コラム 働き方

人材流出を防止するためには?主な原因から具体的な取り組みまで

働き方

少子高齢化による労働人口減少や働き方に関する価値観の多様化が進む現在、会社にとって優秀な人材の流出は大きな痛手です。いくら資本や知名度があっても人材がいなければ会社として成長を続けることは難しく、最悪な場合、経営破綻やブラック企業化を招く恐れもあります。

人材流出の原因は、社員ではなく、会社にあることも多いです。この記事では、人材流出の主な原因や、人材流出防止に役立つ具体的な取り組みなどを解説します。

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1.人材流出により起こる3つの弊害

人材流出とは、社員が他社へ転職したり独立したりすることです。正社員の退職はもちろん、契約社員やパートなどの有期雇用者が雇用契約を更新しないことも含まれます。

人材流出によって会社が受ける主な弊害は、次に説明する通りです。

1-1.コストの増加

社員が退職し、欠員補充を行わない場合(欠員補充を行うまでの間)、他の社員の仕事量が増えます。必要に応じて残業や休日出勤が発生し、その分の人件費がかかります。

残った人材だけで業務をこなしきれない場合は、新たに人員を補充することもあるでしょう。しかし、社員をひとり採用するための採用コストがかかるうえ、新入社員教育のために先輩社員の業務量が増えます。仮に新しく採用した社員が早期に退職した場合は、これらのコストがすべて無駄になります。

1-2.ノウハウの流出

社員が他社へ移ると、その社員が自社で得たノウハウや経験が他社へ流出してしまいます。長年働いてきたベテランや顔なじみの顧客が多い営業職が辞める場合、退職と同時に顧客や取引先とのつながりがなくなることもあります。

退職者が極端に多いと、転職サイトやSNSなどで「あの会社は離職率が高い」といった噂が広まり、結果として会社の信頼度が下がり、顧客や新しい人材も集まりにくくなる可能性があります。

1-3.生産性の低下

人手不足による業務量の増加は、ストレスや疲労の大きな要因です。心身の健康を損ねて退職や休職を余儀なくされる社員が増えると、残った社員に大きな負荷がかかります。

また、退職前の業務引継ぎが十分にできないことも見受けられます。この場合、退職者が行っていた業務を他の社員がうまく進められず、ミスや納期遅延が発生してしまいます。中小企業の場合、優秀人材の退職が経営に大きく影響するケースも少なくありません。

2.人材流出の主な原因とは?

人材流出の原因はさまざまです。やむを得ない家庭の事情や社風になじめないことなどを理由に退職する人もいます。しかし、あまりにも離職率が高い場合は、社員よりも会社側に何らかの原因があると考えられます。

社員の退職が続くときや、社員を募集してもなかなかよい人材が集まらないときは、以下のような要因がないか振り返ってみましょう。

2-1.業務量と報酬のバランスがとれていない

厚生労働省の発表によると、令和2年度上半期に転職した男女のおよそ2割が収入の少なさや労働条件の悪さを理由に退職しています。
(出典:厚生労働省「令和2年上半期雇用動向調査結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-1/dl/gaikyou.pdf)

働く理由の1つは、収入を得て生活を豊かにすることです。業務量に対して給料が少なすぎる、または残業や休日出勤が多くプライベートの時間が確保できなければ、よりよい条件を求めて転職者が増えることは当然と言えるでしょう。

また、月給を時給換算すると最低賃金を下回っていたり、残業代が未払いになっていたりするケースも少なからずあります。社員は会社に対して最低賃金との差額や残業代を請求できますが、何も言わずに退職してしまう、退職後も請求できることを知らない方も少なくありません。

休日出勤の定義については下記記事もご覧ください
休日出勤の定義は?法的な決まりや割増賃金の計算

2-2.スキルアップのできる環境が整っていない

同じ業務の繰り返しでやりがいを感じられない職場や、裁量権が少ない職場では、自分のスキルを活かしたい人ほどストレスを感じやすくなります。また、日常業務が忙しすぎてスキルアップのために学ぶ時間をとりづらい環境も同様です。

