カスタマーサクセスのKPI|正しい目標設定と達成するポイントとは?

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カスタマーサクセス kpi

これから「カスタマーサクセス」に取り組む、または、今まさに「カスタマーサクセス」への取り組みを始めた、そのような時に、何を目標としたら良いのか、どのような指標を見たらよいのか、迷うことが多いかと思います。 今回は、カスタマーサクセスのご担当者が着目すべき指標・ポイントについてご説明します。顧客がサービスを通して成功(目的を達成)するために、ご担当者に求められる考え方をまとめておりますので、ぜひお役立ていただければ幸いです。

目次

  1. 1. 1. カスタマーサクセス業務で見るべきKPIとは?
  2.  1-1. 解約率
  3.  1-2. オンボーディング完了率
  4.  1-3. アップセル・クロスセル率
  5.  1-4. 売上継続率
  6.  1-5. NPS(顧客推奨度)
  7.  1-6. アクティブユーザー数
  8.  1-7. セッション期間
  9.  1-8. LTV(顧客生涯価値)
  10. 2. カスタマーサクセスのKPIを設定するステップ
  11.  2-1. KGIの設定
  12.  2-2. 現状把握
  13.  2-3. KGIをもとにKPIを設定
  14. 3. カスタマーサクセスのKPIを達成する際のポイント
  15.  3-1. 顧客の現状や抱えている課題を把握し、自社に合ったKPIを設定する
  16.  3-2. 顧客情報を関係各署と連携できる体制を構築する
  17.  3-3. PDCAを回しやすいKPIを設定する
  18.  3-4. 定期的にKPIを確認・検討する
  19. 4. まとめ

1. カスタマーサクセス業務で見るべきKPIとは?

カスタマーサクセスを行う上で見ていくKPIは、自社のサービス・製品の特長に合わせた指標で考えることが重要です。

1-1. 解約率

「カスタマーサクセス」で最もKPIとして設定していることが多いのは「解約率(チャーンレート)」です。 特にサブスクリプション型のビジネスにおいて、利益を上げていくためには、ユーザーが継続して利用してくれれば、それだけ安定的に利益が上がります。新規顧客を増やすよりも、今契約している顧客の解約(チャーン)を防止することが重要です。

■ 解約率を導く計算式 ※一例でありシンプルに表現しております

・カスタマーチャーン(顧客数からみる解約率)=解約数÷顧客数

・レベニューチャーン(売上額からみる解約率)=解約で失った売上÷顧客売上

※年/月で算出可能 ※プランのアップグレードを考慮したチャーンレートは除く

1-2. オンボーディング完了率

「オンボーディング」とは、顧客に自社サービス・商品の活用方法を理解し、定着してもらうようにするプロセス・期間のことです。 オンボーディングの完了定義は、企業(サービス・商品)によって異なります。例えば、〇か月以内に●●の設定まで完了していれば、「オンボーディング完了」など、事前に「オンボーディングが完了した」状態を設定することが必要です。 社内で決めた定義をもとに、オンボーディング完了率を算出します。

■ オンボーディング完了率計算式 = 完了した企業÷オンボーディング期間の全企業

長期間オンボーディングが完了していない顧客は、解約リスクが非常に高くなるため、KPIとして設定すると良いでしょう。

1-3. アップセル・クロスセル率

提供しているサービス・商品に複数のプランがある場合、アップセル率やクロスセル率をKPIと設定することもあります。 アップセルは「機能アップグレードや利用アカウント数を増加してもらうこと」、クロスセルは「商品・サービスを利用(また検討)している顧客に別の商品も購入(利用)してもらうこと」を指します。 むやみにアップセルやクロスセルを行うのではなく、顧客の求めている状態を理解した上で提案を行うことが、「カスタマーサクセス」の上で重要となります。

1-4. 売上継続率

「売上継続率」は、NRR(Net Revenue Retention、あるいはNet Retention Rateの頭文字、NDRと同意)のことを指し、既存顧客の売上を前年比で維持できているかを計る指標のことです。 サブスクリプション(サブスク)型のビジネスの場合、「リピーター(もしくは継続利用者)の収益」が重要な収益源となり、NRR100%超を維持していることで、継続的な売上が見込めると判断できます。

