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CASE 06

Microsoft Azureを活用してデータ分析基盤の構築を支援

田辺三菱製薬株式会社

ICTマネジメント室グローバルインフラグループ

田辺三菱製薬株式会社

ICTマネジメント室ICTマネジメントグループ

尾崎 宏道 様

林 武 様

課題・背景
  • MR力の拡張と、顧客である医師への情報提供の価値最大化を目的としたデジタルマーケティング・プロジェクト立ち上げ
取り組み内容
  • リアルワールドデータをはじめ、さまざまな情報をMicrosoft Azure上に集め、そのデータ活用のための分析基盤の構築
成果
  • Azure Databricksの基盤となるApache Sparkを利用したデータ解析アプリの設計・開発
  • セキュリティ面で更なる強化が必要と判断、閉域網を構築したことで他部署も安心して利用できるように
  • Microsoft Azureというキーワードやクラウドを活用することのメリットが社内浸透
今後の取り組み
  • マシンラーニングも含めて、どのようなAIモデルを作ってビジネス面で活かしていくのか、コンテナアプリケーションでどのようにデプロイするのかなど、Microsoft Azureのさらなる活用

課題・背景:データ分析基盤構築を内製化したかった

取材日:2022年3月2日
※所属・役職は取材当時のものです。

──ICTマネジメント室では、どのような取り組みをされたのでしょうか?
尾崎:田辺三菱製薬では2017年MR(医療情報担当者)力の拡張と、顧客である医師への情報提供の価値最大化を目的としたデジタルマーケティング・プロジェクト“ZEUS(Zoom on Effective Ultimate System)”を立ち上げました。
そのZEUSのデータを活用するために”ZEUS NEXT”をスタートさせ、データ分析領域においてパーソルプロセス&テクノロジー(以下、パーソルP&T)さんに支援をお願いしました。

 

──ZEUS NEXTはどのようにスタートしたのですか?
尾崎:もともと「リアルワールドデータ」と称される、外部から購入した電子カルテやレセプト(診療報酬明細書)から得られる患者の匿名化されたサンプルデータの活用をMicrosoft Azure上で構築しようという動きがありました。そういった環境を作るのであれば、ZEUS NEXTの環境や他のプロジェクトのデータも全てMicrosoft Azureに集めた方がいいと議論を行い、全社的なITプロジェクトとして動こうという方向にシフトしていきました。

 

──ZEUSやZEUS NEXTは田辺三菱製薬におけるDXの取り組みだったのでしょうか?
林:DXとは何か?は、とても大きな話です。従来型のシステムを構築しました、ではなく、弊社の営業で使っているさまざまな情報を集め、これまでできなかったことを実現した取り組みという意味では、DX推進に寄与した、とはいえると思います。

 

──具体的な課題はどのようなものだったのでしょうか?
尾崎:リアルワールドデータを活用する取り組みは、3、4年前からさまざまな製薬会社が行っています。
田辺三菱製薬ではデータサイエンス部が解析を試みていましたが、ひとつのファイルサイズが1TBを超えることもあり、社内のシステム環境ではエラーが多発し、解析がいまひとつ進まないという状態でした。例えば、ある疾患を持つ、○歳の男性は何人いるかを見たいと考えても、それが簡単にはできませんでした。
外部に委託すると、委託費用が発生しますし、何より社内にノウハウがたまりません。内製化するにはどうすればいいのか、とデータサイエンス部から相談されました。

当時、Azure Databricksで我々の課題が解決できそうだと知って、実証実験を経て効果を実感することができたため、正式にIT環境を構築しようと決定しました。とはいえ、私もネットワークやセキュリティに関しては得意な分野ではありませんでした。サポートしてもらえるSIerを探すなか、以前、RPAの導入支援でパーソルP&Tさんとお付き合いがあり、Microsoft Azureでも実績があると伺ったことを思い出し、お声がけしました。

 

