MENU

CASE 05

RPAによって全業務10%のリソースシフトに成功。物流現場の業務革新を実現した仕組みづくりとは。

株式会社ニチレイロジグループ本社

業務統括部 業務革新担当 部長

株式会社ニチレイロジグループ本社

業務統括部 業務革新担当 マネジャー

勝亦 充 様

立岡 伸介 様

課題・背景
  • 労働力不足に対応するため、2016年度に「業務革新推進部」を設立
  • 2017年度から「庫内作業のデジタル化」という大方針に基づき、物流業務のデジタル化に注力
  • RPAを活用し、物流センターの事務業務を効率化
取り組み内容
  • 業務委託の形でパーソルP&T社員が常駐し、社内ネットワーク上にある基幹システムの操作のRPA化を推進
  • 全国の事業所でRPA研修を実施
成果
  • 2022年度の業務のRPA化目標27万時間に対し、2022年1月末時点で30万時間超え
  • RPA化により、時間外労働の減少や有給休暇取得数が増加、ES調査(従業員満足度)が高評価に
今後の取り組み
  • RPA化したことによって生まれた時間と、その時間の使い方が有効に使えているのかをモニタリングし、支援していく
  • RPAに限らず、DX推進のための人材育成

課題・背景:業務をRPAで効率化することで、リソースシフトを通じて働き方改革を実現する。

取材日:2022年2月17日
※所属・役職は取材当時のものです。

──ニチレイロジグループでは、どのような課題があったのでしょうか?
勝亦:労働力不足の問題が2015年あたりからクローズアップされるようになりました。
労働力不足に対応するため、2016年度に「業務革新推進部」を設立。2017年度から「庫内作業のデジタル化」という大方針に基づき、物流業務のデジタル化に注力することになりました。

 

──どのような取り組みをされたのですか?
勝亦:課題をリストアップしたのですが、数えきれないほどの課題が浮き彫りになりました。例えば物流現場に新技術を導入するための要員が足りないであるとか、低温環境における機械化が難しいであるとか・・・。また、事務面でもAccessやExcelマクロを活用するなどで、業務改善は文化として根付いていましたが、多くの業務が紙ベースで行われているのも事実でした。他にも従業員の働き方、時間外労働の削減、ダイバーシティの推進など、課題は山積みでした。
さまざまな要素を調べていくなか、物流センターの事務業務をRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)で効率化することで、業務負担を軽減し働き方改革につなげられるのではと考えました。

 

──自動化・省力化するだけでなく、働き方改革を目指したわけですね。どのような体制を組まれたのでしょうか。
立岡:まず、2017年度に全国10か所のモデル事業所を設定し、RPAのトライアルを実施しました。すると、年換算約10,000時間の業務をRPA化するなど、一定の成果を挙げることができました。それで、全国展開することになりました。
勝亦:ただ、国内だけでも114か所の物流センターがあり、業務も多岐に渡ります。そのため、業務を1箇所に集めてまとめてRPA化するような体制は困難と判断し、それぞれの現場で業務の実務担当者にRPAを作ってもらうことにしました。

 

──スムーズに全国に導入できましたか?
立岡:プログラミング経験のある従業員はスムーズに導入して、すぐに事例を増やしてくれました。
しかし、それはごく一部で、キーマンのスキルに依存する傾向がありました。
勝亦:RPAを全国展開して行くためには、キーマンに依存しない体制作りが必須でした。
RPAツールは当時日本語インターフェイスに対応していた国産の「WinActor※」と決め、代理店など、数社に支援を相談したところ、パーソルプロセス&テクノロジー(以下、パーソルP&T)さんが親身に相談に乗ってくれたことが、心に響きました。
特に弊社に適した推進まで踏み込んでいただき、複数の対応策を提示いただきました。そのなか、業務委託の形で我々の部署にパーソルP&Tさんが常駐し、弊社の一員としてRPA推進の一翼を担うという提案は、我々がイメージするRPA推進に最もフィットすると感じました。また、一緒に汗をかいて取り組みを進めていけるだろうという安心感を持ちました。

 

──その点が心強いと思われたのですね。
勝亦:そうです。さらに、窓口業務だけではなく、技術にも長けているとのことでした。
我々がRPA化したい業務は主に社内ネットワーク上にある基幹システムの操作を伴うもので、社外からリモートでアクセスすることはできません。常駐という形で、そういった環境にも対応してくれるというのは魅力でした。加えて、全国の事業所からの問い合わせ対応はもちろん、遠方の事業所にも出張して研修を開催することもできる。願ったりかなったりでした。

