近年、社員を成長させるための方法として「1on1」を導入する企業が増えています。1on1は社員の成長を促すマネジメント手法であり、社員一人ひとりが能力を発揮することで、企業の継続的な成長が期待できます。
1on1の意味は知っていても、1on1をどのように実施すればよいか、何を話せば良いかが分からない人も多いのではないでしょうか。今回は1on1の概要と目的から、1on1を実施する流れとポイント、効果を最大化するためのコツまでを解説します。
目次
ワークライフバランスの意義とはなんでしょうか?
優秀人材確保、企業イメージの向上などさまざまなメリットをもたらすワークライフバランスについてご紹介します。
1.1on1とは?
1on1とは、上司(マネージャー)と部下が1対1で行う、定期的な面談のことです。上司は1on1を通して、部下が抱えている悩みや将来的なビジョン等を理解し、対話を繰り返すことで問題解決や気づきによる部下の成長をサポートします。
上司と部下の面談と聞いて、従来の人事面談を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、従来の人事面談は社員を評価することが主目的であり、面談では上司の発言量が多く、上司の質問等に部下が答える「一方的なコミュニケーション」になりがちでした。
1on1は、上司と部下の「対話型コミュニケーション」であることが特徴です。比較的フランクな雰囲気の中で、部下の自発的な発言を尊重して話し合いを行います。
1-1.1on1の実施目的
1on1の実施目的としては、主に下記の2つが挙げられます。
〇部下の成長促進
部下は日々の業務を行う中で、さまざまな成功と失敗を経験しています。部下が経験したこと、考えていることを話し合い、部下の成長を促進・支援することが1on1の実施目的です。
上司は部下の発言を傾聴し、部下の問題解決を支援します。業務やキャリの振り返りの場を設けることで、部下は日々の業務から多くの気づきや改善を意識することができます。
〇部下の成長による組織力強化
1on1を通して部下が成長することで、組織のパフォーマンスが向上します。職場の雰囲気も良くなるため、社員が企業に定着しやすくなり、離職率を低減することも可能です。
1on1によって成長した部下が管理職に昇進した後は、上司として1on1を行います。企業の継続的成長の実現も、1on1の重要な実施目的です。
2.1on1を実施する全体の流れ|各ステップのポイントも
1on1を実施する時は、下記のステップに沿って行いましょう。
【STEP1】 | 目的の決定・共有 |
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【STEP2】 | 具体的な日時・場所の決定 |
【STEP3】 | 1on1の実施・記録 |
【STEP4】 | 次回日時・場所の決定 |
上記の4ステップは1回だけで終わらせず、繰り返すことが大切です。このサイクルを回すことで1on1が定着し、部下を継続的に成長させることができます。
ここからは、ポイントとともに各ステップの詳細を解説します。
2-1.【STEP1】目的の決定・共有
まずは、1on1を実施する目的を部下に伝えます。「1on1を実施する」だけでは部下が疑問に思う可能性もあるため、1on1の実施目的をきちんと説明することが大切です。「あなたの成長のため」、「相互理解を深めるため」と説明することで、部下も1on1実施の目的を理解できます。
1on1は部下のための時間であり、話すテーマは部下が決めるものです。1on1が会社に馴染むまでは、ある程度のアジェンダを準備して、話し合いの方向性を定めておくこともおすすめです。1on1に適したアジェンダの例をいくつか紹介します。
●業務を通して得られた気づきや学べたこと
●業務で課題やつまずきを感じたこと
●実現したいキャリアと実現のために努力していること
上司はアジェンダを部下にも伝えて、事前に話す内容も考えておきましょう。上司と部下が情報を共有することで、1on1の最中に話す内容で困らなくなります。
2-2.【STEP2】具体的な日時・場所の決定
次に、1on1を実施する具体的な日時・場所を決定します。
〇日時の決め方
1on1の日時は上司の都合だけで決定せず、必ず部下の都合を聞きましょう。お互いのスケジュールをすり合わせた上で日時を決定することが、上司と部下の信頼関係を築くために大切なポイントです。
〇場所の決め方
1on1を実施する場所も、部下の都合を聞いてから決めてください。場所は決まりきった場所でなくても良く、毎回同じ場所で行う必要もありません。会社の会議室やラウンジなど、1on1で話す内容によって適切な雰囲気の場所を選ぶことがおすすめです。
