感染症予防や働き方改革の推進により、リモートワークを導入する企業が増えました。ただし、リモートワークは対面でのやり取りができないことでコミュニケーションの齟齬が起きやすく、進捗状況の確認がしにくい、セキュリティリスクがある、労働時間が把握しにくいなど、さまざまな課題もあります。しかし、こういった課題は、デジタルツールの導入で解決できることもあるでしょう。
そこで今回は、安全に効率よく働けるように、リモートワークで取り入れたいツールを種類ごとにご紹介します。
1.リモートワークはオフィス以外で仕事をする働き方
リモートワークは、「Remote(遠隔)」と「Work(働く)」からできた造語です。新型コロナウイルスの感染防止対策で導入する企業が急増し、労働力確保や生産性向上、地方創生などの点で政府が推進していることもあり、広く普及しました。リモートワークに明確な定義はなく、「オフィス以外で仕事をすること」を指しています。
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1-1.リモートワークとテレワークとの違い
リモートワークとテレワークは同じ「オフィス以外で仕事をすること」として使われていますが、厳密には異なります。
テレワークについては、総務省が「情報通信技術(ICT)を活用した、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義しています。働く場所をオフィスに限らない点で両者は同じですが、テレワークはICTの利用が前提となっており、その点が違いです。
ただし、一般的にはどちらも同じ意味で使われており、使い分ける必要はないでしょう。強いていえば、官公庁ではリモートワークよりも、テレワークを使うケースが多いようです。
2.リモートワークの普及状況
総務省が2023年5月に発表した「令和4年通信利用動向調査」によると、2022年の時点で、日本の企業の51.7%がリモートワークを導入しているそうです。産業別に見ると、情報通信業では97.6%、金融・保険業では84.3%がリモートワークを導入しています。
導入目的としては、「新型コロナウイルス感染症への対応」が87.4%と圧倒的に多く、それを裏付けるように、2019年から2020年に急速に導入企業が増えました。ただし、その後は横ばいとなっており、「今後導入予定」という企業は減少傾向にあります。
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いますぐダウンロードする ➤➤3.リモートワークの課題
新型コロナウイルスの流行が落ち着いた今、リモートワークを導入する企業はあまり増えていません。これには、リモートワークで起こる課題が関係していると考えられます。ここではリモートワークで考えらえる課題をご紹介しましょう。
3-1.労務管理の複雑化
リモートワークでは、出退勤の時間や勤務状況が確認しづらいという課題が挙げられます。仕事を抱えすぎて長時間労働をしたり、逆に仕事をさぼったりする従業員がいないとも限らず、従業員の心身の健康に影響する恐れや、適切な評価ができない恐れがあります。
また、特に在宅で仕事をしている場合、途中で家事をするなど「中抜け」をする場合があり、その管理をどのように行うかが難しいところも課題でしょう。
3-2.マネジメントの難しさ
マネジメントの難しさで、リモートワークの導入に足踏みをする企業もあるようです。リモートワークでは勤務状況を見ることができず、業務プロセスの評価が難しくなります。オフィスで顔を合わせないことでコミュニケーション機会が減少し、業務の進捗状況がわかりにくかったり、報告や相談がしにくいことでミスやトラブルのフォローがしにくかったりといったこともあるでしょう。
3-3.コミュニケーションの減少
顔を合わせる機会が減ることで、従業員同士のコミュニケーションが減少してしまうことも、リモートワークの課題としてよく挙げられます。相手の状況が見えないため声をかけづらくなる、テキストだけのやり取りで意図やニュアンスが伝わりづらいなどといった問題があるでしょう。結果として、業務や成果に支障をきたす場合があり、従業員の生産性やモチベーションにも影響する可能性があります。
3-4.情報共有機会の減少
オフィスに集まれば会話の流れで自然と情報共有ができますが、リモートワークでは意識的に行わなければできません。情報共有機会が減少すると、メンバー間で情報格差が生まれることがあり、ノウハウやナレッジ、フローが属人化しやすくなります。
3-5.自己管理の難しさ
従業員側のリモートワークの課題として、自己管理の難しさがあります。通勤したり身支度を整えたりする必要がないことで、仕事とプライベートの区別をつけづらいという悩みはよく聞かれます。周囲の目がないことで、ついだらけてしまうという人もいるでしょう。自宅にスペースがなく仕事環境を整えられない、家族に邪魔されて仕事に集中できないなども、リモートワークの課題です。
