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開催レポート:キャリア自律に有効なメンタリングとは?~未来につながるキャリア・メンタリング実演紹介~

開催

本記事は、2022年2月16日(水)に行われた「キャリア自律に有効なメンタリングとは?〜未来につながるキャリア・メンタリング実演紹介〜」の開催レポートです。

働き方の多様化や雇用の在り方が変化していく中、組織が取り組むべき社員の成長は難易度が増すばかりです。

本セミナーでは、キャリア自律の手助けとなる「プロテア流キャリア・メンタリング」を実演しました。クライアントの内省や行動の後押しを図るためにメンターがどんなポイントで話を聴き、アドバイスを行っているのかを覗くことができる機会です。

キャリア支援に携わる方には必見の内容です!

【スピーカー】

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
ワークスイッチ事業部 越境促進アドバイザー
宮崎 将

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
ワークスイッチ事業部 プロティアンキャリアメンター
泊 えり子

【プログラム】

  1. 【1】 趣旨説明
    プロテアが考えるキャリア自律とは?
    プロテアメンターの役割は?
  2. 【2】 プロテア流キャリア・メンタリングの実演紹介
  3. 【3】 質疑応答

【1】趣旨説明 プロテアが考えるキャリア自律とは?

プロテアではキャリア自律を以下のように捉えています。

「思考」と「行動」の両輪を回し、自身を変化(成長)させる術を持っている状態
思考・・・自身の強みや課題を言語化し、今後の自分に何が必要かわかる
行動・・・『できること』に着目し、行動・振り返りをセットで行う

「考えるだけでなかなか進めない」という方、「行動しているだけで振り返っていない」という方もいらっしゃるかと思います。どちらかではなくどちらも両輪で意識することと、自身を成長させる術を持っていることがキャリア自律につながると我々は考えています。

では、キャリア自律度の構成要素はどのようなものでしょうか。
パーソル総合研究所「従業員のキャリア自律に関する定量調査」によると7つの要素があり、心理面と行動面の大きく2つの要素に分けられます。

これらの要素を用いて、キャリア自律度を定量的に測れるようにしており、『プロテア』でも指標として用いています。自己診断をする際は自分の役割を言語化できているか、どのようなネットワーク行動ができているか等、振り返ることができます。

キャリア自律へのステップは大きく5ステップあります。

しかし、自分ひとりでキャリア自律まで到達するのは至難の業です。
内省をし、後押ししてくれるバディのような存在がいればキャリア自律は進むのですが・・・。その役割を担うのがプロテアメンターです。

プロテアメンターとは、自身もキャリア自律につながる活動を行いながら、キャリア支援を実施している経験者のことです。プロティアン認定メンターやキャリアコンサルタントなど、心強いメンバーが集まっています。

【1】趣旨説明 キャリア・メンタリング

キャリア・メンタリングでは過去、現在、そして未来について対話します。
まずは過去のスキルを棚卸し、自分の志向や行動特性を理解します。次に現在求められていることを知ります。最後に未来の市場や環境の変化、ライフにおける役割の変化にも適応するためにできることを考える機会を作ります。メンタリングを通じて、アイデンティティの把握と心理的成功につながる自己の役割の認識を行います。

プロテアでは『LIFE SHIFT』で示された「キャリア資産」の3項目を日本版プロティアン・キャリアより生み出した「キャリア資産診断」にて可視化しています。

▼3つのキャリア資産
・生産性資産
・・・仕事上のスキル、知識。戦略的な投資がもたらす。
・活力資産
・・・心身の健康と幸福感。健康、友人、家族などがもたらす。
・変身資産
・・・自己を変身させる意志と能力。自己理解や人脈をもたらす。

▼プロテアの資産診断の結果サンプル

【2】プロテア流キャリア・メンタリングの実演紹介!

