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【RPA推進 連載企画】第4回:RPAユーザーのサポート体制と教育体制って?


RPAに関するさまざまなお役立ち情報をお届けするコラムの第4回目です。
RPA推進に携わっている方、社内でRPAを浸透させていきたい方は必見です。
前回の第3回目ではRPAの運用体制についてご紹介しました。

>>第3回:RPAの運用体制ってどんなものがあるの?

第4回目となる今回は、ユーザーのサポート体制と教育体制についてRPA講師に教わっているようです。

<目次>

登場人物

ロボットが止まってもサポート体制があれば安心

問題の切り分けまでできるようにすることが大切

運用フローを準備すると万が一のときも安心

RPA展開計画に合わせて教育体制を整えることが重要

まとめ

登場人物


課長 

地方企業に勤める30代後半の男性。9月からRPA推進チームのリーダー。
これまでに複数のプロジェクトでPMの経験があるものの、RPAは初めてで名前を聞いたことがある程度の知識で不安に感じている。

講師 

パーソルプロセス&テクノロジーの研修講師。30代女性。分かりやすい解説が人気で講師歴は5年以上。
これまでに30社以上のRPA導入企業の研修に携わってきた。RPAに関する知識が豊富で、講義後個別にRPA導入や運用について相談されることも多い。


RPA推進が順調に進み始め、いきいきとしている課長。
前回の打ち合わせでルールを定着させるための体制づくりについて知り、チームみんなの意見を取り入れながら
整理をしました。
今回はサポート体制と教育体制について、RPAの場合はどのようにすればよいのか気になっているようです。

ロボットが止まってもサポート体制があれば安心



 講師:前回解説させていただいた、体制づくりについてはその後進んでいますか?

 課長:もちろんだよ。前回教えてもらった役割やチーム体制、組織体制をチームで見直したことで順調にRPA推進ができる体制になったと思っているよ。
>>第3回:RPAの運用体制ってどんなものがあるの?

 講師:それは何よりです。RPA推進は独りの力だけで進めていくのは難しいので、引き続きチームや組織で協力して進めていけるといいですね。

 課長:今回はサポートと教育体制についてだったよね。

 講師:はい、その通りです。今回は定着に必要なポイントの4点目「ユーザーのサポート体制と社内の教育体制」について話をしていこうと思います。



 課長:社内の教育体制の大切さは分かるけれども、ユーザーのサポート体制とはいったいどういうことなのかな?

 講師:では、まずはそこから話をしていこうと思います。


ロボットの運用ルールの説明でも触れましたが、RPAが正しく運用されるためには現場の協力が不可欠です。
そして、現場の協力を得るためには事前に目的・目標を共有することや、ロボット開発・運用ルールを周知すること、浸透させることなどと同じくらいRPA運用中のサポートが重要になってきます。

具体的には、ロボットでエラーが発生した際の問い合わせ先や問い合わせ方法を明確にしておくことなどがあげられます。

ロボット開発担当者と業務担当者が同一人物であれば、ロボットが止まってしまった場合でも自分でロボットを修正して業務を継続することが可能ですが、必ずしも同一人物であるとは限りません。ロボットでエラーが発生してしまうと現場では業務がストップしてしまい、何もできないといった状態に陥ってしまいます。
そういった事態を防ぐため、また問題の早期解決のためにもロボットを運用する前にユーザーのサポート体制を確立しておくことが重要です。


 課長:なるほど。ユーザーのサポート体制というのはそういうことだったのか。 これは現場に対して、RPA開発担当の連絡先を展開しておくだけで良いのかな?

