続々登場するMA×SFA×生成AI~HubSpotのAI機能を解説~

生成AIの実装はMAツールやSFAツールなどでも盛んに行われており、HubSpotも2023年3月に新しいツールを発表しています。本記事ではHubSpotに搭載されたAI機能と、各ツールに利用できる機能について紹介します。
目次
- 1.HubSpotとは
- 2. HubSpotのAI機能
- 2-1.Marketing HubのAI機能
- 2-2.Sales HubのAI機能
- 2-3.Service HubのAI機能
- 2-4.CMS HubのAI機能
- 2-5.Chatspotなどその他のAI機能
- 3.まとめ
1. HubSpotとは?
HubSpot(ハブスポット)は、2006年にアメリカで創業したHubSpot社が提供するマーケティング・営業・コンテンツ管理・カスタマーサービスといった業務をつなぐために欠かせないソフトウェアや連携機能、リソースを備えたカスタマープラットフォームです。日本ではHubSpot Japan株式会社が提供元となっています。2023年12月時点で120ヶ国以上19万4,000社以上の導入実績があります。
HubSpotの主な機能や使い方についてはこちらもご覧ください。
>>HubSpotとは?主な機能と使い方を解説
2. HubSpotのAI機能
HubSpotは2023年3月に人工知能(AI)技術を搭載した新しい2つのツール「コンテンツアシスタント」と「ChatSpot.ai」をリリースし、同年9月にAI搭載の機能群「HubSpot AI」の提供開始および「Sales Hub」のリニューアルを発表しました。
※コンテンツアシスタントとChatSpotの機能はいずれも、ChatGPTの開発元であるOpenAI社の「GPT」という技術が採用されています。
出典:HubSpot「HubSpot AIロードマップ」
それではツールごとに実装されたAI機能について見ていきます。
2-1.Marketing HubのAI機能
・コンテンツアシスタント
プロンプト(テキスト)を入力するだけで、生成AIがメールやLPの文面を考えたり、ブログやSNS記事のアイデアを出したりと、コンテンツ制作に関するテキスト面でのサポートをしてくれます。
・画像生成
コンテンツアシスタントの一部機能となりますが、プロンプトから画像やLPに設置するボタンを生成することができます。
出典:HubSpot「HubSpotのAIによる業務の効率化」
・Eメール生成機能
見込み客へのメールアプローチや、キャンペーン用の一斉送信メールなど、さまざまな場面でクリックしたいと思わせる文面を自動で作成します。 またセグメントごとにメール文を出し分け、それぞれの効果を追跡し分析することができます。
出典:HubSpot「無料で使えるAI搭載のコンテンツ生成機能」
2-2. Sales HubのAI機能
Marketing Hubの「Eメール生成機能」はこちらにも実装されています。そのほかの特長としては以下が挙げられます。
・売上予測(フォーキャスト)
AIを実装したことにより以下のような機能が利用できます。
①月単位や四半期単位のタイムリーなビジネス予測
②簡単に今後の予測計画を立てられる使いやすいインターフェイス
③営業、カスタマーサービス、カスタマーサクセス担当者との個別面談に活用できるデータの参照
④パイプラインの変化のモニタリング機能
出典:HubSpot「Sales Hub:フォーキャスト」
出典:HubSpotナレッジベース「AI予測で予測を改善(BETA)」
HubSpotが実施した初期段階のテストでは、AI売上予測を使用した営業チームの一部では売上予測の精度が最大95%向上したことが確認されたそうです。(HubSpotニュースリリース)
また、フォーキャストはセールスアナリティクスとも連動しているため、フォーキャストカテゴリーやパイプラインの優先度で様々なデータを分析・可視化できます。
出典:HubSpot「Sales Hub:フォーキャスト」
2-3. Service HubのAI機能
Sales Hubの「Eメール生成機能」「売上予測機能」はこちらにも実装されています。そのほかの特長としては以下が挙げられます。
・AIチャットボット
機械学習の仕組みにより、ユーザーの質問内容や意図を読み取り、自然な文章で回答を行います。AI非搭載型のチャットボットのように、システム実装前にシナリオを用意する必要がなく、データが蓄積されていくと回答の精度が向上するのがメリットです。