4.リモートワークで導入すべきツール
リモートワークを導入する場合、従業員がオフィス以外でも円滑に業務を進められるように、環境を整えなければなりません。ここではリモートワークで利用すべきツールの種類と、おすすめツールをご紹介します。
4-1.Web会議ツール
Web会議ツールはオンライン上で会議が行えるツールです。顔を合わせて会話ができるほか、資料や画面を共有しながら会議ができるため、リモートワークでは必須のツールといっていいでしょう。社内でのWeb会議のほか、外部との打ち合わせや商談などでも利用されます。
Zoom
画像出展元:https://explore.zoom.us/ja/products/meetings/
Zoomは企業向けのビデオ会議システムで、PCやスマートフォン、タブレットなど、あらゆるデバイスに対応しています。通信のデータ量が軽量なため接続が安定しやすく、アプリをインストールしなくても、URLから会議に参加可能。無料プランでも最大40分、最大100人までの会議が実施でき、録画や文字起こし、共同編集などの機能も利用できます。
bellFace
画像出展元:https://bell-face.com/
bellFaceはWebブラウザを利用したオンライン商談サービスです。電話とインターネット接続を組み合わせているため、インターネット回線が途切れたとしても、そのまま電話で会話が続けられます。資料や画面共有はもちろん、電子契約や顧客管理、オンラインストレージなどのツールとも連携しやすく、スムーズにオンライン商談を進められます。
4-2.チャットツール
コミュニケーション機会が減少しがちなリモートワークでは、オンライン上でリアルタイムにやり取りできるチャットツールが必須といっていいでしょう。メールのような挨拶文やアドレスの入力が不要なため、気軽にメッセージを送ることができ、音声通話やファイル共有なども利用できます。
Slack
画像出展元:https://slack.com/intl/ja-jp
Slackは世界中で利用されているビジネスチャットツールで、プロジェクトやチームごとにチャンネルを作成して使い分けられます。GoogleドライブやZoomなどさまざまな他社アプリと連携しているため、通知をSlackにまとめることも可能。テキストだけでは感情が伝わらないときも、豊富なリアクションボタンで反応することで、コミュニケーションを円滑化できます。
LINE WORKS
画像出展元:https://line.worksmobile.com/jp/
LINE WORKSは、メッセージアプリLINEのビジネス版ともいえるチャットツールです。掲示板機能やカレンダー共有、タスク管理機能など、チャット機能以外にもチームで仕事をスムーズに進める機能が充実しています。個人用アプリと違って、電話番号や端末とは紐づかず、管理者から発行されたIDとパスワードでログインするため、セキュリティ面でも安心です。
4-3.勤怠管理ツール
リモートワークでは、Webブラウザやスマートフォンアプリなどから打刻できる、勤怠管理ツールの利用が便利です。従業員が利用しやすく集計が簡単なほか、不正な変更がしにくい点がメリット。残業時間の上限管理や有給取得状況の把握などにも活用できます。
ジョブカン
画像出展元:https://jobcan.ne.jp/
ジョブカンは基本的な勤怠管理機能に加え、プロジェクトの工数管理や超過労働への対策など、リモートワークで見えづらい労務管理に役立つ勤怠管理ツールです。所属や雇用形態、勤務形態ごとに細かい設定や運用ができ、複数の打刻方法に対応。社会保険労務士がツールを監修している点も特徴です。
KING OF TIME
画像出展元:https://www.kingoftime.jp/
KING OF TIMEはPCでの打刻だけでなく、生体認証やICカードなど、さまざまな打刻方法に対応した勤怠管理ツールです。変形労働やフレックスなど、さまざまな勤務形態に対応でき、残業や有給休暇なども、就業ルールに合わせて柔軟に設定可能です。打刻した人数で月額料金が決まるため、コストを抑えやすいでしょう。
4-4.グループウェア
グループウェアとは、社内のコミュニケーション活性化や共同作業の効率化などのために用いられるツールです。メールやスケジュール管理、タスク管理、社内施設予約、オンラインストレージ、掲示板などの機能がひとつのツールにまとめられており、幅広い業務の効率化に役立つでしょう。
サイボウズOffice
画像出展元:https://office.cybozu.co.jp/
サイボウズOfficeは、スケジュール管理や掲示板をはじめ、10種類以上の機能が搭載された多機能なツールです。標準機能で不足がある場合も、自社の業務に合わせてテンプレートからカスタムアプリを作ることができる点が特徴。マルチデバイス対応なので、リモートワークでも時間や場所を問わずに利用することができます。
desknet’s NEO
