コロナ禍を機に、日本ではテレワークが急速に広がりました。しかし、従来とは異なる就労形態のため、お互いのコミュニケーション不足や、効率性の悪化などが一部の従業員のあいだで起こり、課題となっています。
今回は、そんな状況を打破する、生産性向上につながるツールを14本ご紹介します。
目次
テレワークで大きな課題となる「業務の見える化」
そこで注目されるようになったのが「PC監視ツール」です。ツール導入メリット・注意点のほか、おすすめ商材についてご紹介します。
1.テレワークとは?
新たな働き方として普及しているテレワークはリモートワークなどとも呼ばれ、会社や事業所など、ひとつの場所に集まって仕事をするのではなく、社外のサテライトオフィスや外出先、自宅など、物理的に離れた場所で業務にあたる就業形態です。
業務中の上司への報告や同僚との連絡、成果物の受け渡しなどは、チャットなどのデジタルツールを活用して進めていきます。
1-1.テレワークのメリット
テレワークのメリットは通勤時間がゼロで済むため、従業員の時間的負荷が軽減され、モチベーションのアップにつながることです。また、各種コミュニケーションツールを使えば、業務上の連絡や情報共有、会議なども支障なく行え、時間を有効活用できます。
1-2.テレワークのデメリット
テレワークのデメリットは、「仕事とプライベートの切り替えがしにくく、自己管理が必要になる」「自宅に仕事用の環境を用意する必要がある」「会社側で就労管理がしにくくなる」ことです。
なお、こうしたネガティブ要素のために生産性が下がり、従来の働き方に戻す企業も増えています。東京都産業労働局は、従業員30人以上の都内企業についてテレワークの実施状況を調査してきましたが、実施のピークである65.0%を迎えたのは、東京都に4度目の緊急事態宣言が発出された2021年8月でした。しかし、2023年1月には、51.7%まで下がっているのが現状です。
2.テレワークで生産性が下がるとされる理由
テレワークは、導入当初は「時間的な自由度が高く、労働負荷が軽い」とされていましたが、時間が経つにつれて、生産性の低下と効率化の必要性が課題とされるようになりました。
では、テレワークで生産性を低下させる理由は、いったい何があるのでしょうか。主に、下記のような理由が考えられます。
2-1.コミュニケーション不足
普段の他愛のない会話でも、お互いの親近感をつなぎとめる力を持ちますが、テレワークではこうした小さなコミュニケーションがとれず、信頼関係の構築が難しくなってしまいます。
また、メールやチャットツールを使っていても、業務連絡以外の相談がしにくく、悩みを一人で抱え込むことになりがちです。ほかに、チームメンバーの業務の進捗も、報告が上がるまで把握することができません。こうした日々のコミュニケーション不足が、生産性の低下につながっていきます。
2-2.モチベーションの低下
モチベーションの低下が起こる理由は、通勤や身支度の必要がなく、オンとオフの切り替えが難しいことが考えられます。また、自宅の作業ではあり合わせの椅子や机で作業することが多く、業務が長時間に及ぶと疲労が蓄積してしまう場合もあります。ほかに、家族の生活音に悩まされることが多かったり、上司や同僚の目がないために緊張感がゆるみ、ついサボってしまったりすることもあるでしょう。
本来ならば時間効率が良く、労働意欲を高く保てるはずのテレワークですが、状況によっては逆の結果を招いてしまうこともあるのです。
2-3.環境が整備されていない
テレワークで業務を進めるにあたり、環境が整備されていないことで生産性が低下することもあります。これは、前述した「自宅での就業環境」に加えて、ワークフローがテレワークに対応しきれていないことが理由でしょう。
わかりやすい例が、複数の決裁者による承認です。書類ベースで業務を進める従来のやり方では、何をするにも書類を作り、上司の承認印を得なければ、その先に進むことができません。こうしたアナログな部分を残したままでは、承認印のために出社するという、ナンセンスな事態が起こります。
テレワークの生産性低下を回避するためには、物理的な環境だけでなく、ワークフローの整備も必要なのです。
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3.テレワークで業務効率化をするコツとおすすめのツール
テレワークの生産性低下を回避し、業務の効率化を実現するには、各種ツールの活用が有効になります。これらのツールは、用途ごとに多くのベンダーから提供されていますが、何をしたいのかを見極めた上で導入することが大切です。
