事実上の広告規制!?「Cookie規制で見直すべきは広告だけにあらず」

Marketing

欧州のGDPRを筆頭に、海外だけでなく日本国内でも個人情報規制の強化が進んでいます。法改正で規制されるCookie情報は、広告施策やデータ分析等で幅広く利用されており、さまざまな対策が必要とされています。本記事ではCookieとその規制内容、規制による対策として広告運用および規制後のデータ活用について紹介します。

目次

  1. 1. Cookie規制とは
  2. 1-1. Cookieとは
  3. 1-2. Cookie規制とは
  4. 2. Cookie規制による弊害
  5. 2-1. リターゲティング広告への影響
  6. 2-2. コンバージョン計測精度の低下
  7. 2-3. アトリビューション分析精度の低下
  8. 3. 規制後の広告運用
  9. 4. 見直すべきは広告だけにあらず
  10. 5. まとめ

 

1.Cookie規制とは

Cookie規制について説明する前に、Cookieとは何かについて簡単にまとめます。

1-1.Cookieとは

Cookieを理解するために、まずは「トラッキング」についておさらいします。マーケティング用語として使われるトラッキングとは、特定のユーザーのサイト内、及びサイト外での動きを追跡し分析することを指します。企業側はユーザーがどの広告・ページから来訪したか、どの商材を閲覧・購入したのかなど、ユーザーの行動を分析するためデータ収集を行っています。このトラッキングにCookieが活用されています。

Cookieとは、Webサイトにアクセスした際の情報を一時的にブラウザに保存するためのテキストファイルのことです。Cookieに保存される情報としては、サイトの閲覧・操作履歴や、ログイン時に入力したID・パスワードなどがあります。Cookieを活用することにより、企業側はユーザーの閲覧・操作履歴を分析し、ユーザー側としては同じサイトを訪れたときにログイン情報の入力を省略できる、といったメリットがあります。
似たような機能を持つものとして「キャッシュ」がありますが、キャッシュはユーザーに関する情報ではなく、一度表示されたWebページの画像やテキストデータなど、閲覧内容を一時的に保存します。

Cookieには1st Party Cookieと3rd Party Cookieという2種類が存在します。

1st Party Cookie:ユーザーが閲覧したサイトの運営企業が発行しているCookie
3rd Party Cookie:訪問したサイト以外のドメイン(第3者)が発行しているCookie

3rd Party Cookieは複数のサイトを横断して閲覧した履歴を追跡していくために使われており、その情報はさまざまなデータと紐付けて活用されています。利用方法として代表的なのが後述するリターゲティング広告です。

1-2.Cookie規制とは

このように企業側にとってもユーザーにとっても便利に思えるCookieですが、なぜ規制されるのでしょうか。
今回規制となるのは3rd Party Cookieで、プライバシーの観点で問題視されています。
Webサイトを離れた後のユーザーの行動を追跡する3rd Party Cookieは、個人のプライバシーの侵害につながるとの見方が欧州を筆頭に広がっているのです。
これにより、欧州のGDPRやカリフォルニア州のCCPAで法規制が進んでいます。またこの流れを受け、日本国内でも個人情報保護法改正や電気通信事業法改正など、個人情報の取扱いに関する法規制が進んでいます。

Cookie規制に関する法改正の内容については、こちらの記事もご覧ください。
▶Cookie規制関連法改正にマーケはどう対応する?~改正電気通信事業法・改正個人情報保護法のポイントを解説~

2.Cookie規制による弊害

2-1.リターゲティング広告への影響

先述したように、3rd Party Cookieを活用した代表的なWeb広告がリターゲティング広告です。リターゲティング広告とは、一度サイトに訪問したユーザーに広告を配信する追跡型広告のことです。
リターゲティング広告は各媒体で用意しているトラッキングコードをサイトに設置し、第3者のアドサーバー(広告を配信するための専用サーバー)からCookieを付与しています。

リターゲティング広告の仕組み

3rd Party Cookieはブラウザベースですでに規制が進んでおり、ITPを実装しているSafariでは完全に利用できない状態になっています(2022年9月時点)。
ITP(Intelligent Tracking Prevention)とは、iOS 11(2017年)から提供された機能で、OS側でデバイスごとにCookieを制限するものです。トラッキングを目的としたCookieの利用と判断された場合、次の制限が行われます。

・3rd Party Cookieは即時廃棄
・1st Party Cookieでも、有効期限が最短で24時間まで短縮*
・ローカルストレージでも有効期限が最短7日に短縮

