コラム 働き方

男性の育休(育児休暇)の現状とは?制度の種類、育休取得の考え方

働き方

近年、特に若い世代において男性の育児参加が重要であるという考え方が浸透してきました。「イクメン」という言葉も広く使われるようになり、男性が子育てをしやすい環境も整備されつつあります。

このような世の中の流れから育児休暇の取得を検討している男性も少なくないでしょう。でのでは男性の育児休暇を取り巻く現状はどうなっているのでしょうか。今回は、育児休暇制度や男性が育児休暇を取得するためのポイントを紹介します。

1.男性の育児休暇取得に関する現状

男性にも育児参加を促すため、国が主導して育休義務化を推進しています。男性の育休義務化は育児休暇を取得したい男性にとっての追い風となりそうですが、反対に言えば取得義務化の必要性があるほど、育児休暇を男性が取得することは難しい社会であるとも考えられます。

では、男性の育児休暇取得に関する現状はどのようになっているのでしょうか。まずは育休取得率や、男性たちの育休に対する意識について見ていきましょう。

1-1.育休取得率は低迷

厚生労働省が令和元年7月に発表した「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について」によると、女性の育休取得率が直近10年間で80%以上を維持しているのに対し、2018年度における男性の育児休暇の取得率は6.16%となっています。
男性の育休取得者は年々増加傾向にあるものの、依然として男性の育休取得率は低迷していると言わざるを得ないでしょう。

(出典:厚生労働省「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について」)

男性の育休取得率が低い理由には、次のようなものが挙げられます。

  • 会社の育休制度が整っていなかった
  • 職場が人手不足で休めなかった
  • 職場が育児休暇を取得できる雰囲気ではなかった

高度経済成長期以降、働いて家族を養うことが男性の役割であると考える方が多かった時代が続きました。そのため育休パパに対して理解が進んでいない職場も少なくないようです。

育休を取得する男性の割合が低迷していることをうけ、現状を打開する目的で男性の育児休暇の取得を推進するプロジェクトが政府主導で進められています。
その1つが「男性の育児休業取得促進事業」いわゆる「イクメンプロジェクト」です。

イクメンプロジェクトでは男性の育児休暇取得に関する啓発活動や事業主への働きかけを行うとしており、2020年度までに、男性の育休取得率を2018年度の約2倍にあたる13%に引き上げようとしています。
女性と比べると大幅に低い数値ですが、男性の育児休暇取得を促す環境作りが進められていることは、育児休暇の取得を考えている男性の後押しになるでしょう。

1-2.育休を取得したい男性は増加

公益財団法人日本生産性本部が行った「2017年度 新入社員 秋の意識調査」というアンケート調査では男性新入社員のうち約8割の回答者が「子どもが生まれたときには育児休暇を取得したい」と答えています。
(出典:公益財団法人 日本生産性本部「2017年度 新入社員 秋の意識調査」)

しかし現実には以下の理由で、育休希望だったにもかかわらず、育児休暇を取得できなかったという方も少なくありません。

  • 「業務が忙しく休業期間をとれない」
  • 「育児休暇をとらせてくれるような雰囲気ではなかった」
  • 「そもそも企業側に男性が育児休暇を取得するという考えがなかった」

男性の育児休暇の取得は現段階ではなかなか難しいと言えますが、夫婦間の関係が円満になったり、子どもの成長を肌で感じることができたりといったように、男性が育児休暇を取得するメリットも多くあります。

家庭で過ごす時間を「育児休暇」という形でとることで、仕事へのモチベーションも向上するでしょう。育児休暇の取得を考えている男性は自信を持って検討を進めてみてください。

2.男性の育児休暇制度について

男性社員が育児休暇を取得することは女性社員と同様に育児・介護休業法という法律で認められていますが、休業中の給与など育児休暇に関する就業規則は、職場によりさまざまです。しかし、育児休暇に関するルールは社内制度によるものばかりではありません。

ここからは、男性の育児休暇に関連する制度について簡単に解説します。育休を取得する夫婦への支援制度もあるため、育児休暇を取得する前に確認しておきましょう。

2-1.育児休業給付金

育児休業給付金は、育児休暇中の給与が支払われない場合に、労働者が雇用保険から受けとれる手当を指しています。

男性の場合、子どもの出生当日から1歳の誕生日を迎える前日まで育児休暇を取得できます。また、保育園に入園できなかったなどの理由があれば、2歳の誕生日を迎える前日まで育児休暇を延長することも可能です。

