カスタマーサクセス実行戦略の考え方とは?顧客との関係性を強化して売上を伸ばす

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「カスタマーサクセス」という概念が世に出てから数年が経ち、今ではこの仕組みを取り入れて組織を構築している企業も珍しいものではなくなりました。しかし、カスタマーサクセスはただ組織を立ち上げるだけで十分に機能するわけではありません。明確な実行戦略をもって顧客と長期的な関係性を構築してこそ、解約率は低下し、アップセル・クロスセルが実現するものです。本記事では、カスタマーサクセス組織を強化するための実行戦略について、チェックすべきポイントを解説していきます。

目次

1. なぜカスタマーサクセスには実行戦略が必要なのか?

そもそも、なぜカスタマーサクセス組織には明確な実行戦略が必要なのか、おさらいしておきましょう。
まず、実行戦略があることで、カスタマーサクセスチームは明確な目標と方向性を持つことができます。これにより、メンバー全員が同じ目標に向かって効率的に動くことができ、リソースの無駄を減らすことができます。 戦略的なアプローチを取れば、顧客のニーズや問題点を事前に把握し、プロアクティブに対応することが可能になります。 その結果、顧客満足度が向上し、解約率(チャーンレート)低下が期待できます。

また、実行戦略はカスタマーサクセスチームのパフォーマンスを評価し、継続的に改善するための基盤となります。 KPIを設定し、定期的にレビューすることで、どの戦略が効果的かを判断し、必要に応じて調整することができます。これにより、チームの効率性と効果が最大化され、より良い結果を生み出すことができます。 明確な実行戦略は組織全体の理解とサポートを得るためにも重要です。 カスタマーサクセスは単なる一部門ではなく、全社的な取り組みが求められます。 戦略を共有し、全員が一丸となって取り組むことで、企業全体の成長と成果につながります。

次章から、具体的にどのような点についての戦略を考えるべきなのか紹介いたします。

2. カスタマーサクセスの実行戦略その1|チームの育成と最適化

カスタマーサクセスの実行戦略を策定するにあたりまず念頭に置きたいのは、どんな戦略を策定したとしてもそれを実行するのはチームであり、チームを機能させるには人材の育成と最適配置が不可欠だという点です。
カスタマーサクセスの組織内での担当企業の割り振りや、カスタマーサクセスのどの段階を担当してもらうのかなど、最適なカスタマーサクセス組織を組成するためには、メンバー一人ひとりのスキル・スタンス・意向を把握することが大切です。

例えば、エンタープライズ層の顧客であれば、自分たちに寄り添い、まるで自社の一員のように成果の最大化に向けて伴走してくれるコンサルタントのようなカスタマーサクセス担当者を欲している傾向が強かったり、エントリー層の顧客であれば、サービス知識に長けていて困りごとをスピーディに解決してくれる、また、多くの顧客を担当する必要があるため、マルチタスクや優先順位付けに長けているメンバーが適していると言えるでしょう。

一度スキルマップを作成し、各メンバーのスキルや習熟度にあわせて担当企業や業務範囲を決めることで、カスタマーサクセス組織の最適化をすることが可能です。

3. カスタマーサクセスの実行戦略その2|効果的なオンボーディングプロセス設計

カスタマーサクセス組織が成果を出すための実行戦略で考えておくべき重要なポイントは、効果的なオンボーディングプロセス設計です。
オンボーディングとは、顧客がサービスを使い始めてから、操作方法や機能を理解し、顧客自身でサービスが使いこなせるようになるまでを支援するプロセスのことを指します。 カスタマーサクセスには「オンボーディング(導入)」「アダプション(活用)」「エクスパンション(拡大)」という3つのフェーズがあり、このうち「オンボーディング」のサポートは、カスタマーサクセスの中でも最も重要なプロセスと言えます。

オンボーディングのプロセス設計にあたり必要なことは、以下の2点です。
・サービスの特長や契約期間に合わせて、オンボーディングの各プロセスにおける状態目標を決める
・各プロセスの状態目標を達成するために必要な条件や項目を整理する

オンボーディングのプロセスを設計する際は、あらゆる顧客に対して汎用的に当てはまるよう、「顧客にどのような状態になっていてほしいのか」「そのために必要な条件は何か」を、抜けもれなくできるだけ具体的に洗い出し、そのうえで重要度の高いものをプロットしていきます。

