カスタマーサクセス導入の成功事例5選|成功事例に学ぶ、共通する3つのポイントをご紹介

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カスタマーサクセス 事例

カスタマーサクセスが日本国内で注目されるようになったのはここ数年です。いざ事例を検索してみても、海外企業が事例に取り上げられることが多く「イメージが湧きづらい」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

・日本国内におけるカスタマーサクセスの企業事例を知りたい
・カスタマーサクセスを導入することでどのような成果が得られるのか知りたい
・カスタマーサクセス導入にあたり抑えるべきポイントを整理したい

本記事ではカスタマーサクセス導入に成功した事例5選を紹介します。後半では各事例に共通する3つのポイントもご紹介していますので、カスタマーサクセスを導入したい方、既にカスタマーサクセスに取り組んでいるという方にも、ぜひ参考にいただければ幸いです。

目次

  1. 1. カスタマーサクセス導入の成功事例
  2.  1-1. スコアリングによるユーザー管理で解約率4%→2.62%を実現
  3.  1-2. サービス改善とカスタマーサクセスの両軸からオンボーディング完了率の向上
  4.  1-3. 効果的なテックタッチによるNPSの改善
  5. 2. カスタマーサクセス導入の成功事例5選
  6.  2-1. “サポートが要らない世界” ー 究極のカスタマーエクスペリエンスの実現へ
  7.  2-2. 継続利用率99.5%を誇るSmartHRのカスタマーサクセスチーム。
  8.  2-3. 世界1200万人ユーザーの利用状況の把握方法とは?
  9.  2-4. 顧客の状況に合わせて適切なタッチ、ベルフェイスに見るカスタマーサクセスの仕組み化
  10.  2-5. カスタマーサポートからカスタマーサクセスへ、お客様の成功に繋がる対応を実現する。
  11. 3. カスタマーサクセスの事例から分かる成功のポイント
  12.  3-1. ポイント①ユーザーへ素早く、負荷なく、成功を届ける
  13.  3-2. ポイント②ユーザーの成功なくして、LTVの最大化はあり得ない
  14.  3-3. ポイント③カスタマーサクセスは全社員一致で取組むべき
  15. 4. まとめ

1.カスタマーサクセス導入の成功事例

カスタマーサクセスを導入することでどのような成果が得られるのか、まずはイメージをいただくために、パーソルプロセス&テクノロジーが提供するカスタマーサクセス実行支援サービスから3つの事例をご紹介いたします。

1-1.スコアリングによるユーザー管理で解約率4%→2.62%を実現

1つめにご紹介するのは、ITセキュリティサービスの開発・提供を行う大手ベンダー企業様にて、カスタマーサクセスの組織構築から、その後の実行までをご支援した事例です。

この事例では、ITサービスの多様化や、競合他社のシェア拡大により、サービスの解約が増加傾向にあるなか「チャーン(解約)阻止をするノウハウがない」「人的リソースが足りない」といった課題を抱えていました。カスタマーサクセスの業務範囲の決定や、営業や開発などの部門間における連絡フローの確立といったプロセスデザインの構築を実施。また、ジャーニーマップの作成、1,500社を超える導入企業の利用実態の把握や、アンケート調査といった実行支援までを行いました。

スコアリングによるユーザー管理によって解約兆候を事前にキャッチアップできるようになった結果、目標としていた解約率4%は2.62%まで引き下げることに成功。達成率152%を実現しました。

1-2.サービス改善とカスタマーサクセスの両軸からオンボーディング完了率の向上

続いてご紹介するのは、最新の企業情報や業界動向など、有料のビジネスコンテンツをSaaS型で提供する大手メディア企業様において、カスタマーサクセスの実行支援をさせていただいた事例です。

月額利用料金が比較的安価なこともあり、当初より「カスタマーサクセスが重要になる」という認識はあったものの、サービスリリースから日も浅く、まだまだ営業活動に注力をしている段階のため、カスタマーサクセスの具体的なプランはこれから策定するといった状態でした。