育児休業給付金は育児休暇を取得できる期間中に支給され、休業開始から6ヶ月までは育児休暇取得前の給与の約67%、それ以降は約50%に相当する金額の手当を受け取ることができます。
育児休暇を取得しても、完全無収入という状態にはならないため、生活における経済的な不安は軽減されるでしょう。

2-2.パパ・ママ育休プラス

育児休暇は基本的に、子どもが1歳の誕生日を迎える前日までの間に取得できる休暇です。保育園に入れなかったなどの理由がなければ、それ以降の育児休暇の延長申請は認められません。

しかし、共働きで両親ともに育児休暇を取得する場合は「パパ・ママ育休プラス」という制度を利用できます。パパ・ママ育休プラスとは、夫婦両方が育児休暇を分担して取得することで、パパかママのどちらかが1歳2ヶ月まで育休取得期間を延長できるという制度です。

たとえばママが育児休暇を産後休暇直後に1年間取得し、お子さんの1歳の誕生日の前日に仕事に復帰する場合、育休終了するママと入れ替わるようにして1歳2か月になる前日までパパが育児休暇を取得することもできます(パターン①)。

また、パターン②のように両親が同時に育児休暇を取得することや、パターン③のようにママの育児休暇が終わった後に期間を空けてパパが育児休暇を取得するケースも認められています。

自分や配偶者の働き方や住んでいる地域の保育園事情などに合わせて、フレキシブルに育児休暇を取得してみてはいかがでしょうか。

2-3.パパ休暇

育児・介護休業法では「特別な理由が無ければ1人の子どもにつき、両親それぞれ1回ずつしか育児休暇を取得できない」と定められています。ただし、男性の場合は「パパ休暇」という制度を利用して、2回に分けて育児休暇を取得することも可能です。

ママの産後休暇期間内にパパが育休を取得していれば、特別な理由が無くてもパパ休暇を利用して再度育児休暇を取得できます。出産直後と職場復帰前後というママが大変な時期のサポートに利用するという方法もおすすめです。

3.男性が育児休暇を取得するためのポイント

育児休暇を取得する権利は、男性にも女性と同様にあります。しかし、「職場で理解されにくい」「評価に響くなどキャリアに支障が出そう」「出世コースから外されそう」といった理由から、育児休暇の取得を悩んでいる男性も多いでしょう。

今後の仕事に悪影響を及ぼさないためにも、職場の理解を得ることはとても大切です。
では、どのようにすれば育休希望者の男性がスムーズに育児休暇を取得できるのでしょうか。最後に、男性が育児休暇を取得するためのポイントを紹介します。

3-1.職場で良好な関係を築く

育児休暇は男女ともに認められた権利です。しかし、男性が育児休暇を取得することへの理解が進んでいない職場も少なくありません。勤務する職場で良好な関係を築けていなければ、育児休暇の取得に理解を示してもらうことは難しいでしょう。

また育児休暇の取得は、職場の上司や同僚の負担増につながることもあります。「あの人が休むためならこのくらいの負担が増えても大丈夫」と思われるような関係を築いておくと、安心して育児休暇を取得できるでしょう。

3-2.きちんと引継ぎを行う

育児休暇を数週間~数ヶ月単位で取得する場合は、きちんと引継ぎを行うことも重要なポイントです。
育児休暇中は、自分の仕事を部下や同僚にお願いすることも多くあります。引継ぎを行わなければ、自分の仕事を代わりに担当してくれる同僚の方の負担になり、社内全体の仕事が滞ってしまうことも考えられます。

職場にかかる負担を最小限にするためにも、育児休暇に入る前には余裕をもって引継ぎを行う機会を設けましょう。できるだけ早めに育児休暇を取得する意思を伝えておくことも大切です。

まとめ

男性の育休取得率は女性よりも大幅に低いという現状がありますが、若い世代を中心に、男性の育児休暇に対して前向きな意見が多く見られます。また、パパ・ママ育休プラスなど男性が育児休暇を取得するメリットを感じやすい制度も整いつつあります。

育児休暇を取得できる期間はお子さんの成長が著しい時期でもあります。家事などママのサポートをしながら、赤ちゃんの成長をともに見守るという育休生活の経験は、その後の人生の糧にもなるでしょう。育児休暇を取得できる対象者となっている男性は、ぜひ検討してみてください。

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