コラム

サービス残業はなぜ違法となるのか? 防止のポイントとは?

働き方改革によって過剰な残業が抑制されるようになってきたものの、サービス残業が慢性化している会社は存在します。では、実際にはどのような行為が違法となるのでしょうか。

今回は、サービス残業の違法性や、サービス残業が発生する代表的なパターンについて紹介します。

1.サービス残業とは?

サービス残業とは、割増賃金を伴わない時間外労働や休日労働のことを指します。サービス残業ではなく「賃金不払残業」といわれる場合も、同じ意味です。

日本労働組合総合連合会が2014年に実施した調査によると、約52%の正規労働者が「サービス残業をせざるを得ないことがある」と回答しました。役職別では係長クラスが約64%と最も多く、過半数を超える正規労働者がサービス残業をしているという実態が浮かび上がってきます。

(出典:日本労働組合連合会「労働時間に関する調査」/https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20150116.pdf

2.サービス残業はなぜ違法?

労働基準法では、原則として法定労働時間(1日8時間・1週間に40時間)を超える労働を禁止しています。法定労働時間を超える労働は時間外労働とみなされ、割増賃金の支払いが必要です。そのため、割増賃金の支払いを伴わないサービス残業は、労働基準法違反にあたります。

ただし、下記のような場合は、法定労働時間の規定は適用されません。

  • 1ヵ月単位・1年単位の変形労働時間制で働く社員が労使協定で定める範囲内で労働するとき
  • フレックスタイム制で働く社員が労使協定で定める範囲内で労働するとき
  • 裁量労働制で働く社員が労使協定で定める範囲内で労働するとき

いずれの場合も午後10時から午前5時に労働したときは、深夜割増の支払いが必要です。

なお、管理監督者にはそもそも「法定労働時間」という概念が存在しません。そのため、サービス残業が認められず、深夜を除く割増賃金の支払いは不要です。管理監督者とは、一般に課長職以上の役職者を指しますが、実際には労働の実態において判断されます。

3.サービス残業となる就労状況とは?

サービス残業の発生する就労状況には、さまざまなパターンがあります。社員自身がサービス残業の代表的なパターンを理解しておけば、不当な扱いを受けたときに、しかるべき対処をとることが可能です。

ここからは、サービス残業の発生する代表的な就労状況の例を解説します。

3-1.勤務時間の虚偽報告

勤務時間の虚偽報告は、サービス残業の発生するさまざまな就労状況のうち、非常に多いパターンです。たとえば、法定労働時間の終了時刻にタイムカードを押すように命じられることなどにより、サービス残業が発生します。

勤務時間の虚偽報告の多くは、組織ぐるみや上司の指示によって起こります。「残業が多いと業績が悪化する」などの理由で発生します。

3-2.残業時間を切り捨てて報告する

会社によっては、社員に15分や30分単位で残業時間を報告させるところがあります。
労働時間は1分単位で報告しなければなりませんので、たとえば、40分残業した社員に30分の割増賃金しか支払わないことは違法です。

なお、残業時間の端数を切り上げて割増賃金を支払う場合は、問題ありません。

3-3.始業開始前に業務をする

社員によっては始業時刻前に出勤し、業務を始め、労働時間を申告しないことがあります。始業時刻前の労働も時間外労働ですので、申告が必要になります。

近年では終業時刻後のサービス残業に対する世間の目が厳しくなったことを受けて、始業時刻前の労働が増加する傾向が見られます。

所定労働時間内・外にかかわらず、割増賃金の伴わない時間外労働はすべてサービス残業と判断されることを理解し、不要な早出出勤はなくすことが大切です。

4.自発的にサービス残業をした場合でも会社には罰則がある

社員が自発的にサービス残業した場合でも会社には、罰則が適用されます。社員が自発的にサービス残業しなくてはならない状況を作ったことに対して、会社の責任が問われるためです。

状業員が自発的にサービス残業する背景には、下記のような原因が考えられます。

  • 一人当たりの業務量が多すぎる
  • 所定労働時間外に取引先との打ち合わせが発生する
  • サービス残業する社員を上司が高く評価する
  • より良い成果物を作成しようと、周りに何も言わず、自主的に働いてしまう

会社としては、上記のうちのいずれに原因があるかを把握し、適切な対策を講じることが必要です。

5.罰則の種類

サービス残業させた会社に対しては、労働基準法に則った罰則が科されます。サービス残業した社員から未払い残業代を請求されるケースもあり、金銭的な損失を免れません。

ここからは、サービス残業させた会社が受ける可能性のある罰則2つをわかりやすく解説します。

5-1.労働基準法に則った罰則

サービス残業は、労働基準法第37条に違反する行為です。労働基準法第37条に違反した会社には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という刑事罰が科されます。

ただし一般的には、サービス残業させてすぐに刑事罰が科されるわけではありません。
たとえば、サービス残業が疑われる会社に対して、社員などの申告に基づいて、労働基準監督署による立ち入り調査が行われたり、臨検が実施されます。

サービス残業させていることが発覚した場合には、是正勧告が出されるため、早急な対処が必要です。是正勧告後も改善が認められず、特に悪質なサービス残業が見られる場合に限り、刑事罰を科されることが一般的です。

5-2.未払いの残業代と付加金の支払い

サービス残業した社員は会社に対して、未払いの残業代の請求が可能です。会社は、社員から請求を受けた場合、3年分の残業代をさかのぼり、支払わなければならない可能性があります。

会社との話し合いがまとまらない場合、社員は労働審判や裁判で争う方法を選択することが可能です。裁判で会社が敗訴した場合には、未払いの残業代と遅延損害金、付加金の支払いを命じられるケースがあります。未払いの残業代と遅延損害金、付加金の支払い判決が出たにもかかわらず会社が支払わない場合には、裁判所が不動産や債権などの差し押さえを行うことが可能です。

6.企業イメージの低下も

サービス残業によって会社が被る損失は、金銭面だけにとどまりません。厚生労働省は、労働基準法違反によって書類送検した会社の名前をホームページに公表します。労働基準法第37条違反した事実が公表されると、企業イメージが低下する原因となります。

また、厚生労働省によると、残業手当(割増賃金)が支給されない会社で働く社員は、支給される会社で働く社員と比較し、「メンタルヘルスの状況が悪い」とされています。
(出典:厚生労働省「STOP!過労死」/https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/000362235.pdf

メンタルヘルスの状況が悪いまま働くとオペレーションミスが発生しやすく、サービスの質を低下させる原因となります。結果として顧客に迷惑がかかり、社会的な信頼を失うことにもなりかねません。

7.サービス残業防止には業務可視化ツールが有効

サービス残業を防止するためには、業務可視化ツールの導入が効果的です。業務可視化ツールとは、社員のPCのログを記録して、労働時間を正確に把握するためのシステムです。システムによっては、PCのログとタイムカードの打刻時間を比較して乖離が見られる場合にアラートを出したり、申請なしの残業を見つけたりすることもできます。

社員の就労状況を会社が正しく把握することは、サービス残業を防止するための第一歩です。業務可視化ツールを導入し、サービス残業を発生させない仕組み作りを行いましょう。

まとめ

ここまで、サービス残業の定義と違法性、サービス残業によって会社が被る損失について解説しました。サービス残業とは割増賃金の伴わない時間外労働のことを意味し、会社から命じる場合も自主的に行う場合も変わらず、労働基準法違反にあたります。

サービス残業が発生した会社は、刑事罰が科されたり、企業名を公表されることで、社会的制裁を受けることになります。サービス残業の防止には、業務可視化ツールを導入し、社員の労働状況を正しく把握することが有効です。

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