コラム 人事労務

テレワーク(在宅勤務)中の中抜け・外出・休憩時間の扱い方とは

人事労務

在宅でのテレワークは、やむをえない移動や家事の発生など、中抜けの時間が発生する場合があります。

では、中抜けの時間は、労務管理の観点からはどのように処理するのが適切なのでしょうか。

本記事では、テレワーク中の中抜け時間の取り扱い方について解説します。

1.テレワーク中の中抜け

新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、テレワークが急速に普及しました。
オフィス勤務と在宅勤務で大きく変わることの1つに、中抜けが増えるということがあります。

従来では、通勤時や業務中の外出ついでに済ませることができていた、ちょっとした用事も、在宅でのテレワーク時は外出も少なく、用事を手際よく済ませることが難しくなっています。

そのため、外出を要する用事がある際には、中抜けをして済ませることになります。また、育児や介護など、自宅にいる場合でも、離席する場合は中抜け扱いとなります。
この中抜けは、労務管理上どのような扱いをするのが適切でしょうか。

労務と時間管理の傾向と特徴

業務の労働時間管理方法についてお悩みではありませんか?
働き方改革先進企業に聞いた労務&時間管理の傾向をご紹介。

無料の資料をいますぐダウンロード

2.どのような場合に中抜けになる?

中抜けは、休憩時間以外にやむを得ず私用で長時間席を離れることを指します。
中抜けをする際は前提として、管理者である上司や会社に許可を得ている必要があります。
離席する時間と戻る予定の時間などをしっかりと伝え、離席するのが中抜けです。
無断で離席して長時間戻らないのは、職務規律違反(債務不履行)と捉えられる場合があります。

前提 労務管理上の扱い
会社の許可を得ている 中抜けとして処理される
会社の許可を得ていない 服務規律違反(債務不履行)と捉えられる

中抜けをする理由は様々ですが、子どものお迎えや学校行事への参加、学校での面談などが多いようです。また、通院のための中抜けもよくあるケースです。それ以外でも、銀行や市区町村役場での所用もあります。

これらはオフィスで働いている場合でもあり得る中抜けの理由です。
しかしながら、通勤時や業務で外出した時のついでに済ませることできたいくつかの用事は、テレワークの場合は私用として外出をしなければならなくなり、中抜けが多くなってしまうのです。
仕事が終わってから用事を済ませることができればよいのですが、終業後すぐに向かっても間に合わない、というケースもあるため、中抜けが避けられないことも考えられます。

以上から、中抜けとは、会社の時間を自分のために使うのではなく、会社の時間の間に許可を得て自分の時間を割り込ませることです。

ワークライフバランスの意義と取り組み

ワークライフバランスの意義とはなんでしょうか?
優秀人材確保、企業イメージの向上などさまざまなメリットをもたらすワークライフバランスについてご紹介します。

無料の資料をいますぐダウンロード

3.中抜けはどのように処理される?

中抜けはさぼりとは違い、会社の許可を得て自分の時間を差し込むものです。
会社側は社員の中抜けについて把握し、適切に処理をしなくてはいけません。

3-1.休憩時間として取り扱われる

最も一般的な中抜けの処理方法は、休憩時間として取り扱うことです。
基本的に労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分の休憩時間を設けるのが法令で定められています。

労働時間 休憩時間
6時間以上8時間未満 45分以上の休憩時間が必要
8時間以上 60分以上の休憩時間が必要

中抜けで不在となる時間を、この休憩時間にあてはめて処理するのです。
この処理の場合、休憩時間が多かった分、仕事の時間を増やします。
例えば、通常の休憩とは別に2時間中抜けをしたのなら、定時が18時の場合は20時までを定時として働くようにするのです。

ただし、この休憩時間で処理する方法は、会社が社員に無断で行うことはできません。
社員の同意が必要になります。
また、労働時間の変更をするには、就業規則に就労時間の変更について規定されている必要があります。
中抜けを利用したい人は、会社の規則を確認して中抜けの処理を相談するようにしましょう。

3-2.時間単位の有給休暇として処理される

もう一つの中抜けの処理方法は、有給休暇の取得です。
年次有給休暇を時間単位で取得することで、中抜けの時間に合わせて始業を遅くしたり、終業を早めたりし、必要な用事をこなす時間に充てます。

この方法を選択するのであれば、まず年次有給休暇が残っていなければいけません。
また、この場合も休憩時間としての処理同様に、社員の同意が必要です。
会社が社員の同意なしに処理することはできないのです。

