コラム 人事労務

打刻忘れ・漏れを防ぐ対策は?不正打刻が発覚した時の対処法も紹介

人事労務

従業員の打刻忘れは、多くの人事担当者を悩ませる事案です。タイムカードの記録は、適正な勤怠管理や給与支払いに欠かせないデータとなっています。そのため、打刻を忘れる従業員に対してどのようなアプローチをするべきか、困惑している方も多いでしょう。

そこで本記事では、従業員の打刻忘れへの対処法や対策方法を解説します。また、不正打刻への対処法・対策方法も紹介しているため、従業員の勤怠管理で悩みを持つ方は、ぜひ参考にしてください。

1.従業員が打刻忘れした場合の対処法は?

従業員が打刻忘れをした場合は、なるべく早く本人にその旨を伝え、訂正を行う必要があります。打刻忘れを理由にして、勝手に欠勤扱いとすることはできません。労働基準法第二十四条により、労働者は労働の対価を受け取る権利を保障されているためです。

そのため人事担当者は、常日頃から打刻忘れのチェックを行う必要があります。もし、給与計算の当日になって打刻忘れが判明した場合でも、本人に確認し同意を得てから勤怠表を修正してください。

ただし、就業規則で取り決めている場合に限り、打刻忘れに伴って給与の減額を行うことが可能です。給与減額の上限は、労働基準法第九十一条に定められています。

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない

引用:電子政府の総合窓口e-Gov「労働基準法」

従業員の打刻忘れが常態化してしまった場合には、減額処置を就業規則に盛り込む必要があるかもしれません。就業規則に減額処置を盛り込む場合、労働契約で定めるとともに、従業員への周知を徹底しましょう。

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2.打刻忘れを防ぐための対策方法を3つ紹介

従業員が打刻忘れをしてしまうと、人事担当者は本人への確認を行い、修正依頼を出すことが必要です。あまりにも打刻忘れが多い場合は、通常の人事業務に支障が出てしまう恐れがあります。

従業員の打刻忘れを防ぐためには、適切な防止策を実施することが大切です。ここでは、打刻忘れを防ぐために効果的な対策を3つ紹介します。

2-1.タイムレコーダーの置き場所を工夫する

1つ目の打刻忘れ対策法は、タイムレコーダーの設置場所を工夫することです。タイムレコーダーを会社の中で目立つ場所に設置すると、打刻忘れを大幅に軽減することができます。代表的なタイムレコーダーの設置場所は、以下の通りです。

  • 従業員用の出入口
  • 部署の出入口
  • 更衣室やロッカーの出入口

まずは、従業員がタイムレコーダーの存在を意識しやすい環境作りを目指しましょう。

2-2.人を絡めた対策を立てる

出退勤の打刻忘れを防ぐためには、各部署で相互チェックする体制を作ることが必要となります。各部署単位で、打刻忘れがないか確認する担当者を設けましょう。各部署で出退勤の管理を行い、相互にチェックしてもらうことで、従業員の打刻忘れは格段に減少します。

打刻忘れへの対応は、人事担当部署だけでは補いきれません。チェック体制を作るときには、人事担当部署の現状を丁寧に説明し、各部署に作業への理解を得る努力を忘れずに行ってください。

2-3.ツールを活用する

打刻忘れの防止には、様々なツールを活用することが大切です。ツール活用のポイントは、打刻するという行為を「思い出してもらうこと」にあります。職場の目に付く場所に張り紙をしておくなど、様々なツールを活用しましょう。例えば、下記のツールが打刻忘れの防止に効果的です。

  • 掲示板などへの「打刻忘れ」を警告する張り紙
  • チャットツールやメールの自動メッセージ機能による「打刻忘れ」警告の通知

ほとんどの従業員は、勤怠打刻が一度習慣化すれば、打刻忘れをすることは少なくなります。もし、勤怠打刻が習慣化せず、打刻忘れを繰り返す従業員がいる場合は、チャットツールの自動メッセージ機能で、警告を出すことで、注意を促しましょう。

