カスタマーサクセスとは?メリット・デメリットや注目されている理由を紹介します

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カスタマーサクセス とは

近年大企業を中心に注目を集めているカスタマーサクセスですが、そもそもカスタマーサクセスを導入する目的は何なのでしょうか?また、どのような取り組みを指すのでしょうか?

セールスやコンサルタント、カスタマーサポートとの違い、カスタマーサクセスを導入することによるメリットやデメリットをお送り致します。

目次

  1. 1. カスタマーサクセスとは?
  2.  1-1. 営業との違い
  3.  1-2. コンサルタントとの違い
  4.  1-3. カスタマーサポートとの違い
  5. 2. カスタマーサクセスを導入するメリット
  6.  2-1. 顧客生涯価値(LTV)の向上
  7.  2-2. 解約率(チャーンレート)の低減
  8.  2-3. ユーザーからサービス・製品の改善点をヒアリングできる
  9.  2-4. ブランドを好きになる顧客の増加
  10. 3. カスタマーサクセスを導入するデメリット
  11.  3-1. カスタマーサクセス部署・部門の立ち上げに時間が掛かる
  12.  3-2. コストを掛けても成果が出ない可能性がある
  13. 4. カスタマーサクセスで設定する主なKPI
  14. 5. カスタマーサクセスのやり方
  15. 6. カスタマーサクセスの成功事例
  16. 7. まとめ

1.カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスの目的は大きく3点あります。

1点目は「チャーンの減少や管理」です。現代の日本社会ではSaaS(Software as a Service)のサブスクリプション型サービスが急増しています。サブスクリプション型サービスのCAC(カスタマーアクイジションコスト)回収には、一般的に購入後12~24か月が必要であるとされています。CAC(カスタマーアクイジションコスト)とは、一顧客の獲得に要したセールスマーケティングコストの事です。つまりサブスクリプション型サービスの普及によって売り手は買い手から選ばれ続ける必要があり、サブスクリプション型サービスの最大のリスクはCAC回収前に顧客を失うことと言えます。

2点目は「既存顧客の契約金純増」です。クロスセル、アップセルと呼ばれることが多いですが、インストールベースの契約と収益を伸ばすことを指します。サブスクリプション型サービスのCAC回収は売り手にとってデメリットだけではなく、回収までの日数短縮やクロスセル、アップセルによっては契約金を純増させることも可能となります。新規案件を獲得するよりも費用を削減でき、既存顧客のLTV(Life Time Value)を増加させることが可能です。

3点目は「カスタマーエクスペリエンスと顧客満足度の向上」です。カスタマーエクスペリエンスとは、顧客ライフサイクルにおいて、顧客が得る体験や価値、メリットなどを指し「CX」と表記されることもあります。一般的に顧客を喜ばせ続けることを二次収益と呼びますが、心理ロイヤリティが生まれたことによる二次収益の影響は急速に広がり、その効果は顧客のLTVを数十%以上増加させることもあります。

目的を果たすための業務としては定期的なリレーション構築、VOC収集による顧客要望や市況の早期キャッチアップ、プロダクト自体の定期的なアップデートが重要となります。

1-1.営業との違い

カスタマーサクセスと営業の違いについて記載します。

営業の目的は「新規契約獲得件数/新規契約金額の向上」です。カスタマーサクセスは「既存顧客の契約継続」が目的の1つであるため、この点で大きく異なります。

また業務内容で見ると、営業は「新規契約を獲得するための活動」であることに対して、カスタマーサクセスは「既存顧客とのリレーション構築」のため、この点でも営業とは異なります。

1-2.コンサルタントとの違い

次にカスタマーサクセスとコンサルタントとの違いについて記載します。

コンサルタントはカスタマーサクセスの活動の1つに含まれる為、似ている部分も多くあります。しかし、カスタマーサクセスは「カスタマーエクスペリエンスと顧客満足度の向上」つまり顧客自身の成功がゴールとなることに対して、コンサルタントはプロジェクトの完遂がゴールとなります。その部分でコンサルタントは顧客ではなく自組織にベクトルが向いていると言えます。