■売上継続率(NRR)の計算式 NRR(%)=(月初のMRR(月次経常収益)+Expansion MRR(前月よりも取引額が増えた顧客から得られるMRR)ーContraction MRR(前月よりも取引額が減った顧客から得られるMRR)ーChurn MRR(その月に解約をした顧客のMRR))÷月初のMRR×100

1-5. NPS(顧客推奨度)

NPSとは「Net Promoter Score」の略称で、サービス・商品または企業自体へのお客様の愛着度を測る指標になります。 NPSを計算する上では、まず「このサービス・商品(または企業)を知人や同僚にどのぐらい勧めたいですか?」という質問に対して、お客様に0~10の11段階で回答してもらいます。回答結果からお客様を、0~6は「批判者」、7~8は「中立者」、9~10を「推奨者」と分類していきます。 その上で、以下の計算式でNPSを算出します。

NPSの計算式 NPS=「推奨者の割合(%)」ー「批判者の割合(%)」

NPSは業界によって平均値が大きく異なるため、自社の業界平均や業界内の競合の数値と比較することで、顧客の満足度を把握することができます。

1-6. アクティブユーザー数

アクティブユーザー数とは、言葉の通り「活動的な利用者」のことを指します。商品・サービスによって異なりますが、自社内で決めた期間内に、1回以上利用(ログイン)した利用者をアクティブユーザーと呼びます。反対に一定期間、商品・サービスの利用(ログイン)が見られない利用者は、非アクティブユーザーとなります。 アクティブユーザー数は、設定期間ごとに表記される場合もあるので注意しましょう。 MAU:1か月のアクティブユーザー数を表すもの DAU:1日のアクティブユーザー数を表すもの

1-7. セッション期間

セッション期間とは、ユーザーがサービスを利用する期間を指します。 一般的にセッション時間が増えるほどサービスに対してのエンゲージメントが高まっている、依存度が高い、サービスに対するニーズがあると判断できます。 特にSaaSモデルのサービスでは重要となり、サービスのファンである顧客ほど、セッション期間が長いことが特徴です。セッション期間の長さは、顧客の成功体験に繋がっている指標です。

1-8. LTV(顧客生涯価値)

LTV(Life Time Value)は「顧客生涯価値」のことを指し、特にサブスクリプション型のビジネスで重要となる指標です。企業にとって、ある一人(一社もしくは、1契約)に顧客が生涯にわたって企業にもたらす利益のことです。 カスタマーサクセスにおいては重要な指標となり、既存顧客が契約を更新して継続利用してくれている、商品・サービスのファンとなり追加購入をしてくれるなど、顧客生涯価値の最大化を目指すための活動が必要です。 LTVの計算は、いくつか代表的な式がありますが、自社の特徴にあった式を参考にしてください。

■LTVの計算式 ①購入単価×購入頻度×契約継続期間 ②MRR(一顧客あたりの平均月間経常収益)×売上総利益率÷顧客月次チャーンレート

2. カスタマーサクセスのKPIを設定するステップ

カスタマーサクセスに限った話ではありませんが、KPIはKGI(最終的なゴール)を達成するためのプロセスにおいて、達成していくべき指標となります。 そのため、「KGIを達成するためには、どのようなプロセスをたどるのか」を分析して、適切なKPIを設定する必要があります。 カスタマーサクセスにおいては、自社の商品・サービスを理解し、「顧客を成功に導く」ためのプロセスとして、KPIの設定を行うようにしましょう。

2-1. KGIの設定

KPIを設定するためには、まずKGIの設定が必要になります。 KGIは「重要目標達成指標」となり、「最終的なゴール」を意味します。 企業として、カスタマーサクセスにおける「最終的なゴール」が、どのような状態になることを目標とするのか、設定した目標を達成できているのかどうかを測る際の指標となります。そのため、KGIはあいまいな指標にすることを避け、設定しなければなりません。 KGIを設定する際には、以下を気を付けましょう。 ・目標(時期や判断基準)の明確化 ・達成可能な具体的な数値の設定

