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TALK 05

“いい仕事の進め方を共通化していきたい”。 チーム生産性向上の教科書を共創し、形にした想いとは

組織変革Lab主宰・株式会社なないろのはな

取締役

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社

ビジネスエンジニアリング事業 事業部長

沢渡 あまね 様

小野 陽一

パーソルプロセス&テクノロジー(以下パーソルP&T)では、2022年8月23日、チーム強化メソッド「COROPS(コロプス)」をリリースし、オンライン記者発表会を開催しました。 テクノロジーの進化や新型コロナウイルスの感染拡大によって、企業を取り巻く環境は急速に変化し複雑化しており、将来の予測が困難な状況にあることから、現代は、「VUCA※1(ブーカ)時代」と呼ばれています。 パーソルP&Tのアウトソーシング事業では、20年間にわたり、1,600チーム以上の業務実行や改善を行ってきました。これまで行ってきたチームの仕事の進め方を可視化・研究した成果として生まれたのが、独自のチーム強化メソッド「COROPS」です。 この度の記者発表会では、『職場の問題地図』や『職場の科学』などのビジネス書やIT技術書など37冊を執筆され、ワークスタイルや組織開発を専門とする実業家の沢渡 あまね氏(組織変革Lab主宰・株式会社なないろのはな取締役)をお招きし、パーソルP&T ビジネスエンジニアリング事業 事業部長 小野 陽一とトークセッションを行いました。そのトークセッションの内容をご紹介します。
※1 VUCAとは:Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性の頭文字をとった造語。

■新時代に適した“チーム生産性向上の教科書”が生まれた経緯とは

──今回発表された「COROPS」について教えてください。

 

小野:「COROPS」は、パーソルP&Tが独自に開発したチーム強化メソッドです。仕事が進めやすい仕組みをつくることで再現性のある成果を創出し、人と組織が変化に合わせて継続的に改善/進化することを目的に作成しています。
20年間にわたり、1,600チーム以上の業務実行や改善により蓄積したノウハウを集約させたものとなっています。
従来のプロジェクトマネジメント手法とは異なり、人事・経理・総務・ITサポートなどの管理部門や間接部門など幅広い現場で活用いただけるものです。

 

──「COROPS」のサービス化にあたり、沢渡あまねさんにはアドバイザーを担っていただきました。なぜ、お引き受けいただけたのか、また、小野さんからはお声がけした経緯について教えていただけますでしょうか。

 

沢渡:まず、パーソルP&Tさんの業務プロセスを軸にはたらき方を変えていく、世の中を変えていくという姿勢に共感しました。今、大切なことは業務プロセスに、ITを中心とした技術を掛け算して世界を変革することです。
日本社会は個人の気合いや根性、一人ひとりの創意工夫や善意による向上心で良くしてきた時代が長く続きました。
私自身、そのやり方に限界を感じていました。おそらく多くの方は、過去の日本の勝ちパターンがもう通用しないのではないか?と違和感を持っていらっしゃると思います。
仕事のやり方、業務プロセスを軸足に捉えながら、どうチームとして、そこではたらく者として成長していくのか?新たな価値を出していくのか?そこに一緒にチャレンジしたい、実践したいと考えたのがお引き受けした理由です。

 

小野:今回沢渡さんと一緒にお仕事できたことを、大変嬉しく思っています。
「COROPS」を外部公開したいと思ったときに、我々の知見だけでなく、外部の専門家からご意見をいただき、より汎用性のあるものにしていきたい、そして、できるだけ同じビジョンを描いている方と一緒に行いたいと考えていました。そんな時に沢渡さんの著書「職場の問題地図」を読んで、我々が実現したいことはこれだ!とピンときたので、お声がけさせていただきました。

 

 

■仕事の進め方に必要な3つの多様性とプロセス共通化とは

 

──今回は「COROPS」の根底にある想いや考え方について伺っていきたいと思います。まず、「VUCAの時代に、なぜ、“仕事の進め方”が大切なのか?」をテーマにしていきたいと思います。沢渡さんは実際に多くの組織を、VUCAの時代に対応できる組織へと導いていらっしゃいます。仕事の進め方について、どのようにお考えでしょうか?

