パルスサーベイ(Pulse Survey)は、会社が社員の満足度や心の健康度を把握するための調査です。脈拍(Pulse)のように、短期間に調査を繰り返すことで、絶え間なく変化していく社員や現場の状況をいち早く知ることができます。
今回は、パルスサーベイによってもたらされるメリットや効果的な実施方法を解説します。調査を正しく運用することで社員の満足度向上に役立ち、組織全体の成長にもつながるでしょう。
目次
1.パルスサーベイとは?
パルスサーベイは、社員の状況をリアルタイムでチェックするための意識調査です。週1回から月1回の短いスパンで5~15問程度の簡単な質問を繰り返すことで、社員の満足度や現場で起こっている問題などを素早く把握できます。
社員の満足度を調査したい場合、年1~2回ほどの頻度で数十問のアンケート調査を行う手法もあります。ただしこの方法は調査票作成から集計・分析までに時間がかかり、問題発見に時間がかかることがデメリットです。また質問数が多いため、出題者だけでなく回答者にも大きな負担がかかります。
刻一刻と変化する状況をいち早く捉え、問題解決に向けて素早く行動したい場合は、一般的な社員満足度調査よりもパルスサーベイが適しています。
1-1.パルスサーベイの活用シーン例
パルスサーベイが役立つ主な場面は、次の通りです。
〇定期的な社員幸福度のチェックをするとき
パルスサーベイは、社員一人ひとりの状況や現場の様子を知るための定点観測です。社員の幸福度や現場で起こっている問題をリアルタイムに知ることで、チーム全体の状況を素早く把握できます。
〇新人に向けたオンボーディングをするとき
オンボーディングは、新入社員や部署異動したばかりの人が素早くチームへなじみ戦力となれるようサポートするための教育システムです。オンボーディングの一環としてパルスサーベイを行うことで、新人がチームになじめたか、周囲がどうフォローすればよいかなどを把握しやすくなります。
〇新たな制度の導入や見直しをするとき
新制度を導入したばかりのときやチーム単位で業務の進め方を見直したいときも、パルスサーベイが有効です。現場のリアルな声を聞くことで、現状の問題点や業務改善のためのアイデアを見つけやすくなります。
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2.パルスサーベイを導入するメリット3選
パルスサーベイを通じてリアルタイムで社員の状況を把握することは、会社、社員双方にとってメリットがあります。また、人材流出防止や定着率向上に向けた取り組みの第一歩としてもおすすめです。
ここでは、パルスサーベイをおすすめする理由についてより具体的に解説します。
2-1.(1)社員満足度をタイムリーに把握できる
パルスサーベイを通じて、労働環境・待遇・人間関係などに関する社員の満足度をタイムリーに知ることができます。定期的に調査とフィードバックを繰り返すことで、社員が自分自身を振り返る機会が増え、自己分析や自己改善に役立てられることもメリットです。
普段順調に業務をこなしているように見える人でも、仕事上の悩みや私生活・健康状態の変化などによってパフォーマンスが落ちることがあります。社員や現場の小さな変化を素早く捉えて的確にフォローすることで、問題を未然に防ぐことができるうえ、モチベーションも保ちやすくなるでしょう。
2-2.(2)エンゲージメントの向上につながる
パルスサーベイは、社員満足度とともにエンゲージメントを高めるためにも有効です。エンゲージメントは仕事への愛着であり、企業理念に対する理解度や主体的な行動意欲を示す指標と言えます。
パルスサーベイを通じて問題を未然に防ぎ、あるいは問題を素早く解決することは、チーム全体の生産性向上と企業成長への近道です。また社員満足度を上げることで、社員に「働きやすくていい会社」というイメージを持ってもらうことができ、エンゲージメント向上につながるでしょう。
2-3.(3)一般的な社員満足度調査より低コストで実施できる
数十問単位の大がかりな社員満足度調査は出題者にとって負担が大きく、外注しなければならないこともしばしばです。外注すると調査票作成や集計の手間はなくなるものの、その分コストがかかります。