1-3.カスタマーサポートとの違い

次にカスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いについて記載します。

まず目的の部分は若干の違いがあり、カスタマーサポートは顧客の不満や疑問をスムーズに解消する事で企業の収益に繋げることが目的となります。

業務内容ではファーストアクションが大きく異なり、カスタマーサポートは顧客からの問い合わせに対して対応することが多いです。カスタマーサクセスはCHS(カスタマーヘルススコア)の低い顧客などに対して、先手を打ってアプローチを行います。CHS(カスタマーヘルススコア)とは、顧客のサービス利用状況の健康状態を指します。利用状況が健康であれば寿命が延びるという考えであり、適切に利用出来ており満足度も高い状態であれば、チャーンリスクが低いと判断できます。主に「ログイン数」「クリック数」「利用時間」「NPS」などで判断します。

2.カスタマーサクセスを導入するメリット

カスタマーサクセスを導入することによるメリットは大きく4点あげられます。1点目はLTV(Life Time Value)の向上、2点目はチャーンレート(解約率)の低減、3点目はプロダクトやサービスの改善、4点目はブランドを好きになる(ファン化)顧客の増加です。

2-1.顧客生涯価値(LTV)の向上

LTV(Life Time Value)とは「顧客生涯価値」と訳され、顧客が一定期間内に企業のサービスを購入した金額の合計を指します。前述した様に、近年ではサブスクリプション型サービスが増加傾向にあり、サブスクリプション型サービスはプロダクト型サービスに比べCAC回収には一定期間が必要です。その為、カスタマーサクセスを導入することでクロスセル、アップセルを効果的に実施でき、CAC回収までの期間は短縮され、さらにLTVが向上します。
【LTVの算出方法=平均購買単価×継続購買期間or平均購買頻度】

2-2.解約率(チャーンレート)の低減

サブスクリプション型サービスの最大のリスクはCAC回収の前に顧客がチャーン(解約)してしまい、継続的な売り上げが見込めなくなることです。その点でカスタマーサクセスを導入することで、CHS(カスタマーヘルススコア)の定点観測やNPSの収集が可能になり、チャーンリスクを低減する活動が行えます。

2-3.ユーザーからサービス・製品の改善点をヒアリングできる

カスタマーサクセスの活動は顧客とのリレーション構築が重要となってきます。定期的にアプローチすることでサービスや製品に対しての不満や改善点、業界の市況などのVOC収集が可能となるため、常に最先端の情報を吸い上げることが可能です。その為、カスタマーサクセスの導入は、サービス開発の観点でも非常に重要になると言えます。

2-4.ブランドを好きになる顧客の増加

カスタマーサクセスは企業のブランディングにも影響を与えます。カスタマーサクセスによる継続的なリレーション構築によって顧客の心理ロイヤルティを獲得、向上させることができます。心理ロイヤルティとは「サービス自体が好き」「サービスを出している企業自体が好き」という顧客を指し、心理ロイヤルティの獲得、向上は二次収益にも繋がります。

3.カスタマーサクセスを導入するデメリット

カスタマーサクセスを導入する時のデメリットは大きく2点あり、1点目が「カスタマーサクセス部署・部門を立ち上げるには時間がかかる」という点で経験者がいない場合は特に時間を要する場合が多いでしょう。2点目が「コストをかけても瞬間的な成果が出ない可能性がある」という点で、特に成果=売上と定義した場合は長期的な目線を持つ必要があり、短期計測したい場合は別の指標が有効でしょう。

3-1.カスタマーサクセス部署・部門の立ち上げに時間が掛かる

カスタマーサクセスにはどのような部門や部署が必要になるのでしょうか?

