プロセスやフローの明文化が必要不可欠ープリセールス組織の運営のポイントー

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多種多様なITサービスが犇めく昨今、ITベンダーでは各プロダクトや特定IT領域に特化したプリセールス組織を内包し、営業組織の案件を営業側面/技術側面から支援することが主流となってきています。一口にプリセールス組織と言っても、相対する営業部門の状況などによって意識すべきポイントは様々です。本稿ではプリセールス組織を運営する上で特に重視したいポイントを紹介していきたいと思います。

目次

    1. 1. ITベンダ内におけるプリセールス組織
    2. 2. 支援対象のサービスや領域がプロダクトライフサイクル上、どこに位置しているのか?
    3. 3. 支援対象となる営業組織やエンジニア組織が抱えている問題から対応すべき範囲(プロセス)はどこまでなのか?
    4. 4. プリセールス業務を遂行する上でのフローやステークホルダー情報など標準化がなされているか?
    5. 5. まとめ
    6. 6. 執筆者紹介

    ITベンダ内におけるプリセールス組織

    プリセールスとはある程度ITエンジニアに近い知識/経験を持った人間が営業担当者と同行し、特定のIT領域やプロダクト/サービスの提案支援や技術支援などの活動を行うことを指しています。
    かつては営業担当者とエンジニアという2者で案件を完結させていましたが、サービスが多岐に渡り、また高度な市場知識や知見が求められるサービスが多く普及している現在では、営業とエンジニアの中間的役割となるプリセールスの存在はIT事業を営む上で切っても切り離せません。

    そんな営業/技術両側面での活動が求められる、
    プリセールス組織の運営においてまず考えるべきポイントは以下3点です。
    ・支援対象のサービスや領域がプロダクトライフサイクル上、どこに位置しているのか?
    ・支援対象となる営業組織やエンジニア組織が抱える問題から対応すべき範囲はどこまでなのか?
    ・プリセールス業務を遂行する上でのフローやステークホルダー情報など標準化がなされているか?

    各項目について詳細にご説明します。

    支援対象のサービスや領域がプロダクトライフサイクル上、どこに位置しているのか?

    プロダクト・ライフサイクルとはマーケティングの分野で提唱されている理論で、
    製品が市場に投入されてから衰退するまでのサイクルを体系づけたものとなります。

    導入期、成長期、成熟期、衰退期の大きく4つの段階に分かれており、
    以下のような違いがあります。

    導入期:製品を市場に投入する段階。製品認知を高め、市場拡大させることが最優先。
    成長期:売上と利益が急拡大する段階。市場に浸透させることが重要な戦略。
    成熟期:市場の成長が鈍化し、売上/利益とも頭打ちになる段階。
     上位企業にとってはコスト優位性を活かしシェアを維持することが重要な課題で、
     下位企業にとっては生き残りをかけ、特定ターゲットをねらったニッチ戦略が重要。
    衰退期:値引き競争が頻繁に行われ、売上も利益も減少する時期。
     投資を抑えて効率性を高めながら、既存顧客を維持することが重要な課題。

    対象のサービスや領域が上記のいずれかの段階に該当する時、
    これらを基に支援の方針を検討します。

    例えば、対象のサービスや領域が”導入期”に該当する場合、市場拡大させることが最優先となるため、営業組織への積極的な案件創出の働きかけや初回ヒヤリングからの同席支援などを検討します。
    “成長期”に該当する場合は、市場に浸透させることが重要な戦略となるため、営業人員一人一人がしっかりと紹介できるよう勉強会の実施や有効な提案ツールの作成を行います。

    ただ闇雲にプリセールスの活動を行うだけではなく、段階に応じてあるべき支援の姿をしっかりと検討し、組織の支援の方針を決定していくことが重要です。

    支援対象となる営業組織やエンジニア組織が抱えている問題から対応すべき範囲(プロセス)はどこまでなのか?