1on1の日時・場所を決定した後は、上司・部下の双方がスケジュールに組み込むことを忘れないようにしましょう。後日に都合がつかなくなるケースも考えて、日程変更したい場合は必ず連絡を入れるなどのルールも決めておいてください。
2-3.【STEP3】1on1の実施・記録
決定した日時に上司と部下で1on1を実施します。ステップ1で準備したアジェンダに沿って話し合いを行いましょう。
1on1の実施では、上司はコーチングとフィードバックの手法を用い、部下から「話を聴く」スタイルをとることが大切です。そのため、部下が話している時にはしっかりと傾聴し、話し終わった後で上司が口を開きましょう。理想的な発言時間の割合は、部下が全体の6~7割、上司が3~4割です。
また、1on1で話し合った内容は、上司・部下の双方がいつでも振り返ることができる場所に記録しましょう。1on1の記録方法としては、手帳のメモや文書ソフトへの入力、クラウドツール等があります。特にクラウドツールは記録の管理や検索がしやすく、異動が生じた時の情報の引き継ぎが簡単です。
2-4.【STEP4】次回日時・場所の決定
1on1の最後には、次回の1on1を行う日時・場所を決定します。1on1は部下を成長させるためだけでなく、上司と部下の信頼関係を構築する目的もあるため、次回の日時は期間をあけすぎないようにしましょう。理想は週1回、間隔を空けても3週間に1回の頻度でスケジュールを組むことをおすすめです。
また、1on1で話し合った内容を振り返り、部下の現状を理解することも大切です。過去に行った1on1の内容と比較することで、部下の成長を確認することができます。上司は部下の成長を発見したら、必ず部下にフィードバックし、成長を実感させてください。
1on1を振り返り、部下の課題が見つかった場合は、次回の1on1までに考えておくよう、部下に依頼しましょう。成長の確認と課題の発見を繰り返すことで、部下も1on1を継続する重要性を感じることができます。
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1on1は上司と部下の話し合いであり、話し合いの内容が常に想定通り進むとは限りません。そのため、1on1を実施する上司は、話し合いに必要なスキルや部下への理解を有していることが大切です。
最後に、1on1の効果を最大化させるためのコツを2つ紹介します。
3-1.上司が必要なスキルをまず身に付ける
1on1を行うにあたり、上司が身に付けるべきコミュニケーションスキルは2つあります。
〇コーチングスキル
コーチングの基本は、傾聴です。また部下の考え方や価値観を引き出すために、適切な問いかけを行います。質問はオープンクエスチョンが望ましいです。ただ、新卒社員や異動したばかりの社員には、適度に「はい」「いいえ」で回答できるクローズドクエスチョンを織り交ぜると良いです。
〇フィードバックスキル
フィードバックは、上司と部下の考え方などの違いを埋めるために行います。ときには上司が部下に対し、部下にとって耳の痛いことを伝えなくてはならないときもあります。厳しいフィードバックを行うことは、上司にとっても気持ちの良いものではありませんが、部下の成長を促進するためには、必要なことです。
上司が必要なスキルを身に付けるためには、コーチングやフィードバックの研修を受けることもおすすめです。
3-2.部下一人ひとりのタイプを把握しておく
1on1で話し合いを行う部下にも、さまざまな性格や考え方・価値観の方がいます。そのため、日常の様子や業務の進め方などをよく観察し、部下一人ひとりのタイプを把握しておくことも大切です。
部下のタイプを把握しておくことで、1on1における信頼関係の築き方や、部下の得意・不得意、悩みのポイント等が理解しやすくなります。
まとめ
1on1とは、上司と部下が1対1で行う面談のことです。1on1の目的は部下の成長促進と企業の組織力強化であり、上司と部下は話し合いを通して信頼関係を築きます。
1on1の実施は、目的の決定・共有から具体的な日時・場所の決定、1on1の実施・記録を行い、次回日時・場所の決定までの流れで進めましょう。全体の流れをサイクル化して定期的に1on1を実施することで、部下を継続的に成長させることができます。
部下の仕事の取り組み状況は、1on1で部下から話を聴くとともに、「MITERAS仕事可視化」のPC利用実績を客観的事実として確認することも有用です。部下一人ひとりの勤務実態を見える化できる、「MITERAS仕事可視化」をぜひご利用ください。
監修:MITERAS部
「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。
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