現場のコンサルタントが解説!2024年以降に求められるSFAの活用法とは

Sales Tech

企業におけるSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)導入のスピードは、ここ数年加速する一方です。しかし、いったん導入は済んだものの、十分に活用して成果を上げている、と胸を張って明言できる企業は、果たしてどのくらいあるでしょうか。本記事では、2020年代中盤以降の営業組織に求められる効果的なSFAの活用について、コンサルティングの現場に入り肌で感じた内容も踏まえてご紹介いたします。貴社の営業組織強化の一助になりましたら幸いです。

目次

     

  1. 1. 企業のSFA/CRM導入におけるこれまでの市場の動き
  2. 1-1. Excel管理で発生する課題
  3. 1-2. SFAの登場とコロナ禍を通じた浸透
  4. 2. 2020年代中盤以降に予想される市場の変化
  5. 2-1. データを利活用した営業戦略がカギ
  6. 2-2. SFA/CRMは将来のための投資
  7. 3. これから求められるSFA活用の具体的な支援事例
  8. 3-1. A社様の事例
  9. 3-2. B社様の事例
  10. 4. まとめ

企業のSFA/CRM導入におけるこれまでの市場の動き

Excel管理で発生する課題

今でこそ「SFAを管理・活用する」ということがビジネスを伸張させるツールとして当たり前になった感がありますが、つい数年前まで日本の多くの企業では、営業管理・案件管理・顧客管理は大手~中小企業問わずExcelを使って行うのがスタンダードでした。 ほとんどの企業で、社内にExcelが得意な従業員が数名おり、その人材のExcelスキルを活かして(あるいはマネージャーが工数をかけて作成し)、案件管理表や各営業ごとの目標達成に向けた進捗管理を行うということが、どの会社でも当たり前に実施されておりました(かつて私が所属していた会社もその一つです)。

ご存じの通りExcelは非常に優秀なツールであり、これを使いこなせるエキスパート的な従業員がいればあらゆることに使えるツールではあるのですが、一方で、様々なフォーマットのエクセルファイルが乱立して肝心な時に必要なファイルの所在がわからなくなる 、データが多すぎると開いたり更新するのに時間がかかるなど、様々な課題も抱えているものでした。 これらを解決し、社内に乱立した営業情報・顧客情報を整理して、企業として戦略的に営業戦略を組み上げ実施していくための基盤ツールとして期待されているのがSFAという仕組みです。

 

SFAの登場とコロナ禍を通じた浸透

2000年にセールスフォースの日本法人が設立されて以降、我が国でも徐々にExcelではなくSFAを使用して営業管理・案件管理・顧客管理を実施したい、というニーズが増加していきました。

CRM/SFAを導入している企業が2012年では9%にとどまっていたのが、2018年には28%と大幅な伸びを見せていたり(矢野経済研究所調べ)、SFAを含むクラウド型CRMの市場規模が2016年度の1297億円から2022年度では4780億円規模への成長が予測されていたり(ミック経済研究所調べ)、SFAを含むCX/デジタルマーケティング市場が2027年度には2022年度比153.7%の3983億円と予測される(富士キメラ総研調べ)など、さまざまな調査結果でこの市場が成長領域であるということが示されています。

特に、2020年から3年以上にも渡った新型コロナウイルス感染症によるリモートワークやDX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透、そして、IT導入補助金などDXを推進するための支援策の拡充などもあり、それまで未導入だった企業への導入も進んでいきました。

弊社が取り扱うことの多い国産のSFAである「kintone」を運営するサイボウズ株式会社が2023年2月に発表した2022年kintone連結売上高は、前年比32.4%増で100億円を突破しており、ここからも我が国全体の動向としてSFA導入ニーズが右肩上がりで伸びていると言うことができます 。 

2022年kintone連結売上高は100億円を突破

出典:サイボウズ株式会社

2020年代中盤以降に予想される市場の変化

データを利活用した営業戦略がカギ

これまでのSFA導入プロジェクトでは、その多くが導入初期段階で、かつSFA活用経験のある従業員もそこまで多くなかったこともあり、初期構築、データの入力や連携などの運用フローの整備、定着化などが主なご支援内容でした。2020年代中盤以降は、いよいよここ数年蓄積してきたデータをどのように利活用して効果的な営業戦略を策定し現場に落とし込んでいけるかが、売上アップに向けた重大なカギとなります。

特に生成AIの登場により、これまで膨大な人員とコストを必要としていたデータ分析系の作業が大幅に効率化されることが見込まれるため、いっそうデータの利活用に取り組みやすくなることが予想されます。このような最新技術もうまく組み合わせて、スピード感をもって自社に最適かつ根拠のある営業戦略を策定し、その戦略を現場に落とし込むことができた企業が、売上を伸ばしていけると考えられます。

 

SFA/CRMは将来のための投資

さまざまな現場に入りコンサルティングや利活用の提案をさせていただいておりますが、SFA/CRMをまだ導入していない企業様の中には、「導入すべきかの判断軸をどこにおいてよいか今一つわからない」というご意見を耳にすることがあります。部署によっても意見が分かれており、「意思決定者はどれを採用してよいのかわからない」ということです。

