安全配慮義務とは?罰則と対策を理解して快適な環境を作りましょう

働き方が多様化している現在、安全配慮義務に関する注目度が高まっています。ストレスチェックの義務化や安全衛生委員会の設置義務など、具体的な法律上の整備も進んでいる状態です。

そういった事情もあり、安全配慮義務に違反をした企業に対しては、罰則が課されるようになりました。ただ、実際にどういった罰則があるのか、またそもそも安全配慮義務のことを詳しく知らない人も多いでしょう。

そこで今回は、安全配慮義務の概要と、罰則や具体的な対策について解説します。安全配慮義務のことを理解したい人は参考にしてください。

1.安全配慮義務とは?

安全配慮義務とは、従業員が安全かつ健康に労働できるようにするため、企業が負う義務のことです。2008年に施行された労働契約法第5条によって明文化されています。

かつては労災によるケガの場面などで、安全配慮義務の違反の有無が問題になっていました。しかし、現在ではパワハラやセクハラなどの場面において、安全配慮義務の違反の有無が問題になっているケースも多い状態です。

安全配慮義務を怠り、なおかつ労働に関するトラブルや事故が発生してしまった場合、企業は多額の損害賠償請求を受ける可能性があります。

1-1.安全配慮義務に必要な要素とは?

安全配慮義務を実施するために企業が行うべきことは、具体的に法律で定められていません。したがって、従業員が安全に働けるようにするためにどのような処置が必要なのかを企業として考え、対策を講じる必要があります。

対策を考える際に軸となる要因は、作業環境と健康管理という2つの要因です。

〇作業環境
安全に作業できる労働環境を整えることです。
具体的には、機器のメンテナンスや設備の導入・メンテナンス、従業員に対する機械の操作方法の指示・指導などが挙げられます。

〇健康管理
従業員の健康面を企業側(使用者側)が管理するという考え方です。ここでいう「健康」は心身の両面を指しており、メンタル面の健康も重要視されています。長時間労働の防止、健康診断の実施、メンタルヘルスのチェックや改善などの対策があります。

2.安全配慮義務を違反するとどうなる?

安全配慮義務違反の罰則について、労働契約法の条文には記載がありません。
しかし、実際のところ罰則がないわけではなく、高額な罰金を課されることもあります。

安全配慮義務違反により罰則が課される法的な根拠として、以下の3つの民法があります。

  • 債務不履行(民法415条)
  • 不法行為(民法709条)
  • 使用者責任(民法715条)

これらの根拠によって、労働時に問題が起こった際に安全配慮義務を講じていなければ、事業者が労働者に対して損害賠償などの責任を負うこととなります。

2-1.違反になるケース

労働に関する事故やトラブルが起きた際、全てが安全配慮義務違反になるわけではありません。違反になるかならないかのポイントとなる要素は、労働者の健康を害することが予想できたかどうかと、トラブル・事故を回避できる可能性があったかどうかです。

ここでは、典型的な違反のケースを2つ紹介します。

〇過労死ラインを超える時間外労働をさせたケース
過労死ラインとは、以下のいずれかを超えてしまう場合に当てはまります。

  • 2~6ヵ月の平均残業時間が80時間
  • 1ヵ月の残業時間が100時間

働きすぎが重なってしまった結果、健康に悪影響を及ぼす危険性も高まるため、違反になるケースがほとんどです。

〇28度以上の環境で労働をさせたケース
職場の平均気温が28度を超えると、事務所衛生管理基準規則における努力義務の室内環境の基準を超えてしまいます。

上記2点のケースにおいて、労働者に健康やメンタルにおけるトラブルが発生した際には、罰則を課される可能性が高くなります。

3.安全配慮義務違反の実例

安全配慮義務違反をしないためには、実例を知っておくことも効果的です。ここでは、裁判で企業が安全配慮義務違反であるとされた事例について解説します。

〇新人研修の際の歩行訓練により後遺症が残ってしまったケース
新人研修の際に、ウォーキングや長距離走などを実施すること自体は問題ありません。しかし、従業員の体力・年齢・健康状態などに考慮して実施しない場合は、安全配慮義務違反になることがあります。

