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残業時間の平均はどのくらい?1日2時間は多い?残業が多い時の対処法も解説

働き方

働き方改革関連法によって残業時間の上限規制ができ、日本の労働者の残業時間は減少傾向にあります。しかし、中には「実感として減ったとは思えない」「むしろ増えた」などと感じている人もいるようです。自分の残業時間は平均より多いのか少ないのか、気になる人もいるかもしれません。
本記事では、平均的な残業時間や上限規制の内容をご紹介します。また、平均より多かった場合に、残業時間を削減する対処法について見ていきましょう。

1.平均的な残業時間は1日1時間以下?

厚生労働省が2023年2月に発表した「毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報」では、一般労働者の月平均残業時間は13.8時間(パートタイム労働者の月平均残業時間は2.2時間)でした。
出勤日数の平均が19.4日であることから、1日あたりの残業時間は40分程度です。自分の状況と照らし合わせて、意外に少ないと驚いた人もいるかもしれません。

日本の残業時間の推移

民間の調査では月21.9時間



厚生労働省の調査では、1日あたりの平均的な残業時間は40分程度でしたが、パーソルキャリアが2023年4~6月の残業時間を調査したところ、ひと月あたりの残業時間は21.9時間でした。※
出勤日数を20日とすると、1日あたりの残業時間は66分程度となります。厚生労働省の調査では40分程度のため、26分の差があります。

この差は、厚生労働省の調査が事業者を対象にしていることに対し、パーソルキャリアの調査では労働者本人へのアンケートであることが理由と考えられるでしょう。企業が把握できていない、隠れ残業やサービス残業が加味されているかどうかが、
1日あたり26分の差(ひと月あたりにすると8.7時間の差)
につながると考えられます。

※出典元:転職サービスdoda 「平均残業時間ランキング」
https://doda.jp/guide/zangyo/

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2.残業時間の上限規制の内容

残業時間は、働き方改革関連法によって上限が規制されました。一部の業種では猶予期間が設けられていますが、それも2024年4月からは適用となります。
ここでは、残業時間の上限規制の内容について、具体的に解説しましょう。

2‐1.法律上違反となる残業時間

労働基準法での基本的な労働時間は1日8時間、週40時間であり、週1日(または4週間のうち4日以上)の休日を設けなければなりません。この時間を超える場合、36協定(労働基準法第36条に定められた労使協定)を締結しなければ法令違反となります。
また、36協定を締結しても、残業時間の上限は月45時間、年間360時間です。

36協定については、下記の記事もご覧ください。
36協定を結ばないで残業させる会社は法律違反!

2-2.例外であっても上限は月100時間(残業+休日出勤)

どれだけ効率的に業務を行っていても、繁忙期だったり急な退職があったりで、一時的に残業時間が増えてしまうことはあります。そういった場合は、36協定の特別条項を締結する必要があります。

特別条項を締結することで、例外的に2~6ヶ月平均80時間、年間(残業時間だけで)720時間まで残業が可能です。
具体的には、月の残業時間は残業時間と休日出勤を合わせて、100時間未満が上限です。さらに、45時間を超えるのは1年に6ヶ月までであり、連続する2~6ヶ月間の平均は80時間以内にする必要があります。
また、可能なのは予見できない大幅な業務増大などが理由の場合のみであり、「日常的に月に80時間残業がある」ということではありません。

休日出勤の定義については下記記事もご覧ください。
休日出勤の定義は?法的な決まりや割増賃金の計算

2-3.産業医との面談が必要な残業時間

残業時間の上限規制とは違いますが、働き方改革関連で労働安全衛生法が改正され、「長時間労働者への医師による面接指導制度」が義務付けられました。これは、「月80時間の残業時間を超えた場合、申し出た労働者に医師との面接機会を提供しなければならない」というものです。適切な面接指導を行わなければ、法令違反となる可能性があります。

基準となる80時間は、残業時間が月80時間を超えると、業務負荷によって過労死との関連性が高まるとされる「過労死ライン」にもとづいたもの。一時的な繁忙期であっても、できるだけこのラインは超えないように、従業員の労働時間をしっかり把握しておくべきでしょう。

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3.残業時間が多いときの対処法

労働基準法の定める残業時間の上限は、月45時間、年360時間で、1日あたりにすると2時間程度です。厚生労働省やパーソルキャリアの調査した平均の残業時間より多いですが、これはあくまで上限と認識してください。
従業員のワークライフバランスの充実や心身の健康を考えても、できるだけ残業時間は少ないことが望ましいです。では、残業時間が多い場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

ワークライフバランスについては、下記の記事もご覧ください。
ワークライフバランスとは?今だから知りたい意義と取り組み

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3-1.残業時間を正確に把握する

まずは、従業員の労働の実態を把握することが重要です。従業員の申告だけでは、隠れ残業やサービス残業が見えず、管理側が気づかないうちに長時間労働をしてしまっているかもしれません。
勤怠システムなどを活用するとともに、PCログを確認して稼働時間を把握するなど、正確な労働時間を把握しましょう。

3-2.作業の標準化を行う

残業時間を削減するには、短時間で同じ作業ができるように、業務効率を向上させなければなりません。そのためには、作業の標準化が必要です。作業のプロセスを定め、必要な知識やノウハウを共有することで、均質なクオリティが保てるほか、作業時間の平準化も見込めるでしょう。

3-3.進捗管理システムを導入する

残業時間の削減には、進捗管理システムを導入することも役立ちます。これは、業務の進捗やタスクの状況などを管理できるツールであり、誰が何をやっているか、ボトルネックは何かを把握することが可能です。
残業時間の多い人の業務をほかのメンバーに振り分ける、何かにつまずいて業務が進まず残業しているなら指導するといったことができるようになります。

3-4.ルールやシステムを設定する

残業の事前申告制や、時間制限のルールを設けることも、残業時間を削減する方法です。目標とする時間を決めておき、守れたら賞与へ加算するなど、評価項目に加えると従業員の意識も高まるでしょう。
中には、◯時以降はPCを強制シャットダウン、オフィスの強制消灯などを取り入れ、物理的に残業をできなくする例もあります。

残業時間削減については、下記の記事もご覧ください。
残業削減の取り組み4選|削減を推進するメリットから事例まで紹介

残業時間の平均を超えるようなら対策しよう

平均的な残業時間は1日1時間前後、上限は2時間程度でした。意外に少ないと感じた人もいるかもしれませんが、ワークライフバランスの充実や心身の健康のためにも、できるだけ残業時間は少ないことが望ましいです。企業として残業時間を減らす対策をするとともに、サービス残業や隠れ残業もなくしていくよう、対処していきましょう。

残業時間を削減するには、勤務時間の正確な把握が必要です。「MITERAS 仕事可視化」は、PCログから従業員の正確な稼働時間がわかり、長時間労働はもちろん、サービス残業や隠れ残業の抑制に役立ちます。残業時間の削減でお悩みの場合は、ぜひお問い合わせください。

監修:MITERAS部

「ホワイトなはたらき方を実現」する労務管理ツール【MITERAS仕事可視化】の担当者によるコラムです。MITERAS仕事可視化は、社員のPC利用の有無、アプリ使用状況などを可視化。勤怠データとPC稼働ログの突合で、法令遵守・はたらき方の見直しを推進できます。当コラムでは、理想の働き方改革実現のポイントから、日常業務の効率化のご提案まで、人事労務のためのお役立ち情報をご紹介します。

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