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複業を新たな人事戦略に。
複業によるキャリア自律支援サービス「プロテア」とは

公開

昨今、社会環境の変化やコロナ禍の影響で、副業・兼業を進めていく企業が増えています。その一方で、社内制度の導入にあたり課題やネガティブな印象が先行しているという現状があるのもまた事実です。

そこで、総合人材サービス・パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社(以下「パーソル P&T」)は、経営者・人事担当者向けに、福利厚生としての“副業”ではなく、社員のキャリア自律につながる“複業”活動を支援するサービス「プロテア」を2021年春にリリースを予定しています。

今回の記事では、2021年1月21日(木)オンラインにて開催した記者向けの発表会の内容や、「プロティアン・キャリア」の研究者で、新サービスの監修も務める法政大学教授の田中 研之輔 氏にも登壇していただき、なぜ今の時代に“複業”が求められているのかなどを新サービスの詳細とともにご紹介します。

人事戦略としての「複業」を支援

まず、パーソル P&Tの成瀬より、政府・企業・個人の副業を取り巻く現状を説明します。

成瀬 岳人
・パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 ワークスイッチ事業部 事業開発統括部 プロダクト開発・MA 推進部部長 ワークスタイル・シニアコンサルタント

エンジニア派遣に従事した後、業務コンサルタントに転身。ワークスタイル変革コンサルティングサービスを立ち上げ、公共事業や複数企業の働き方改革企プロジェクトの企画・推進支援を担当。2020 年より企業向け複業促進事業の立ち上げに従事。 複業で総務省委嘱テレワークマネージャーとして全国のテレワーク導入課題を持つ企業の支援を行う。
著書に『組織力を高める テレワーク時代の新マネジメント』(日経 BP)。

内閣府の規制改革、雇用・人づくりワーキング・グループの第1アジェンダは「兼業・副業の促進」です。しかし、企業にとってはいろいろと課題があるのが現状です。例えば、「働き過ぎ労務リスク」「競合等への情報漏洩」「引き抜きによる転職」「本業への集中力低下」などです。

一方、副業人材として働く個人が増えている中で、副業している人の圧倒的多数が、本業としている所属企業に副業を申請していないと答えています(以下、表参照)。そのため、企業に副業制度があっても、情報の把握ができず、適切な教育もなされないままなので、社員の成長の可視化もできていないのです。

そういった課題がある中でも、企業が副業を通じて得られるメリットとは何でしょうか。私たちは以下の3つだと考えます。

・エンゲージメント向上
・生産性向上
・変化に強い人材育成

など、まとめると社員の「キャリア自律」が期待できることが大きいのではないでしょうか。そこで、人材を取り巻く環境が大きく変化していく中で、ルール・制度だけでは変われない企業と個人の新たな関係を構築するための仕組みが必要だとパーソル P&Tは考えました。

それが、複業によるキャリア自律支援サービス「プロテア」です。サービスの詳細に行く前に、企業が複業促進に取り組む意義を、新サービスの監修も務める法政大学教授の田中 研之輔 氏にご説明いただきたいと思います。

企業が複業に取り組む意義~キャリア資産蓄積の必要性~

組織内キャリアから自律型キャリアへの「大転換」を行う上での課題に対する特効薬に、複業はなりえる。その理由を、プロティアン・キャリアの知見から説明します。

田中 研之輔 氏
・法政大学キャリアデザイン学部教授/ 一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事

一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程を経て、メルボルン大学大学院政治学部 社会学プログラム客員研究員、カリフォルニア大学バークレー校大学院社会学専攻 客員研究員等を歴任、2011 年より現職。専攻は、都市社会学、若年滞留層論、社会調査法。2006 年に『若年滞留層の社会的排除』にて第一回地域社会学会研究論文学会奨励賞を受賞。主な著書に『社会調査論』(共著)、『東京スタディーズ』(紀伊國屋書店・共著)、『文化の実践、文化の研究』(せりか書房・共著)などがある。

企業内でキャリア形成を阻む「三大病」をご存知でしょうか?