──他のSIerとの違いは何だったのですか?
尾崎:さまざまな企業のクラウド担当者にお話を伺いましたが、IaaS*やVM(仮想マシン)の話になってしまったり、請負で進める方法を提案いただいたりと、弊社の意図がなかなか伝わりませんでした。その点、パーソルP&Tさんは同じ目線で一緒に開発してくれるうえに、Microsoft Azureを理解している。最も重視したのは、内製化するための支援を行ってくれることでした。自社メンバーのような立場でプロジェクトに参加し、我々の成長を導いてくれることを評価させてもらいました。
IaaS…Infrastructure as a Serviceの略称

 

取り組み内容:パーソルP&Tが自社メンバーのような立場でプロジェクトに参加してくれたことで、組織としての成長にもつながった。

 

──データ分析基盤の構築に向けて、パーソルP&Tとどのような取り組みを行なったのか教えてください。
尾崎:パーソルP&Tさんに支援していただきながら内製化していく方針でしたが、そもそも圧倒的にリソースが足りない状態でした。そのため、例えば、設計はデータサイエンス部が担当し、パーソルP&Tさんと我々とでレビューする。そしてパーソルP&Tさんに開発をお願いし、完成したものを我々とデータサイエンス部でレビューするといったチーム分けで進めました。
私は分析系の知識はありましたが、Microsoft Azureでいかにセキュアに通信させるか、どう実装すべきかといったところの知識がなかったので、そこにパーソルP&Tさんに入っていただき、ネットワーク面やセキュリティ面の対処方法を聞きながら進めていきました。
「これをお願いします」と丸投げするのではなく、一緒に取り組んだことで、私も知識が身に付きましたし、途中からは私一人でも立ち上げができるようになりました。
林:特徴的だったのは、尾崎が言うように、データサイエンス部と我々とパーソルP&Tさんの3チームに分けつつも、ミックスした構成でアジャイル開発に近い形で進めたことです。
開発したものを複数のSIerさんや社内のいろんな役割を持った人たちに対してテストを行う段階になったときは、パーソルP&Tさんのなかにチームを作ってもらい、テストを進めるところ、パフォーマンスを計測するところ、移行をするところと、分けて進めていきました。臨機応変に役割を変えて進めていかなければならないところに対して、常にプロジェクトファーストで考えてもらいました。そのおかげでリリースまでこぎつけることができました。

 

──Azure Databricksの基盤となるApache Sparkを利用したデータ解析アプリの設計・開発に対する支援はいかかでしたか?
尾崎:Azure Databricks は、Apache Spark をベースにしたデータレイクとデータ分析のためのプラットフォームです。拡張性があり、基盤の選択肢も多い。しかもPython、Scala、R、SQL といった各種言語をサポートしていました。最初にAzure Databricksを見たとき、これがあれば何でもできるんじゃないかと思いました。
とはいえ自分一人で感心していてもプロジェクトとして進めることはできません。どうやって使っていけば良いかと考えたとき、パーソルP&Tさんは様々な言語を扱えると聞き、プロジェクトの中でスピーディに動いていただけるイメージがあったので、協力いただき一気に加速させることができました。

 

──意識したポイントや工夫した点を教えてください。
林:SIerさん複数社がデータを800本以上流していく段階で、システムとシステムをつなげてテストをするような局面では、さまざまなトラブルが発生します。人手が足りないといったとき、パーソルP&Tさんは臨機応変に人をアサインしてくれました。他にもテストが開始できる直前まで試行錯誤を繰り返し、プロジェクトの成功に向けて尽力してくれたことをとても感謝しています。

 

──Microsoft Azureにおいても、閉域内で全て構築し、ガバナンス強化につながったと聞きます。
尾崎:インターネットは誰もが利用できるオープンなネットワークです。リアルワールドデータは外部から購入してくるデータなので、セキュリティは担保されておりました。
しかし、このシステムは分析基盤になりえると考えていたので、今後のデータ蓄積やオンプレミスとのデータのやりとり、グループ全体でのネットワークの共有を考えると、セキュリティ面で更なる強化が重要だと判断しました。そのため、社内に閉じたネットワークにする必要があり、閉域網を構築することになりました。
インターネットから分離されたネットワークを構築したことで発展的に活用することができます。実際、今では我々以外にもデータサイエンス部や創薬部などが活用しています。全社的な有効活用、発展的な一歩だったのは間違いないと思います。