Service Hubでは通常対応はAIチャットボット、確度高めのユーザーには有人対応といった使い分けを行い、自動割り当て機能によって問い合わせをカスタマーサービスチーム内の適切な担当者に割り振ることができます。パーソナライズな対応を行うことで、機会損失を防ぎ良好な関係を築くことができます。
出典:HubSpot「Service Hub」
2-4. CMS HubのAI機能
・Webサイトの生成
自社の商材やサービスに関する一連のプロンプトに答えるだけで瞬時にWebサイトを作成できます。コーディングの必要がなく、ドラッグ&ドロップで編集でき、カスタマイズも可能です。
出典:HubSpot「AI website generator」
・Webページ/ブログ向けのコンテンツアシスタント、ブログタイトル生成
SEOも視野に入れたWebページやブログ記事を生成することができます。 プロンプトやトピックを入力すると、AIが下調べから執筆まで済ませ、新しい記事が生成されます。担当者は生成された記事を自社のブランドやユーザーの嗜好に合わせて編集するだけです。
出典:HubSpot「無料で使えるAI搭載のブログ生成機能」
検索エンジンで上位に来るよう、ブログタイトルやメタディスクリプションを生成することも可能です。
出典:HubSpot「無料のメタディスクリプション生成機能」
また、ブログ管理と記事作成を同じプラットフォームで行うことができ、レポート作成機能も備わっています。
2-5. ChatSpotなどその他のAI機能
HubSpotの各ツールのAI機能と紐づいているのが、ChatSpot AIです。 ChatSpot はAIチャットボットで、プロンプトや事前定義されたテンプレートを送信して、情報を求めたり、コンテンツを生成したり、アクションを実行したりすることができます。ChatSpotは無料で利用でき、HubSpotアカウントは不要ですが、HubSpot CRMに接続することで追加の機能を利用できます。
以下はChatSpotの機能の一部です。
・ライティングコンテンツの作成
メール件名、ブログ記事タイトル、LinkedIn記事、バイヤーペルソナ、ブログ記事やセールスメールの下書き、希望するトピックについての詳細や、ビジネスのスタイルに合わせたトーンなどを盛り込むことができる。
・画像の生成
基準に基づいてウェブサイトやソーシャルメディア用の画像を作成します。画像のスタイルを指定するテンプレートを選ぶこともできます。
・Prospecting
会社の年数、規模、業種、所在地、サービス、ウェブサイトドメイン、SEOランキング、競合他社、ニュースなどのデータを取得します。 会社に関するニュースを直接受信トレイに送るよう通知を設定することもできます。
・ウェブサイトSEOの分析
自社サイトのSEMとSEOの競合を分析したり、キーワードの調査と推奨を依頼できます。
・コンテンツの要約
記事、YouTubeビデオ、ポッドキャストの統計情報の要約を依頼できます。
・Ask the HubSpot Academy
HubSpot Academyのビデオを使って、ChatSpotが回答できる質問をします。
・CRMレコードを使ったアクションの完了(HubSpotアカウントが必要)
コンタクト、会社、取引、チケットの作成、要約、割り当て、更新を行います。 また、これらのオブジェクトのレコードにメモやタスクを作成したり、確認したりすることもできます。
・レポートやアンケートの作成(HubSpotアカウントが必要)
アカウントのデータのサマリーを作成したり、特定のフィルターに基づいてレポートを作成したり、フィードバックアンケートを作成したりできます。
出典:HubSpotナレッジベース「ChatSpot AIアシスタントを試してみる(ベータ)」
3.まとめ
2023年にリリースされたHubSpotのAI機能について、各ツールで利用できる機能をまとめました。AI機能は無料ツールでも一部利用でき、HubSpot特有の各ツールを連携させた利用方法もできるため、うまく活用すれば自社オリジナルのコンテンツを簡単に作成できたり、分析結果を各部門が見たい内容で自動的にレポーティングしたりできます。
とはいえAIが作成したものをそのまま利用するにはリスクもありますので、最後は人の目でチェックすることを忘れないようにしましょう。