コラム 人事労務

結婚休暇とは?導入にあたって、取得条件や取得期限、日数などを解説

人事労務

働きやすい職場環境を整える方法は多岐にわたりますが、特別休暇などの福利厚生制度を整備することは従業員のモチベーションアップに繋がります。特に、結婚といった人生の大きなイベントで企業が設けた休暇を従業員が利用できれば、企業の福利厚生に対する満足度も高まるでしょう。

この記事では、結婚休暇とは何か、といった概要を説明した上で、具体的な導入方法や助成金について解説します。結婚休暇の導入を検討している企業の経営者や労務担当者は、ぜひご覧ください。

1.結婚休暇とは?

「結婚休暇」とは、従業員が結婚した際に取得できる休暇のことです。企業で働く従業員が取得できる休暇には「法定休暇」と「法定外休暇(特別休暇)」の2種類があり、結婚休暇は法定外休暇に含まれます。

特徴 休暇の例
法定休暇 法律で定められた休暇
要件を満たす従業員から申請があった場合、雇用主はその従業員を休ませなければならないという義務がある
  • 年次有給休暇(労働基準法)
  • 産前産後休業(労働基準法)
  • 育児休業/介護休業(育児介護休業法)
法定外休暇
(特別休暇)
企業独自で定めた休暇
休暇制度の有無や内容は企業が自由に決められる
  • 結婚休暇
  • 忌引き休暇
  • リフレッシュ休暇
法定休暇
特徴 休暇の例
法律で定められた休暇
要件を満たす従業員から申請があった場合、雇用主はその従業員を休ませなければならないという義務がある
  • 年次有給休暇(労働基準法)
  • 産前産後休業(労働基準法)
  • 育児休業/介護休業(育児介護休業法)
法定外休暇(特別休暇)
特徴 休暇の例
企業独自で定めた休暇
休暇制度の有無や内容は企業が自由に決められる
  • 結婚休暇
  • 忌引き休暇
  • リフレッシュ休暇

結婚休暇は「結婚にともなう新生活の準備」や「新婚旅行」に利用されることを想定した法定外休暇です。法定外休暇であるため、結婚休暇制度の導入有無は企業が独自に決定できます。また、期間や対象者などといった制度の内容も、企業側の裁量で決めることが可能です。

そのため、結婚休暇は必ずしも導入しなければならない制度ではありません。しかし、結婚は人生で最も大きなライフイベントの1つです。結婚休暇制度があれば、結婚式や新婚旅行、新生活の準備など従業員がプライベートに集中できる時間を作ることができるでしょう。従業員の私生活が充実することで、仕事へのモチベーションも高められます。

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2.結婚休暇を導入する場合は明確なルール決めが大切!

適切に結婚休暇を導入することで、「従業員が働きやすい職場づくり」や「従業員のモチベーションアップ」に貢献します。しかし、休暇期間の給与有無や取得できる日数など制度内容を明確にしておかなければ、労使トラブルに発展してしまう恐れがあるため、注意しなければなりません。

特に、昨今の結婚事情は「入籍するだけで結婚式や披露宴は行わない」「入籍から半年後に新婚旅行へ行く」など多様化しています。結婚に関する日程やイベントの流れが人によって異なる現代では、トラブルを避けるために、制度内容や取得条件を詳細に決めておくことが大切です。

ここでは、結婚休暇のルールを明確に決めるためのポイントについて、解説します。

2-1.給与発生の有無を決める

結婚休暇を導入する際には、休暇の取得期間における給与の扱いについて検討する必要があります。結婚休暇は法定外休暇であるため「有給にするか、無給にするか」「有給にする場合、賃金支給額はどの程度とするか」といったことは、企業が自由に決定することが可能です。

結婚休暇を有給扱いとしている企業が多いようですが、中小企業の場合は無給扱いとしているところも少なくありません。
ただし、従業員のモチベーションアップを目指している場合は、結婚休暇における給与の扱いは、慎重に判断する必要があります。結婚休暇導入の有無と同時に、給与の有無や支給額について、じっくり検討しましょう。

多くの企業では結婚した従業員に対して、「慶弔見舞金」を支給する制度があります。労務行政研究所の調査では、従業員が結婚する際に慶弔見舞金を支給している企業は全体の93.5%を占めており、制度がない企業は圧倒的に少ない状態です。

慶弔見舞金の相場金額は企業によって異なりますが、3万円~5万円とされています。

参考:日本の人事部「慶弔見舞金の支給実態」 https://jinjibu.jp/article/detl/rosei/1847/2/」)

