「働き方改革」が提唱されて久しいですが、実際はまだまだ残業が減らず、遅くまで仕事をしている人は少なくありません。多くの企業が残業を減らしたいと思っているにもかかわらず、なぜ残業時間の削減はスムーズに進まないのでしょうか。
本記事では、「残業が減らない原因」から「残業削減のメリット」「残業削減を効率的に行うための取り組み」まで紹介します。さらに、実際に残業削減が成功した事例もまとめているため、残業時間の削減を目指している経営者・労務担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.残業が減らない原因は労働環境にある!
時間あたり・一人あたりの業務量が適正でなければ、残業削減が難しくなります。業務量の過剰は、作業完了までの見積もり時間が不正確であったり、そもそも見積もりが行われていなかったりすることによって、発生するものです。残業削減のためには、適正な業務量を見積もらなければなりません。
勤怠管理ができていない
勤怠管理ができていなかったり、ずさんになっていたりすると、社員の労働時間を正確に把握できないため、どのくらいの時間外労働が発生しているのか分かりません。残業時間の削減を進めるためには、勤怠管理を適正に行い、しっかりと労働時間を把握することが大切です。
作業内容と個人の能力が合っていない
作業内容と個人の能力が合っていなければ、効率的に業務を進めることができません。それぞれに適切な仕事を割り振ることで、効率的に作業をこなすことができます。
仕事の振り方や人材配置が適切ではなければ、会社全体の生産性低下を招く可能性があります。残業削減を進めるためには、社員一人ひとりの能力を評価する力といった、マネジメント能力が必要です。
習慣化する!残業抑止6つの事例集
いますぐダウンロードする ➤➤2.残業削減を推進するメリット
不必要な残業時間を削減することによって、余暇の時間が生まれるため、社員の幸福度向上に繋がります。また、企業にとっては不必要な残業時間を削減することで、余分に掛かっていた諸経費の節約に繋がるというメリットがあります。つまり、残業を削減することは、労使ともに、メリットが大きい取り組みです。
ここでは、残業削減を実施するメリットについて、具体的に紹介します。
社員の意欲、モチベーションを上げられる
今まで残業していた時間分を、プライベートの時間に充てることが可能です。ワークライフバランスが実現されれば、仕事へのモチベーションが上がることを期待できます。
ワークライフバランスについては、下記の記事もご覧ください。
ワークライフバランスとは?今だから知りたい意義と取り組み
過労死のリスクを減らせる
過度な長時間労働は、肉体的にも精神的にも悪い影響を及ぼしかねません。労働時間を適切に管理し、長時間労働を解消することは、社員の健康改善に効果的です。
業務を効率化できる
残業が常態化すると、ダラダラ仕事をするようになったり、社内の雰囲気が悪くなったりします。限られた時間内で成果を出すためには、仕事に優先順位をつけて、業務の効率化を図らなければなりません。業務効率化が実現すると、残業削減だけではなく、生産性向上も期待できます。
社会的信用が上がる
一般的に、残業が多い企業はブラック企業として評価されてしまいます。一方で、長時間労働の改善に取り組み、残業削減に成功した企業は、ホワイト企業として社会的信用を得ることが可能です。
社員の離職率が下がる
残業が多い企業は、ブラック企業と社員にみなされ人材が定着しません。逆に、残業時間が少なければ、働きやすい企業として、社員の離職率改善に繋がります。
人件費を削減できる
残業削減によって、今までに支払っていた残業代がなくなるため、経営的にも大きなメリットがあります。ただし、社員から見ると収入の減少に繋がるため、福利厚生の改善など一定の補填サービスを考える必要があるでしょう。
「労務リスク」は事前検知で解決
いますぐダウンロードする ➤➤3.残業削減を効率的に行うための4つの取り組み
ただ単にタイムカード上の労働時間を減らしただけでは、残業削減に成功したとはいえません。仕事の持ち帰りやサービス残業の横行は、社員の負担を増やすだけではなく、長い目で見ると会社全体の生産性にも悪影響を及ぼします。
社員の負担を減らしつつ、会社全体の成長に繋がるような方法で、残業削減に取り組みましょう。
ここでは、効果的な残業削減を行う方法について、具体的に解説します。
3-1.社員の作業効率を見直す
残業削減を進めるために、まずは社員一人ひとりの作業効率を見直しましょう。社員数が多い場合は、部署や部門ごとの作業効率を見直します。
