会議お役立ちコラム
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なぜ、報告の会議がなくならないのか
投稿日:2023年7月20日

目次
[ 非表示 ]1. 日本の多くの企業で報告主体の会議がなくならない5つの理由
従来から日本の企業において「報告だけの会議」という形式が根付いています。
この会議形式では、主に情報の一方的な伝達が行われるのみで、参加者の積極的な関与や意見交換が少ないという特徴があります。
日本のビジネス環境において、報告主体の会議がなくならない理由として、以下の5つが考えられます。
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仕事をしているアピールの場になっている
多くの企業で報告主体の会議が行われている理由の一つは、会議の場が仕事の進捗や成果をアピールする場になってしまっているという面も拭えません。
上司が部下の仕事を確認し、部下は上司の信頼を得るための場になってしまっていると言っても過言ではないでしょう。 -
会議は現状把握をする場だと思っている
多くの場合、会議は現状の把握や課題の共有の場とも化しています。
その結果数値や業務の進捗状況が可視化されず、会議日が数値の準備期限のような状況になっていることも多いです。 -
忙しく報告以外の準備に手が回らない
業務のオートメーション化や効率化が進まない場合、従業員は実務や集計業務に忙殺され、資料の準備に十分な時間を割くことができません。
その結果、資料自体が報告主体のものとなってしまう傾向もあります。 -
会議責任者が議論すべきテーマを事前に共有していない
会議の責任者が議論すべきテーマを明確に共有していないという実態もあります。
この場合、参加者はどのような方向が落としどころかも分からず、結果的に報告に偏った会議になってしまうこともあります。 -
報告をなくす会議フローになっていない
報告主体の会議を改善するには、報告の共有や確認をするためのログやコメント機能など、効果的な情報共有手段を整備する必要があります。
これらが出来ていないと、会議は報告主体になりがちです。
以上、日本の企業で報告主体の会議がなくならない理由は、上記の5つが主要因と考えられます。
報告だけの会議では、参加者の関与度や参加度が低下します。
報告者が主導権を持ち、他の参加者は情報を受け取るだけの役割を果たすため、参加者が会議に積極的に関与する機会が限られています。
これにより、参加者のエネルギーや関心は低下し、会議の成果が制約されてしまうという状況が生まれてしまいます。
さらに、報告だけの会議では意見交換やディスカッションの機会が少ないため、参加者の多様な視点や知識を活かすことができません。
意思決定のプロセスにおいて、参加者全員の貢献や意見交換は重要な要素です。
報告だけの会議では、このような重要な要素が欠如してしまうのです。
次にこれらの課題の対処方法を探っていきたいと思います。
2. 報告主体の会議をなくす5つのポイント

報告主体の会議を改善し、効率的な情報共有と意義のある議論を実現するための5つのポイントをご説明します。
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コミュニケーションツールを活用した情報共有
スケジュール、数値、KPTなどの情報をコミュニケーションツール上で共有し、参加者がコメントを追加できる環境を整えます。
これにより、報告会議が不要となり、柔軟な情報共有と意見交換が可能となります。 -
数値や進捗の可視化と管理ツールの活用
数値や進捗状況を管理ツールを使って可視化し、いつでも誰でも閲覧可能にします。
これを行うことにより、会議の場で数値共有や進捗報告が不要となり、報告会議撲滅が可能です。 -
実業務のオートメーション化と効率化
業務や集計業務をオートメーション化し、効率化を図ります。
管理職は業務の割り振りを調整し、従業員が資料準備に費やす時間を確保できる体制を整えます。
これにより、報告に終始した資料から脱却できることとなり、会議の場で議論が必要な議題についての資料準備といった生産性の高い業務に集中できます。 -
四半期ごとの数値集計・分析と計画の策定