以上のことを踏まえて、社員全体に中抜けに関して周知・共有をしておきましょう。

4.中抜けの取り扱い方

中抜け中は、社員が労働から離れてその時間を私的に使うことができます。
その間、会社から業務に関する指示を出すことはできません。
中抜け中は、休憩時間や休みの日と同様に、業務とは関わらない時間を過ごさせなくてはいけないのです。

また、中抜けをする際には移動時間の過ごし方も気を付けなければなりません。
中抜けの移動時間中にパソコンやタブレット、スマホなどを使って業務を進めた場合、業務をした時間として処理されるので、移動時間を中抜けの時間に含まずに労働時間として処理されます。

しかし、会社から移動中も仕事をするように指示されていた場合は、その移動時間を中抜けの時間として扱うことはできません。
直接の指示がなくても、暗に命令されている状態であればその移動時間も労働時間とみなします。

ポイントとなるのは、たとえ仕事をしてもそれが会社からの命令に基づくものでなければ、労働時間とはみなされない、ということです。
例えば、午前は自宅で仕事し、午後はオフィスに出社して仕事をした場合、午前の在宅勤務が会社からの指示ではないのであれば、自宅から会社への移動時間は休憩時間として扱われます。しかし、その場合でも移動時間にタブレットなどを用いて仕事をしていた場合は、労働時間に含まれると判断される場合もあります。
判断が難しい場合は、会社に相談しましょう。

今までは中抜けをする社員は少数で、年次有給休暇として処理していた会社でも、今後テレワークという働き方をするようになった場合は、中抜け利用者が増えることが考えられます。
テレワーク導入前から中抜けの扱いをどうするのかを社員側とも綿密に話し合って、双方で合意できる内容の規定を策定しましょう。

ワークライフバランスの意義と取り組み

無料の資料をいますぐダウンロードする ➤➤

まとめ

中抜けをした場合、その分の時間は休憩時間、もしくは有給休暇として扱われます。
どのように中抜けを処理するのかは会社の就業規則などで定めておくべきでしょう。
今後、テレワークを導入すると中抜けをする社員は増えることが考えられます。
企業としても中抜けの対応に困らないようにしっかりと規定を定め、社員に周知を徹底するようにしましょう。
社員が気兼ねなく中抜けでき、ワークライフバランスを保つことができる環境を目指しましょう。

監修:MITERAS部

「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。


ホワイトなはたらき方を実現する労務管理ツール「MITERAS仕事可視化」

MITERAS(ミテラス)仕事可視化は、「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツールです。
勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。

無料の資料をいますぐダウンロード

- コラム, 人事労務

執筆者:

関連記事

テレワーク中は監視すべき?目的やデメリット、注意点について解説

目次1.テレワーク中の中抜け2.どのような場合に中抜けになる?3.中抜けはどのように処理される?3-1.休憩時間として取り扱われる3-2.時間単位の有給休暇として処理される4.中抜けの取り扱い方まとめ …

テレワークのメリットとデメリットは?課題を解決する方法を解説

目次1.テレワーク中の中抜け2.どのような場合に中抜けになる?3.中抜けはどのように処理される?3-1.休憩時間として取り扱われる3-2.時間単位の有給休暇として処理される4.中抜けの取り扱い方まとめ …

テレワーク(在宅勤務)の見える化・可視化で業務管理を効率的にする方法

目次1.テレワーク中の中抜け2.どのような場合に中抜けになる?3.中抜けはどのように処理される?3-1.休憩時間として取り扱われる3-2.時間単位の有給休暇として処理される4.中抜けの取り扱い方まとめ …

新着記事

PCログで確認!実労働時間と記録の乖離理由は何?

目次1.実労働時間の乖離が起きるのはなぜ?1-1.タイムカードの不正打刻1-2.社内文化1-3.実態調査をしていない2.労働時間の乖離は違法?3.実労働時間と記録の乖離が起きないようにするには?3-1 …

退職代行を使われたら?会社としてとるべき対応を解説

目次1.退職代行とは?2.退職代行の3つの形態2-1.弁護士事務所2-2.退職代行ユニオン2-3.民間の退職代行サービス3.退職代行を使われた場合の会社側が対応すべき6つのステップ3-1.退職代行の身 …

テレワークの課題とは?生産性を向上するツール14選

目次1.テレワークとは?1-1.テレワークのメリット1-2.テレワークのデメリット2.テレワークで生産性が下がるとされる理由2-1.コミュニケーション不足2-2.モチベーションの低下2-3.環境が整備 …

PAGETOP