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業務可視化は目的ではなく手段にすぎない。業務を可視化する理由と可視化を進めるための方法

Bizer株式会社 畠山 友一氏

RPAを導入するためにはまず自動化する業務を選定し、可視化する必要があると言われます。しかし、マニュアルの存在しない業務や属人化している業務を可視化して、誰にでも再現出来るようにするのは簡単なことではありません。なぜ業務可視化を行う必要があるのでしょうか。また、どのように進めたら良いのでしょうか。

今回は「Bizer team」というタスク管理ツールを開発し、企業のタスクを可視化しているBizer株式会社代表取締役の畠山友一氏に、業務の可視化がなぜRPA導入に必要なのか、業務の可視化が出来ている企業の共通点、「Bizer team」とRPAで可能になることについて伺いました。

業務を可視化し、チームの生産性を上げる「Bizer team」

――「Bizer team」について教えてください。

畠山氏:「Bizer team」は業務のプロセスを可視化し、リアルタイムで進捗を共有するタスク管理ツールです。タスクを管理するだけでなく、チームの生産性を上げることを目的としています。

2017年の夏頃から企業のバックオフィス業務に従事している人に会社に来てもらい、ヒアリングを行いました。最終的に100社の方からお話をお聞きし、共通する課題を特定することが出来たのですが、その課題というのが「業務が可視化・ノウハウ化されていない」ことだったのです。

そして、このことから「チームで今誰が何をしているのかが分からない」「仕事が属人化し、マネジメントが機能していない」「目の前の仕事に追われ、中長期的な課題に取り組む余裕がない」といった問題が企業規模に関わらず生じていることが分かりました。「Bizer team」には、これらの問題を改善するための「プロセスの可視化」「リアルタイムでの進捗共有」「プロセスの標準化」といった3ステップが用意されています。

業務を可視化することで、RPAで自動化する業務に当たりをつけられる

Bizer株式会社 畠山 友一氏

――RPAを導入するためには業務の可視化が必要だと言われますが、なぜだと思いますか。

畠山氏:自動化する業務の当たりをつけられるからではないでしょうか。業務をきちんと可視化しないままRPAによる自動化を進めると、途中で他の業務の方が自動化に向いていることが分かったり、RPA化を進めたものの実際の業務フローとは違っていることが判明して、初めからやり直すことになるかもしれません。

こうなることを防ぐためにも、最初に業務を可視化するツールを導入し、業務整理を行う必要があります。すべての業務を可視化することが出来れば、どの業務をRPAで自動化すべきかは自然と見えてくるはずです。


「Bizer team」のユーザー企業の中には、RPAを導入する前に最低でも3か月は「Bizer team」を使うと決めているところがあります。まずは各部署に「Bizer team」を導入し、3か月が経過して業務の詳細が見えてきたところで自動化する業務を決め、それから現場の担当者にヒアリングを行いロボットの開発に取りかかるようにしているそうです。こうすることで自動化する業務が途中で変更になったり、業務フローが間違っていることに気づいて後から修正する必要がなくなります。

チームをマネジメントする力が業務可視化を進めるカギ

Bizer株式会社 畠山 友一氏

――業務の可視化が出来ている企業とそうでない企業には、どのような違いがあるのでしょうか。

畠山氏:マネジメント側が、業務可視化の必要性を認識し、何のために業務可視化を行うのかをチーム内で共有出来ているかどうかだと思います。業務の可視化そのものが目的になってしまっている場合はあまりうまくいかないのではないでしょうか。業務を可視化しても、可視化した業務をどう活用するかをあらかじめはっきりさせておかないと、結局使われないままになってしまうことが多いと感じます。


「Bizer team」を導入している企業の担当者は、業務を可視化する意図をきちんと伝えた上で現場を巻き込み、可視化された業務を資産として使い回しながら、生産性が上がるまでしっかりとコミットしています。結局のところ、チームの生産性を上げるという目的意識をしっかりと持った優秀なマネージャーの存在が、業務可視化を実現させるカギとなるのではないでしょうか。

「Bizer team」とRPAを組み合わせることで人とロボットの自然な協働が可能に

――「Bizer team」とRPAを組み合わせることで、どういったことが可能になるのでしょうか。

畠山氏:ロボットが特別な存在ではなくなり、チームの一員として人と協働するようになります。例えば「Bizer team」によって可視化された業務の中に、社員の入社手続き業務があったとします。その場合、まずは実際の手順を確認しながら作業の順番を変えたり追加削除することで、適切な業務フローに整えます。次に社員の入社手続き業務の中の労働条件確認、内定に関する作業、受け入れ準備などに含まれるそれぞれのタスクを確認しながら、ロボットに代替出来るタスクを見つけて担当者に指定します。

内定に関する作業の中に「内定者に内定通知書をメールで送る」タスクがあったとします。このタスクをロボットに代替したとすると、指定された時間にメールを送信し、終了後に「終わりました」というコメントを残すところまでをロボットが行い、続いて社員や派遣社員が次の「メール送信の確認」タスクを実行することが出来ます。

「Bizer team」を導入して業務を可視化した結果、自動化する対象として内定に関する作業の中の「内定者に内定通知書をメールで送る」タスクを選定すると、社員の入社手続き業務の中でこの部分だけが切り出されることになり非効率です。「Bizer team」で一連の業務フローを可視化してから労働条件確認、内定に関する作業、受け入れ準備などに含まれるそれぞれのタスクを社員、派遣社員、ロボットに割り振ることで一連の業務の中にロボットが組み込まれ、人とロボットの自然な協働が可能となります。

まとめ

業務可視化はそれ自体が目的なのではなく、生産性を向上するための手段です。「Bizer team」のようなツールを導入することは、生産性向上につながる業務可視化を行う上で有効だと言えるでしょう。それに加えてマネジメント力のあるマネジャーが、しっかりとした目的意識の下で現場にコミットし続けることも大切です。

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