1)ファーストキャリア形成期の「不透明なキャリア展望」
2)ミドルシニアキャリア形成期の「組織内キャリア依存」
3)ポストオフ後の「キャリア失墜」とモチベーション低下

1)が30歳くらいだとすると、2)が35歳から55歳くらいまで、そして3)のフェーズへと続くキャリア形成の課題が今まではありました。しかし、これからの働き方として3つの歴史的変化がその流れを変えるかもしれないと注目されています。

1)政府:働き方改革→副業・兼業の推進
2)経済:日本型雇用の刷新→プロティアン・キャリア型へ
3)社会:コロナパンデミック→テレワークを含む働き方へ

こういった傾向は、リンダ・グラットン著『LIFE SHIFT』にも一部見られましたが、ではどうすればいいのかといった処方箋が書かれていなかったため、より具体的になったと捉えてもいいでしょう。そして、そのキーワードが以下の表にもあるとおり、複業による自律的キャリア開発「プロテア」なのです。

もう少し話を進めると、今までの伝統的なキャリアは組織が社員を所有し、地位や給料といった成果を与え、組織にコミットする姿勢などを育ててきました。しかし、「キャリアの成否を決めるのは自分」というプロティアン・キャリアが注目され、今後の主流になると働く個人の価値観もガラッと変わります。(以下の表参照)

もう1つ注目したいデータがあります。18万人の会員がいる日本の人事部がまとめた「人事白書2020」で、企業が社員のキャリア開発支援をする目的の1番に挙げたのが、自律した従業員の増加でした。

つまり、組織だけ、個人だけではなく、社会変化に適合する組織的深化と組織成長を牽引する個人的深化が相互に連動する、プロティアン(=変幻自在)視点が必要になってくるのです。

しかし、若手社員を中心に複業したいという想いはあっても組織の制度が追いついていなかったり、組織として個人の活動を応援するサービスがないのも現状でした。そこで、パーソル P&T社が手がけ、私も監修として入った新サービス「プロテア」が、この解決すべき問題の”特効薬”になると考えています。

サービスの主要機能デモセッション~3 つの提供価値~

成瀬と田中氏の説明で、複業に取り組むべき背景が深くなったところで、最後に「プロテア」の開発に携わった宮崎からプロダクトの説明をさせていただきます。

宮崎 将
・パーソルプロセス&テクノロジー株式会社 ワークスイッチ事業部 事業開発統括部 プロダクト開発・MA 推進部 複業促進アドバイザー

大学卒業後、教育業界に入社し、事業推進・新規事業立ち上げ・人事企画を担当。2013 年より株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)へ入社し、公共事業部企画運営担当として『就業支援』『地方創生』『キャリア支援』『働き方改革』テーマの支援事業を歴任。また複業として NPO 法人二枚目の名刺に所属し、事業推進として社会人の社会活動参画を促すべく、企業・自治体等とアライアンスを担当。2020 年 1 月より現職。パーソルグループの DI&E コミュニティにてグループ社員の複業促進のためのコミュニティを運営。

今まで紹介してきた「プロテア」は3つの価値を提供できると考えています。

1)適切なインプット:プロテアポータル
2)過重労働抑止:セルフマネジメント支援
3)効果の可視化:キャリア資産可視化・蓄積

具体的なサービスのイメージは順に追って説明します。まずは、プロテアポータルですが、このサービスは複業の案件をご紹介するのではなく、自分に合った複業の始め方や、税金はどうすればいいのか、やってみないとわからない複業体験情報など、適切な複業に取り組むためのポータルサイトのようなものをイメージしていただきたいと思います。


1)プロテアポータル ※上記は開発中のものです

複業は個人が行うものですが、企業にとっても取り組む価値があるものとして感じられるような仕組みも取り入れています。そのキーワードが本日のイベントで何回か出てきたキーワード「キャリア自律」です。

「プロテア」ではセルフマネジメント支援と呼び、社員が複業の計画をしっかりとたて、ログをとり、可視化していくこと。それは企業人事にとっては大切な社員がオーバーフローになって困らないように設計していますし、社員が複業を隠れてコソコソ行うのではなく公式的に応援していけるようにできる仕組みになると考えています。


2)セルフマネジメント支援 ※上記は開発中のものです

最後にキャリア資産可視化・蓄積です。今まで、キャリアは数値化しづらいものでした。そこで、「プロテア」では生産性資産、活力資産、変身資産という項目で数値化し、会社も把握できるものにしたのです。特に人事の責任者の方が、今までは上司との相性や、入社何年目だからなどのアナログ評価をするのではなく、数値で可視化した上で評価していくことでHRテックの処方箋として活用できるのではないかと考えています。


3)キャリア資産可視化・蓄積 ※上記は開発中のものです

企業や社員双方で副業・兼業ニーズが高まる中で、今まで述べたように、このシステムを活用することで人事担当者や経営者が社員のキャリアを戦略的に支援することにつながりますし、社員にとっても自分のキャリア資 産が積み上がっていくことでモチベートされるのではないでしょうか。

本サービスのリリースは2021年春を予定しています。詳しくはHPをご覧ください。
https://www.persol-pt.co.jp/protea/

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