パーソルプロセス&テクノロジーではセールス領域における支援実績も豊富にあるため、サービス導入前のユーザー企業との課題合意、導入後の運用・利用定着に至るまでの一連の流れをシームレスにサポートすることで、オンボーディング完了率の向上を実現。

また、人的リソースの提供だけではなく、ユーザー企業の意見や要望をサービス開発にもフィードバックを行い、UI/UXの改善にも寄与すること全体のアクティブユーザー率も11%向上することが出来ました。

1-3.効果的なテックタッチによるNPSの改善

最後にご紹介するのはNPSを活用し顧客ロイヤルティを可視化・向上していきたいものの、何から手を付けて良いのかわからないという、大手金融会社様からのご相談でした。

近年、金融業界では「顧客本位の業務運営に関する原則」によりNPSの活用や改善に取組む企業が増加しています。当社では約2年の時間をかけて「現状調査」と「理想体験の提供」という、段階的なプロジェクトとしてカスタマーサクセスの実行支援をいたしました。

初期段階では電話やメールによるユーザーへのヒアリングから、サポート体制の見直し、オンボーディングメニューの細分化など、ユーザーニーズを可視化していきました。プロジェクトの後半では、地理的要因や企業属性に合わせたペルソナ設定や、カスタマージャーニーの見直し、チャットアプリやマーケティングツールを使ったタッチポイントの増加を図ることでユーザーの理想体験を提供。

最終的なNPSは推奨者+14.9%、中立者+1.3%、批判者-16.2%となり、結果として31.1ポイントの改善を実現することができました。

2.カスタマーサクセス導入の成功事例5選

ここからは日本国内企業におけるカスタマーサクセス導入事例5選をご紹介していきます。

2-1.“サポートが要らない世界” ー 究極のカスタマーエクスペリエンスの実現へ

Sansanは「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションとする、法人向けの名刺管理サービスを展開する日本の企業です。世界的なトップシェアを誇るカスタマーサクセス支援ツールを日本の企業として初めて導入をした企業でもあります。同社では「サービスのメリットをユーザに実感してもらうためには、まずは使ってもらうこと」が重要であると定義し、オンボーディング支援に特化したカスタマーサクセス部門を創設しました。

業績の向上に合わせ「使ってもらう」から「価値を実感してもらう」という段階へシフトしていくなか、多くのフレームワークやノウハウ、独自のヘルススコアやデータ収集、ユーザに合わせた対応手順を短期間で定義・構築し、成長を続けていきます。

また、カスタマーサクセス、マーケティング、リニューアルセールス(契約更新やアップセル/クロスセルを担う部署)が同じユーザデータを見て議論することにより、3者が連携をしてカスタマーに向き合う体制を整えていったのです。

データ活用への投資を行うことで、それまで対応をしきれなかった、ユーザ追加や管理者の変更などをタイムリーに把握し、結果としてCSMやリニューアルセールスが最適なタイミングでコンタクトをとることができるようになったため、提案機会や売上げの増加に繋げることが出来ました。

出典:Zendeskで目指す“サポートが要らない世界” ー 究極のカスタマーエクスペリエンスの実現へ

2-2.継続利用率99.5%を誇るSmartHRのカスタマーサクセスチーム。

驚異的な継続利用率を誇り、カスタマーサクセスの先進企業としても注目を集めるSmartHR社ですが、正式にカスタマーサクセスが組織されたの2016年、1名体制からのスタートでした。

チャットによるサポートを中心としつつも、必要に応じて実際に訪問等によるオフラインサポートも行うなど、徐々にサポート範囲を拡大していきます。導入企業数の拡大や大企業での導入が進んでいくなかで、サービス導入初期・導入後などユーザーのニーズに合わせて適切なサポートが提供できるようチーム体制も細分化していきました。

セールス担当者から「このユーザーにはより手厚いサポートを」といった要望も増え、一定以上のサポートは「有料サポート」として提供を行うなどの差別化を展開していきます。

ユーザーに、より効果を実感してもらいやすくするために「キックオフ」「トレーニング」「状況確認」などステップを分解してオンボーディングを行うなど、一貫して「お客様の成功」を軸にしたカスタマーサクセスにより、99.5%という契約継続率を実現することが出来ました。

出典:継続利用率99.5%を誇るSmartHRのカスタマーサクセスチーム。その思考とオペレーションを徹底解剖

2-3.世界1200万人ユーザーの利用状況の把握方法とは?

