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開催レポート:企業のためのキャリア自律セミナー
~キャリア自律に関する最新調査と企業が取り組むべき支援事例のご紹介~

開催

働き方の多様化や雇用の在り方が変化していく中、多くの企業が改めて注目している「キャリア自律」。
社員のキャリア自律を促進することで、組織全体のパフォーマンス向上や変化適応力の向上などが期待されていますが、実際に企業としてどんな支援に取り組めば良いか分からない、という人事や人材育成担当の方からのご相談が増えています。

本セミナーでは、キャリア自律について専門的な調査や企業支援を行っている専門家による解説とパネルディスカッションを通して、企業がどのようにキャリア自律支援に取り組むのが良いのか、最新の事例や調査データを元にお伝えします。

本記事では、2021年10月21日(木)に行われたセミナーをレポートします!

##変化の時代におけるキャリア自律を科学する

まずは我々をとりまく環境を知るために、2021年に行われた最新のキャリア自律に関する調査から見えた結果を株式会社パーソル総合研究所 上席主任研究員 小林 祐児氏にお話しいただきました。

なぜ今キャリア自律なのか?

そもそも、どうして今キャリア自律が必要であると提唱されているのか。
歴史を辿ると、日本でキャリア自律が盛り上がりはじめたのはバブル崩壊後のことです。
DXなどの技術革新やコロナなどの時代変革によるビジネス環境の大きな変化に適応するため、私たちは学び直しや転職をするようになりました。適応する一方、変わらない個の内面にも注目します。キャリア自律も、その一つです。小林氏はこれを『「わたし」の二重化』と呼びます。

キャリア自律を科学する

時代の流れとともに注目されてきたキャリア自律。何がその流れを後押ししているのか、パーソル総合研究所で調査した結果を教えていただきます。

年代や従業員規模、業種など属性別で見ると、キャリア自律が高い属性、低い属性が明らかになりました。

従業員のキャリア自律を高めることで、パフォーマンスの上昇など、企業へメリットがあります。それでも、離職につながる不安も抱えている企業は多いと思います。
しかし、今回の調査でキャリア自律と転職意向の相関がないことがわかりました。

以下のような環境がキャリア自律に影響するとわかっています。
・「多様性」「専門性」「成果」を尊重する風土の醸成
・キャリアの透明性の向上
・未来志向の上司マネジメント
・視座を上げるプロジェクトへの参加や越境などの経験ができる環境

このような環境の後押しもあり、キャリア自律は今加速しているのです。

どうやって従業員のキャリア自律を高めるか

では、企業としてキャリア自律を促すには何ができるのか。小林氏は、キャリア自律の「ビオトープ・モデル」を提案します。

キャリアの話となると、過去の話を聴いたり、社内でロールモデルを探したりしてしまいがちです。しかし変化が多い現代では、「ビオトープ・モデル」のような総合的な人材マネジメントの仕組みをつくり、キャリア自律を促す環境を整えることが大事なのです。過去ではなく、現在と未来に焦点を当てているのが今までのモデルと異なる点です。

##企業としてキャリア自律にどう向き合う?

これから企業がどのようにキャリア自律と向き合い、何をしていくべきなのか。小林氏とモデレータのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社ワークスイッチ事業部 事業開発統括部 部長 成瀬 岳人によるパネルディスカッションが行われました。

問い①
企業としては投資対効果が知りたいところ。キャリア自律の成果はどのように捉えたら良いのでしょうか。

―小林氏によると、「お金」で表すのは難しいのことでした。しかし、採用という形で効果が現われることはあるそうです。また、データを見る際は、企業としてどこを目指すのか、まずは青写真を共有し比較対象を用意することで、効果が見やすくなります。

問い②
キャリア自律を促す環境を整えることが必要なことはわかりましたが、実際にどのような策が有効なのでしょうか。

―おすすめは、意思に基づく内部人材流動の仕掛け(=対話型ジョブ・マッチングシステム)の構築。外部を見る前に、まずは内部で人材を流動的にすることで様々な視点を得ることができるようになります。

具体的に整備することは5つ。

①仕事の見える化
②キャリアパスの見える化
③個人キャリアの見える化
④個人キャリアの自律化
⑤内部マッチング機能の強化

また、キャリアについて考えると言っても、現状キャリアの話をする機会はほとんどありません。まずはキャリアについて話す機会を増やしていくことが重要だという言葉に、参加者はハッとさせられます。

環境の整備をすることで、従業員の未来が変わることがデータから知ることができる機会となりました。

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