例えば、もっとも初期の「導入」というプロセスの場合は、状態目標を「サービスを導入する目的が明確になっている」「サービスの特性について顧客が正しく理解している」と設定し、 目標達成に必要な条件を「初期設定に必要な情報の取得」「導入目的・導入背景などの整理」「オンボーディングのゴール決め」と設定します。

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4. カスタマーサクセスの実行戦略その3|パーソナライズされたアプローチ

カスタマーサクセス組織が成果を出すための実行戦略で考えておくべきもう一つのポイントは、パーソナライズされたアプローチをいかに実現するかということです。 先ほどのオンボーディングに関する解説では、あらゆる顧客に対して汎用的に当てはまるよう設計する、と記載しましたが、顧客の抱える課題や事情は本来それぞれ企業ごとに異なっているものです。

カスタマーサクセスのフェーズが先に進むにしたがって、汎用的な支援プロセスでは解決できない問題にぶつかることがあります。 それを解決するためには、カスタマーサクセス担当者が顧客の個別の課題を把握するため自由にコミュニケーションできるような体制を整えておく必要があります。

例えば、四半期ごとに顧客とカスタマーサクセス担当者でビジネスレビューを実施し、サービスの導入効果の振り返りと、より良い成果創出に向けた次のステップを設計することで、企業ごとに異なるゴールへのロードマップを作成・更新していきます。 導入効果を実感している顧客の場合は、カスタマーサクセス担当者からの提案だけでなく、顧客自身にも成果をコミットしてもらうことでさらなるエンゲージの向上が期待できます。

また、思っていたような導入効果を実感できていない顧客でも、導入前後で改善できた部分をできるだけ定量的に評価し、着実に課題解決に向け進んでいることを実感してもらえるようにコミュニケーションを進めて行きましょう。

5. カスタマーサクセスの実行戦略その4|適したKPIの再設定

カスタマーサクセス組織が思うように成果を挙げられていないと感じている原因は、サービスの特長に適したKPI設定となっていないからかもしれません。 カスタマーサクセスの実行戦略を策定するにあたり、KPIを再設定することで状況が改善する場合があります。
カスタマーサクセス組織で見るべきKPIの例としては、以下が挙げられます。

・解約率
契約中の顧客の解約防止が重要。カスタマーサクセス組織においてはもっとも一般的。

・オンボーディング完了率
顧客に自社サービスの活用方法を理解し定着してもらうためにKPIとして設定。

・アップセル・クロスセル率
提供しているサービスに複数のプランがある場合に設定することが多い。

・売上継続率
既存顧客の売上を前年比で維持できているかを計る指標。

・NPS(顧客推奨度)
サービスまたは企業自体への愛着度を測る指標。

・アクティブユーザー数
自社内で決めた期間内に1回以上利用(ログイン)した利用者を測る指標。

・LTV(顧客生涯価値)
企業にとって、ある一人(一社もしくは一契約)に顧客が生涯にわたってもたらす利益。

カスタマーサクセスに限った話ではありませんが、KPIはKGI(最終的なゴール)を達成するためのプロセスにおいて達成すべき指標となります。 「KGIを達成するためにはどのようなプロセスをたどるのか」を分析し、適切なKPIを設定する必要があります。 カスタマーサクセス組織においては、自社のサービスを理解し、顧客を成功に導くためのプロセスとして、最終的にKPIの設定を行います。

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6. まとめ

いかがでしたか?
本記事では、カスタマーサクセス組織を強化するための実行戦略を策定するうえで、具体的に考えるべきポイントを4点紹介しました。 今回は代表的なポイントについて記載しましたが、実際にカスタマーサクセス組織の実行戦略を策定する際は、 本記事で紹介した内容以外にももっと多くのポイントを考慮したうえで、組織固有の状況に最も適した戦略を策定・実行することになります。

パーソルビジネスプロセスデザインは、独自メソッドを活用して顧客の商材価値を最大限に引き出せるようなカスタマーサクセス業務の仕組化・組織化に、そしてその取り組みを通じたLTVの最大化に貢献いたします。 カスタマーサクセス組織の強化をご検討の際は、ぜひご相談ください。

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