取り組み内容:従業員RPA合宿やRPA研修など、現場主体の体制を構築。

──どのような体制で取り組まれたのですか?
勝亦:2018年7月から常駐支援(当初1名、後に2名体制)がスタートしました。それに先立ち4月~6月の3か月間に当時の業務革新推進部のメンバーが全国の事業所を巡回し、業務革新の取り組みについて説明する「業革セミナー」を実施しました。業務革新を進めるに当たり、主役である従業員に理解をしてもらう、言い換えればマインド変革を促していくことが必須であると考えたからです。

 

──どれくらいの方が参加されたのですか?
勝亦:1回3時間のセミナーを全国50か所で開催し、約700名の従業員が参加しました。
「業革セミナー」のアンケートでは従業員からの「RPAは業務で使えると思う」「RPAを学んでみたい」などの前向きなコメントが多く寄せられ、RPAについて女性従業員からの関心が高い傾向がありました。
それを受けて早速、「女性従業員向けのRPA合宿」をパーソルP&Tさんと一緒に企画しました。女性活躍推進ということもテーマにありましたが、物流センターの業務を熟知している女性従業員にRPAをマスターしてもらうことで、大きな進展につながるのではないか・・・という期待がありました。
合宿は2泊3日で2回開催したのですが、合計40名の女性従業員が参加しました。合宿に参加したメンバーは現在でもRPA推進の中核を担ってくれています。
パーソルP&Tさんは、常駐のメリットを最大限に活かし、問い合わせ対応はもちろん、北海道から九州まで、全国の事業所を飛び回ってRPA研修を実施してくれました。この取組みは現在も継続中です。他にも、弊社独自のオリジナルコンテンツの作成に取り組むなど、RPA事務局の一員としてまさに八面六臂の活躍をしていただいています。

 

──成果は出ているわけですね。
勝亦:2018年度に実施した各種施策は着実に成果を出し、2019年度以降は拡大期へと入っていきました。取組みの枠が大きくなっていくなかで大切にしたのは「誰もが主役になるRPA推進」という点です。RPA化を進めて行く中心はシナリオ作成者ですが、それは周囲の理解と協力があってのこと。組織一体となったニチレイロジグループらしい展開を目指しました。

 

──具体的にはどのようなことでしょうか?
勝亦:シナリオ作成者を支える「サポーター」のための研修の実施や、全国の事業所で生まれた良好な事例を全社に共有することを目的とした「RPA新聞」の発行を企画しました。若手社員が制作し、隔週発行で60号まで発行済で、弊社の社長も閲覧しています。
他にも全国の推進担当者が一同に会する「RPAリーダーズミーティング」などのイベントも開催し、全国の推進者同士の意見交換や悩みの共有を図りました。

 

──RPA化の拡大のために、環境整備にも力を入れたのだとか。
勝亦:最初は、パソコン1台1台に「WinActor」をインストールする、ノードロックライセンスでスタートしたのですが、全国的に規模が拡大されたことを踏まえて、ライセンスを有効活用するため、フローティングライセンスに完全移行しました。また、FAXを使っているため紙の処理が残っていたのですが、効率化に親和性の高いAI-OCRを全社導入し、デジタル化を進めました。
立岡:フローティングライセンスにしたことで、1,000を超える端末で「WinActor」を稼働させています。
勝亦:また、シナリオ作成者の「RPA技術者検定 アソシエイト」の資格取得を支援するプログラムとして、パーソルP&Tさんに模擬テストを用意していただいています。自身のキャリアップに向けた資格取得を推奨していて、これまでに約50名が合格を果たしています。

 

──資格が取れて、評価もされる。業務にも直結しているし、サポートも受けられるというなら、取らない手はないですね。
勝亦:おかげさまで弊社のRPA化は右肩上がりに進捗しました。ところが、2020年に危機が訪れました。新型コロナウイルスの感染拡大です。RPA研修が実施できなくなったことは、大きな問題になりました。
しかし、幸いなことにコロナ禍前よりパーソルP&Tさんとオンライン研修の実施に取り組んでいたことが功を奏しました。
コロナ禍でもオンライン研修を積極的に実施し、不具合は適宜改修していくことで参加者にとっても事務局にとっても進めやすいオンライン研修が定着しました。また、同時に動画コンテンツの充実を図ったので、むしろコロナ前よりも研修の柔軟性は増したのではないかと思います。

 