画像出典元:https://www.desknets.com/
desknet’s NEOは、日本国内で多くの企業で導入されているグループウェアです。27の機能が基本機能として備わっており、「AppSuite」というツールとの組み合わせで、業務アプリを作成することも可能です。Web会議やビジネスチャットなどのオプションも追加でき、リモートワークで必要となるツールを幅広くカバーしてくれるでしょう。
4-5.プロジェクト管理ツール
プロジェクト管理ツールは、進捗状況やタスクの管理、カレンダーの共有など、複数人で進めるプロジェクトの進行に必要な機能を備えたツールです。案件やタスクの進捗状況がひと目でわかるため、メンバーの状況が見えにくいリモートワークでは、ぜひ利用したいツールでしょう。
Backlog
画像出展元:https://backlog.com/ja/
Backlogは、グラフやガントチャートなどでプロジェクトの進捗状況を管理できるツールです。担当者や部門ごとにタスクの作業内容や完了日を設定でき、プロジェクトを俯瞰して進行を管理できるでしょう。シンプルで直感的に利用できるデザインも特徴です。
Asana
画像出展元:https://asana.com/ja
Asanaはチームのプロジェクトとタスクの管理に便利な機能を備えたツールです。タスク管理のレイアウトは、カード形式とリスト形式の2つから選ぶことができ、チームに合わせた使い方ができます。200以上のアプリと連携できる点も、スムーズに業務を進める上で役立つでしょう。
4-6.オンラインストレージ
オンラインストレージとは、オンライン上でデータを保存できるスペースのことで、データの保管や共有のために広く利用されています。オンラインストレージを利用することで、いつ、どこからでも必要なデータにアクセスでき、共同編集も可能です。共有データをオンラインストレージに格納しておくことで、リモートワーク中でも情報を一元管理できるでしょう。
Firestorage
画像出展元:https://firestorage.jp/business/
Firestorageには、個人で使える無料プランもありますが、法人向けプランの場合は専用回線を設け、国内のデータセンターでデータを管理してくれます。高速のアップロード・ダウンロードが可能なほか、アクセスログ管理や暗号化などで不正アクセスを防ぎ、リモートワーク中でもセキュリティに配慮した運用が可能です。
MEGA
画像出展元:https://mega.io/ja
MEGAはデータのアップロードや共有だけでなく、チャットやビデオ通話といった機能も備えたオンラインストレージです。アカウントのないユーザーにもパスワードつきで共有可能なため、社外とのやり取りでも利用できるでしょう。ユーザーアナリティクス機能を使えば、メンバーがどのようにデータを利用しているかを把握することも可能です。
4-7.資産管理ツール
資産管理ツールとは、企業が保有するPCやスマートフォン、プリンターなどのハードウェア、インストールされたソフトウェアやライセンスなどの保有・利用状況を可視化し効率よく管理するためのツールです。IT資産の数や稼働状況を正確に把握し、不正利用がないかを管理するために利用するもので、セキュリティリスクが高まるリモートワークでは特に活用したいツールです。
SKYSEA Client View
画像出展元:https://www.skyseaclientview.net/
SKYSEA Client Viewは、ネットワーク機器情報などを24時間ごとに自動収集し、ひとつの台帳で管理できる資産管理ツールです。リモートワークでの運用支援機能や、サイバー攻撃に対処する多層防御機能もあり、他社のセキュリティ製品との連携も可能です。
LANSCOPE
画像出展元:https://www.lanscope.jp/endpoint-manager/
LANSCOPEはIT資産管理だけでなく、内部不正対策や外部脅威対策をひとつに集約したツールです。導入から運用までのサポートが手厚く、継続利用率は93%を誇ります。あらゆるデバイスの資産管理やセキュリティ対策に対応しており、さらに海外拠点や仮想デスクトップ環境や周辺機器まで管理することが可能です。
4-8.座席管理ツール
座席管理システムとは、フリーアドレスオフィスでの座席予約、社員の座席位置確認といった、座席管理のためのツールです。リモートワークと出社の従業員が混在することで、出勤状況がわかりにくくなったり、出社している従業員がどこにいるかわからなくなったりといった問題があるでしょう。座席管理ツールを利用することで、リモートワークでも出社でも、従業員の所在が可視化できます。
ユアデスク
画像出展元:https://www.yourdesk.jp/
ユアデスクは、フリーアドレスを効果的に運用できる座席管理ツールです。自宅など社外の席も登録できるため、リモートワークを導入しても、社内外の従業員の出勤状況を可視化できるでしょう。ランダムで座席を決定する機能もあり、フリーアドレスでありがちな席の固定化も防げます。