安全配慮義務違反とされた実例では、以下のような問題がありました。

  • 新人の健康状態や体力、怪我の有無に関係なく一律で過酷なトレーニング(歩行訓練)が課されたこと
  • 研修先での外出が禁止され、病院への受診もできない状況であったこと
  • 足の痛みにより、従業員が病院での治療を求めたが、拒否されたこと
  • 結果的に、従業員は後遺症の残る怪我をしてしまったこと

〇長時間残業によって従業員がうつ病を発症してしまったケース
残業時間の把握と対策も非常に重要です。

ある企業では、新入社員が平均147時間の時間外労働によりうつ病を発症し、入社した1年5ヵ月後に自殺をしてしまった事件があります。

会社側が残業時間を把握していながら、心身のダメージやストレスケア・自殺防止策を講じていなかったことが問題となりました。

4.安全配慮義務を果たすための対策を紹介

安全配慮義務を果たすために、企業は具体的にどのような対策を講じればいいのか、ここでは4つのポイントに基づいて解説します。

〇メンタルヘルス対策を実施する
従業員のメンタルヘルス対策の具体例は以下の通りです。

  • 従業員のストレスチェックの実施(2015年より義務化)
  • メンタルに関する社内相談窓口の設置や社内カウンセラーの配備
  • パワハラ・セクハラ対策
  • メンタルヘルス研修の実施
  • 健康状態や個人的な悩みについての個別面談の実施

従業員のストレス状態について、細やかな対応をすることが求められます。

〇安全衛生管理体制を整える
安全衛生管理の具体例は以下の通りです。

  • 安全衛生委員会を設置(従業員50人以上の事務所では必須)
  • 機械の操作手順に関する研修の実施
  • 新人や配置転換をした従業員に対する安全衛生研修の実施
  • 定期的な機械のメンテナンス・点検
  • 産業医の配備
  • 健康診断の実施

万が一怪我やトラブルが生じた場合でも、すぐに対処できるような環境・体制を整えておくことが重要です。

〇労働時間を管理する
長時間労働を防ぐためには、会社が従業員一人一人の労働時間を把握することが不可欠です。具体的な方法として、勤怠管理ソフトや労務管理ソフトを使用し、総労働時間や時間外労働時間の把握があります。

また、長時間労働をさせないための取り組みとしては、業務効率化に加えて企業の制度上の取り組みもポイントとなります。
長時間労働を防ぐための取り組み例について、以下の表にまとめました。

長時間労働を防ぐための取り組み例
  • 残業を上司の許可・承認制にする
  • 朝型勤務を推奨する
  • 社外の電話対応をせず作業に集中するための時間を設ける

〇快適な職場環境を整える
円滑に業務を遂行するためには、快適な職場環境を整えることが重要です。職場環境の例として、以下の項目が挙げられます。

  • 人間関係
  • 事務所内の温度や湿度
  • トイレや休憩室、食堂、給湯室などの設備

また、快適な職場環境を整えるためには、従業員のコンディションを可視化することも重要です。可視化をするためには、クラウドツールの利用が有効となります。

効果的なツールとして多くの企業に使用されているツールが、「MiTERAS 勤怠」です。MiTERAS 勤怠には、従業員一人一人のメンタルコンディションの収集や、グラフ化による把握ができる機能も搭載されています。

従業員のコンディションを可視化し、快適な環境を作りましょう。

まとめ

ここまで、安全配慮義務の概要と、罰則や具体的な対策について解説しました。

企業は安全配慮義務を怠ってしまうと、高額な損害賠償責任を問われる可能性があります。
また、その場合は企業の知名度や評判に影響することもあるため、しっかりとした対策が必要です。

実際に社内で対策をする方法も有効ですが、不十分になることも少なくありません。クラウドツールなどを活用して、より効果のある対策を行いましょう。

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