 

沢渡:繰り返しになりますが、大前提として過去の勝ちパターンが通用しにくい時代になっていると感じています。言い方を変えると過去に答えを求めにくい。そういった中では、IT技術を活用したり、これまでと異なる能力や専門性、価値観を有する人と協業したりしながら、課題解決および価値創造をすることが求められます。この時代において、私たちは3つの多様性に向き合っていく必要があると考えています。
1つ目は「人の多様性」です。
例えば、管理部門においてはこれまでのように事務が得意な人だけではなく、ITエンジニアやデザインに長けた人など、さまざまな能力資質を持っている人とチームを組んで課題を解決していくことが求められます。
2つ目は「環境の多様性」です。
テレワークが浸透し、時短勤務や週休三日制などはたらき方の多様性も進んでいます。大企業を中心に複業・兼業人材の登用も凄い勢いで進んでいます。そうしたはたらき方や環境が異なる人たちと、チームを組んで成果を出していかなければなりません。
3つ目は「テーマの多様性」です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が求められています。DXと向き合いながら、短期的にはコロナ禍においてどのように仕事を継続していくか?中長期的には今までのやり方を部分的には捨てて、部分的には伸ばして組織や仕事のやり方をどうアップデートしていくか?社員各自がバラバラな行動を取っていたり、気合い根性ベースで仕事をしていたりしては、答えは出せません。多様なテーマに対し、例えば仕事の進め方や改善方法、コミュニケーションや報告の仕方など、共通のルールがないと一体感を持って成果を出すことはできないのではないでしょうか。

 

小野:確かに、今はさまざまな環境や異なる背景を持った人たちと一緒にはたらくことが増えています。そこに仕事の仕方までバラバラだと、ただのカオスになってしまいますね。

 

 

 

――小野さんは事業部長として組織を見られていますが、仕事の進め方についてどのように考えられていますか。

 

小野:マネジメントをする立場から見ても、仕事の仕方、いわゆる“プロセス”を共通化していくことで異なる環境でも円滑にコミュニケーションができます。特に管理部門、間接部門の方々は、情報製造業というくらい、人から人へ情報を受け渡してアウトプット、成果を出すのが仕事です。その受け渡しの仕方がバラバラではアウトプットも成果も出すことはできません。
しっかり定義されて透明性があり、誰に対しても「我々はこのように企業活動をしている」と言えるような仕事の進め方が重要だと感じています。

 

沢渡:管理部門、間接部門を中心とした業務の進め方のモデルが過去なかったといっても過言ではないのではないでしょうか。プロセスと言うと、一つひとつの行動を規定するマニュアルを作ってそこに合わせなければいけないと考えてしまう人も少なくありませんが、それが日本の組織の強さであり弱さだと私は思っています。変化が求められる時代においてはこの考えが上手くいかないこともあります。プロセスは細かく挙動を規定する必要はないのです。ただ、共通の考え方は必要です。例えば報告の仕方は自由でいいけれど、「何を報告するか」は景色合わせしておこうなど。最低限やることや進め方は同じ定義をしておいて、その上で個性を大切にしながら個々の事情に応じて自由に力を発揮していく。そのためにも、チーム共通のプロセスは必要不可欠なのです。

 

 

 

■改善し続けられる仕事の進め方に必要な“余白”と“主体性”

 

──次に、「改善し続けられる“仕事の進め方”とは?」をテーマにしていきたいと思います。小野さんはどのようにお考えでしょうか?