作業内容・作業時間・作業方法などを一通り確認して、「本当に現在の方法がベストなのか」「より効率良く作業する方法がないのか」と見直してください。一つひとつの作業内容だけではなく、全体の流れについても確認し、業務改善が可能な点がないのか検討しましょう。
業務改善に関しては下記記事も参考にしてください。
業務改善とは?進め方や役立つフレームワークを解説
3-2.労働時間を把握できる仕組みを作る
残業削減を進めるためには、労働時間を適正に把握できる仕組みを作りましょう。
今まで残業が恒常化し、残業時間を正確に把握していなかった会社は、早急に労働時間管理のルール・仕組みについて検討するべきです。労働者側も管理側も、労働時間に対する意識の持ち方を変えることが、残業削減への第一歩となります。
3-3.事前申請制を導入する
残業削減を会社の目標として掲げながらも、日々仕事をしていると、どうしても残業しなければならない場面が出てきます。
やむを得ず残業が必要となった場合は、事前に会社へ申請して残業するという制度を取り入れてみてはいかがでしょうか。実際の業務内容や残業時間を一緒に申請することで、時間内に仕事を終わらせるという意識で作業をすることに繋がります。
3-4.ノー残業デーを導入する
残業の事前申請制と合わせてよく見かける取り組みとしては、ノー残業デーがあります。
毎週何曜日は、全社員ノー残業デーと制定することで、社内での共通認識が生まれ、早く帰りやすい雰囲気が醸成されるでしょう。
実際、「多くの人が残業しているなかで、自分だけが残業せずには帰りづらい」という理由で、定時に帰れないという声があります。このような社員の心理を踏まえて、ノー残業デーにより誰もが定時で退社する空気を作り出すことで、残業しづらい雰囲気を作り出すことが可能です。
テレワークで大きな課題となる「業務の見える化」
そこで注目されるようになったのが「PC監視ツール」です。ツール導入メリット・注意点のほか、おすすめ商材についてご紹介します。
4.残業削減が成功した事例
ここでは、残業削減が成功した事例について、詳しく紹介します。成功事例を参考にして、自社の残業削減対策に活かしてください。
事例1. ノー残業デーを含め、退社時間を決める
週に1日のノー残業デーを設定したり、退社時間の目標を18時や19時と定めたりすることで、残業削減に成功した事例があります。
ノー残業デーを設定する企業では、その日に残業していると理由を尋ねられたり、上司への報告が必要であったりするところが多い傾向です。ノー残業デーや退社時間の目標設定によって、平日でもプライベートな時間を確保でき、リフレッシュすることが可能となるため、社員の健康を保つことに繋がります。
事例2. 社員間でそれぞれの退社時間を共有する
社員間で退社時間を共有することで、残業削減に取り組む企業が増えています。朝礼時などに退社時間を社員間で報告し合うことによって、業務時間の使い方を考える機会を作ることが可能です。業務時間の使い方を考える機会を作り出すことで、タイムマネジメント能力の向上を期待できます。
事例3. 業務効率化への取り組み
業務量が同じままで、ただ終業時間を早めるだけでは、現場の仕事が回らなくなってしまいます。業務量を維持しつつ、終業時間を早めて残業を削減するためには、業務効率化が欠かせません。
業務効率化を図る取り組みとしては、さまざまなものが実施されており、残業削減に役立っています。代表的な業務効率化の取り組みは、次の通りです。
- 会議は着席せず、立ち会議を推奨
- 会議室利用は2時間までとして、17時以降は会議禁止
- 情報共有ツールやシステムの導入
以上の方法以外にも、会社ごとの特徴に合った業務効率化の方法があるでしょう。自社の実状に応じた業務効率化の方法を導入することが、残業削減には効果的です。
まとめ
残業削減は、社員の負担を軽減できるだけではなく、会社の経費を節約できるため、双方にとってメリットの大きいものです。
残業削減の方法については、それぞれの企業によって状況や働き方が異なるため、最適解は1つではありません。しかし、残業が恒常的に発生する大きな原因は労働環境にあるため、マネジメントする人間が実際の現場をしっかりと観察・分析することで、改善法は見えてきます。
この記事で紹介した「残業削減に成功した4つの事例」を参考にして、ぜひ自社で残業削減に向けた取り組みを始めてみましょう。
監修:MITERAS部
「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。
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