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現場をどう巻き込むか。RPA推進のコツ

パーソルテンプスタッフ株式会社 矢頭慎太郎氏

RPAを導入する上で大切なこととして「自動化する業務の可視化」がよく挙げられます。
しかし、業務の可視化を行った結果、業務を見直しただけで終わってしまった、ということもあるようです。業務の見直しが出来るのは良いことですが、RPA導入を考えている場合、業務の可視化をRPA推進につなげる必要があります。
RPA推進につながる業務の可視化を行うには、現場をうまく巻き込む必要がありますが、具体的にはどのようにしたら良いのでしょうか。

今回は、現場を巻き込んだRPA推進で成果を上げている、パーソルテンプスタッフ株式会社のRPA推進室室長 矢頭慎太郎氏と、プロジェクトを一緒に進めているパーソルプロセス&テクノロジー株式会社のRPA導入支援部 マネジャー 梶原俊紘氏にお話を伺いました。

成功するロボット開発の条件

── RPA導入の成果について教えてください。

矢頭氏:各部署から大小合わせて400件以上候補業務が上げられ、そのうち140の案件を自動化しています。半期ごとに削減時間の目標を設定していて、これまで年間27万時間の削減を実現しました。
(2019年12月31日時点)

私が社内の導入推進と運用統制に関するところを担当していて、パーソルプロセス&テクノロジーにはロボットの開発をお願いしています。


── いつ頃からRPAによる業務の自動化に取り組み始めたのですか。

梶原氏:2017年4月からです。まだあまりRPAが世間で広まっていない頃に探りながら始めました。予想以上に開発に時間がかかったり、失敗した案件もあったりと、想定外のことは色々ありました。

── 失敗した案件と成功した案件では、どのような違いがあったのでしょうか。

梶原氏:ロボット化をする前の業務の洗い出しや、対象業務の掘り下げの徹底度の違いだったと思います。ある業務では承認ロジックが事業毎に異なっていたので、例外ルールがたくさんあり、複雑だったために細かい部分の洗い出しがうまく出来ていませんでした。

矢頭氏:入口の業務分析がすべてだったと思います。成功しているロボットは、業務そのものを行えるくらい作業を可視化しています。
あとは要件定義ですね。導入を始めた当初は手順をすべてロボット化出来るという前提で開発を進めたのですが、分岐が複雑だったりすると全然実現出来ないということもありました。
先ほどの承認ロジックが事業ごとに異なる業務は、いつまで経っても分岐が終わらないし、正しい処理が出来たかどうかも判断出来ないような感じで、袋小路に入ってしまいましたよね。

梶原氏:そうですね。ロボット化のスコープを誤ってしまったことはありました。最初から全部ロボットで網羅しようとして、結果、複雑なロボットが出来上がってしまいました。

── では、ここまではロボットがやり、ここまでは人がやるというような考え方はあとから出てきたのですね。

矢頭氏:そうです。失敗をして、それを教訓にしようとした結果、業務をしっかりと細分化して可視化するということと、ロボットと人の役割分担を明確にしようということ、ロボットファーストになるように業務を組み直すということ、この3つは大きな学びになり教訓にもなりました。今となっては、どんなロボット開発でも、押さえどころとしていることです。

現場を巻き込むコツ

── 業務の可視化をしてそれがRPAに向いているか判断する時に、業務の見直しで止まってしまうという話を聞くのですが、御社ではスムーズにいきましたか。

矢頭氏:RPAの推進で一番大事なのはロボットを開発することではなく、業務の可視化や、自動化する範囲の決定、業務組み替えの仕方等の上流のところだと思っています。そこを私たちが行うことで現場を引っ張るという感じですね。
また一方的に推進するのではなく、現場が自分たちで活用できるようにサポートすることを大事にしています。ロボットを運用するのも、業務を行うのも現場なので、そこは大切に考えています。


その上で、うまく活用すれば生産性を上げることが出来たり、導入後に実現出来るポジティブなイメージを持ってもらえるようなコミュニケーションも心がけています。RPAを導入するとこんな良いことがあるよ、と。

── 現場の納得感を得ることが大事ということですね。他に、現場を巻き込むためのコツはありますか。

矢頭氏:組織としての取り組みにすることもポイントです。私たちがRPAの導入をする時は、各部署にキャラバンに行って、本部長や部長にアプローチします。「運用/保守/改修でのある程度の工数は必要ですが、うまく回せば爆発的に効果が出ます、人の育成にもなります」と言って。
そこで部署として行うことを決定してもらい、その後は、推進のキーパーソンになるような人がいればその方を軸に進めるなど、部署の状況に応じて進め方を決めていきます。

── 推進部署で心がけていらっしゃることはありますか。

矢頭氏:いつも自部門のメンバーに言っているのは、私たちの目的はRPAを導入することではなくて、たまたま扱っているツールがRPAだということです。 私たちが行うのは業務の改革であり、組織を良い方向に変えていくことを常に心がけて欲しいと言っています。

まとめ

今回の事例からは、現場を巻き込みながらRPA推進を進めるためには次のことが必要だということが分かりました。

・細部まで徹底した業務の可視化
・ロボットと人の役割分担
・ロボットファーストになるように業務を組み直す
・現場の納得感を得る
・役職クラスと合意をとり組織としての取り組みとする

RPAを推進するための方法として、ぜひ参考になさってください。

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