事業全体の数値を四半期ごとに集計・分析し、計画と実績の乖離がある場合はテーマを設定して議論を行います。
この中では報告中心の議論より、具体的な課題や改善策について話し合うことに多くの時間を割くことができます。 -
効果的な会議ルールの設定
会議の目的と議題を明確に設定し、事前に共有します。
会議では報告に重点を置かず、具体的な論点や意思決定が必要なテーマに焦点を当てます。
これらの実践により、報告主体で生産性の低い会議からの脱却の糸口になります。
会議が報告主体になってしまった原因が分からない場合、これら5つの視点で自社の会議の実情を見直すことで気付きが得られる可能性があります。
3. 報告主体の会議をなくすステップについて
ここでは報告主体の会議を段階的になくすステップを考えていきます。
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会議前の事前準備を改善する
良い会議では会議前に目的や問題のすり合わせ、論点の明確化、意見の可視化などが行われています。
また、成果報告進捗管理についても会議前にアジェンダごとに意見・質問・確認等を収集し論点を明確化しています。
従って論点がない報告アジェンダは、参加者全員が事前確認した上で会議当日はスキップしています。
具体的な運用方法としては、以下が効果的です。
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業界・事業・職種ごとにアジェンダのフォーマットを作成する。
これを行うことにより、報告内容が統一化されて資料も見やすくなりますので、議論に必要な情報が明確になります。 -
数値管理ツールや進捗管理ツール、添付資料などを報告内容とマージさせます。
これにより、報告内容がより参加者に分かりやすくなり、参加者は共通の認識を持って議論ができます。 -
論点がないアジェンダは事前にスキップする仕組みを設ける。
参加者全員がスキップしても問題ないと判断した情報は会議の場で話さないようにし、無駄な時間を省きます。 -
論点がある場合は、アジェンダごとに意見を取集する仕組みを設ける。
これにより、会議中に効果的な議論が行われます。 -
会議当日、論点がないアジェンダを全員が確認したことをログ上で確認し、スキップする旨を伝えます。
会議中の説明を省略し、冒頭から論点中心の議論に移ることで、会議時間の効率化を図ります。
4. 報告会議の代替手段を検討する
ここまで報告主体の会議の改善点を説明してきました。
ただ、一方では報告には一定のメリットも存在することが事実です。
従って報告そのものを否定するということではなく、報告会議の代替手段を検討することも必要です。
報告のメリットとしては、以下が考えられます。
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情報共有
報告は、チームや組織内で情報を共有し、認識を合わせるための重要な手段です。
また、言葉で伝えるよりも文章で伝えた方がより正確性が高まります。
必要な情報をリアルタイムで共有し、必要な情報をいつでも取りに行ける仕組みを設けることで、生産性が飛躍的に高まります。 -
進捗管理とアカウンタビリティの確保
報告により、個々のメンバーが自身の業務に対する責任を明確にします。
進捗・成果を可視化して、ステークホルダーに共有するルールを設けます。
会議では論点中心の議論を行い、論点がない場合はコミュニケーションツールを活用して細かいやり取りを行います。 -
意思決定のサポート
プロジェクトの進捗や問題点が共有され、それに基づいて意思決定が行われます。
論点がある場合は会議で議論・意思決定を行った方が良いとされています。論点がない場合は、ベース会議で意思決定を行う必要がなく、コミュニケーションツール上で行っても問題ありません。 -
組織文化の醸成など
報告の役割と効果を活用しながら、会議体ごとに会議目的が代替できる他の会議体がないか整理します
企業によって「事業部別会議」「事業部横断会議」「経営会議」など会議は多いですが、ホントにそれらはすべて必要か?という観点からの見直しも必要と言えます。
5. 会議の効率アップに向けた有効な策は?
