会社にとって、社員の労働時間を正確に把握することは重要です。タイムカード等の自主申告方法では、勤務開始と終了時刻の記録が社員任せとなるため、客観性に欠けます。そこで有効となる方法が、PCログを活用した勤怠管理です。
今回は、PCログによる勤怠管理の方法と、活用にあたり気を付けるべき点について紹介します。コンプライアンスが重視される中、会社に向けられる世間の目は一層厳しくなっています。過重労働やサービス残業の実態を突き止め、正確な勤怠管理を行うためにも、ぜひ参考にしてください。
目次
1.勤怠管理の重要性
勤怠管理とは、社員の労働時間や休憩・休日を管理することです。会社が勤怠管理を行うことは労働基準法で義務化されており、違反をすれば使用者は懲役や罰金などの罰則対象となります。
会社を健全に運営していくためには、勤怠をきちんと管理し、社員が安心して働ける環境を整備する必要があります。長時間労働や不規則な勤務が継続すると、仕事の生産性が低下し、またモチベーション低下につながるため、会社にとって早期に是正すべき課題です。
長時間労働が常態化すれば、脳心臓疾患や精神疾患などの健康被害を招く恐れがあります。また、集中力の低下によって、労働災害のリスクも高まるでしょう。
近年は、サービス残業や長時間労働による過労死などが問題視されています。ブラック企業のイメージを抱かれてしまえば、払拭することは困難です。会社を守る意味でも、適切に勤怠管理を行うことはきわめて重要となります。

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2.PCログとは?
PCログとは、パソコンの使用状況を記録したデータのことです。該当する主な項目については、下記の通りです。
- PC利用を開始・終了した時刻
- ファイルの使用履歴
- メールの送受信履歴
- インターネットのアクセス履歴
- データの持ち出し履歴・印刷履歴
PCログを分析すれば、いつ・誰が・どのようにパソコンを使用したのかが詳しく分かります。社内ネットワークに不具合があった場合は、PCログで原因となった端末や操作を特定することが可能です。
情報漏洩が起きた場合は、外部サイトへの書き込みや該当ファイルの印刷状況を確認して、必要な対応をとることができます。情報のデジタル化が進展する中、PCログの取得・活用が注目を集めています。
3.PCログは勤怠管理に使える?
PCログはデスクワーク主体の職場において、勤怠管理に使用することが可能です。厚生労働省が定める事業主向けのガイドラインでは、労働時間を把握する方法として、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録(PCログ)が挙げられており、PCログを日々の勤怠として採用している企業が最も多くなっています。
(出典:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」/https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187488.pdf)
ちなみに、2006年にはPCログが労働時間を証明したという事例もあります。社員が会社を過重労働で告訴した当事件は、タイムカードが運用されていないケースで、PCログが決め手となり原告の訴えが認められました。
サービス残業や過重労働などが疑われ労働基準監督署が調査に入る場合、勤怠データと実態に乖離がないかを確認するために、PCログの提出を求めるケースが増えています。PCログは、不正を見分ける判断材料の一つです。

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いますぐダウンロードする ➤➤4.PCログを取得するメリット
PCログの取得は、会社と社員の双方にメリットをもたらします。近年広まったテレワークでは、「社員の管理が難しい」といった声を耳にします。しかし、PCログを運用すれば勤怠面の悩みは軽減される可能性があります。
ここからは、PCログを取得する代表的なメリットを2つ紹介します。
4-1.より具体的に仕事時間が把握できる
PCログを取得すれば、社員が一日何時間働いているのかを客観的に把握できます。「業務開始時にパソコンの電源を入れること・業務終了時にパソコンの電源を切ること」をルール化することで、パソコンの動いている時間を社員の労働時間とすることが可能です。
さらに、PCログで勤怠管理をすると、会社に隠れて残業をする「サービス残業」を早期に発見できます。タイムカードの打刻が9時~18時にもかかわらず、21時までパソコンが動いていれば、18時に退勤していない証拠です。
こと、テレワーク勤務においては、上司の目が届かないこともあり、労働時間があいまいになりがちですが、PCログを活用すれば正確に状況を把握できます。
4-2.書き忘れや改ざんがされにくい
自主申告で勤怠管理を行う職場では、打刻忘れや日報などを書き忘れてしまった場合に、労働時間を把握する術がありません。しかし、PCログは自動で記録が残るため、パソコンの電源を切った時刻を退勤時刻とすることが可能です。
また、多くの会社で使用されている勤怠管理システムは、打刻修正の機能があります。退勤の打刻後に残業が発生した場合に役立つものの、労働時間の改ざんなどに使われないとも限りません。
PCログで勤怠管理を行っていることを社員に周知すれば、不正行為の抑止に繋がります。会社として社員に法令遵守の取り組みを示すことができるため、社員との信頼関係も向上します。
5.PCログを勤怠管理に活用する上で気を付けるべきポイント
PCログを勤怠管理に活用する上で、管理者は下記のポイントに気を付ける必要があります。
- 業務が終了してもパソコンを切らないと勤務扱いになってしまう
- ログの収集に手間がかかる
正しい知識を持ってこそ、PCログのメリットを最大限に活かせるでしょう。最後に、上記の項目についてそれぞれ詳しく解説します。
5-1.業務が終了してもパソコンを切らないと勤務扱いになってしまう
PCログ運用に伴うルールが守られていない場合は、管理者が正確な労働時間を把握することができません。社員が業務を終了しても、パソコンを切らなければ「勤務扱い」となります。
業務開始と同時にパソコンの電源を入れたとしても、すぐ仕事にとりかからなければ意味がありません。パソコンの電源を入れた直後に休憩を取った時間は「労働時間」とはみなされません。
PCログを勤怠とする場合の運用初期は、特にルールが守られているかをこまめに確認する必要があります。時間帯によってはスリープモードを業務終了とみなすなど、ルールの整備も欠かせません。
5-2.ログの収集に手間がかかる
PCログを活用した勤怠管理は、社員の数だけログが必要となるため、PCログ収集アプリを使わない場合、PCログ収集と管理に大変手間がかかります。既存の勤怠管理システムがログに対応していない場合、タイムカードやICカードによる勤怠データとの照合作業も必要です。毎月の勤怠締めに追われる職場では、より忙しくなってしまう可能性があるでしょう。
PCログによる勤怠管理を効率化する方法として、ログ管理システムの導入が有効です。社員のログを自動で収集・保存できるだけでなく、不正行為に対するアラート機能も備えています。管理者へ定期報告するレポート機能もあり、オフィス勤務だけでなく、テレワーク勤務でも大いに役立ちます。
まとめ
ホワイトな就業環境整備の第一歩は、正確な勤怠管理を行うことです。
PCログを使った勤怠管理には、具体的な仕事時間が把握できることや、日報の書き忘れや勤怠データの改ざんを防げるメリットもあります。
ただし、業務終了と同時にパソコンの電源を切らなければ勤務扱いとなってしまうため、注意が必要です。手間のかかるログ収集を効率化するためには、PCログ管理システムの導入がおすすめです。PCログ管理システム・業務可視化ツールなら、ぜひ「MITERAS仕事可視化」をご利用ください。

監修:MITERAS部
「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。

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