主に必要になる部門や部隊としては、カスタマーサクセスの業務を実際に行う部隊、CHSなどを定常的に管理する部門、VOC収集による顧客要望をサービスに反映させる開発部隊が想定されます。サービス内容が複雑な場合、カスタマーサクセス部隊からの問い合わせや質問に対応する部門も重要になります。

またこれらの部門・部署を準備するだけでなく、CHSを確認するため、CRMツールや顧客要望をフィードバックできる仕組みなども考える必要があります。そのため、カスタマーサクセス組織の立上げには一定の時間が掛かります。

3-2.コストを掛けても成果が出ない可能性がある

それだけの時間やコストをかけても成果が上げられない可能性があります。カスタマーサクセスで最も重要な「カスタマーの成功」の定義付けが間違えていたり、それを叶える為のアプローチ方法が間違えていると、顧客満足を得られない為、どれだけ人的リソースやコストをかけていてもチャーンレートの低減やLTVの向上には繋がりません。

4.カスタマーサクセスで設定する主なKPI

KPIとは目標達成する上で、達成度いを計測するための指標です。KPIを設定して定期的に組織の状況を確認することで、どのプロセスで問題が起こっているか、問題を解決するための施策は効果的なものかなどが判断できます。カスタマーサクセス導入の際もKPIを設定しておきましょう。

【カスタマーサクセスで設定する主なKPI】
・チャーンレート(解約率)
サービスを契約した顧客の解約率です。カスタマーサクセスのKPIで最も設定されているケースが多い項目となります。
・オンボーディング完了率
オンボーディングとは顧客にサービスの活用方法を理解して頂き、定着させる活動の事を言います。オンボーディングが完了しているということは、顧客が一時的に定着しているという理解が出来ます。
・クロスセル率/アップセル率
提供サービスに複数のプランがあったり、顧客がカスタマイズできる場合はクロスセル率やアップセル率をKPIに設定する場合もあります。
・CHS(カスタマーヘルススコア)
主にサービスのログイン数、機能利用数、ログイン時間などからCHSのボーダーを決めます。CHSがボーダーを下回らない様にアクションし続けるためには重要なKPIとなります。

5.カスタマーサクセスのやり方

カスタマーサクセスの業務の一連の流れは以下の通りです。

【カスタマーサクセスの実施手順】
1.Entry(導入期)
・オンボーディング:営業からの引継ぎ、顧客理解の深耕、顧客との共通ゴールの設定を行います。
・導入支援:ゴールに向けた課題整理や認識合わせ、活用状況のヒアリング、課題に合わせた計画の策定を行います。

2.Adopt(活用/定着期)
・活用支援:課題解決に合わせたツール活用支援、共通ゴールに向けた課題解決を行います。
・契約更新:継続的な利用の為に契約更新を促進します。

3.Expand(拡大期)
・アップセル/クロスセル:上位プランやオプションメニューの検討を促進し、ユーザー数の拡大や別メニューの利用に繋げます。

6.カスタマーサクセスの成功事例

パーソルプロセス&テクノロジーがカスタマーサクセス導入支援を行った企業様の事例をご紹介します。
某大手観光関連企業では、自社サービスのリリースに合わせてカスタマーサクセス部門を設立していましたが、自社に経験者がおらず、構築した設計が上手く機能するか不透明な状況でした。リリース間近のサービスを成功させるためにカスタマーサクセスの経験者をアサインし、スムーズに運用を開始。
その結果、オンボーディング率は100%となり、CHSも当初想定していた数値を大きく超えることに成功しました。

7.まとめ

カスタマーサクセスはカスタマーエクスペリエンスと顧客満足度の向上を目指すため、LTVの向上やチャーンレートの低減を見込むことができます。一方で、立ち上げに工数がかかることや「カスタマーの成功」の定義付けを間違えると成果が得られない可能性があるというデメリットも存在します。

その為、カスタマーサクセスの導入は難易度が高く、経験者がいないと組織の立ち上げ自体が困難になります。

パーソルP&Tはカスタマーサクセスの支援を行っており、事例も豊富にあるため、カスタマーサクセス導入を検討される際は是非お声がけください。

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