動画広告は質に加えて量も大事?用途に応じた量産のポイントを3つご紹介
インターネットの普及により、ユーザーの身近に配信できるようになった動画広告は、コロナ禍の影響も後押ししてここ数年市場を大きく伸ばしています。これから参入しようとお考えの方に向けて、質だけでなく量が大事な理由や用途に応じた量産ポイントをご紹介します。
目次
- 1. 動画の用途
- (1) 会社紹介
- (2) ブランディング動画
- (3) 採用動画
- (4) 商品・サービス紹介
- (5) マニュアル動画
- (6) ウェビナー動画
- (7) 広告用動画
- 2. 動画広告は質+量である3つの理由
- 2-1. 質を重視
- 2-2. 質+量を重視
- 3. 動画を低コストで量産する
- 4. まとめ
1. 動画の用途
そもそも動画広告とはどういうものか、種類やメリットデメリットなどはこちらの記事をご覧ください。
>>動画広告とは?制作・運用するメリデメやBtoB企業が参入すべき3つの理由
動画と一口に言っても、その用途は様々です。用途と内容、一般的な動画の長さを表にしました。
(1) 会社紹介
社員のインタビューや社内風景、コンセプト紹介などがメインの動画です。社員のインタビューや社内風景が主な場合費用は抑えられ、逆にコンセプトを紹介したり、理念をストーリー化するような動画は制作費が高くなるケースがあります。
(2) ブランディング動画
企業のブランド(理念・ビジョン・世界観や商品・サービス紹介)をメインにした動画です。上記の会社紹介と比べ、認知や企業価値向上、競合との差別化といった用途で作成されます。
イメージ中心の映像になる場合が多く、キャスティング・撮影場所や機材といった費用がかかります。
またブランディング動画は商品やサービスの印象を左右するため、自社での制作は避けた方が良く、きちんと意図を汲み取って表現に落とし込むことができるクリエイティブディレクター、動画ディレクターをアサインした方が良いでしょう。
(3) 採用動画
自社の採用活動のために制作される動画で、社員のインタビューや働く様子など、入社後の環境がイメージしやすい構成になります。こちらも社員が勤務する様子を中心にした動画より、企業のイメージを中心にした動画の方が高額になります。
(4) 商品・サービス紹介
自社の商品やサービスの紹介動画です。テレビCMの枠が15秒・30秒・60秒であることをふまえ、長くても1分半くらいが目安となります。
平均相場は30~50万円前後(撮影・モデル採用等なし)ですが、著名なタレント、モデルの採用、撮影場所の景観にこだわれば制作費が嵩む場合があります。
(5) マニュアル動画
上記で紹介した商品やサービスの実際の利用風景を撮影したものです。パソコンやスマホで利用するサービスの場合、実際の利用シーンの撮影はもちろんのこと、その後の編集(テロップやBGM、効果音の入れ込みなど)が重要になります。
平均相場は20~40万円前後です。わかりやすさを重視して制作するためにナレーションを加える場合があります。マニュアル動画は比較的安価に制作できますが、利用シーンが多岐にわたったり、紹介するサービスが多機能な場合、複数本制作する必要があります。
(6) ウェビナー動画
講演者と掲示する資料等の投影がメインとなり、あまり機材費や編集費をかけずに制作でき、見せ方にこだわらなければ内製も可能です。
ただし共催セミナーなどで複数の講演者を別撮りした上で編集する場合や、リアルのセミナーの臨場感を出すため、大規模もしくは遠方の会場で撮影する場合は、人件費や機材費がかかります。DVDなどを制作する場合も別途費用がかかります。
(7) 広告用動画
Webメディアへ出稿するために制作した動画です。だいたい20~50万円で動画が制作されることが多く、動画の長さは30秒~1分くらいが一般的です。
米HubSpot社では、様々な調査結果からSNS含むそれぞれのプラットフォームにおける最適な投稿動画の長さを以下のように提案しています。
4つのうち一番長さが短いのはInstagramです。同社の調査によると、Instagram上で最もコメントが多い動画の長さの平均は26秒でした。人間の脳は、テキストよりも写真や動画などの映像の方が、60,000倍早く情報を処理できると言われています。そのため写真や動画の投稿に特化したInstagramでは、ユーザーは他のプラットフォームよりも早く画面をスクロールしていると、同社は考察しています。
対して動画の長さが最も長いのはYouTubeでした。同社によると、YouTube上で最もエンゲージメントが高い動画の長さは平均2分だったそうです。動画視聴を目的とするYouTubeユーザーは、動画視聴に対して積極的であり、YouTubeはより長く本質的な動画を視聴してもらうのに最適なプラットフォームと位置づけています。
2. 動画広告は質+量である3つの理由
動画を用途ごとに大きく以下のように分けてみます。
2-1. 質を重視