 

──パーソルP&Tがプロジェクトマネジメント的な動きをしたことをどうお考えでしょうか?
尾崎:データサイエンス部と我々とパーソルP&Tさんの3つで連携して進められたのは、パーソルP&Tさんのプロジェクトマネジメントによるものだと考えています。柔軟性とスピード感を持ってコントロールしていただくことができました。
通常、SIerさんは案件定義をして、作業内容を確認しながら進めるものです。それは性質上仕方のないことです。しかし、データ分析はそれがなかなかやりにくい。進めながら仕様が固まるところがあります。そこに柔軟に対応していただけました。

 

成果:費用を抑え、イントラ利用可能なネットワークを構築。社内からクラウドに関する問い合わせが増加

 

──今回の取り組みによって、貴社にどのような変革や成果がもたらされたか教えてください。
林:Microsoft Azureの活用以前に、クラウドを用いた案件は社内でも幾つかありました。このプロジェクトで、イントラ利用可能なネットワークを基盤として構築したことで、他部門も安心して使うことができるようになりMicrosoft Azureというキーワードが社内に広まったと認識しています。「クラウドでできますか」「Microsoft Azureでできますか」といった問い合わせが多くなってきました。
一般的に言われているクラウドを活用することのメリットが社内でも浸透し、空気が生まれてきたことを感じます。その意味では定量的な評価とは別に、このプロジェクトの意義を感じているところです。
尾崎:もちろん、重要なシステム基盤はオンプレミス環境にする必要はありますが、データ分析などではクラウドは効率的です。他社もクラウドを活用していますので、今後も活用は増えていくと思います。

 

──DX推進という観点から成果はどうお考えですか?
尾崎:今回のエンドユーザーであるMRさんがどのように便利になり、どれくらい生産性向上に寄与できたかはまだ分析中です。
ただ、今回のプロジェクトで情報システム部門として良かったと思っているのは、内製化を進められたことです。どのようなスキームで行うべきか、どのような課題があるかを経験できたことで次につながりました。
また、費用も抑えられ、仕様変更への柔軟性も高くなりました。そこに寄り添ってくれるSIerさんは多いかと言うとそうではありません。我々が自立して、社内で行えるようになり、いろいろな案件で声をかけてもらいやすくなった点は大きいと思います。

 

今後の取り組み:伴走してくれるパートナーとして期待

 

──先端技術の活用においては、工場IoTのプロジェクトも進んでいると聞きます。
尾崎:機器に関する故障の予知を目的として、例えばセンサーを活用し、振動から異常につながる事象を検知して事前に通達するといったニーズがあります。他にもAI関連など。そのようなアイデアが現場から出てくれば、それに対して即座に対応できるようしたいと考えています。

 

──今後のビジョンを教えてください。
尾崎:マシンラーニングも含めて、どのようなAIモデルを作ってビジネス面で活かしていくのか。また、コンテナアプリケーションでどのようにデプロイするのか。アプリケーション系、基盤系においても今後、Microsoft Azureを使うさまざまなケースが出てくると思います。その際には、パーソルP&Tさんにお話させていただき、スピーディに、会社の壁を取り払ってプロジェクトに入っていただき、弊社と共に進めていければと考えています。
林:今、クラウドに対する社内の期待感はさまざまなところで盛り上がっています。それゆえ、知見がない、慣れていないサービスを使いこなさないといけない場面も出てくるでしょう。そのようなとき、パーソルP&Tさんには我々と一緒になって考えて欲しい。伴走してくれるパートナーとして今後もあり続けてくれると期待しています。

Microsoft Azureは、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における商標または登録商標です。
Apache Sparkは、Apache Software Foundation の商標です。

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”約40年のSIサービス実績”と”パーソルグループのコアシステム開発実績”から培ったノウハウを強みとし、お客様のビジネス課題解決にむけたサービスを上流工程(アセスメント、コンサルティング)から下流工程(運用保守支援)までワンストップで提供します。

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