ITサービス営業生産性向上のためのセールスサポート(営業事務)の仕事内容と活用事例
目次
- 1. セールスサポートの業務例
- 2. お客様が抱えている営業課題
- 3. ITサービスの営業プロセスの最適化・生産性向上の手法とは?
- └営業プロセスが最適化された状態はどんな状態か
- 4. ITサービスの営業におけるセールスサポートの活用シーン
- └セールスサポート領域がセールスに与えている影響
- 5. 営業効率化の実践事例
- └パーソルビジネスプロセスデザインの取り組み及び成果
- 6. 今後の展望
- 7.執筆者プロフィール
セールスサポートは、訪問で社外にいることが多い営業担当がお客様との交渉に注力できるように、業績に繋がる売上向上やお客様の利益アップするためのサポートをするお仕事です。 具体的な仕事内容として、御見積書の作成、受発注データの入力などの社内業務のほか、 営業担当の商談支援における提案資料の作成の役割を担っています。
セールスサポートの業務例
お客様が抱えている営業課題
パーソルビジネスプロセスデザインが支援するお客様にヒアリングを行った際、特に「人的リソースの不足」が課題として上がることが多くあります。人が足りないことで生産性が下がり、市場での競争力低下にも繋がってしまいます。 また、リソースが不足することで、新人教育や社内研修に割けることもできなくなり、結果的に業務の平準化ができずに属人化される課題にも発展しやすくなります。 業務の属人化が進むことで利益が底上げされないだけでなく、ノウハウやナレッジの蓄積ができず、後進育成にも多大な影響を及ぼします。 そのため、セールスサポートの役割として、営業担当が“本来やるべき仕事”に集中できるよう 環境の整備はもちろんのこと、サポートし続けていくことが大切です。
ITサービスの営業プロセスの最適化・生産性向上の手法とは?
営業プロセスの最適化と一言で言っても、お客様が抱える課題によって「最適化された状態」は様々です。今回は、お客様からお問い合わせいただく事の多いお悩みからご提案の一例をご紹介します。
営業プロセスが最適化された状態はどんな状態か
(1)ツールが導入されている状態 ツールの導入も有効な手段です。例えば、SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)で顧客情報や営業の進捗状況などを管理・分析できます。 ツールにデータを蓄積していくことで、活動履歴が可視化され、目標設定や引継ぎをスムーズにすることが可能です。 また、顧客データからビジネスに必要な売り上げ予測をすることで、営業の対応優先度や状況に応じたアクションを取ることができます。 その結果、商談の成約率を高めるための戦略立案や成約率の向上にも繋げられます。 セールスサポートという観点で言えば、まだ属人で対応されているケースが多くあり、スキルの平準化はもちろんのこと、ツールも上手に活用していきましょう。特に、現在は様々なツールがリリースされている中で、導入目的に沿ったものを選択することが重要です。 (2)業務プロセスが仕組化・可視化されている状態 生産性向上のためにまず取り組むべきことは、業務の棚卸しを実施し、 業務量や業務フローを正確に把握することです。可視化することで業務の全体像が見え、現状の問題点や無駄を抽出することが可能です。 また、それ以外のメリットとして ①社員同士が共通認識を持ち、情報共有ができること ②ミスが起きやすいポイントの把握及び改善アクションに繋げること の2つがあげられます。 その結果、属人化対策にもなりうると考えます。
ITサービスの営業におけるセールスサポートの活用シーン
セールスサポート領域がセールスに与えている影響
セールスサポートが介入することで、営業担当者が提案からクロージングまでの業務に注力ができます。人材の入れ替わりが激しい中で、営業担当に依存しない支援の供給ができるのも良さです。 営業と異なり、広く業務に携わることから、違った視点での気づきもあります。例えば、実際の対応経験から従来のオペレーションやワークフローを再構築し、無駄を省いて最適化(=生産性向上)することも重要な役割であり、営業担当以上にキーマンとなり得る場合もあります。 また、新規のお客様のみならず、既存のお客様や新規で受注したお客様に対しても営業担当と共に フォローしていくことで、お客様のCS向上や今後のビジネス拡大にも繋がる可能性があります。