4-9.コンディション管理ツール
コンディション管理ツールとは、従業員の気分や体調から不調のきっかけを分析し、可視化するためのツールです。リモートワーク中は従業員のコンディションの把握が難しく、気づかぬうちにメンタルのトラブルを抱えている場合も。コンディション管理ツールがあれば、いち早く察知して適切な対応が可能です。
ジンジャーワーク・バイタル
画像出展元:https://hcm-jinjer.com/workvital/
ジンジャーワーク・バイタルは、「ジンジャー人事労務」のオプションとして利用できる、従業員のコンディションをリアルタイムで可視化できるツールです。チームごと、従業員の属性ごとの傾向を分析し、結果に合わせて適切なアクションを取ることができます。フリーコメント機能を利用すれば、直接は話しづらい内容でも伝えやすいでしょう。
4-10.1on1ツール
1on1ツールとは、マネージャーと従業員が1対1で面談する1on1ミーティングを効率的に実施するためのツールです。従業員一人ひとりについて深掘りしていくのは、マネージャーの負担が大きいですが、ツールを使うことで効率化できるでしょう。
Kakeai
画像出展元:https://kakeai.co.jp/
Kakeaiは1on1でのスムーズな対話や、心理的・物理的な対話の負荷を軽減する仕組みのあるツールです。日程を決めたら、話したいトピックと求める対応を選ぶだけで事前準備が完了でき、1on1の最中はメモスペースの共同編集や宿題の設定なども可能です。マネージャーへの匿名フィードバック機能もあり、マネージャーの行動改善にも利用できます。
HRBrain
画像出展元:https://www.hrbrain.jp/
HRBrainは、人材データの管理・分析・活用のためのタレントマネジメントシステムですが、1on1運用サポート機能があります。1on1の事前アンケートや面談内容のフィードバックの蓄積、コンデイションチェックなどの機能が搭載され、管理業務を効率化できるでしょう。1on1だけではなく、人事評価や人材データ活用を一元管理したい場合に便利に利用できます。
4-11.業務可視化ツール
業務可視化ツールとは、勤務中に従業員がどのような働きをしているかを可視化し、傾向を分析するためのツールです。法改正で労働時間管理が求められるようになったことや、リモートワーク環境でも従業員の勤務実態を把握できるため、導入する企業が増えています。
Qasee
画像出展元:https://qasee.jp/task/
Qaseeはキーボード操作やスクロール、タップ量などから、生産量や負荷状況を算出してできるツールです。算出したデータをもとに分析してレポート出力でき、個人やチームの業務状況が可視化できます。ストレス度合いやモチベーションなどの分析も可能で、従業員のコンディションのチェックにも利用できます。
F-Chair+
画像出展元:https://fchair-plus.jp/
F-Chair+は、PCの作業画面を自動録画することで、業務時間や作業内容を管理できるツールです。従業員はツールをインストールし、「着席」「退席」ボタンをクリックすることで業務時間がカウントされます。退席のまま業務を続けていると、隠れ残業とみなして一定時間でPCをロックする残業抑制機能もあります。
MITERAS
MITERAS仕事可視化は、PCログと自己申告の勤務時間を突き合わせ、勤務実態を把握できます。ソフトウェアの利用状況やキーボード操作からPCの利用状況を分析し、従業員の業務内容を可視化します。カレンダーとの連携機能を利用すれば、予定と実際の仕事を見比べることも可能です。リモートワーク中の従業員の労務管理に役立てられるでしょう。
ツールの利用でリモートワークを効率よく進めよう
リモートワークにはさまざまなメリットがあるものの、対面する機会が減ることでの課題もあります。マネジメント側の負担が増えすぎないよう、ツールも利用して効率的に従業員の労働環境を管理していきましょう。今回ご紹介したツールも参考に、自社のリモートワークに必要なツールを考えてみてください。
「MITERAS 仕事可視化」は、PCログから従業員の稼働状況を見える化でき、リモートワーク導入時に課題になりがちな労務管理に役立てられます。リモートワーク導入時の従業員の管理にお悩みの場合は、ぜひお問い合わせください。
※ 文中の社名、商品名などは各社の商標または登録商標である場合があります。
監修:MITERAS部
「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。
MITERAS(ミテラス)仕事可視化は、「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツールです。
勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。