強い営業組織のKPIとは?営業プロセスごとにKPI設定や評価のポイントをご紹介

「KGI/KPI設定の重要性は理解しているが、実際に考え始めると思考が停止し先に進まない」
「KGIを各営業人員へ分解する時の考え方が分からない」
「明確な目標設定(組織/個人)が無いまま今まで来ており、早急に設定する必要がある」
上記のコメントは実際に弊社顧客(部長職)の皆様方より声を頂いた実例です。
業種、業界、有形商材、無形商材のみならず、営業活動を推進するにあたり、組織目標であるKGI、個人目標であるKPIは必要不可欠であり、設定されていない場合、取り組み進捗、売上フォーキャスト、結果へ対する振り返り、育成等、正しく取組みを進める事ができなくなります。
当社では多彩な営業組織を長らく見続けてきました。本ブログをご覧いただいている皆様方の営業組織では正しくKGI/KPIの設定がされていますでしょうか?
今回は当社顧客(部長職)の皆様方より耳にしたリアルな声を基に、KGI/KPI策定のポイントを考察します。
目次
- 1. 正しくKGI/KPIを設定する事で組織/個人が享受できること
- 2. KPIを定義するメリットと有効性
- 3. KPI設計の手順
- 4.営業プロセスから見る各KPIの関連性
- 5. まとめ
- └B-AEMSのご紹介
1. 正しくKGI/KPIを設定する事で組織/個人が享受できること
組織・個人にあった目標設定をする事で、再現性のある成果や個人のモチベーション担保に繋がります。
再現性のある成果を出せる営業組織
成果に対して再現性がある営業組織とは
①特定の営業に売上創出を依存しない
営業組織内でのベテラン層、中堅層、エントリー層各々でKGIが担保され、一時期のラッキーパンチや市場の外的要因に左右されない売上創出ができる組織
②組織としてPDCAが回っている状態
設定した組織目標(KGI)と個人目標(KPI)が正しくリンクしていて管理職の皆様が正確に組織/個人進捗、売上フォーキャスト、振り返りのPDCAが繰り返されている状態
すなわち組織/個人として目指すべく方向性を目標という数値を使い、導いていく事で再現性のある営業組織近づくことが出来ると考えます。
再現性のある営業組織となるためにKPIが必要
KGI/KPIの重要性を理解していながら、目標設定がされていない。
また目標設定はあるが機能していない。
結果として組織の売上フォーキャストや個人の活動が属人的なブラックボックスになり、組織として正しい売上成長を把握できない。ひいては個人のモチベーション減に繋がる。
これら現場のリアルな声を伺う機会は数多くあり、改めて解決策の一つとして「KGI/KPIを設定し実装する」事が必要不可欠です。
KPIとは/KGIとの違い
ここではあえてリアリティーを持って頂く為に営業組織にKGI/KPIを照らし合わせて考えてみたいと思います。
KGI(Key Goal Indicator)は重要目標達成指標と訳され、営業組織の中では「組織が受け持つ売上目標」になります。
KPIは(Key Performance Indicator)重要業績評価指標となり、KGIを担保する複数の指標「個人別売上」「アクション数」などになります。
これらの考えは定量的な指標を通じて営業活動を評価し、ビジネスを改善するためのガイドラインとなる重要な概念です。
2. KPIを定義するメリットと有効性
前述したようにKGI/KPIを正しく設定し実装する事で営業組織/個人が享受するメリットはたくさんあります。
組織メリット:
営業活動の進捗を正しく把握が可能になり、売上フォーキャストが精緻になる仮にKPI数値が下降気味であった場合、ピンポイントで改善対応を打つことが出来る
個人メリット:
個人単位での売上進捗の把握が可能になり、解決する必要のある課題に対して優先順位が立てやすくなる属人対応からの脱却ができ、
KPIの設定により、営業組織は次のようなメリットを享受することができます。KPIを設定し、定期的にプロジェクトの状態を把握することで、問題点や今後の方向性を明らかにすることが容易になります。
明確な目標設定
KPIは具体的な数値目標を提供し、チーム全体が同じ目標に向かって努力する手助けをします。
業績の可視化
数値に基づいた評価は、営業活動の成果を客観的に可視化し、進捗状況を確認するのに役立ちます。 目標達成のために「何を」「どのくらい」やればいいのかが数値として明らかになります。
課題の特定
KPIにより弱点が浮き彫りになり、改善が必要な領域が明らかになります。 例えば、今起こっている課題はどこで、業績にどのような影響を与えているのかが数値化されてわかるようになります。
成果の最大化
KPIを適切に活用することで、成果を最大限に引き出すための戦略的な導きが可能です。 例えば、現在行っている施策は効果が出ているのか、出ていないのか、出ていないのは何なのかを数値として確認、特定することで今後の方向性を効率的に検討することができます。
3. KPI設計の手順
効果的なKPIを設計するためには、以下のような手順を踏むことが重要です。 プロセスだけですと、イメージが付きづらいと思いますので 「法人向けの新規開拓業務(訪問アポイント獲得)で『顧客カバレッジを最大化し、顧客の業績向上に貢献する』というミッションで運営しているプロジェクトの場合」 を例に挙げご紹介します。
KPI設計の手順1. 目標の明確化
