社内人材の育成のためにコーチングを導入する企業が増えています。コーチングは、コミュニケーションを通してビジネスシーンに役立つ気づきや考えを与える方法です。
コーチングを導入し十分な効果を得るために、まずはコーチングの理解を深めておきましょう。
今回は、「コーチングとティーチングの違い」、「コーチングを導入するメリット」、「コーチング前におさえておくべきポイント」を解説します。
目次
1.コーチングとは?ティーチングとの違い
企業で行われるコーチングは、人材育成に用いられる手法であり、相手の話をしっかりと聞き、効果的な質問を投げかけ、相手に気づきを与え、主体的な行動を引き出すことを目的とします。コーチは「目標達成に必要な思考と行動を促進」する役割があり、ビジネスだけでなくスポーツなどさまざまな場面で活躍しています。
コーチングと混同されやすい言葉に「ティーチング」があります。ティーチングは自主性を引き出すコーチングとは異なり、目標達成に向けた具体的なアドバイスやノウハウを与える手法です。
目標達成というゴールは同じでも、コーチングとティーチングではアプローチの方法が異なります。
1-1.ビジネスにおけるコーチングスタイル
ビジネスにおけるコーチングの実施方法は、下記の3つです。
●社内の人材がゼロからコーチングを学び実施する
●コーチングスキルがある人材を採用し実施する
●外部のプロコーチに依頼する
社内の人材がコーチングする場合は、コーチングのトレーニングや研修に参加し、コーチングスキルを身につけるなどの事前準備が必要です。コーチングスキルは専門性が高く、習得するために時間がかかるため、コーチングスキルがある人材を採用することも1つの方法です。
外部のプロコーチに依頼する場合のコーチ選定必須条件は「コーチングの実績」です。コーチは相手の思考や行動を引き出すために効果的な問いかけを行い、目標に向かって相手の背中を押す役割になりますので、自社ビジネスの知識などは特段不要です。
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2.コーチングを導入するメリット3選
ビジネスコーチングを導入するメリットは、主に3つあります。人材育成や企業成長のプロセスをイメージするためにも、ビジネスコーチングが人に与える影響を理解しておきましょう。
ここでは、ビジネスコーチングの導入によって得られるメリットについて詳しく解説します。
2-1.(1)主体性・自発性を高められる
コーチングを行うことで、本人の主体性・自主性を高めることが可能です。コーチングは目標達成に必要な方法や問題の答えを教えずに気づかせるスタイルであるため、「自分で考えて行動する」という自律性が身についていきます。
仕事の効率化やお客様へのより良い提案など、主体性・自発性はこれからますますビジネスパーソンにとって必要なスキルになっていきます。コーチングによって本人の考える力と行動力を高め、物事を多角的に考え解決に必要な行動を自ら導き出せる人材を育てることができます。
2-2.(2)特性や潜在能力を引き出せる
コーチングは、本人の特性や潜在能力を引き出すことが可能です。主体性・自発性と特性や潜在能力が合わさることで、目標達成に向けた道筋を立てやすくなります。
自分の価値観だけでは、新しい発想を生み出すことは難しくなります。自分では見つけられなかった新たな考え方や能力を引き出すためには、コーチングが効果的です。
2-3.(3)モチベーションの維持・向上につながる
コーチングは、モチベーションの維持・向上にもつながります。目標達成の方法を具体的に教えてもらうティーチングは、「やらなければ」、「結果を出さなければ」という気持ちになり自発的に目標に向けて取り組もうというモチベーションが生まれません。また目標だけでなく、手段も与えられるものだと受け身な仕事のやり方が身についてしまうことがあります。
一方、コーチングでは本人が考えて行動するため、目標達成に向けて前向きに取り組むことができます。仮に間違った方向に進みそうなときは、コーチが軌道修正してくれます。
モチベーションの維持・向上は、人材育成において重要なポイントです。モチベーションが高い人材が増えることで、生産性の向上も期待できます。
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いますぐダウンロードする ➤➤3.コーチングを行う前におさえておくべきポイント
コーチングを導入するにあたり、経営者や管理職は、以下のポイントをおさえておきましょう。
〇双方の信頼関係を構築する
コーチングを行う前に、信頼関係を築いておくことが大切です。信頼関係が築けていない状態でコーチングを行うと、上手く本音を聞き出せなかったり、コーチングされる側が批判されたとネガティブな感情を抱いたりする場合があります。
コーチングする側は、話しやすく考えを伝えやすい関係性を意識し、双方向のコミュニケーションを心がけましょう。焦って結果を出そうとせず、相手に寄り添いながら行うことがポイントです。
〇効果を実感するまでには時間が必要であることを理解しておく
コーチングは、効果が現れるまでに時間がかかります。導入したからといって、すぐに結果につながるわけではありません。
コーチングの効果を得るためには、「対話・気づき・行動」のプロセスを繰り返す必要があります。
〇コーチングスキルを習得する
社内の人材がコーチングを学び実施する場合は、コーチングスキルの取得が必要となります。コーチングには、下記3つのスキルが必要です。
●相手の話を聞く。相手の考えや発想を受け止める
●相手の自発的な思考と行動を引き出すために、効果的な質問を行う
継続して相手に向き合う我慢強さも求められます。
4.コーチングの効果的な進め方をステップごとに解説!
コーチングは、手順に沿って進めることでコーチング経験がない人でもスムーズに行うことができます。
コーチングの進め方と効果的な進め方は、下記の通りです。
【STEP1】 | ヒアリング | ●現状確認と事実確認を行う ●相手の考えや感情を整理する <質問例> |
---|---|---|
【STEP2】 | 達成したい目標の具体化 | ●達成目標を具体的にイメージさせる ●目標を達成するための行動を明確にする <質問例> |
【STEP3】 | 課題・問題の具体化 | ●課題点や問題点を具体化する ●問題の原因や失敗傾向を明確にする <質問例> |
【STEP4】 | 行動の選択肢の用意 | ●目標達成の可能性を高める ●柔軟な対応ができるように備える <質問例> |
【STEP5】 | 必要なリソースの明確化 | ●自分のリソースを明確にして自信につなげる ●他者から得られるリソースを活用する <質問例> |
【STEP6】 | 行動計画の作成 | ●目標達成のビジョンを明確にする ●必要な手順や人材を決定する <質問例> |
コーチングを効率良く進めるためには、相手との信頼関係構築が必要です。信頼関係を構築・向上させていくためには、まずは挨拶や雑談などの普段何気なく行っているコミュニケーションの量を増やしてことから始めましょう。
十分に信頼関係が構築できたら、コーチングを始めます。
目標を達成するために必要な課題を考えるきっかけを与えたり、目標を達成しやすいように選択肢を広げたりできるようなオープンクエスチョンを心がけましょう。目標達成のために必要な行動やリソースを明確になってきたら、PDCAサイクルを回し始めます。
まとめ
コーチングの役割は、目標達成のために必要な気づきや行動を引き出すことです。ティーチングと異なり、答えは本人が導き出さなければなりません。
ビジネスコーチングを導入することで、社員の主体性・自発性を高めたり特性や潜在能力を引き出したりできます。ただし、コーチングを行う前には、コーチングスキルの取得や信頼関係の構築が必須です。
コーチングは効果が出るまでに時間がかかりますが、社員一人ひとりの生産性向上が求められる中で、自律型人材育成における最適な手法の1つです。
監修:MITERAS部
「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。
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