慶弔見舞金の支給額は、勤続年数や役職によっても変動することがあります。相場を確認した上で、制度の内容を決定しましょう。

2-2.取得日数・時期を決める

取得できる結婚休暇の日数やタイミングについても、企業が独自で決められます。結婚休暇の制度をトラブルなく運用するためには、取得できる日数や時期について詳細に決めておくことが重要です。

結婚休暇の内容は企業が自由に決められますが、従業員本人の結婚に際する休暇の取得可能日数は平均で5日間とされています。付与日数の比較的多い企業では、7日間としているところが多い傾向です。

また、従業員の子どもが結婚する場合は、2日間ほど結婚休暇を取得できる企業も多く見られます。子どもが執り行う結婚式や披露宴に父母として参加したい従業員のニーズに応えたものです。福利厚生を手厚くしたいと考えている企業は、従業員の子どもが結婚する場合の結婚休暇導入についても、検討することをおすすめします。

結婚の形態が多様化する現代においては、結婚休暇を取得できるタイミングについても細かく決定し、社内に周知することが大切です。「入籍日」「挙式日」「新婚旅行の出発日」など、どのタイミングで取得対象となるのか明確に定めておきましょう。

また、最近では「入籍日と挙式日、進行旅行の出発日が離れており、それぞれで数日間の休暇をとりたい」という希望を持つ従業員も少なくありません。結婚日程の多様化に配慮して、分割して休暇を取得できる制度内容とすることがおすすめです。
分割取得を導入する場合、日数やタイミングについて社内規定に明記し、周知徹底を図りましょう。

2-3.取得条件を決める

特別休暇である結婚休暇は、企業ごとの社内制度となるため、付与基準も自由に決めることができます。付与基準としては、以下の点について検討しましょう。

  • 対象基準
    正社員限定の制度とするか
    契約社員やパート・アルバイト社員も対象とするか
  • 対象期間
    新入社員の入社後、どの程度の期間が経過してから付与の対象とするか
  • 対象期限
    結婚休暇取得開始日の期限は、入籍日からどの程度の期間とするか

取得条件を決める際には、様々なケースを想定し、企業側と従業員側の考え方にズレが起こらないよう、条件を設定する必要があります。

例えば、次の条件で結婚休暇を付与する場合について、考えてみましょう。

  • 入社後、6ヶ月以上経過した従業員に付与する
  • 入籍日から1年以内に休暇を取得できる

上記条件のみでは、企業に入社する前に結婚した従業員も結婚休暇の対象となります。もし、入社後に結婚した従業員のみを対象としたい場合は、上記条件に加えて「入社前に入籍した従業員は対象外」と規定で定めなければなりません。

このように企業側と従業員側で考え方にズレが生じるような規定の記述を行うと、両者でのトラブルに繋がりかねません。結婚休暇制度を問題なく運用するためには、細かくルールを設定し、社内規則に明記しましょう。

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3.結婚休暇を導入することで助成金が受給できる

結婚休暇は法定外休暇であり、法律で定められていない特別休暇の1つです。そのため、結婚休暇制度を導入するか否かを決定する権限は企業にあり、結婚休暇を導入しないことによって、法律に抵触するわけではありません。しかし、近年はワークライフバランスが重視されるようになり、中小企業における特別休暇制度の導入を政府は助成金支給の形で、促進しています。

結婚休暇をはじめとする特別休暇の導入を検討している中小企業が利用できる助成金制度は、次の通りです。

特別休暇を導入した企業に給付される助成金
受給できる企業の条件 就業規則に特別休暇の規定を明記し、残業時間を月平均で5時間削減できた中小企業
助成金の金額 最大100万円

結婚休暇などの特別休暇を導入すると多くの場合、企業は追加的な費用が発生します。しかし、上記の助成金制度を活用することによって、特別休暇の導入にかかる費用負担を軽減することが可能です。現在、結婚休暇導入を考えている場合は、ぜひ助成金の利用を検討しましょう。

まとめ

結婚休暇は、各企業が独自に定められる法定外休暇(特別休暇)の1つです。最近は福利厚生を重視する従業員が多いことに加えて、特別休暇の導入による助成金が受給できるため、結婚休暇を導入する企業が増えています。

結婚休暇を導入する際にはトラブルを避けるために、給与発生の有無や取得条件などを細かく決めて、社内規則に明記することが大切です。綿密な制度設計でトラブルを避けつつ、従業員のモチベーションをアップさせるために、結婚休暇を導入しましょう。

監修:MITERAS部

「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。


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