【成功企業に学ぶCX入門】カスタマーエクスペリエンスの基本と実践

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、現代のビジネスにおいて顧客満足度を超えた、顧客が製品やサービスを通じて得る総合的な体験を指します。
顧客がどのように感じ、どのようにブランドと関わり、最終的にどのような行動を取るかに大きな影響を与えます。
本記事ではCXの基本と実践方法について、事例を交えて解説します。
目次
- 1. CXとは
- 1-1. CXの定義
- 1-2. CX向上による効果
- 2. CXの構成要素
- 2-1. 顧客接点(タッチポイント)の管理
- 2-2. 顧客フィードバックの収集・分析
- 2-3. 顧客の期待値管理
- 3. 顧客インサイトの活用
- 3-1. データの収集と分析
- 3-2. インサイトを基にしたアクションプラン
- 4. CX向上の実践
- 4-1. SNSとメールマーケティングの実施
- 4-2. 最新テクノロジーの導入
- 5. 成功企業のCX戦略
- 5-1. 成功企業の事例紹介
- 6. まとめ
1. CXとは
1-1. CXの定義

CXは顧客が製品やサービスを利用する際に得るすべての体験を指します。
これには、購入以前からの期待・購入時の体験だけではなく、購入後のサポートやフィードバックまで含まれます。CXは顧客満足度・顧客ロイヤルティ・ブランド支持に直接影響を与えます。
1-2. CX向上による効果
CXは企業の競争力を高めるための戦略要素です。CXを重視することで以下のような効果が得られます。
- 顧客ロイヤリティの向上:
優れたCXは、顧客がブランドに対して忠誠心を持つようになり、リピート購入やブランド推奨を促進します。 - 競争優位性の確保:
市場競争の中で優れたCXを提供することで、他社との差別化を図ることができます。 - 顧客のライフタイムバリューの増大:
一度の購入だけでなく長期的な関係性を構築することで、顧客の生涯価値(ライフタイムバリュー)が向上します。 - ポジティブな口コミの拡散:
満足度の高い顧客は、SNSやレビューサイトでポジティブなフィードバックを共有し、新たな顧客の獲得に繋がります。
2. CXの構成要素
CXは以下の3つの要素で構成されています。すべての要素を網羅的に改善することがCX向上につながります。
2-1. 顧客接点(タッチポイント)の管理
顧客接点は、顧客がブランドと関わるWebサイト・カスタマーサポート・実店舗・SNS・広告など、すべてのポイントを指します。すべてのタッチポイントにおいて一貫した体験を提供することで、ブランドそのものへの信頼感が醸成できるでしょう。
2-2. 顧客フィードバックの収集・分析
顧客からのフィードバックを収集・分析することで、顧客ニーズや改善点を明確にすることができます。アンケート・レビュー・SNSのコメントなど多様な方法でフィードバックを集め、データを分析して具体的なアクションプランを策定します。
2-3. 顧客の期待値管理
顧客の期待値に応じた対応をすることは、CXの向上において欠かせません。顧客がブランドに対して期待する内容を想定し、それを超える体験を提供することで、顧客満足度を高めることができます。
3. 顧客インサイトの活用
顧客インサイトとは、顧客の行動や嗜好から読み取れるニーズやモチベーションの洞察を指します。このインサイトの活用は、CX向上には欠かせません。
顧客のインサイトを活用するには以下の方法が挙げられます。
3-1. データの収集と分析
データ収集は顧客の行動や嗜好を理解するための第一歩であり、その後のデータ分析は価値あるインサイトを導き出すための鍵になります。
例えば各種データソース(Webサイトのログデータ・モバイルアプリの使用データ・顧客アンケートなど)を活用し、顧客行動を詳細に把握。ビッグデータ解析や機械学習技術でデータを分析し、顧客のニーズや行動パターンを予測します。
3-2. インサイトを基にしたアクションプラン
収集した顧客インサイトを基に、具体的なアクションを計画・実施します。これにより顧客満足度の向上・エンゲージメントの強化・売上増加が期待できます。
- 施策例:
- 顧客がどのようにブランドに関わるのかを想定したカスタマージャーニーマップを作成し、各タッチポイントでの課題と改善点を特定。顧客体験の流れを最適化し、ストレスのないスムーズな体験を提供します。
- SNSやレビューサイトでのフィードバックを収集し、サービスや製品の改善に役立てます。具体的には、カスタマーサポートのFAQを更新することや、顧客の要望を反映した新商品を開発するなどがあります。
- 他にも、収集した分析データに基づいてターゲット顧客層へパーソナライズされた広告を展開することで、顧客のインサイトに迫った施策を打つことができます。
4. CX向上の実践
企業の成長と顧客満足度の向上のためには、CXを重視した取り組みが不可欠です。
実践的なCXの取り組みについて、具体的な施策をご紹介します。
4-1. SNSとメールマーケティングの実施
SNSとメールマーケティングは、顧客とのエンゲージメントを強化するのに効果的です。エンゲージメントの強化はCX向上のための手段の一つです。
具体的な施策:
- SNS(Facebook・Instagram・Xなど)を活用して、ブランドのストーリーやキャンペーン情報を共有。顧客にブランドの取り組みやその背景を認知してもらうことでエンゲージメントを強化できます。さらに顧客からのコメントや質問に迅速に対応し、双方向のコミュニケーションを促進することが可能です。
- メールマーケティングを活用して、顧客に対して定期的にニュースレターやプロモーション情報を送信します。リストセグメンテーションを行い顧客の興味に合わせたコンテンツを提供することで、ブランドが顧客に寄り添ったマーケティングを展開していることを示すことができます。
4-2. 最新テクノロジーの導入
AIをはじめとした最新テクノロジーの活用で、より顧客にパーソナライズされた体験やリアルタイムのサポートを提供することができるようになります。
4-2-1. AIと機械学習の活用
AIや機械学習アルゴリズムを用いて顧客データを分析し、顧客の嗜好や行動パターンを予測することで、顧客ごとに最適な製品提案やサービスを提供できます。
代表的な例として、AIチャットボットがあります。24時間365日対応のカスタマーサポートが提供できるので、顧客の質問に迅速に対応することができるでしょう。
注文状況・在庫状況の確認やよくある質問など基本的な問い合わせにはチャットボットが対応し、より複雑な問題はカスタマーサポートの担当者にエスカレーションする体制であれば、業務の効率化にも繋がります。
4-2-2. CRMシステムの導入
CRM(顧客関係管理)システムは顧客情報を一元管理することができるツールです。
顧客の購入履歴・問い合わせ履歴・フィードバックなどを一元管理し、従業員が顧客との関係性を深めるために必要な情報に迅速アクセスできるようになります。
CRMシステムは顧客情報・購買履歴・行動データ・問い合わせ履歴・フィードバック・リード情報などのデータを収集が可能です。これを活用することで、顧客ごとにパーソナライズされた提案やターゲットマーケティングを行うことで、顧客満足度の向上や販売促進の効果が期待できます。
セグメントごとにパーソナライズされたキャンペーンやフォローアップを自動化することも可能です。このように、CRMは顧客との関係をより密接なものにしてくれます。
5. 成功企業のCX戦略
CXを成功させるためには、実際に成功している企業の戦略を学び、自社に応用することが重要です。
このセクションでは他社の具体的な事例をご紹介します。
5-1. 成功企業の事例紹介

