執⾏役員 物流ソリューション担当
物流ソリューション部 部⻑ 兼務

森⽥ 崇史様

当社は佐川急便を中心としたSGホールディングスグループでロジスティクス部門を担っています。昨今、メーカー様などのロジスティクス業務をまとめて受託する3PL(サードパーティーロジスティクス)市場の拡大により異業種の参入も増え、業界の競争が激化しています。加えて労働力不足もあり、サービス品質の向上のためにDX化の推進が課題となっていました。

経験則や感覚に頼る従来のアナログ管理では細部に目が届かず、大胆な生産性向上は困難でした。これまでも工数管理システムを導入してはいましたが、倉庫の現場ではPCを使用しないため、手書きの作業日報をOCR*で読み込み、修正しながら工数管理システムに手入力していました。作業者もマネジメント側も業務負荷が高く、全社での工数管理システムの導入率は30％程度で伸び悩んでいました。そこで、現場単位で個々の作業者を高いレベルでマネジメントできるよう、DX化の手段を検討。既に導入済みの「MITERAS勤怠」を利用して、勤怠データと作業時間データ管理を統合できるとパーソル P&T社からご提案いただきました。そして作業を分解して検証し、無駄を把握する打刻機能導入が実現しました。

作業者を撮影する動体管理技術や、ウェアラブルを活用した動体管理も検討しましたが、作業内容と時間を照合でき、かつ作業者の負担を軽減できる点でMITERAS勤怠の作業打刻が適切でした。

*「OCR（オーシーアール Optical Character Recognition光学式文字認識）」とは、手書きの文字や印刷された文字を読み取り、データと照らし合わせ文字を判断し、電子テキスト化する技術のこと

私は作業打刻機能導入の調整や開発責任者として本件に関わり、2022年6月からの導入に伴って現場での導入支援を行っています。現在、全国にある当社物流倉庫で140箇所に導入済みで、最終的に100％導入を目指しています。

今回導入した作業打刻機能は、タブレットを使う利便性から、現場の負担を軽減しつつデジタル化できました。分単位で作業実績が記録され、データが勤怠システムなどの他システムに自動連携される点においても高評価です。工程管理や分析が容易になり、現場だけでなく全社的に効果がありました。

最大のメリットは管理者が現場単位で課題を抽出できる点です。例えば倉庫内のピッキング作業を見ると、ベテランは次に取りに行く物の場所も確認しながら移動するなど、効率的に作業しています。こういったベテランの経験則が作業時間の差となり数値化され、同じ現場の新人の方への指導に反映できるため、無理なく効率化できるようになりました。