 

小野:管理部門・間接部門においては、仕事の進め方自体が成果に直結するものだと思っています。そこがスムーズか否かで生産性も大きく変わります。また、付加価値の観点での成果も大きく変わると思っています。仕事のプロセスを定義しておく、考え方を決めて共通基盤を作っておくことは、逆説的にさまざまな人にジョインしていただきやすくなります。さまざまな人たちがジョインして、仕事の進め方や改善の方法を議論して実行していけば、想定よりも高い付加価値が生まれてくると思います。
それともう一つ、成果とは違う効果という観点で言うと私は仕事の進め方は、人の成長に相関があると考えています。
ビジネスパーソンとしての成長は大きく2つ、「専門業務、専門知識を高めていく」と「ポータブルスキル(業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキル)を高めていく」ことです。仕事の進め方は圧倒的に後者です。
仕事の進め方を整理して、見える化して良くしていくなかで、はたらくこと自体が良い仕事の進め方を学んでいくことになります。つまり、良い仕事の進め方を知っている人が世の中にたくさん増える、という効果が生まれると考えています。

 

沢渡:私が考える、仕事の進め方を改善し続けるためのキーワードは2つ、「余白」と「主体性」を組織としてどう作り続けていくかです。
余白は大事で、余白の時間がないと目先の仕事だけで手いっぱいになります。そうすると自分の仕事が前後の工程にどのような価値を出しているかや、実は仕事の仕方が悪いのではないかと考えることすらできないため、どうすれば仕事の仕方を良くしていけばいいのかという議論が生まれません。
改善する、あるいはやめることを決めて余白を強制的に作る。大事なのは、自分達の仕事の価値を中長期スパンで高めていくために、他者とつながる、やり方を変える、新しいスキルを身に付ける。そのための余白も必要です。
主体性については、余白を使いながらメンバーとディスカッションをしてトライアンドエラーをしながら変わっていく体験が大事だと思います。
現在地と目指す姿を見える化をするのは大事です。可視化すると仕事の現状や目指すべき姿が見えます。すると相互理解できるし、改善もできます。そうして余白が生まれるサイクルを作って欲しいと思います。情報を共有するというのは主体性を育む上で大事です。
「COROPS」のなかにどういう情報をメンバーに共有したらいいのかのヒントも盛り込んでいます。情報を可視化することによって主体性を引き出す考え方も大事だと思います。

 

■「COROPS」を通して実現したい未来とは

――最後に、「COROPS」を通して、実現したい未来について、お話いただけますでしょうか。

 

小野:仕事の進め方を改善していくためにも、世の中の共通プラットフォームを作りたいですね。世の中の人と組織の仕事の進め方の共通プラットフォームとして、「COROPS」がある。 多くの企業に「COROPS」を活用していただければ、仕事の進め方が各企業で共通化していきますので、例えば企業統合におけるPMI(Post Merger Integration: M&A(買収・合併)の実行後に、企業価値を最大限に向上させるための統合プロセス) の難易度等が大きく下がり、オープンイノベーションも生まれやすくなるのではないかと思っています。共通見解としての良い仕事の進め方が浸透することができれば、「共創」が生み出せるのではないかと思っています。

 

沢渡:「共創」という言葉を一緒に作っていきたいですね。つながって、解決する力を持っていくことが経営の根源になると思っていますが、そこに至るまでに途中で折れてしまうシーンが多くあると思います。特にマネージャーやリーダーは、新しいマネジメントをインプットしないといけないとなると、大変です。「COROPS」は自分たちで抱えずに解決に向かっていける、苦しまずに楽しんでつながっていけるものだと思っており、一緒に「はたらいて、笑おう。」の世界を創っていきたいと思っています。

取材日 2022年7月11日
※所属・役職は取材当時のものです。

チーム強化メソッド COROPS

チーム強化メソッド COROPS

ビジネスエンジニアリング事業部

チームメンバー全員でチームを強化していく為に仕事の進め方を改善出来るのがCOROPS(コロプス)です。

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