まず、ビジネスの目標と戦略を明確に定義します。 KPIにはこれらを達成した状態となるようなものを設定します。 例の場合、プロジェクトが達成されている状態として「2025年3月までに訪問済み新規顧客数を500社増やす」ことを目標として定義します。
KPI設計の手順2. 計測可能な指標の選定
KPIは計測可能である必要があります。 定量的なデータに基づいて、適切に成果を評価できる指標を設定します。 例の場合、「営業の訪問済み顧客数」「アポイント獲得数」を確認すべき数値として設定します。
KPI設計の手順3. 取得方法と頻度の検討
KPIを取得する方法と頻度を具体的に検討し、設定します。 例の場合は「アウトバウンド用のDBから抽出し、引き継いだ営業の訪問結果を日次で集計する」こととしました。
KPI設計の手順4. 分析体制、マネジメントサイクルの検討
KPIを定期的に確認し、分析を行う体制を整えます。 例の場合は「週次の定例会議で施策の実行状況とKPIの影響を測る」「実績を基に翌週のターゲット目標と施策を検討する」こととしました。
4. 営業プロセスから見る各KPIの関連性
営業活動は複雑なプロセスで構成されており、それぞれの段階で異なる成果を追求する必要があります。
各営業プロセスごとにKPIを設定していくことも重要なポイントです。 (営業活動の可視化については、こちらのブログでも紹介しています。) KPIの設計においては、各指標の定義と計算式を明らかにしておくことでそれぞれの関連性が明らかになります。 また、複数ある指標の中で重点的にマネジメントすべき指標のあたりをつけることが可能です。 営業プロセスの各段階で関連性のあるKPIを見てみましょう。
1. 新規リード獲得
この段階では、新たな見込み顧客を獲得し、ビジネスチャンスを広げることが重要です。 関連するKPIは次の通りです。
新規見込み顧客数
新たに特定された見込み顧客の数を確認することで、リード獲得の効果を評価します。 新規見込み顧客数×成約率=成約数 となるため、新規見込み顧客数の目標設定は重要な指標となります。 具体的な数値に落とし込むと、新規見込み顧客数は以下の様な指標と考えられます。 自社の業務形態にあった指標を新規見込み顧客数として設定しましょう。 例:コール数、アポイント獲得数、訪問数
ウェブマーケティングによる集客からの見込み顧客
ウェブでのマーケティング活動の効果を示すKPIで、ウェブやSNSでのキャンペーン、広告の成果を評価する際に確認する指標となります。 具体的には広告のクリック数やクリック率、LPなどのアクセス数などを指します。 これらの集客から申し込みや資料請求に繋がった数を、新規見込み顧客としてKPIに設定する場合もあります。
2. 初回訪問~案件化
この段階では、見込み顧客のニーズや要求を理解し、適切な提案を行うための準備が行われます。
案件化数
新規見込み顧客とアポイントメントをとり、案件化した数です。 最終的な受注数、受注率を上げていくためには、まず最初の入り口として過去に受注したケースで案件化したパターンを分析し、改善をはかることが重要です。 また、現状把握の数値として、案件化した数も定常的に確認していく必要があります。
初回ヒアリングの重要性
初回訪問時に適切なヒアリングを行うことは、次の提案段階に繋げる上でも重要な要素となります。 予算(Budget)、決裁権(Authority)が誰にあるか、必要性(Needs)、導入時期(Timeframe)のBANT情報は初回訪問時に必ずヒアリングすべき項目となります。 これらを踏まえた上で顧客の現状課題やご要望をヒアリングし、ニーズを分析することで、より効果的な提案、交渉の方向性、戦略を検討できるようにします。
3. 提案と交渉
提案段階では、顧客のニーズに合った提案を行い、交渉によって契約を獲得します。
提案数
成約までにいたる提案回数です。 顧客のニーズが掴み切れていない場合や説明や情報が不十分な場合、また、顧客側が同時期に競合他社と比較している場合などにこの回数が増える可能性があります。 提案数や過去の事例の提案が成約に結びつく割合(提案率)を確認することで、提案の質や効果を評価することができます。
4. 成約と契約
成約段階では、実際の契約を締結し、ビジネスを確定させます。
成約数
実際に成約された取引数を示し、この営業活動の成果を評価します。 成約数や成約率を上げていくためには、前述までの各KPIを上げていく施策を立てていく必要があります。 各段階で施策を立てた際には、その後の成約数増加に繋がっているのかという視点でも評価するようにしましょう。
結論
これらのKPIは、営業プロセスの各段階での成果を測定し、戦略的な意思決定とプロセスの改善を支援します。 適切なKPIの設定と活用によって、強力な営業組織の構築と持続的な成功を実現できるでしょう。
5. まとめ
強力な営業組織を構築するためには、明確な目標設定と効果的なパフォーマンス評価が不可欠です。
KPIの設定は、営業活動の効果的な評価と改善を支援する重要な手段です。 適切なKPIを設計し、営業プロセスと結びつけることで、営業組織の成功を確かなものとすることができるでしょう。 ただ、一つ気を付けていただきたいのは、KPIは設計しただけでは何の意味もありません。
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