パーソルホールディングス株式会社 ~グループ内の顧客データを統合・活用によりデジタルマーケティング領域からの売上を約6倍増加へ~

Marketing Tech
パーソルホールディングス株式会社
事業内容
労働者派遣事業・有料職業紹介事業等の事業を行うグループ会社の経営計画・管理並びにそれに付帯する業務
取引先

グループデジタル変革推進本部 データバリュー・デザイン部
セールス&マーケティング室 エキスパート
久野 敦子 氏

本事例のポイント

  1. ①グループ企業全体でのデータ活用
  2. ②既存データと外部データの連携
  3. ③『やりたいこと』と『ガバナンス』のバランス

パーソルグループは、「 はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに、人材派遣サービス、転職サービス、ITアウトソーシングや設計開発など、人と組織にかかわる多様なサービスを提供している。
また、人とテクノロジーの融合による次世代のイノベーション開発、またアジア・パシフィック地域を中心とした海外でのサービス拡大にも積極的に取り組んでいる。
その中でパーソルホールディングス株式会社(以下、パーソルHD)はパーソルグループの経営支援やグループ一体経営の推進を行う組織だ。

本事例では、デジタルマーケティングによってグループ横断での売上増加を実現するために実施した、統合法人プラットフォーム構築の取組みを紹介する。

取組み概要・背景・課題

そもそもなぜこのよう取組みを始めたのか。

パーソルグループの営業1人あたりの生産性は、ここ数年間横ばい。人員数を増やさなければ売上も増えない。

パーソルグループの営業1人当たりの生産性は、ここ数年伸び悩みを感じていた。
なぜなら、1人の営業での行動量は限られており、同じやり方では人員数を増やさない限り、売上を増加させることが難しい。
また、中長期的に起こりうる人口減少によって人材調達が難しくなることも予見できるため、人員数に比例するのではなく営業の生産性を高めることで、企業成長を止めない仕組みに変革する必要があったという。

そこで、ホールディングス起点でのマーケティング活動を実現し各社への案件取次数を最大化させる。
営業が、すべてゼロから自分たちで営業活動を行うのではなく、マーケティングやインサイドセールスの力も使い、効率を上げることを目指した取組みを始めた。

ホールディングス起点でのマーケティング活動とは

パーソルHDでは、マーケティング活動を行う上で以下の4項目を重要視している。
・適切なターゲットに
・適切な情報を
・適切なタイミングで届け
・各事業会社の営業と無駄なく連携を行う

これらを実現するために、グループ各社が保有する営業・マーケティング関連データを統合・管理・活用するための統合法人プラットフォームの構築を開始した。それがDUKEプロジェクトだ。

DUKE全体像

※DUKE全体像

このDUKEプロジェクトはパーソルHDが中心となり、パーソルプロセス&テクノロジー(以下、パーソルP&T)がエンジニアリングを担当している。

様々な解決策の中で、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)を選択した理由

統合法人プラットフォームを構築するにあたり、CDPを選択したのはなぜなのか。

DUKEプロジェクト構想時は、自社開発も検討していたという。
実際、自社開発をすると、構築費用を抑えるという試算も出ていた。
しかしながら、未知の領域への挑戦のため、『今見えている世界』に最適化した構想で事足りるだろうか?

CDPは様々なツール連携の柔軟性の高さや、スキーマレスにデータベースの構築が可能である。
各事業会社が利用している様々なツールとの連携や、将来的にやりたいことが広がった際、対応できる範囲が広そうに思えたことが決め手となり、自社開発ではなく、CDPを選択した。

DUKEを進める上で乗り越えた2つの課題

法人マスターデータの整備

統合法人プラットフォームを構築するメリットの一つとして、3rdPartyデータ(以下、外部データ)を付与することが挙げられる。
例えば、国税庁の登記情報を付与することで、社名変更や合併の情報を掴むことができるからだ。
「グループ全体で活用する顧客データだからこそ、世の中的に正しいデータへ“名寄せ”をする必要があった」と久野氏は語る。

その際に出てきた課題が、データ表記の揺らぎ解消だ。
既存CRMへはユーザーが手入力にて顧客名などの情報を登録している。
そこには、正しいデータや入力ミスによる誤ったデータ、古いデータなどが含まれるため、単純な完全一致突合で名寄せを行うことは難しい。

そこでパーソルP&Tからの提案が、レーベンシュタイン距離を用いた曖昧突合によって、データを突合させるという方法だ。
これによって、約9割以上のデータに対して、外部データを付与することが実現できている

データガバナンスの整理

統合されたデータをいざ活用するとなった際に出てくる課題が、データガバナンスの整理だ。

顧客から取得したデータの取り扱いについては、事業会社毎にルールが定められている。
しかし、そのルールはこのようなグループ全体での活用を前提としたものではない。

例えば、メールマーケティングを行う際に、パーソルHDが取得したリードか、パーソルA社が取得したリードかによって、利用範囲が異なる。
そのためリードがどのプライバシーポリシー下において取得され、どの範囲で利用可能か整理を行った。

これにより、パーソルHDとしてデータ利用の範囲が可視化され、メールアプローチ可能なリードが1.5倍以上に増加することができたという。

「やりたいことが出てきた際に、ガバナンス観点で考慮すべき事がないか検討しながらデータ活用を推進することが重要だった」と久野氏は振り返る。

構築後のマーケティング活動の変化

マーケティング活動扱えるアタックリスト数や、これまでアプローチできていなかった企業からのアポイントが増加

DUKEの構築により、一部の事業会社では既にデジタルマーケティングの効果が見え始めている。

実際にアタックリストを運用し始めた会社では、これまでアプローチできていなかった大手企業からのアポイント獲得が0件⇒100件以上/年に増加
また20年度と21年度を比較すると、パーソルHDのデジタルマーケティング領域からの売上では約6倍増を実現できている。

今後は活用範囲を広げ、「さらにグループ全体でのデータ活用を促進していきたい」と久野氏は語る。

CDP構築・データ活用ならパーソルプロセス&テクノロジーへご相談ください

セールスマーケティングの成果を最大化させるためには、データ基盤を整えることが重要です。
CDPを用いたデータ基盤構築やBIツールを用いた分析用ダッシュボードの構築を通して、データ整備・可視化・活用をご支援いたします。また、膨大なデータをセールスマーケティング活動に活かしていただけるよう、コンサルティングのご支援も可能です。

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