ICT企業の新規営業活動が非効率になる理由とは:新規営業効率を大幅にアップさせる方法:第1回
景気が回復傾向にある今、ICT企業各社は積極的な営業を仕掛けていく局面にあるようです。一方、従来型のB2B営業の法則は通じなくなりつつあり、「営業がどれだけ動いても、効率・生産性がなかなか上がらない」というお悩みやその解決策として「リードナーチャリング」といった新しい取組みへの期待の声も聞かれます。今回は、こうした状況にあるICT企業の新規営業活動における課題について俯瞰してみたいと思います。
商材が変われば、窓口や担当者が変わる
これまでICT企業の主な商材といえば、回線やサーバーといった「モノ」が中心で、顧客側の窓口は情報システム部門などが中心となっていました。しかし、現在の商材は「モノ」から「コト」へ移り変わり、お客様企業の課題を解決するソリューションサービスが中心となっています。こうした動きに加えて、顧客側の窓口も変わっており、ユーザー部門・その中で情報システム部門のような動きをしているご担当者へアプローチをしていかなければならないケースが多いのではないでしょうか?しかも、従来のような分かりやすい部署名ではなく「新規事業創造部」といったような、自社に関係あるかどうか一見して分かりにくい名称がついている部門がアプローチ先になることもあります。加えて、従来の窓口である情報システム部門とは機能・役割が異なるため、ユーザー部門の状況に明るくないケースもあり、なかなかご紹介いただけないケースもあるようです。こうしたことから、適切なアプローチ先を探索するのも一苦労、ということが少なくありません。
具体的な業務や企業文化をヒヤリングして理解できる能力が重要
情報システム部門からユーザー部門へと顧客側の窓口が広がっていくと、これからのICT企業の営業活動は、全く新たな顧客(新規顧客かつ新たなターゲット像)へ、いかにアプローチしていくか、ということが重要になってきます。今までの情報システム部門向けの「こうしたハードウェアでいくらです。こうしたスペックでいくらです」というモノありきの訴求ではなく、「こんなことが実現できます。こうした課題を解決できます」といった課題解決志向の訴求が必要となってきます。これを行うには、相手の具体的な業務を理解しなくてはいけません。さらに、提案する内容についても、コストや業務の効率化をメリットとして推すのか、先進的な取り組みが推進できることをメリットとするのか、顧客企業の文化やアプローチ先のレイヤーによって刺さるポイントも変わってきます。そのため、適切な提案をするための情報収集などにも時間がかかってしまうのです。
中小企業には、商材に関わるリテラシーの啓蒙も
これまでの話は、顧客企業が大手企業のケースです。一方、数の上では大多数を占める中小企業では、情報システム専任の担当者がおらず、総務の方が兼務しているような企業も多いです。兼任であるがゆえに、ITのリテラシーがあまり高くないという場合も多いでしょう。こうした場合、VPNやパブリッククラウドのメリットなどを説明しても、「これまでのインターネット回線やレンタルサーバーと何が違うの?」というところから会話がスタートしがちです。つまり、商材に関わるリテラシーを高める啓蒙活動のようなコミュニケーションからスタートしなければなりません。 こうした啓蒙活動も含めて新規営業を行っていくと、どんなに頑張っても訪問できる件数がすぐに頭打ちになります。そうした状況で、関係性が良好・付き合いが長いといった訪問しやすい企業が優先され、そうでない企業は足が遠のいてしまう、というアンバランスな活動も見られます。大量の顧客リストを持っていたとしても、過半数はアプローチされないまま眠ったリストとなり、日々の営業チャンスを逃しているようなケースです。 こうした場合に役立つ手法として「リードナーチャリング」に注目が集まっています。次回は、リードナーチャリングについてご説明いたします。