2-2. 現状把握

KGIを設定したら、KGIを達成するまでにどのようなプロセスがあるのか細分化し、各プロセスからKPIの項目と、適切な数値をKPIとして設定します。 ただし、自社にKPIの参考となる数値がない場合は、同業他社や業界の類似事例の情報収集を行い、妥当性のある数値を設定しましょう。 KGIを達成するために、自社の商品・サービスにはどのようなプロセスが必要なのか、設定したKPIに対して現実の数値がどれだけ離れているのか、現状を把握することが大事です。

2-3. KGIをもとにKPIを設定

<KPI設定で気を付けること> またKPIを設定する際には、以下の2点に気を付けて行うことがおすすめです。

①「SMART」に当てはまるKPIを設定する

  1. ・Specific:明確性
  2. ・Measurable:計量性
  3. ・Achievable:達成可能性
  4. ・Relevant:関連性
  5. ・Time-bound:適時性

相互に関連性があり、誰が見ても分かりやすい明確な目標であり、測定結果が数値化しやすく、適切な期間内に、達成可能かつ本人の評価に繋がりやすいものを設定することが大切です。

②要点を絞る

KPIを設定しすぎると、どの範囲に注力してよいか分からなくなり現場の実現性が低下してしまうことがあります。目標達成に必要な要素だけを入れるようにしましょう。

 

KPI設定の進め方についてはこちらの資料でも詳しく解説しています。KPI設定にお悩みの方はぜひご一読ください。

3. カスタマーサクセスのKPIを達成する際のポイント

カスタマーサクセスのKPIを達成するために気をつけることは3つです。

  1. ・顧客視点で考える
  2. ・効果測定しやすいKPIを設定する
  3. ・定期的にKPIを確認、検討する

3-1. 顧客の現状や抱えている課題を把握し、自社に合ったKPIを設定する

前述でもお伝えしておりますが、カスタマーサクセスのKPIの設定では、自社の商品・サービスに適したものを設定することが大切です。 自社が提供しているサービスが、LTVに大きく影響している指標をKPIとして設定し、組織で追うことが大切です。 例えば、客単価の向上やサービスの継続率改善などが挙げられます。 また、他社で立てているKPIを流用するのではなく自社のKGI達成に近づくためのKPIを設定できているか確認しましょう。

3-2. 顧客情報を関係各署と連携できる体制を構築する

カスタマーサクセスの取り組みは、解約率の改善や売上継続率の向上、アップセルやクロスセルの提案など、部門内のみで対応できるものとは限りません。 営業活動やマーケティング施策が必要となる場合も多く、商品・サービスによっては、システムの改善が必要な場合も多くみられます。 そのため、カスタマーサクセスのKPI達成のためには、他部門との連携を密にして取り組む必要があり、顧客のニーズを理解して、他部門と情報を共有して顧客を成功に導く必要があります。

3-3. PDCAを回しやすいKPIを設定する

KPIの達成度を判断するためには、定量的に分析できることが必要となってきます。 KPI項目は、定量的に判断できる数値を設定しましょう。また数値化できるKPIは、分析しやすくなるためPDCAも回しやすくなります。 設定したKPIは定期的に数値化できる仕組みを作り、分析を行い、カスタマーサクセスの取り組みの振り返りを行う必要があります。

3-4. 定期的にKPIを確認・検討する

KPIを達成するためのポイントは、定期的にKPIを確認、検討することです。 KGIを達するために、中間指標となるKPIが達成できているのか、設定しているKPIの数値が適切であるのか、常に検証を行い、必要に応じて修正することが大切です。 KPIで設定した数値が、実態とかけ離れている場合は目標が形骸化してしまうため、定期的にKPIを確認・改善することが必要です。

4. まとめ

今回は、カスタマーサクセスを実施する上で重要となるKPIについて紹介しました。どのようなKPIをどうやって設定するのかご理解いただけたでしょうか? 自社だけですと「KGI達成に向けてKPIを細分化すること」「適切な指標を定め、数値を算出すること」などKPI設計する上で難しいことがあるかと思います。その場合、外部のパートナーと協力することも一つの策です。 パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社では、カスタマーサクセスのKPI設計、KPI達成のための実行支援も行っています。

  • ・自社の適切なKPIの設定が分からない
  • ・KPI達成のために、具体的な施策が思いつかない

など、お悩みや要望を持っている方は、ぜひご相談ください。

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