・会社紹介
・ブランディング動画
・採用動画
・マニュアル(デモ)動画
・ウェビナー動画
会社紹介やブランディング、採用といった場合、量よりも動画自体の質(中身)が大事になってきます。
会社のイメージと相違がないか、コンセプトや訴求ポイントは明確になっているか、時間内に情報は過不足なく収められているか、などを企画段階から確認し制作を進めていきます。
またマニュアル(デモ)動画やウェビナー動画も同様に、内容がユーザーのニーズにマッチしているか、わかりやすい説明になっているか、音やスライド(資料)はきちんと聞こえる(見える)か、といった部分が重要になります。
2-2. 質+量を重視
・商品・サービス紹介
・広告用動画
上記2用途のような広告・宣伝目的で動画を制作する場合、質だけでなく量も重視する必要があります。理由は以下3点です。
① 配信先に合ったクリエイティブで制作する
動画をどこに配信するか、配信先に合ったクリエイティブを制作することが重要です。モバイルに配信する場合は、モバイルに適した動画で制作しなければなりません。
・配信先でのエンゲージメントが高い長さであること
・訴求したいメッセージやブランド名を冒頭に表示すること
・作りこみすぎずシンプルな構造であること
・SNSであればモバイルに適したサイズ=正方形や縦長動画で制作すること
などが挙げられます。
② ABテストを実施し、PDCAを回して効果検証する
同じ商材を訴求する動画を配信しても、効果に大きく差が出ることは珍しくありません。キャッチコピーやビジュアルなどの表現、インパクトなどによって当たり外れがあります。そしてこれは事前に予測できるものではなく、その時の情勢や景気などの外的要因で大きく左右されます。
そこでABテストが重要になります。同じ見た目(ビジュアル)のクリエイティブでキャッチコピーだけを変えて配信し、どのコピーが一番反応が良かったのか、などをテストします。次にキャッチコピーは同じままビジュアルを変えて反応が良いものを探る、といった感じでテストを繰り返し、最も高い効果が得られたクリエイティブを発掘します。手間やコストはかかりますが、そうすることで視聴者に最も響く効果的なアプローチを確立することができます。そういった検証のために、複数の動画が必要になるのです。
③ 目的(フェーズ)ごとに制作する
同じ商材でも、見る側の立場によって受け止め方が変わってきます。リスティング広告や静止画広告をフェーズ(潜在層・顕在層など)ごとに出し分けるように、動画広告もフェーズごとに制作した方が訴求効果が高まり、CVへつながる確率が高くなります。
ネオマーケティング社が2020年12月に20歳~69歳の男女1,000人を対象に実施した「動画広告の接し方」に関する調査によると、動画広告の内容が「自分向けだと感じる」のは全体の32.2%で、動画広告をきっかけに商品を購入したことがある人は17.2%という結果でした。
◆観た動画広告の内容が【自分向けだと感じる】ことはどの程度ありますか?
出典:株式会社ネオマーケティング「20歳~69歳の男女1000人に聞いた「動画広告の接し方に関する調査」」
また、動画広告の内容によりそのブランド・企業・商品の印象が「良くなったことがある」と答えた人が約1/4(266名)いる中で、その企業・商品へ何らかのポジティブな動きをした人が6割強いるという結果でした。
◆(観た動画広告の内容によりそのブランド/企業/商品の印象が【良くなった】ことがあると答えた方)
あなたは、その動画広告を観た後に、どのような行動を起こしたことがありますか?
出典:株式会社ネオマーケティング「20歳~69歳の男女1000人に聞いた「動画広告の接し方に関する調査」」
このように、動画広告も見る側のニーズに合うものを作成すれば訴求効果が高まり、ターゲット化する可能性も高くなるのです。
3. 動画を低コストで量産する
とはいえ動画は作る過程や内容によって高額になることが多く、企画~制作・編集まで入れると1本制作するのにそれなりの期間が必要になります。
そこで試したいのが、静止画などのスライドショーやテンプレート化したアニメーションを組み合わせて動画制作する手法です。制作費用や期間を短くすることができ、専用ツールを導入すれば内製も可能です。
先述したように、テストマーケやフェーズごとの制作過程で自社オリジナルの黄金メソッドを見つけられれば、自社の商材ごとに量産していけば良いので1本当たりのコストや制作期間はかなり抑えられます。
4. まとめ
動画広告は質か、量か、答えは「どちらも大事」です。質がどの動画に関しても大事なことは言うまでもありませんが、用途によっては訴求効果を高めるための量産も必要になります。どういった用途で動画を作りたいか、どういう効果を望んでいるか、まずはコンサルティングも提供している代理店や量産が可能なツールを提供しているベンダーなどに相談してみてください。自社にとっての黄金メソッドが早く見つかると思います。