ここでは、現在テレワークで使われている主なツールを、用途ごとに分類してご紹介します。
3-1.社内コミュニケーションの活性化
社内コミュニケーションを活性化するツールを導入することで、手軽に情報のやりとりができ、業務の効率化につながるでしょう。ビジネスチャットやウェブ会議といった個別用途のツールのほか、複数の機能を組み合わせた統合型ツールもあります。
Chatwork
画像出展元:https://go.chatwork.com/ja/
Chatworkは、日本で広く使われている代表的なビジネスチャットツールです。操作が簡単でインターフェースがシンプルなため、誰でも手軽に使うことができ、電話やメール以上にスピーディーなコミュニケーションができます。
ユーザーであれば誰でもメッセージのやりとりができるため、社内チームだけではなく、社外のスタッフとの連絡にも便利です。また、SNSやメーラーなど、ほかのサービスやツールと連携して、通知情報をすべてChatworkで受け取ることもできます。
Slack
画像出展元:https://slack.com/intl/ja-jp
Slackはアメリカで開発されたチャットツールで、Chatworkと並んで日本でも広く普及しています。元々ソフトウェア開発チームがコミュニケーションをとるために作ったツールといわれ、業務連絡だけでなく、雑談をするように気軽に使えるのが特徴です。
一対一の対話やグループチャット、ビデオ通話といった機能のほか、書類や画像ファイルをアップロードすることで簡単にファイルを共有でき、それらのデータをチャンネルごとにまとめられるため、過去の共有ファイルに素早くアクセスできます。
Microsoft Teams
画像出展元:https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software
Microsoft Teamsは、複数の機能を組み合わせた統合型のコミュニケーションツールです。基本機能であるチャットのほか、「共有したファイルを複数人で同時編集できる機能」「最大1,000人が参加できるビデオ会議機能」「メンバーのスケジュールがひと目でわかるシフト機能」などがあり、コミュニケーションツールとして充実しています。
また、別途Microsoft Plannerを活用すればプロジェクト管理機能が利用可能な上、多くのサードパーティー製アプリケーションと連携することも可能です。
Talknote
画像出展元:https://talknote.com/
Talknoteは、チャットやノートなどのコミュニケーション機能のほか、リアルタイムでの情報共有やデータの蓄積を実現する情報共有プラットフォームです。
業務効率化のためのさまざまな機能を備えていますが、Talknote最大の特徴が「HR機能」です。これは、Talknoteの利用状況を分析することで、個々のメンバーの労働状況を数値化する機能で、一人ひとりの労働状況や疲労の程度などを可視化し、管理者に個別フォローを促します。
3-2.業務の進捗管理
業務の進捗管理ツールによって、各メンバーの仕事の進捗状況や、抱えている課題などを共有することができます。これらのツールを活用すると、メンバー同士でのサポートやケア、タイムリーなフォローアップができる環境を作ることができ、仕事の抜け・漏れを防いで生産性が高まります。
TeamHack
画像出展元:https://teamhack.io/
TeamHackは、充実したチャット機能と情報共有機能、タスク管理機能などを組み合わせて、チーム全体のタスクを可視化し、業務スピードを高速化することで、生産性の向上につながるツールです。
なお、TeamHackはプロジェクトを作成し、その中に必要なタスクを追加していきますが、プロジェクトとタスクのそれぞれに、独立したチャット機能が備わっています。そのため、各タスクの作業者からプロジェクトメンバー全員まで、自在な情報共有が可能で、複数のツールを使うことなく、これひとつで業務の進行が可能です。
Wrike
画像出展元:https://www.wrike.com/ja/
Wrikeは、アメリカ生まれのタスク管理ツール。多彩な機能が搭載されている上、あらゆる職種向けのテンプレートが用意されており、最小限の準備ですぐに使い始めることが可能です。
ガントチャートやカレンダーでスケジュールを視覚化し、作業の優先順位をつけやすく、自分のタスクを整理し、タスク完遂に必要な情報をまとめて表示できるため、情報の抜け・漏れを防げます。また、複数のメンバーでタスクを編集することができるので、コミュニケーションとともに業務の活性化を図れることもポイントです。