    さて、前項で基本方針について、プロダクトライフサイクルを基に基本の支援方針を決めていくことが重要であると記載致しましたが、とは言っても支援対象となる営業組織やエンジニア組織が抱えている課題は各企業によって千差万別かと思います。
    あるべき支援の姿の基本方針をベースにしつつも案件遂行時に特に関わる営業組織、エンジニア組織の課題感に合わせてプリセールス組織の支援範囲を決定しましょう。

    以下、一例ですが各々の組織の課題として起こり得ることを記載します。
    ■営業組織
    ・提案やヒヤリングの方法が分からない
    ・サービスが多すぎて対応しきれていない
    ・そもそも人員が足りない

    ■エンジニア組織
    ・構築案件を多く抱えており、受注後の案件でなければ対応出来ない
    ・そもそも人員が足りない

    例えば、営業組織として提案やヒヤリングの方法がわからない人員が多いという課題があれば、ひとつ前の段階の成長期段階の支援(勉強会など)まで範囲を広げます。
    エンジニア組織として構築案件を多く抱えており、受注後の案件でなければ対応できないという課題であれば、ある程度の詳細設計まで対応して案件を引き渡すなど、対応する組織の課題によって営業プロセスを柔軟に変化させることが重要です。

    最も避けたい対応としては、支援の範疇を明文化せずになし崩しで案件の支援を行ってしまうことです。この場合、自組織が疲弊するだけではなく対応する営業組織の人員の成長の妨げになってしまうケースもあるため、課題に応じてしっかりと対応範囲を決定しましょう。

    プリセールス業務を遂行する上でのフローやステークホルダー情報など標準化がなされているか?

    ここまでくれば、あとはプリセールス組織を運営していくだけですが、IT市場の人員枯渇が騒がれる昨今、必ずしも自組織に業務経験がある即戦力人材が来るとは限らず、また経験者が退職するリスクもあるため、業務の標準化や人員の育成計画はしっかり立てておきたいですね。
    以下は、標準化する際の項目と概要の一例となります。

    業務フロー:案件発生後、対応すべき内容や対応社が流れに沿って可視化されているか?
    各種フォーマット:営業からの支援依頼やエンジニアへの支援依頼などの内容が一定のフォーマットとして決まっているか?
    ステークホルダー:案件遂行上関わる社内/社外の各部門や担当者名、連絡先などがまとまっているか?
    育成ロードマップ:組織アサイン後いつまでにどの資格を取得すべきか、数か月後に目指すべき状態目標やそれに伴った育成内容が定まっているか?

    営業スキルや技術スキルももちろん重要ではありますが、事前のツール準備によって解決できる問題もあるので、是非作成を検討しましょう。
    特に少数精鋭で業務が属人化しやすいプリセールス組織に取ってはこれらのツールの有無は死活問題となる可能性が高いです。

    まとめ

    いかがでしたでしょうか?本稿ではプリセールス組織の運営において重視すべきポイントについて記載致しました。

    以下、まとめとなります。
    ①.対象のサービスやIT領域が市場としてどの段階に位置するか把握した上で、組織としての基本的な支援の方針を決定する。
    ②.①で決定した基本方針を基に、営業組織やエンジニア組織の課題に合わせて対応すべきプロセスを決定する。
    ③.人員リソースの不足や入れ替えに備えるために①、②はもちろんのこと、フローやフォーマットなど標準化できるものは事前に準備を進める。

    当社ではこれらのノウハウを基にプリセールスのアウトソーシングサービスも提供しております。
    プリセールス領域の業務でお困りの方は、是非パーソルプロセス&テクノロジーのサービスをご検討ください。

    執筆者紹介

    セールスマーケティング事業部
    セールスソリューション統括部
    セールスソリューション1部
    梶浦 健 Takeru Kajiura

    2013年に入社。大手通信キャリア様やソフトウェアメーカー様を中心にプリセールスポジションとして複数のプロジェクトの運営に携わる。2017年以降はプロジェクトリーダーやマネージャーとしてプリセールス組織の立ち上げや運用改善、人材育成に寄与。支援実績があるIT領域としてはネットワークやクラウド、IoT、セキュリティなど多数。

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