日本でもなじみのあるビジネスコミュニケーションツールのSlack。一度は利用したことがある、という方も多いのではないでしょうか。

サービスのログイン回数、利用している機能などの視点からユーザーをスコアリングし、課題のあるユーザーには必要なプログラムを提供するという徹底した実行支援をしています。また、業務に必要なツールやサービスとの連携が実現できる、ビジネスコラボレーションのハブとしての役割がユーザーの満足度と定着を支えています。

世界150か国以上にユーザーがいると言われるなか、日本は世界第二位の市場として日々成長を続けています。これには「働き方改革」という日本のビジネストレンドが追い風となっているだけではありません。

Slackを日々使っているユーザ同士のネットワークを積極的に広げる「ファン化」を進めたり、毎月開催されるオンライントレーニングでは、一方的に動画を見て学ぶのではなく、一緒に操作をしながら覚えていくインタラクティブなトレーニングという、日本独自のカスタマーサクセス活動が功を奏しています。

出典:世界1200万人ユーザーの利用状況の把握方法とは?

2-4.顧客の状況に合わせて適切なタッチ、ベルフェイスに見るカスタマーサクセスの仕組み化

URL発行などの事前準備が不要で、簡単に資料や画面の共有ができる国内シェアNo1のオンライン営業システムを提供するBellFace社。

創業当初は「いいプロダクトを市場に投入すれば売れていく」との考えのもと、導入実績を伸ばしていきますが、数年も待たずに解約が急増したことから、カスタマーサクセスが本格的にスタートしました。

現在も原則として全ユーザーにハイタッチを行っており、1to1でユーザー情報をキャッチアップしつつ、ロータッチやテックタッチも同時に実施。

サービスのログイン状況や、推進者が前のめりになっているか、セミナーなどへの参加などをヘルススコアとして可視化。
ユーザーの中に潜む「声なき声」をできるだけ的確に把握し、事前に用意された「打ち手フロー」によって常に先回りをしたアクションをとっています。

また、ユーザー会に力を入れているのも特徴で、成功したユーザー企業に登壇をしてもらうことで一つの成功事例を起点に、ほかのユーザーにも成功が波及していくことを実践しています。

出典:顧客の状況に合わせて適切なタッチ、ベルフェイスに見るカスタマーサクセスの仕組み化

2-5.カスタマーサポートからカスタマーサクセスへ、お客様の成功に繋がる対応を実現する。

最後にご紹介するのは、高機能クラウドPOSレジを展開する「スマレジ」です。スマートフォンやタブレット端末を使って、低価格でありながらも決済や売上分析、在庫管理といった様々な機能を提供しています。

飲食店ではアルバイトスタッフの勤怠管理をスムーズにしたい、小売店では30代女性の購買ニーズを把握したいなど、豊富な機能ラインナップをもって、ユーザーの目の前の問題解決だけではなく、理想のお店づくりを目指して様々なソリューション提案を行う「プラスアルファの案内」をサービス提供初期から一貫して行っています。

もともとはカスタマーサポートと称していましたが、途中からカスタマーサクセスへと名称を変更したという経緯もあるようです。カスタマーサクセスの人員もアウトソーシングを利用せず、すべてを内製化することにより、より高度で専門的な対応を可能としています。

また、毎月の問い合わせに対する応答率をホームページ上で公開したり、ユーザーからの要望やお褒めの言葉を、営業・開発・デザインと各部署に共有をし、カスタマーサクセスの向上に全社最適に取り組んでいる点も特徴です。