3.従業員が不正打刻をした場合の対処方法は?理由も紹介

「打刻忘れ」は本人が意図していない出来事のため、注意喚起や周知徹底で対処することが可能です。一方、従業員の中には、意図的に「不正打刻」をする人が存在します。

不正打刻が行われたときには、打刻忘れとは異なる対処方法が必要です。ここでは、なぜ不正打刻を行うのか、という理由とともに対処方法について解説します。

3-1.不正打刻が行われたときの対処方法

不正打刻の事実が発覚した場合には、支払った給与分の返還を求めることが可能です。また、会社の就業規則に規定を設けることで、不正打刻を行った従業員に対して厳重注意や減給、もしくは降格などの処分を与えることができます。

人事担当者が不正打刻へ対処するときに注意したい点は、不正打刻の証拠を十分に押さえておくことです。タイムカードやパソコン・システムのログイン記録など、客観的に不正打刻の事実を証明できるものを用意しましょう。

さらに、不正打刻は犯罪と見なされることがあります。該当する罪の例は、下記の通りです。

【詐欺罪】
タイムカードを不正に打刻し、給与を会社から騙し取ったことにより適用される恐れがある

【器物損壊罪】
不正打刻でタイムレコーダーを破損した場合に適用される恐れがある

【電磁的記録不正作出罪】
社内の事務処理を誤らせる目的で、電子勤怠データの改ざんを行った場合に適用される恐れがある

不正打刻は最悪の場合、警察沙汰にまで発展してしまうため、従業員への周知を十分に実施しておきましょう。

3-2.不正打刻が行われる理由

不正打刻が行われる主な理由は、給与を過大に受け取るためです。残業や休日出勤を過大に申告すると、その分従業員の給与へとダイレクトに反映されます。

不正打刻を防止するためには、「不正打刻をしても、必ず発覚する」ということを従業員に自覚させることが大切です。そのためには、「不正打刻を必ず見抜ける」ような仕組み作りを、徹底して実施する必要があります。

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4.不正打刻を防ぐための対策方法を2つ紹介

不正打刻の発生を防ぐためには、第一に従業員への教育が重要です。不正打刻は犯罪であり、内容によっては懲戒処分となることを周知徹底しましょう。

その上で、従業員が不正打刻できないような仕組み・環境作りをすることが必要です。ここでは、不正打刻防止のために実践できる対策方法を、2つ紹介します。

4-1.タイムカードを従業員の手が届かない場所に保管する

すぐに実践できる不正打刻の対策方法は、「タイムカードを従業員が不正できない場所で保管すること」です。打刻を行ったタイムカードは、誰でも手に触れられるタイムレコーダーの横で保管するのではなく、従業員の手に届かない場所で人事担当者が責任を持って保管しましょう。

人事担当者が保管するため業務が増えてしまいますが、不正打刻の防止には効果的です。社内での協力体制が整っているのであれば、各部署の打刻確認担当者に保管業務を依頼することで、人事担当者の業務を減らせます。

4-2.ICカードや指紋認証といった勤怠管理システムを導入する

より不正打刻の防止に効果的で、業務を効率的に行える方法が、「ICカードや指紋認証機能による勤怠管理システムを導入すること」です。

近年では、多種多様な打刻方法を選択できるシステムが存在しています。

【アプリ型】
スマートフォンやタブレット端末から打刻

【ICカード型】
社員証やセキュリティーカードをICカード化して打刻

【生体認証型】
指紋や静脈をスキャンして打刻

【Webブラウザ型】
パソコンにパスワードでログインして打刻

勤怠管理システムでは、上記のように先端技術を導入した打刻方法が取り入れられています。不正打刻のリスクを軽減するとともに、従業員の利便性がアップすることも魅力です。

システム導入には費用がかかりますが、初期費用が無料で月額料金のみのシステムもあり、導入コストが抑えられます。システムの導入によって、勤怠管理業務に割くリソースを軽減することができ、業務の効率化が可能です。

まとめ

従業員が打刻忘れをした場合、人事担当者は本人の同意を得て、タイムカードを訂正しなければならず、業務の負担となります。打刻忘れを防ぐためには、タイムレコーダーを目に付きやすい場所に設置したり、部署ごとでの対策を取ったりするなど、工夫が必要です。

また、不正打刻が行われてしまうと、刑事事件にまで発展しかねません。不正打刻の対策方法としては、タイムレカードの厳格な管理や、勤怠管理システムの導入が考えられます。

勤怠管理システムの導入や社内での協力体制構築により、打刻忘れや不正打刻を防止しましょう。

監修:MITERAS部

「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。


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