ルーティンワークを苦にしない人であれば、こうした職場で働き続けることは可能です。しかし、仕事を通じて成長することを望む人の多くはいずれ転職を考えるようになるでしょう。

2-3.正当な人事評価制度が整っていない

「自分は成果を出しているのに、要領のよい人や上司に気に入られている人ばかり評価される」と不満を抱く人は少なくありません。また、性別や年齢などを理由に不当な評価を受けることもないとはいえません。

会社の評価制度は、社員の報酬やキャリアに大きな影響を与えます。そもそも評価基準がわかりにくい、または評価制度は整っているものの評価を行う管理職の評価スキルが十分ではない会社では、適正に評価されずストレスを抱える社員が増えるでしょう。

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3.人材流出の防止・人材の定着につながる具体的な取り組み3選

社員の定着率を上げて人材流出を防ぐためには、人材流出の原因に合わせた対策が欠かせません。

ここでは、人材流出防止につながる3つの取り組みについて解説します。これらの取り組みによって、社員の定着率が上がることはもちろん、会社としての信用度を上げることで社外の人からも評価されやすくなるでしょう。

3-1.働き方改革を推進する

以下は、近年多くの企業で導入されている働き方改革の一例です。

〇テレワーク制度やフレックスタイム制度の導入
場所や時間にとらわれない多様な働き方を実現することは、人材流出を食い止める方法のひとつです。近年ではコロナ禍に伴って、満員電車やオフィスでの「密」を避けやすいテレワークやフレックス勤務が注目されています。

テレワークをスムーズに進めるためのポイントは、通信環境の整備やペーパーレス化などです。さらにチャットツールやWeb会議ツールを活用して社内コミュニケーションをとりやすくすることで、仕事の進捗確認やちょっとした相談なども気軽にできるでしょう。

〇休業制度を利用しやすくする
現在多くの企業が産休・育休をはじめさまざまな休業制度を設けていますが、前例がないことを理由に取得をためらう人も少なくありません。

休業を取りやすくするためには、休業制度の周知・説明をきちんと行うとともに、休業取得前後のキャリアビジョンの例をわかりやすく取得対象者に説明する方法などが有効です。同時にメンバーの誰かが休業に入ったときのフォロー方法を明確にすることで、休業を取らなかった社員も不満を抱えにくくなります。

〇時短勤務制度
時短勤務制度を利用する社員に対しては、なるべく本人の希望に応じて仕事を任せることがポイントです。時短勤務中に業務量を増やしてはいけないと思って簡単な業務しか与えないと、かえってモチベーション低下を招きます。

小さい子どもがいる人などは、子どもの病気などで急に休まなければならないこともあります。ひとつの業務を複数人で担当するなどして急な休みにも対応しやすくすることで、本人や周囲の精神的負担の軽減に役立つでしょう。

3-2.報酬を見直す

社員一人ひとりに適切な報酬を与えるためには、各職務の業務内容や役割責任を明確にするとともに、各職種の市場価格を把握することが欠かせません。 会社全体の各職務と市場価格の比較を行い、乖離が大きい場合は、報酬制度の改定も検討しましょう。

3-3.社員全員が納得できる人事評価制度を設ける

公平な人事評価のポイントは2つあり、1つは客観的でわかりやすい評価システムを作ること、もう1つは、評価指標は成果(数字)と、成果を出すためのプロセスの2つとすることです。

また、管理職の評価スキルを向上させることも重要です。寛大化傾向、中心化傾向などの管理職の評価のクセを是正し、公平で客観的な評価を行い、また評価結果を適切に被評価者にフィードバックすることで、社員の成長とモチベーションアップにつながります。

まとめ

人材流出を食い止め社員の定着率を上げるためにまず会社がすべきことは、社員一人ひとりを尊重することです。成果を出してもそれに見合う報酬が得られず、またスキルアップできる環境が整っていない会社では、多くの人材が退職して可能性があります。

人材流出防止を食い止めるためには、働き方改革や雇用条件の見直しなどの取り組みが有効です。これらの取り組みによって企業イメージを向上させ、将来自社で働くかもしれない人にもアピールでき、優秀な人材が集まりやすくなるでしょう。

監修:MITERAS部

「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。


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