Trello
画像出展元:https://trello.com/ja
Trelloは、個々のメンバーのタスクを書き出して、その進捗をチーム全体で共有する、いわゆる「カンバン方式」を使ったタスク管理ツールです。まず、ボード上で「未着手」「完了」などの作業ステータスが書かれたリストを作成し、その中にアイディアやタスクが記載されたカードを追加します。次に、作業の進捗に応じてリスト間でカード移動させることで、誰の作業がどんな状況にあるかがひと目でわかります。
また、外部のカレンダーアプリケーションと連携して予定を自動同期したり、拡張機能を使って自社に合うようにカスタマイズしたりできる自由度の高さも特徴です。
3-3.ナレッジの共有
ナレッジ共有ツールは、業務に必要な情報が、社内のどこにあるかはっきりしなかったり、知識やアドバイスが欲しくても、誰に聞けばいいのかわからなかったりする問題を解決します。社内Wikiを構築することでナレッジの埋没を防ぎ、必要な情報に素早くアクセスできることがポイントです。
NotePM
画像出展元:https://notepm.jp/
NotePMは、社内のあらゆる情報を1ヶ所に集積し、社内Wiki化するナレッジ管理ツールです。
優れた点は、文章による情報管理に強いこと。これまで、社内マニュアルやノウハウを複数人で文書化すると、書き手によって書式や体裁がバラバラになるという問題がありました。
しかし、NotePMは、統一されたテンプレートや、書式を整えるマークダウン記法への対応によって、誰が作成しても同じ体裁を保てるようにサポートしてくれるほか、情報の整理や検索にも優れており、必要な情報を素早く見つけられます。
Qiita Team
画像出展元:https://teams.qiita.com/
Qiita Teamは、社内に散らばっているマニュアルや議事録などのテキスト情報を、1ヶ所にまとめることができる情報共有ツールです。
投稿の形で記事を蓄積できますが、記事に対してコメントをつけられるので、情報の補足や追加が容易にできるほか、コメントをチャットツールのように使うことで、コミュニケーションの活性化も図れます。
また、Qiita Team上では、実際の社内では対応しづらい上司の投稿に対して、若手社員がコメントで情報を加えることなども可能です。
flouu
画像出展元:https://lp.flouu.work/
flouuは、ドキュメントベースの社内情報を一元管理する情報共有ツールで、単にデータを収集するだけでなく、コミュニケーションツールと一元化されている点が大きな特徴です。
全文検索機能を持ち、社内の情報を横断的に検索できるほか、AIのサポートによって、より詳細な情報収集が可能です。また、収集したドキュメントは複数人でリアルタイムに同時編集できるほか、ドキュメント単位でのチャット機能で、ほかのメンバーとのコミュニケーションができます。
Zendesk
画像出展元:https://www.zendesk.co.jp/
Zendeskは、これまで紹介したほかの情報共有ツールとは異なり、顧客向けのヘルプセンターやFAQを構築するためのツールです。
電話やメール、SNSなど、あらゆるチャネルから入ってくる顧客からのメッセージや問い合わせをまとめて一元管理し、ヘルプセンターを構築します。また、多言語に対応したAI搭載ボットを備えており、一般的な質問に対してはボットが対応。ボットが解決できない問題をサポート担当者に引き継ぐという活用も可能で、サポート部門の負担軽減にも役立つでしょう。
3-4.稼働状況を可視化する
テレワークでは、従業員がどのような働き方をしているか直接見ることができません。そこで必要となるのが、個々のメンバーの業務状況やコンディションを把握し、長時間労働や隠れ残業を防ぐ効果がある勤怠管理ツールです。
CrowdLog
画像出展元:https://www.crowdlog.jp/
CrowdLogは、さまざまな機能を搭載した工数管理・プロジェクト管理ツールです。ガントチャートでプロジェクトの進捗を可視化でき、勤怠管理にも対応しています。
直感的に操作できるインターフェースを備え、業務時間や工数を入力することで、勤務状況とプロジェクトの進捗を管理できることが特徴です。また、自動レポート機能を装備しており、業務にかかった工数や売上、原価、損益、損益率など、あらかじめ登録した項目をまとめたレポートを自動で作成できます。
