考慮して選びましょう。勤怠管理システムに多数の機能を求めると費用も高くなりやすいため、自社に必要な機能を絞り込むことも大切です。

サポート体制は整っているか
開発元のサポート体制が整っていることも、勤怠管理システムを選ぶ際の大切なポイントです。勤怠管理システムを運用していて不具合や改善してほしい点が生じた場合、開発元のサポートが受けられれば問題を解決できます。日本語によるサポートが受けられるか、サポートの対応力が十分にあるかもチェックしておきましょう。

まとめ

勤怠管理とは、企業が社員の労働時間等を記録・管理することです。テレワークの場合は社員の就業場所がオフィスと離れているため、労働状況の把握が課題となります。勤務内容の評価方式や、中抜けや移動時間についての規則設定にも注意しなければなりません。

テレワークの勤怠管理を適正に行うためには、企業の勤怠管理業務をサポートしてくれる勤怠管理システムと業務可視化ツールの利用・導入がおすすめです。紹介した選び方・ポイントを参考に、自社に合った勤怠管理システム・業務可視化ツールの導入を検討しましょう。

業務可視化ツールなら、ぜひ「MITERAS仕事可視化」をご利用ください。

監修:MITERAS部

「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。


ホワイトなはたらき方を実現する労務管理ツール「MITERAS仕事可視化」

MITERAS(ミテラス)仕事可視化は、「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツールです。
勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。

無料の資料をいますぐダウンロード

- コラム, 人事労務

執筆者:

関連記事

テレワーク中は監視すべき?目的やデメリット、注意点について解説

目次1.勤怠管理の必要性2.勤怠管理の課題3.通常の勤怠管理とテレワーク時の勤怠管理で気を付けるべき点は?3-1.労働状況の把握3-2.中抜け等があった時の規則設定4.テレワークの勤怠管理を適正に行う …

テレワークの意味とは?導入のメリット・デメリットや推進の理由について

目次1.勤怠管理の必要性2.勤怠管理の課題3.通常の勤怠管理とテレワーク時の勤怠管理で気を付けるべき点は?3-1.労働状況の把握3-2.中抜け等があった時の規則設定4.テレワークの勤怠管理を適正に行う …

テレワーク(リモートワーク)時における運用課題と解決法とは?

目次1.勤怠管理の必要性2.勤怠管理の課題3.通常の勤怠管理とテレワーク時の勤怠管理で気を付けるべき点は?3-1.労働状況の把握3-2.中抜け等があった時の規則設定4.テレワークの勤怠管理を適正に行う …

新着記事

PCログで確認!実労働時間と記録の乖離理由は何?

目次1.実労働時間の乖離が起きるのはなぜ?1-1.タイムカードの不正打刻1-2.社内文化1-3.実態調査をしていない2.労働時間の乖離は違法?3.実労働時間と記録の乖離が起きないようにするには?3-1 …

退職代行を使われたら?会社としてとるべき対応を解説

目次1.退職代行とは?2.退職代行の3つの形態2-1.弁護士事務所2-2.退職代行ユニオン2-3.民間の退職代行サービス3.退職代行を使われた場合の会社側が対応すべき6つのステップ3-1.退職代行の身 …

テレワークの課題とは?生産性を向上するツール14選

目次1.テレワークとは?1-1.テレワークのメリット1-2.テレワークのデメリット2.テレワークで生産性が下がるとされる理由2-1.コミュニケーション不足2-2.モチベーションの低下2-3.環境が整備 …

PAGETOP