※ JavaScriptで生成された1st Party Cookieが対象

リターゲティング広告は、他の広告と比べてコンバージョン獲得における費用対効果が高い傾向にあります。このためリターゲティング広告への依存度が高い企業も多く、対策が迫られています。

2-2.コンバージョン計測精度の低下

リターゲティング広告に限らず、一般的な広告のコンバージョン計測にも3rd Party Cookieが使用されています。先述したように、3rd Party Cookieを使用したコンバージョン計測が制限されているSafariでは、コンバージョン数が正確に計測できないといった影響が出ている可能性があります。
さらに近い将来Google Chromeでも3rd Party Cookie規制が適用されるため、今後ますます影響は拡大していくでしょう。

2-3.アトリビューション分析精度の低下

アトリビューション分析とは、コンバージョン直前の行動だけでなく、コンバージョンに至るまでに接触した複数の経路を評価する分析手法で、ここでも3rd Party Cookieが使われています。
例えば、あるユーザーがここ数日間で「リスティング広告⇒バナー広告⇒自然検索」と、複数の接点を経てコンバージョンに至ったとします。アトリビューション分析では、評価モデルに応じて各接点にコンバージョンへの貢献度を振り分け評価します。この手法はユーザー行動の多様化に即した分析方法として積極的に活用されており、今回のCookie規制はこの評価軸にも影響が及ぶと言われています。

3.規制後の広告運用

このように、Cookie規制後は広告運用としてメジャーだったリターゲティング広告が難しくなるため、代替策として以下のような手法がメインとなってくるでしょう。

・従来の純広告
・PMP(Private Market Place)の導入
・検索連動型広告(RLSAのようなCookie情報を用いたターゲティングを除く)
・運用型広告を「配信面」でターゲティングする手法(web広告媒体で個人情報を使わないターゲティング全般)

特にPMPは今後伸びていく市場と言われています。現在主流となっているオープンなRTB(Real Time Bidding:インプレッションごとのオークション形式により、広告枠のオープンなリアルタイム取引を実現する仕組み)とは異なり、参加できるメディアと広告主が限定されます。純広告とオープンRTBの中間と表現するとイメージしやすいかもしれません。オープンRTBでは広告枠の品質や透明性などで課題がありますが、PMPの場合は広告の掲載先となるメディアが分かり、在庫予約や固定単価制の商品もあるため、徐々にシェアを拡大しています。

4.見直すべきは広告だけにあらず

Cookie規制で見直すべきなのは広告運用に限ったことではありません。法令順守のための対策(プライバシーポリシーの見直しや、Cookie利用への同意取得)は言うまでもありませんが、規制後もデータ活用していくための基盤整備が肝要となります。

・サーバーサイドGTMの導入

Googleタグマネージャ(Google Tag Manager、以下GTM)については、ご存知の方も多いと思います。GTMは広告の効果測定やアクセス計測などに使用するタグを一元管理できるGoogleの無料タグマネジメントツールです。基本的にはWebページのHTMLを編集せずにタグを追加・編集・削除できます。ただGTMは通常、タグの管理をブラウザ上で行うため、広告などの3rd Party Cookieは制限の影響を受けることになります。
しかしサーバーサイドGTMは、仮想サーバー(Google Cloud Platform)上にGTMを設置し必要な設定を行うため、サーバー上でタグの処理が行われ、本来3rd Party Cookieとして発行されるものが1st Party Cookieとして扱われます。
また、サイト運営者のサーバーという不特定多数のユーザーから切り離された環境で処理されるため、顧客のデータが守られセキュリティが強化されるというメリットもあります。

・GA4を活用したGoogle広告

GA4は完全なCookie不使用状態ではないのですが、1st Party Cookieのみで計測できる仕組みも用意しています。また、GA4とGoogle広告を連携することで、以下のようなメリットがあります。

・集客サマリーレポートでGoogle広告キャンペーンのデータを確認できる
・ユーザー獲得レポートで、新しいGoogle広告ディメンションにアクセスできる
・Google広告アカウントにアナリティクスのコンバージョンデータをインポートできる
・アナリティクスのオーディエンスデータを使用してGoogle広告のリマーケティングを強化できる
・アトリビューションレポートなど、広告ワークスペースでGoogle広告キャンペーンのデータを確認できる
参考:Googleアナリティクスヘルプ

5.まとめ

Cookie規制への対策として、広告面と広告にまつわる分析面での対策について紹介しました。このほかにも広告クリエイティブの品質向上や、訪問ユーザーを離脱させないためのUX改善など、多角的な対策が必要となります。まずはデータ活用するための基盤整備を実施し、有効活用できるデータを蓄積できる環境を作りましょう。

 

 

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