前半ではキャリア資産、キャリア・メンタリングへの理解を深めました。続いて、泊がクライアント役、宮崎がメンター役となり、プロテア流キャリア・メンタリングを実演方式でご紹介しました。

キャリアメンタリングは通常以下のような構成で進めていきます。
メンタリングの時間内で答えが出る必要はありません。キャリアについて悶々と考える機会を作ることが目標です。

今回は時間の関係上「キャリア資産診断を使って現状理解する」「キャリア課題を自己分析する」にフォーカスしてキャリア・メンタリングを行います。

キャリア資産は以下のような構成要素で診断します。
ポイントは能力評価をしているのではなく、習慣やセルフメンテナンスのために見る指標であることです。

キャリア資産は以下のような構成要素で診断します。
ポイントは能力評価をしているのではなく、習慣やセルフメンテナンスのために見る指標であることです。

それでは、キャリア・メンタリングスタートです。ここからは会話形式でお届けします。

<泊さんのキャリア資産診断の結果>

<キャリア資産診断を使って現状理解する>

宮崎:ご自身のキャリア資産を見てどのように感じましたか?
泊 :高いと予想していて認識が合っていたのは生産性資産の「コミュニケーションスキル」です。低いだろうなと思っていた変身資産の「コミュニティ」は予想通りの結果でした。。。
宮崎:どうして「コミュニティ」が低いと思っていたのですか?
泊 :学校生活など、関わらざるを得ないコミュニティ以外は苦手で、なるべく避けていました。出産を経てPTA等コミュニティに関わる機会もありましたが、なかなか積極的に参加できませんでした。ただ、最近は一歩踏み出せたような感覚があります。
宮崎:変化があったのですね。何かきっかけはありましたか?
泊 :外部環境が変わり、「やらなければいけない」気持ちになったからだと思います。

宮崎:逆に予想外の結果だったものはありますか?
泊 :変身資産の「ネットワーク」が「コミュニティ」より数値が高かったことです。
2つの数値は同じだと思っていました。
宮崎:「ネットワーク」はつながり、関係性のイメージ、
「コミュニティ」はつながりから発展して協同するイメージがそれぞれあります。
最近新たなつながりは生まれましたか?
泊 :新しくではないのですが、お客様のプライベートでのご友人とキャリアに関するコミュニティで偶然お会いしました。
宮崎:それを知った相手の反応はどのようなものでしたか?
泊 :いい意味でふつうでした。変にかしこまった感じもなく。

宮崎:想定より低いと思った項目はありますか?
泊 :活力資産の「精神的健康」が他に比べて低くて驚きました。
プライベートも仕事も充実していると思っていたのですが。。。
宮崎:セルフメンテナンスができているかという項目ですね。
泊 :それでいうと、キャリア資産診断をした時期は仕事では新しいプロジェクトが始まり、環境が変わるタイミングでした。余裕がなく、運動もできていませんでした。
今はウォーキングをして自分に向き合う時間を作るようにしています。家事育児から離れて自分のことを考える大事な時間です。
宮崎:自分の時間を作ることでバランスをとっているのですね。

宮崎:今後、ご自身の強みを活かして取り組みたいことはありますか?
泊 :関わりを持った人が新しいステップを踏み出すことに携わることが自分にとって満足感・充実感のある活動です。同時に、社会貢献できていると感じることができます。
宮崎:今のお話から気になったのですが、モチベーションが高まるのは誰かのためになるときですか?それとも世の中の不合理を解決できるときですか?
泊 :最終的にはどちらもです。しかし、誰かのための方が割合としては大きいですね。
限りある人生を楽しく過ごせるよう、力になりたいと思っています。
宮崎:どんな状態の人を助けたいですか?
泊 :楽しそうじゃない人です。人が沈んでいるのを見過ごせないんです。

宮崎:”楽しい”にもいろいろ意味がありますが、最近人を楽しくさせたエピソードはありますか?
泊 :プロテアメンターになったことを友人に話したら「トライアルでいいから相談させて!」と言われたことがありました。その友人も仕事にネガティブな感情を持っているタイミングだったようで、私の話をきっかけに現状を変えていこうとプラスに感じてくれたことがそれにあたるでしょうか。。。
宮崎:具体的に友人からはどのような言葉をかけられましたか?
泊 :「人と向き合うことが仕事になるのはいいね。」というような声をかけてもらいました。
宮崎:いいですね。本人への働きかけだけではなくて、それが仕事につながることへのフィーバックをもらえたのですね。