Optimal Biz Telework
画像出展元:https://www.optimalbiz.jp/products/biz-telework/
Optimal Biz Teleworkは、テレワークに最適化された業務マネジメントツールです。パソコン、スマートフォン、タブレットといったデジタルデバイスに常駐し、メンバーの位置情報や操作情報、稼働時間などのデータを収集し、自動的に集計して、管理者が把握できる形で提供します。そのため、「誰が、どこで、何をしているか」を正確に管理することができるのです。
さらに、収集したデータをAIが分類・分析することで、改善すべき点や効率化のポイントを可視化できます。
MITERAS仕事可視化
画像出展元:https://www.optimalbiz.jp/products/biz-telework/
MITERASは、労働時間の乖離把握と仕事実態の可視化ができるツールです。多くの企業で行われている勤務状況の自己申告ですが、申告と実態が乖離していることも多く、労務リスクを招く危険をはらんでいます。
MITERASは、各メンバーの仕事の実態を把握し、申告との乖離を把握することで、サービス残業や休日の隠れ仕事を洗い出すことが可能です。また、ソフトウェアの利用状況から仕事内容を可視化し、無駄な残業や36協定違反を未然に防止するとともに、管理者がメンバーの生産性向上をサポートすることができます。さらに、MITERASのデータを組み合わせて分析することで、仕事の実態を明らかにし、生産性の向上に役立てることができるのも大きな特徴です。
4.テレワークで業務効率化を実現するツール選びのポイント
テレワークでの業務効率化には、ツールの活用が効果的ですが、単にツールを導入すれば良いというわけではありません。どのツールを選ぶべきか、企業によって判断が分かれるはずです。
ここでは、業務効率化をするためのツール選びにあたって、注意すべきポイントをご紹介します。
4-1.目的に合っているか
重要なのは、目的に合ったツールを選ぶことです。コミュニケーションの活性化や情報共有など、目的をはっきりとさせ、実現できるツールをピックアップしてください。
また、同じコミュニケーションツールであっても、チャットに特化したシンプルなツールや、情報共有やスケジュール管理ができる統合型のツールがあります。自社に必要なツールはどれか、絞り込んでいきましょう。
4-2.使いやすさはどうか
ツールは毎日使うものなので、使い勝手の良し悪しが重要です。使いにくいツールは、導入してもあまり使われないまま放置されてしまいます。
クラウドで提供されるツールの多くは、デモ版やトライアル期間が設定されているので、候補をいくつか絞り込んだら、実際に何人かで試用して、使い勝手を確かめておきましょう。
4-3.料金は適切か
一般的にクラウドで提供されるツールは、ID数や使える機能などに応じて、課金額が変わります。料金表をチェックして、予算に合った料金設定かどうかを確認しておきましょう。
また、将来的にIDを増やしたり、アップグレードして機能を追加したりする可能性があれば、それを見越して予算を立てる必要があります。
4-4.セキュリティに不安はないか
テレワークで意外と盲点になりやすいのがユーザー側の通信環境です。さまざまなデバイス、通信環境からアクセスしても問題ない、堅牢なセキュリティ性能を備えているかどうかが、ツールを選ぶ際の重要な要素となります。
目的に沿ったツールで、テレワークの生産性向上を
テレワークは、メンバーの時間的負荷が大きく軽減されますが、業務効率が落ちて生産性が下がってしまうこともあります。しかし、どこに課題や問題があるのかを見極め、解決する適切なツールを選ぶことができれば、テレワークのメリットを大きくし、さらなる生産性の向上を実現することができるでしょう。
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※ 文中の社名、商品名などは各社の商標または登録商標である場合があります。
監修:MITERAS部
「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。
MITERAS(ミテラス)仕事可視化は、「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツールです。
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