報告主体の会議手法から脱却し、会議の効率アップのために有効な策としては、以下が考えられます。
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目的を明確にする
報告会議の目的を明確に定め、必要な情報共有や意思決定を行うことを重視します。
目的に基づいて会議のテーマや議題を設定し、報告者にはそれに沿った内容を準備させます。 -
参加者を適切に選定する
報告会議には関係者や専門家など、関連性の高い参加者を選ぶことが重要です。
必要な人々が集まり、的確な意見交換や議論ができるようシチュエーションを整えることも大事です。 -
事前に情報共有を行う
報告者は事前に資料や報告内容を参加者に提供し、事前に情報共有を行います。
参加者は事前に資料を確認し、疑問点や要望を報告者に投げかけることで、会議の時間を有効に使うことができます。 -
会議冒頭に意見収集した内容をもとに話をする
会議前に論点からずれた質問などの質疑を終わらせておくと、会議内で論点がずれることを防ぐことができます。
従って、ファシリテーターは論点からずれた議論になりそうな話題について予測するスキルも必要と言えます。 -
会議の進行を効率化する
会議の進行をスムーズにするために、スキルの高い議長や進行役を設けることが有効です。
会議内のさまざまな発言につき、瞬時に発信者の意図を理解し。論点がからずれないようにコントロールすることが必要です。
テレビなどで見る司会者はこういった瞬時に理解するスキルに長けているわけですが、同じスキルが企業の会議のファシリテーターにも必要だということです。
論点かラズレナ方向に進みそうになれば、会議メンバーにゴールを再確認させ、論点からずれないように促すことで、会議はスムーズに進行します。
また、時間管理を徹底し、議題ごとに時間枠を設けることで、会議が長引かないように進行することも大切です。 -
資料の整理とわかりやすさ
報告会議のための資料は、情報を整理し、わかりやすくまとめることが重要です。
必要な情報を適切に選択し、重要なポイントを強調するために、グラフや図表、要約文などの活用も効果的です。
また、フォーマットやデザインにも配慮し、視覚的に魅力的でわかりやすい資料を作成を提供することも必要不可欠です。
フォーマットについてはサマリーフォーマットも活用し、論点の抜けや漏れがなく端的にまとめることで、読み手の負担を減らす配慮も望ましいでしょう。 -
積極的な参加と意見交換
良い報告会議では、参加者が積極的に関与し、意見を交換することが重要です。
報告者に対して質問や意見を求める場を設けることで、より深い議論や意思決定が行われます。
参加者は事前にアジェンダを読み込み、意見を持っておくと会議当日の意見交換が活発になります。 -
アクションプランの策定とフォローアップ
報告会議の最後には、アクションプランを策定し、次のステップに進むための具体的な行動を明確にします。
また、アクションプランの進捗状況を定期的にフォローアップし、必要に応じて調整を行います。・会議の評価と改善
良い報告会議を継続するためには、会議の評価と改善が重要です。
参加者からのフィードバックを収集し、会議の効果や改善点を把握します。
それに基づいて、適宜会議の形式や進行方法を改善し、より効果的な会議運営を目指します。
会議の効率アップのためには、これらを実践することが必要です。
スキルの高いファシリテーターの存在や、会議参加者が意識を変えることも重要で、「会議=報告」という思考からの脱却も必要です
6. まとめ
日本の企業における報告主体の会議がなくならない理由は以下の5つです。
- 仕事をしているアピールの場になっている
- 会議は現状把握をする場だと思っている
- 忙しく報告以外の準備に手が回らない
- 会議責任者が議論すべきテーマを事前に共有していない
- 報告をなくす会議フローになっていない
報告だけの会議では参加者の関与度や参加度が低下し、意見交換やディスカッションの機会も少なくなります。
報告主体の会議をなくすためには、コミュニケーションツールの活用、数値や進捗の可視化、業務のオートメーション化、効果的な会議ルールの設定などのポイントを考える必要があります。
ステップとしては、会議前の事前準備を改善し、報告会議の代替手段を検討するなどの取り組みが有効です。
これまで長きに渡って「報告会議」という悪い癖がついている場合、変革には一定の時間を要することは必至ですが、生産性の高い会議運営をするためには避けては通れない道と考え、改善に取り組むことが必要です。