5-1-1. 事例1:A社の場合
◆取り組み
- 顧客フィードバックの収集と活用:
A社は顧客レビューやフィードバックをリアルタイムで収集し、プロダクトの改善に活かしています。収集した大量のレビューを解析するにあたり、自然言語処理(NLP)技術を使用することで迅速な対応を可能にしています。 - パーソナライズド体験の提供:
過去の購買履歴・閲覧履歴・カート情報を基に、顧客にパーソナライズされた商品提案を行っています。 - 商品ページの改善:
多くの顧客が特定の質問をレビュー内で繰り返している場合、商品FAQにその質問に対する回答を追加するなど、商品ページの改善を実施しています。 - 全チャネルでの一貫したサービス提供:
オンラインプラットフォーム・モバイルアプリなどを通じて、シームレスな顧客体験を提供しています。
◆成果
導入前に比べて顧客満足度が25%向上し、リピート購入率が30%増加しました。
5-1-2. 事例2:B社の場合
◆取り組み
- チャットボットの導入:
AIを活用したチャットボットを導入し、24時間体制のカスタマーサポートを提供しています。 - データドリブンな意思決定:
顧客データを分析し、データに基づいた意思決定を行っています。例えば過去の売上データと顧客の嗜好データに基づいて季節限定商品を開発するなど、顧客ニーズに的確に応えたサービスを提供しています。 - オムニチャネル戦略:
顧客がどのチャネルからでもシームレスな体験を享受できるよう、実店舗・オンライン・SNSで一貫したブランドメッセージとサービスを提供するオムニチャネル戦略を実施しています。
◆成果
カスタマーエンゲージメントが20%向上し、企業の収益も15%増加しています。
5-1-3. 事例3:C社の場合
◆取り組み
- CX専用チームの設定:
CX向上のためデータアナリスト・UXデザイナー・マーケティングスペシャリストをメンバーとした専用チームを設置し、顧客体験の向上に取り組んでいます。 - カスタマージャーニーマップの作成:
顧客の購買行動を詳細にマッピングし、認知・興味/関心・検討・購入・アフターサービス・ロイヤルティなどフェーズごとのタッチポイントでの体験を最適化しています。 - 定期的なトレーニングとフィードバック:
従業員向けにCXトレーニングを定期的に実施し、リアルタイムでフィードバックを提供しています。例えば新入社員向けのオリエンテーション・ワークショップ・セミナーの実施・ローププレイングセッションなどがあります。
◆成果
顧客ロイヤルティが35%向上し、顧客満足度も40%増加しました。
6. まとめ
CXの向上は、顧客満足度の向上とビジネス成長に直結します。
本記事で紹介したポイントを参考に、自社のCX戦略を見直し、具体的な施策を実施していきましょう。継続的な評価と改善を繰り返すことで、顧客にとって魅力的な体験を提供し、持続的な成長を実現することが可能です。
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