<キャリア課題を自己分析する>

宮崎:今後はどのような役割をしていきたいと考えていますか?
泊 :自分の経験を他の人にも伝えていきたいです。私は自己開示が苦手でしたが、少しずつ開示していくことで殻を破るための小さな成功体験を積み重ねることができました。同じように自己開示が苦手な方へ私の経験を伝えることで何かプラスに働いたら素敵だなと思います。
宮崎:泊さんが変われたきっかけに「自己開示」や「アウトプット」がありそうですね。
自己開示をしてみた際の変化や気づきはありましたか?
泊 :なぜ自己開示が苦手なのかを深く掘り下げたところ、幼少期の生活環境が原因だと気づきました。他者の目線が気になって、自分を出せていなかったんです。でも、自己開示をしてみたら、自分が思っているより人は私のことを見ていないことに気づきました。そこからは。どんどん失敗して学んでいこうという姿勢に変わりました。

<未来を考える>

宮崎:10年後には何をしてると思いますか?
泊 :プロテアメンターではないかもしれません。笑 というのも、その頃には当たり前に企業で行われていて、私たちのようなメンターは必要ない未来になっていると思うからです。また別の手段で、人がイキイキと働くことに関わっていきたいですね。
宮崎:イキイキや楽しいがキーワードですね。これから変えていかなきゃなと思うことはありますか?
泊 :年齢とともに考えが凝り固まってくると思うので、どれだけ柔軟性を維持して年を重ねていけるかが大事だなと。
宮崎:なにか最近凝り固まってると感じたエピソードがあるんですか?
泊 :実は、つい3年前まで転職しようと考えていました。周囲のメンバーの年齢が若く、10年後も同じ場所で活躍している未来が見えませんでした。しかし、今はその年代だからこそできることがあるとポジティブに考えています。
宮崎:すでに新たなチャレンジをされているんですね。きっと今後につながっていくと思います。

以上がキャリア・メンタリング実演でした。最後にクライアント役の泊さんに感想を伺いました。

「自分とは違う角度の考え方に気づくことができました。また、対話を通して頭の中が整理されていくのを感じました。自己理解を促すには、アウトプット(発言)することが重要なのですね。」

キャリア・メンタリングは1時間〜1時間半かけて行います。前半30分は関係性の構築を行い、後半はキャリア課題を見ていきます。最後に行動の模索を行います。基本的には1回で完結するようになっていますが、模索した行動を振り返る機会を定期的に作ってサポートしていくケースもあります。

では、実演ではお見せできなかった部分も含めて少し補足いたします。

「活動を振り返る」では、過去を振り返り、これまでの共通点や幸福感が上がる際の特徴などを言語化するお手伝いをします。

▼作成したライフラインチャート例

実演では「心理的成功」がキーワードとして出てきました。
どのようなときにモチベーションが上がるか、どんな役割で社会に価値を提供したいかを言語化するためにはアイデンティティを把握することが重要です。過去の話をするなかで言語化する手助けをしていきます。

▼心理的成功への道筋

また、今回深く扱えなかった「未来を考える」では自分が考える未来に対して未来構想をしていきます。実演では「10年後」というワードが出たので使いましたが、人によって未来の捉え方は様々です。

▼未来構想のステップ

最後に「今とりうる行動を模索する」で導き出した行動を実行できない方もたくさんいらっしゃいます。そこでアドバイスとしたいのは、「1つだけ」ずらすこと。『いつもの行動』にヒト・モノ・コト・バショ・トキを1つずらすことで違いに気づくはずです。

▼「1つだけ」ずらす例

プロテアの中ではキャリア資産診断だけでなく、キャリア資産を記録して貯めてセルフマネジメントを行うことができます。

▼プロテア
https://www.persol-pt.co.jp/protea/

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