コラム

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製造現場の振動・時系列データ活用の極意

製造現場ではAIを活用した画像や振動、時系列データによる異常検知や予知保全の取り組みが盛んになっています。「現在導入を検討している」「過去に取り組んでみたことがある」といった方が多いのではないでしょうか。

今回はその中でも”振動データ”と”時系列データ”に絞り事例や実際に進めていく際のポイントを紹介いたします。

 

■振動データの事例

振動データは、対象の部品や設備に振動センサとデータロガーを設けてデータを収集しAIで分析します。分析時には基本的に観測したデータをFFT(高速フーリエ変換)にかけて周波数ごとの信号の強弱に変換します。

 

正常時は回転数などに依存した特定の周波数にピークを持ちますが、異常時は正常時のピークを残しつつも「雑味」が増加します。この雑味の発生状態をAIで分析することで、閾値では困難な波の形を判定可能となります。

他の前処理方法として、株式会社クロスコンパスは下記のようにヒートマップにすることで課題解決をしています。この例では熟練者の高齢化問題を解決すると共に、人間の聞こえにくい周波数も拾うことで精度を向上させています。

 

 

さらに振動データのAI活用は下記のような場面でも行われています。

 

 

■時系列データの事例

時系列データについては実事例を用いてデータの取得段階からご紹介いたします。

ある電子部品製造工場では「市場競争力強化のため不良品コストを下げる」という目標がありました。初期段階の加工で不良があった場合に以降の無駄を減らし電力や材料、溶液などのコスト削減を検討していました(初期工程起因は不良品全体の約50%)。時系列データの波形と最終製品の出来栄えに相関関係が見受けられたため、初めはある一定の閾値を超えたら不良を警報する仕組みを導入しました。

 

 

これにより初期工程起因の不良を10%削減しましたが、上記の通り粒度が粗く残り40%は削減できませんでした。そのため観測系を分岐させ入力インピーダンスの高い対策回路を追加することで、下図のような高速サンプリングした波形を取得可能となりました。すると最初の原材料を反応装置で加工するときに原材料に不純物があるとそれに反応し正常品とは異なる波形が出ることが判明したのです。不純物に反応した波形は必ずしもピーク値が高いものだけではないため、閾値による判断ができませんでした。

 

 

ここでAIが登場します。上述の波形を「正常」と「異常」に分類するのは難易度が高いものです。ましてや対象となる装置が多いと、プログラマがいくらいても足りません。AIで分類した結果たった3日でモデルが完成し95%の確率で観測系のデータから不良品を予測可能となりました。

 

 

以上のように予知保全や異常検知において、振動・時系列データによる分類は大きな成果を残しております。画像に比べ、イメージのつきにくい分野ではありますが、紹介したようなことを「やってみたい」と感じた方は、ぜひご相談いただければ幸いです。