コラム

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製造現場で輝くAIの活用方法とは?

昨今、生産現場でAIを活用していく取り組みが盛んになっています。その中でも特に注目されているのが、正常・異常を判断する外観検査や異常検知の分野へのAI導入です。

そこで今回は、なぜ検査・検知の分野にAIが導入されるのか、そしてどのような導入事例があるのかをご紹介いたします。

 

■なぜ検査・検知にAIを導入するのか

検査・検知の分野へのAIの導入を考える際には、まずは導入によって変わる点を見極める必要があります。

下図を用いて、検査・検知における人や機械判断といった既存の方法とAIによる判断の違いをご説明します。

人は図のような波形について、「波形のこの部分が突出しているか」「これぐらいの角度で下降しているか」というように正解のパターンとよく異常が発生する箇所を教わり判断します。しかし人が行いますので、ほとんど異常が発生しない箇所で異常が発生したことに気づかなかったり、疲れていて見逃してしまったりして精度が安定しないことが問題になります。

次に機械判断で閾値を設け、一定のラインを越えていると異常と判断する方法を考えます。機械判断により、人的リソースを割かず工程を進めることが可能です。しかし、そのラインを越えるような大きな異常は判断可能ですが、閾値以下の小さな歪みやノイズを検出できず、思うように精度が上がりません。

そこで注目されるのがAIによるアプローチです。このアプローチでは事前に様々なパターンを学習させることで、正常・異常のパターンを波形全体の形で判断させます。学習データを事前に収集したり学習に時間がかかったりするものの、精度は人による判断や機械学習による判断を越える値を記録しています。こうして製造現場における様々な検査にAIが導入されるようになりました。

 

■製造業における活用事例

一括りにAIといっても様々なツールがあり課題に応じた様々な使い方をしています。

今回は、当社パーソルプロセス&テクノロジーでお取り扱いしている『MANUFACIA』というツールの事例を紹介します。

・MANUFACIAとは

MANUFACIAは、”生産現場でAIを作る”というコンセプトで、エンジニアの必要なしにAIモデルを作ることができるツールです。主な特徴には下記が挙げられます。

・MANUFACIAによる事例

半導体製造工場の事例をご紹介します。この工場では、独自判定式による時系列データによる異常検知を行っていましたが、導入前は異常検知の精度が出にくく、さらにサーバ上で判定を行うためリアルタイムでの検知が困難という課題を持っていました。

<導入前>

そこでこの課題に対して、まず製造装置の近くにエッジデバイスを配置し、取得した高精度時系列データをMANUFACIAで学習させました。その後エッジデバイスで推論エンジンを動作させることで、閾値で異常を判断していたプロセスデータは波形の形で異常を判断することができ、グレーゾーンはほとんど解消され、本来の異常のみが正しく報告できるようになりました。

その結果、虚報の数が大幅に減少し、導入した工場では約6億円の削減効果と65%の生産性向上を記録しました。

<導入後>

以上のようにAIを用いることでより精度の高い作業の実施や生産性の向上が期待できます。

生産現場に解決したい課題がある、AIを活用したDXを進めていきたいという方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。