自社サイト内のユーザーの行動を分析し、導線の最適化を図ろう

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自社サイト 行動分析

企業におけるWebサイトの重要性がますます高まっている昨今、各企業のWeb担当者はいかに貢献度の高いWebサイトを構築すべきか、日々施策を考案し分析業務を行っています。今回はWebサイトの分析、その中でも導線分析に焦点を当てて、その分析手順やポイントについて紹介していきたいと思います。

「分析業務」というと多くの方は、「Webサイトへの訪問者数はいくつか」、「ページビュー数はいくつか」、「ECサイトであればコンバージョン数はいくつか」といった指標のチェックを想像するかもしれません。もちろん、このようなそれぞれの指標を量的な視点でモニタリングすることはWebサイトを運用する上で重要なことです。しかし、これだけでは満足のいくWebサイトの運用とは言えません。

例えば、「訪問者は増えている」ことが分かりました。次に「コンバージョン数は横ばい」ということが分かりました。それぞれの指標で考えれば、決してマイナスの判断にはならないかもしれません。
ただし、Webサイトに訪れるユーザーが増えているにも関わらず、コンバージョン数が増えていないのであれば、コンバージョンに至るまでの過程で何か問題が発生していることが考えられます。

このように、ひとつの指標の「点」だけを見ていると見逃してしまいそうな問題も、過程といった「線」で見てみることで発見できる課題もあり、Webサイトの運用では「点」だけでなく、「線」でも見てあげる必要があると言えます。
この「線」で見ることを、今回は「導線分析」と呼びます。

1. 導線分析とは

導線分析とは、Webサイトのアクセス解析を行う際に用いられる手法の一つです。「ユーザーがどのようなページを辿っているか」、「迷わずに目的の商品ページまで辿り着けたか」などを判断し、Webサイトのユーザビリティやアクセシビリティを向上させるための判断材料として用いられます。導線分析のデータを見てみると、スムーズにコンバージョンに至る導線、サイトから離脱を生んでしまっている導線などが明らかになり、導線の改善施策を打つことによってコンバージョン数を増やすことが大いに期待できます。

2. 導線分析の手順とポイント

まずは以下のようなECサイトをご自身で運用していると仮定しましょう。

そして以下の手順で導線分析を進めていきます。

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STEP1:分析の目的

まずは今回の分析の目的を明確にしましょう。「ユーザーがどういった導線で商品購入まで辿り着いているのか」、「導線の過程で離脱が発生しているページはどこか」など、このWebサイトでゴールデンルートといえる導線はどこか、商品購入の障害となっているページはあるのかを明らかにし、このWebサイトをどうしたいのかをはっきりさせましょう。

STEP2:導線の始点と終点

分析を始める前に、見るべき導線の始点と終点を決めておく必要があります。例えば、「流入数の多いTOPページを始点、商品購入を目的としているWebサイトのため申込み完了ページを終点にする。」といった見るべき導線の範囲を決めます。
流入数がTOPページよりも商品一覧ページのほうが多い場合、商品一覧ページを始点にすることもあるでしょう。また、商品の魅力に左右されない分析とするために、商品一覧ページまでの到達を目的として終点に定める場合もあります。
上記のようなサイトツリーを作成してみると、Webサイトの全体が把握できて始点と終点を定めやすくなります。

STEP3:見るべき導線の選定

始点と終点が決まると、その導線が明らかになってきます。そのとき、驚くほどたくさんの導線が存在することに気づくことでしょう。ひとつひとつの導線を見るだけの人と時間があれば別ですが、おそらくそのようなリソースを確保することはできないのではないかと思います。
この場合、

  • ・今回の分析の目的に関連しない導線は分析対象から外す
  • ・始点ページから遷移している割合の高いページを優先的に分析

することです。
これを行うことによって、見るべき導線が絞られ、必然的に分析対象も明らかになってきます。分析対象が多すぎて、ひとつひとつの分析が疎かにならないよう、分析対象を絞っていくことがポイントです。

STEP4:数値取得・課題発見と仮説設定

分析対象の導線が定まったら、実際に数値を取得していきます。
数値を見ると、始点から終点までの導線でどれくらいの遷移や離脱があるのかが明らかになってきます。終点まで高い遷移割合で到達する導線もあれば、ほとんどのユーザーが離脱してしまうような導線も見つかるかもしれません。

こういったユーザーのサイト内の動きに傾向(課題発見)を掴むことができたら、一度数値のにらめっこはやめてみるのもよいかもしれません。実際のWebサイトにアクセスして課題発見した導線を辿りながら、離脱を生む原因がどこにあるのか仮説を立てて(仮説設定)いきましょう。
仮説設定のポイントは、ユーザーの視点で実際に触れてみることです。実際にそのWebサイトで商品を購入すると仮定してページ遷移を繰り返してみてください。課題となっている個所でストレスを感じる部分はないでしょうか?スムーズに商品ページまで辿り着けたでしょうか?できれば、第三者にも触れてもらって意見を求めてみるのもいいでしょう。自分自身では気づかなかった課題や仮説が生まれてくるかもしれません。
このように数値取得からデータを基にした課題発見、そしてそこから考えられる仮説を導き出すことで、次の改善施策の考案へと進んでいくことが可能になります。

STEP5:改善施策

分析の本来の目的はユーザーのサイト内での行動を把握することでも、課題発見でも、仮説設定でもなく、改善するための施策を立て実行することです。よってSTEP1~4までしっかりできてもSTEP5を実行しない限りは、本来の目的は達成できないことになります。ただし、このSTEP5ができないケースが多々あります。
その理由の多くは

  • ①課題発見と仮説設定で満足してしまい、本来の目的を見失っている
  • ②実行に移すリソースが足らず、後回しにされてしまっている

です。

①は、STEP1の「分析の目的」を事前にしっかり決めずに分析を走らせてしまう場合に多く見られます。何を目的として分析を進めているのか、常に意識しながら進めていくことで解決できるでしょう。
②は、実際に使えるリソースに合わせた改善施策を立てるといいでしょう。実行が不可能な壮大な施策を立てたが、現実的に実行が不可能であれば本末転倒な話になります。ご担当者のリソースに合わせた実行可能な範囲で行うことが重要です。

分析内容や範囲の大小に関わらず、まずは改善施策まで実行することを目標に始めてみましょう。

まとめ

以上、今回は導線分析の手順とポイントについて紹介させていただきました。

  • STEP1:分析の目的:分析の目的を明確にして、このWebサイトをどうしたいのかをはっきりさせる
  • STEP2:導線の始点・終点:見るべき導線の始点と終点を決め、分析の範囲を定める
  • STEP3:見るべき導線の選定:優先度の高い導線から分析を進めていく
  • STEP4:数値取得・課題発見と仮説設定:数値を基にした課題の発見とユーザー目線に基づいた仮説設定
  • STEP5:改善施策:実行可能な施策を立案する

Webサイトが違えばそれぞれ見るべき手順やポイントも変わってくると思いますが、Webサイトが各企業において大きな成果を生み出す武器となれるよう、日々のモニタリングや今回のような分析を継続的に取り組んでいただければと思っています。

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