たとえば、営業部門の方にSFA/CRM導入に関する意見を聞くと、これをコストと捉え、ツール単体に対する短期的な費用対効果を求められることが多いように思います。これは、営業部門のミッションが「売上最大化」であることから、導入することでどこまで売上が伸びるのか、という視点が大きくなるということであり、部門の性格上当然の観点であると思います。

一方で、ネットワークやシステムを管理する部門の方に導入に関する意見を聞くと、工数の算出や投資を回収できる期間について会話をすることが多い傾向があります。例えば導入後〇年で〇百万円を回収できるのか、というような内容のご意見です。システム部門のミッションが「効率化・利便性向上」を目指していることから、こちらも当然の視点と言えます。

双方とも組織のミッションとして筋の通った意見ではありますが、果たしてSFA/CRM導入に関しては、どちらをより優先して考えるべきなのでしょうか?

私としては、SFA/CRMは将来のための投資として中長期的に捉える方が適切ではないかと考えます。直近のコストだけ見るのではなく、ビジネスを2倍にも3倍にも成長させるために必要な「基盤」として、SFA/CRMを導入するべきではないでしょうか。事業が成長し、施策を打ちたいと思ったときに、適切なデータを取り出せる環境が整備されていないと、効果的な施策が打ちづらくなるからです。

 

これから求められるSFA活用の具体的な支援事例

ここからは、コンサルタントとして様々な現場に入ることで見えてきた、さまざまな企業の課題とSFA活用のご支援事例についてご紹介いたします。 

 

A社様の事例

まずは金融系のA社様の事例をご紹介します。 この企業様は、SFA/CRMツールとしてSalesforce製品の導入は済んでいたものの、実際にはほとんど活用できていない状態でした。 その大きな原因として挙げられているのが「営業現場が把握したい定量面(契約数、目標達成率)を効率的に把握・確認ができないので利用しづらい」というもので、従来活用していたExcelで予実・プロセス管理も並行でおこなっており二重管理から脱却できない、という部分が課題となっていました。

そこで弊社からは、まずは①パイプラインの可視化、②営業活動の可視化の2点を営業現場の要望を踏まえて実施することをご提案。 Sales Cloud開発の要件定義支援や、利用率を可視化したうえでの社内での定着支援を実施しているほか、CRM Analyticsを通じて全国の支店データと数百名の営業担当者のデータの可視化を実現しています。 これらの取り組みを通じて、この企業様が目指す課題解決型・能動型の営業スタイルへの転換と、蓄積されたデータを有効活用したゴールデンルートの発見に向け伴走しています。

 

B社様の事例

次に、産業機械メーカーのB社様の事例をご紹介します。 この企業様はもともと営業管理をほとんど行っておりませんでしたが、ITに詳しい担当者が入社したことでこの領域の強化の必要性を感じ、各ツール(SFAはkintone、MAはAdobe Marketo Engage、DMPとしてuSoner)を導入し社内DXをスタートさせていました。しかし、それをどのように構築・運用し、蓄積したデータをどのように活用すべきかというノウハウ部分に課題を抱えている状態でした。

そこで、弊社にてSFA・MA・DMPの各専門性を有した人材による横断コンサルティングチームを結成。 1年以上にも及ぶ長期的なプロジェクトとして、ツールごとに現場で使われるようなUI・UXの再設計や定着支援を行い、現場で使い続けられるような仕組みを通じた「営業DX」の実現を目指して伴走しています。

 

まとめ

ここ数年「デジタルトランスフォーメーション」「営業DX」という言葉がトレンドワードとなっています。その背景には、そもそもの生産年齢人口の減少や、「働き方改革」を通じた多様な働き方への対応、それに伴う労働生産性向上への取り組みなど、否が応にも向き合わなければならない大きなうねりがあります。新型コロナウイルス感染症の影響はさすがに薄れましたが、「リモートワーク」や「ウェブ商談」などは今後も一つの有効な手段として残り続けることが予想されるなど、社会は大きく変わってきています。

繰り返しになりますが、2020年代中盤は「データを蓄積すること」自体は当たり前となり、「そのデータをうまく利活用すること」「有限なリソースを効率的に生かすこと」を実現する企業こそが生産性向上を実現し、業績を大きく伸ばすことになるでしょう。

当社では「データドリブンな組織を作るための基盤づくり」から「蓄積したデータの利活用」まで、さまざまなテクノロジーを活用しながら一気通貫して伴走支援させていただいております。データドリブンな組織づくりに取り組みたいとお考えの企業様は、ぜひご相談いただけますと幸いです。

 

執筆者プロフィール

三代 智宣

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 セールスマーケティング事業部

セールスソリューション統括部 セールスコンサルティング部 セールスコンサルティング2グループ マネジャー

大手IT通信事業者を中心に法人営業・代理店営業を経験。 その後、顧客の新規事業立ち上げ支援を行い、売上最大化を目指したインサイドセールスの業務構築設計や営業活動の定着化支援を実施。 現在は、顧客の企画・推進領域に対して営業DXの成功を目指し、顧客との伴走支援で営業戦略立案や業務最適化を支援。 また、SFA/CRM等の営業活動におけるデータ利活用の最適化と、顧客課題解決、業務効率化のコンサルティングサービスを提供している。

※肩書・所属部署等は記事作成当時のものです。


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