出典:カスタマーサポートからカスタマーサクセスへ、お客様の成功に繋がる対応を実現する。

3.カスタマーサクセスの事例から分かる成功のポイント

提供するサービス内容も違えば、利用するユーザーの企業属性も様々ですが、カスタマーサクセス導入により成果を上げている企業事例には共通する3つのポイントが見えてきます。

3-1.ポイント①ユーザーへ素早く、負荷なく、成功を届ける

カスタマーサクセス導入の成功に共通するポイントの1つ目は「早期にユーザーに価値を実感してもらう」ことです。

ユーザーが初めてサービスに触れ、時間と労力をかけてでも使いこなしたいと考えているタイミングで「期待しているほどでは無かった」と感じさせてしまった場合、再びユーザーの期待値を取り戻すのは非常に困難です。

ユーザーが価値を実感するまで(TtV / タイム トゥー バリュー)は、どれだけ利用しているかではなく、どれだけ価値や成果を得たのか,という視点が重要であり、これはオンボーディングが上手くいくかどうかで大きく別れることになるでしょう。

どのようにサービスを活用するのかをユーザー側に委ねてしまうサービス(企業)が多いのが実情であり、ユーザーに取っては大きな負荷となっているのです。

カスタマーサクセスが主導となって推進すること(チェンジマネジメント)を心がけるようにしていきましょう。

3-2.ポイント②ユーザーの成功なくして、LTVの最大化はあり得ない

カスタマーサクセス導入の成功に共通するポイントの2つ目は「顧客の成功を追及する」ことです。

これまでの売切りモデルでは販売規模を最大化することにフォーカスがされており、サービスを購入してもらうまでは熱心にコミュニケーションをとるものの、その後は音沙汰が無くなってしまう、という企業とユーザーの関係性がよく見られました。

一方、サブスクリプションモデルではサービスの導入はユーザーへ成功を届ける手段の一つであり、契約更新を続けてもらい、アップセルやクロスセルをしてもらわなければ企業側の採算は取れません。

もちろんユーザー側も導入をしたからにはきちんと成果を出していきたいという思いを抱いています。

「このサービスを使い続けたい、この素晴らしさを広めたい」とユーザーに感じてもらい、行動に移してもらうことこそがLTVの最大化へ直結するのです。

まずはユーザーと向き合い、実現したい目標(ユーザーのゴール)を正しく理解することから初めてはいかがでしょうか。

3-3.ポイント③カスタマーサクセスは全社員一致で取組むべき

カスタマーサクセス導入の成功に共通するポイントの3つ目は「トップダウンかつ、全社レベルでカスタマーサクセスに取組む」ことです。

カスタマーサクセスは「顧客の成功」を常に念頭におきアクションを行い、サービスを長期的に利用してもうことで初めて成果(収益)を創出します。全社員がその重要性を理解し、また、企業のトップがそれを発信し続けることで「作る→売る」という企業体質や価値観を変革させていく必要があります。

カスタマーサクセスを単なる部署名と捉えている方も多くいるかと思いますが決してそうではありません。「営業」と同じように部署名であると同時に企業に取って必要不可欠です。

4.まとめ

以上、カスタマーサクセス導入の成功事例5選と、そこに共通する3つのポイントをご紹介いたしました。前述の通り、カスタマーサクセスは企業活動をしていくうえで、もはや必須となる取組みとなっています。

価格や機能で差別化を図るように、カスタマーサクセスを充実させることで競合優位なサービスを目指すことが可能です。一方でカスタマーサクセスを組織し、成果を出すには中長期で取組むことが必要で決して簡単なことではありません。

ジャーニーマップの作成やヘルススコアの管理など、経験が無いなか進めて行くのは困難です。カスタマーサクセスをサポートするツールの利用を検討したり、より専門的な知識を持ったコンサルティングサービスやアウトソーシングを活用するのも有効です。

より詳細な事例を知りたい、自社でもカスタマーサクセスに取り組みたいとお考えの際はお気軽にご相談ください。
本記事が皆さまのカスタマーサクセスにお役立ていただけましたら幸いです。

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