5. 営業効率化の実践事例
これまで実際にセールスサポートのご発注をいただいた事例をご紹介します。 業界:大手ペイメント系の会社様 課題:派遣社員の退職が続き、新規配属者に対する業務引継ぎ、業務マニュアルの不十分による業務品質の維持が難しい状況。また、社員教育に割けるリソース不足という課題も。 その結果、お客様からの依頼における対応のスピード感、知識(ナレッジ)が明らかに既定の水準に満たしておらず、社員も残業過多の傾向になっていました。
パーソルビジネスプロセスデザインの取り組み及び成果
まず、対応すべき事項を (1)業務ヒアリング (2)業務マニュアルの作成 (3)社員教育/平準化 の3点を活動の方向性として定めました。 (1)の業務ヒアリングにおいては、業務する上での各対応事項の明確化を図りました。 また、対応する際の注意事項も含めて確認させて頂いております。 その情報を踏まえて(2)のマニュアル作成に入りました。 マニュアルのメリットは様々ありますが、注目すべきポイントは“品質の平準化”と考えます。 判断が迷った際に参考できるのはもちろんのこと、上長・同僚に確認・回答を得るまでの工数削減にも繋がります。言い換えれば「〇〇さんがいなくても、スムーズに業務を進められること」が大きなメリットとなります。 (3)に社員教育においては、弊社内で新人育成/教育の工数を巻き取り、業務スキルの平準化を図りました。本活動によって、個人に依存しない体制の構築ができることで、業務の冗長構成にも繋がることができました。 その結果、プロセスの再構築をすることで、適正人数での業務運用に貢献し、プロパー社員様の稼働を15%削減することに成功。その影響は目に見える効果だけでなく、ビジネスの主要KPIの取り組みにおける稼働時間の創出及びサービス品質の向上にも大きく寄与することができました。
今後の展望
今後においては、セールスサポート(営業事務)と呼ばれる領域においては、ビジネスを発展させていく上ではなくてはならない存在となりつつあります。 しかし、人材確保が難しいとされる現代社会において、限られたリソースを用いて効果の最大化を目指す取り組みは必要不可欠になります。 「人」のみでなく、「ツール」も合わせて活用することが重要です。 セールスサポート(営業事務)も単なるインバウンド対応だけでなく、アウトバウンド活動や業務改善の提案も業務範囲なっていくことが自然な流れと考えます。 例えば、リード獲得~カスタマーサクセスまで一気通貫で支援をしていくことや、既存顧客に対してのアプローチ活動(サービス利用促進)をして継続的な利用更新、アップセルに繋げていく(LTVの向上)が理想と言えます。 現状、営業事務領域のお仕事はまだ「コストセンター」と思われがちではありますが、そのイメージも覆していく必要があります。そのためにも、日々変化するビジネス環境において、業務プロセスの再確認と改善は必須であり、継続的に取り組むことが望ましいです。 パーソルビジネスプロセスデザインにおいても、「コストセンター」から「プロフィットセンター」への進化に向けて業務構築や改善ができるBPM人材創出にも着手しています。
執筆者プロフィール
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社 セールスソリューション統括部 セールスサポートグループ 伊東 潤 2011年に「営業」における活動の幅を広げたいという理由にてパーソルビジネスプロセスデザインへ中途入社。 入社後、約10年間は携帯電話の販売代理店、クラウド商材、BIツールなど、様々な分野にてセールス活動に従事していました。 2022年に現セールスサポートグループへ異動し、営業時代に培った経験を生かしたお客様支援を担当。顧客課題も多様化し、セールスとサポートの進化も求められる中で、我々にしかできない「セールスサポート」を模索しています。 お客様ビジネスの成功へ向け、価値あるサービス提供を目指して組織作りを実現させたいです。