──パーソルP&Tの研修支援はいかがですか?
勝亦:コンテンツ作りのところでも、我々の事業にフィットしたものを作っていただけたので、満足しています。
立岡:RPAの導入では当初、自分たちでチュートリアルを作ろうとしたのですが、簡単ではありませんでした。そこをパーソルP&Tさんに相談するとサポートしてくれますし、一緒に推進するフィット感がありました。

成果:時間外労働の減少や有給休暇取得の増加などが加速。ES調査でも高評価。

──現時点で、目標は達成できていますでしょうか?
勝亦:2022年度に27万時間の業務のRPA化を目標としていましたが、2021年10月には達成し、2022年1月末時点で30万時間を超えています。これは国内114ヶ所の物流センターに勤務する従業員の年間業務時間の約10%にあたります。
弊社の業務革新・RPA推進の目的である「リソースシフト」が進んでいることを示す、何よりの成果であると感じています。

 

──リソースシフトとは、具体的にはどのような内容なのでしょうか?
勝亦:例えば、業務作業の時間がRPAに一定数、移行することで、時間外労働の減少や有給休暇取得数が増加しています。社員の働き甲斐が向上したことで、定期的に行っているES調査(従業員満足度)が高評価になっています。

 

──研修における成果はいかがでしょうか?
勝亦:これまでに延べ2,500名の従業員がRPA研修に参加し、全国の事業所で3,000本を超えるシナリオが作成されました。現場で業務のあり方を考える際の一つの手段として、RPAはすっかり定着したと言えます。
そして、なによりも価値があると感じているのは従業員の変化です。RPAの取り組みに参加した従業員から寄せられる多くのコメントは前向きで成長意欲に溢れたものです。この一つひとつが弊社の財産です。今後、しっかりと積み重ねていくとともに、従業員たちがよりいっそう輝くことができる場を築いていかなければ・・・と責任を感じるところでもあります。

 

──従業員の変化として着目している点はなんでしょうか?
勝亦:例えば、RPAを推進する従業員が営業担当者と一緒にお客様を訪問し、営業担当者とは違う現場目線で説明をすることもできるようになりました。また、自分の事業所だけでなく、他の事業所の業務改善の支援をするなど、さまざまな事例が生まれています。

 

──他にも成果はありそうですね。
勝亦:思わぬ効果を感じられた事例が、2つあります。1つは、外注していた作業をRPAに任せることができた。外注に発注していた数百万円、あるいは数千万円の経費削減につながったこと。
もう1つはBCP(事業継続計画)の観点です。ここ数年、大規模な自然災害による被害が全国で発生しています。実際、西日本豪雨のときは大阪の事業所が数日間停電に遭いました。これまでは、停電中に滞っていた事務処理の復旧後におけるリカバリーに多くの時間を要していました。しかし、RPAを使うことで数日かかっていたことが半日で完了すると時間が短縮され、心理的負担の軽減にもつながりました。
あと、お客様と一緒に業務改善することも事例として増えています。工程の削減ができたことでお客様への貢献につながっています。

今後の取り組み:今後、物流DXの取り組みを進めて行くにあたり、更なる支援に期待。

──今後の課題をどのように考えていますか?
勝亦:RPA化したことによって生まれた時間と、その時間の使い方が本当に有効に使えているのかをモニタリングし、支援していくことだと考えています。

 

──RPAの推進が、今後、DXに取り組むことに役に立っているのでしようか?
勝亦:弊社がDXを進めて行くに当たり、働き方の多様性や、時間や場所を問わない業務の仕方があると思うのですが、そこに対してはRPAの取組みが活きて来ると思います。

 

──DXも推進して行かなければなりませんね。
勝亦: RPAはDXのための一つのツールです。それだけに捕らわれず、事務業務全体を大きく変革して行く必要はあります。そのための最大の基盤は「人」です。人材育成をどう絡めていくかが、最大のテーマになると思います。

 

──パーソルP&Tに何を期待しますが?
勝亦:我々と一緒に新しい景色を作っていくパートナーとして、一緒に考えていければと思っています。そして、刻々と変化する弊社の状況をしっかりと受け止めて、適した提案や対応をいただけることに期待しています。単にRPAを支援していただく、あるいは研修サービスを提供いただく、そういった関係ではなく、常駐の方々を中心に組織立った形で伴走をしてくれる点に安心感を覚えます。

※WinActor®はNTTアドバンステクノロジの登録商標です。


(左から、勝亦様、RPAを推進されている金子様、パーソルP&T中島、立岡様)

パーソルのRPA

パーソルのRPA

ワークスイッチ事業部

導入実績500社以上!600人のエンジニアだからできる導入から定着までワンストップで支援。

PAGETOP
PAGETOP