一方パルスサーベイは運用担当者・回答者ともに負担が小さく、管理職や人事担当者が自ら設問を作ることも可能です。近年はオフィス向けのパルスサーベイ用ツールもリリースされており、簡単かつ低コストでのパルスサーベイ実施が可能となりました。
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いますぐダウンロードする ➤➤3.【項目別】パルスサーベイの効果的な質問例
以下は、パルスサーベイの質問例です。
項目 | 質問例 |
---|---|
社員満足度に関する項目 | ●業務を通じて何かを学び、成長できていると実感していますか? ●社内で自分の意見が大切にされていると実感していますか? ●社内に仲のよい人や信頼できる人はいますか? |
経営理念の浸透度に関する項目 | ●会社やチーム全体のビジョンを理解できていますか? ●経営理念や事業方針に関して、経営陣による健全な意思決定がなされていると実感していますか? |
業務に関する項目 | ●ワークライフバランスを保つうえで、現在の業務量に過不足や不満はありませんか? ●業務を進めるうえで、自分がどのようなことを期待されているか把握していますか? |
このほかに状況に応じた質問を加えることもできますが、多くても計10~15問程度にとどめることが効果的なパルスサーベイ実施のポイントです。質問数を増やしすぎると回答者の負担が大きくなり、正確な回答を得にくくなってしまいます。また、実施頻度が高すぎると運用担当者の負担が増える点にも注意が必要です。
せっかくパルスサーベイを実施しても、正直に回答してもらえなければ意味がありません。はじめにパルスサーベイの実施目的をしっかり周知徹底し、もし問題が見つかった場合は素早く対処して今後に活かすことで、マンネリ化を防ぎやすくなります。
また、回答の閲覧範囲や人事評価との関係についてきちんと説明することも重要です。「会社への不満を言うと評価が下がりそう」などと思われると、正直に回答してもらいにくくなります。社員が本音を言いやすいよう、匿名式にしてもよいでしょう。
4.【4STEP】パルスサーベイの実施の流れ
パルスサーベイを実施する際は、以下の流れに沿って進めましょう。
STEP1 | 調査票を作成する |
実施目的に合わせて質問内容を決め、調査票を作成します。回答や集計作業の手間を減らすため、Yes/No選択式や5~10段階評価式などがおすすめです。 |
---|---|---|
STEP2 | 調査を実施する |
調査票が完成したら、一斉送信メールやチャットツールなどで社員に配布します。 |
STEP3 | 調査結果の集計・分析を行う |
回答が集まったらすぐに集計を行い、社員へフィードバックします。 ある社員の回答が過去の回答内容と大きく変わっている場合、その社員に何らかの変化があったと考えられます。 複数のチームメンバーに問題が見つかった場合は、チームのマネジメントなどに問題があることも少なくありません。 |
STEP4 | 問題や課題への対策方法を検討し、実行する |
問題を抱えた社員がいれば必要に応じて個別面談などを実施し、状況把握とフォローを行います。フォロー後にパルスサーベイを続行することで、そのフォローが有効であったかどうかを確認できるでしょう。 特に問題なく順調に働いている社員に対しては、モチベーション維持とエンゲージメント向上に向けて引き続き働きかけていきます。 |
調査実施後は問題の発見や解決に向けて素早く行動することで、社員の早期退職やメンタル面の不調を防ぎやすくなります。マンネリ化を防ぐため、定期的に問題内容を見直すこともよい方法です。
まとめ
一般的な社員満足度調査と異なり、パルスサーベイは週単位や月単位で簡単な調査を繰り返すことが特徴です。設問内容を工夫することで、社員の会社満足度チェックや新人のサポートをはじめさまざまな目的に向けて活用できます。
パルスサーベイを実施する際は、回答者と運用担当者の両方にとってなるべく負担の少ない方法を用いることがポイントです。調査結果を素早く集計・分析し、問題解決に向けてフットワーク軽く行動することで、最大限の効果を引き出せるでしょう。
監修:MITERAS部
「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。
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