 講師:いえ、連絡先を展開するだけでは十分ではありません。なぜなのかをこれから解説していきたいと思います。

問題の切り分けまでできるようにすることが大切


ユーザーのサポート体制はRPA開発担当者の連絡先を展開するだけではなく、エラー発生時に問題の切り分けまでできるようにすることが大切です。
業務担当者はロボットでエラーが発生した際にそのエラーがどのようにして発生したかを十分に把握することができません。
そのため、業務担当者は問題の切り分けを行うことなく開発担当者へ連絡してしまい、開発担当者の負担が増加します。
例えば、開発担当者だけでは解決できない問題の場合はそこからまた現場や推進担当者への連絡が発生するなど余計な手間がかかるかもしれません。
そういったことが発生しないように事前に想定できるエラーを洗い出し、エラーごとにどのような連絡経路でどのような対応を行う必要があるのかということを関係者全体で共有しておく必要があります。




 課長:なるほど。運用ルールを作成する際も思っていたが、発生しうるリスクや起こりうる事態というものをあらかじめ想定しておき、それに対処できるように事前に準備しておくことが必要なんだね。

 講師:その通りです。RPA推進に関わらず、プロジェクトを円滑に進めるためにはこういった事前準備が非常に重要になってきますよね。RPA推進の場合はそこにRPA特有の考え方が追加されたと考えていただければと思います。

 課長:よくわかったよ。では、RPA特有のサポート体制を確立するためには具体的にどのようなことを準備しておけばいいのか教えてもらえるかな?

 講師:かしこまりました。では具体的な内容について説明していきます。

運用フローを準備すると万が一のときも安心


RPAのサポート体制を確立するうえで非常に重要なドキュメントが、「運用仕様書」です。
「運用仕様書」にはRPAを運用するうえで各部署(各チーム)がどのように動けば良いかが記された運用フローが記載されています。
運用フローには以下のような種類があります。

通常時フロー:ロボットが正常に動作している際の確認方法や連絡経路などが記載されたフロー
特定エラー発生時フロー:事前に想定しているエラーが発生した際の対処方法や連絡経路などが記載されたフロー
不明エラー発生時フロー:事前に想定していないエラーが発生した際の対処方法や連絡経路などが記載されたフロー
緊急時フロー:緊急事態が発生した場合の連絡経路などが記載されたフロー

以下の図は通常時フローの一例です。



運用フローには運用しているRPAに関連した部署(チーム)がすべて明記されており、どの部署(チーム)が何をどの順番で行うのかが記載されている必要があります。
また、上記とあわせて「特定エラー一覧」や「ロボット仕様書」などについても確認できる状態にしておくことで対応時間の短縮や対応間違いの防止につながります。


 課長:運用仕様書はすでに作っていたが、どのようなことを記載すればいいのか迷っていたところだったんだ。今回教えてもらった運用フローについてはこの後チームで確認してさっそく作っていこうと思うよ。ありがとう。

 講師:お力になれてよかったです。運用仕様書は実際にRPAを運用する人たちが見て利用できる形になっていないと意味がないものですので、是非その認識で作ってもらえればと思います。
では、続いて社内の教育体制について話をしていこうと思います。

 課長:教育については今すぐ必要ということではないと思っているのだけど、今後必ず必要になってくるものだと思うのでぜひ教えてほしいと思っているよ。

 講師:それでは、自社のRPA展開計画、教育体制と照らし合わせながら聞いていただければと思います。

RPA展開計画に合わせて教育体制を整えることが重要

RPA推進における教育では、役割ごとにそれぞれ必要となる知識・スキルが異なります。 以前のコラムで役割についてお話しましたが、これを大まかに分類すると以下の3種類に分類されます。



上記それぞれの役割に対して、必要な教育は異なります。
例えば推進者は、ロボットの運用ルールや管理ルールなどの策定をするため、基本的なロボット開発スキルのほかに、どのように運用/管理することでRPAがより高い効果を発揮していくのかといったことも把握できるスキルを身に着ける必要があります。
また、組織的にRPAを推進していくためのプロジェクト推進スキルや、どのような業務がRPA化に向いているかを判断するための業務選定/業務分析スキルなどを身につけていかなければなりません。

開発者は基本的な開発スキルはもちろんのこと、実際に運用されたロボットでエラーなどが発生した場合に対処することができる、誰が見てもわかりやすいロボットを作ることができるといった応用的な開発スキルについても身につけておく必要があります。

利用者は業務で利用しているシステムとRPAとの違いや、RPAとはいったいどのようなものなのかといった基本的な知識を学習することでRPAを業務の中で違和感なく使うことができるようになると考えられます。また、簡単なロボットの開発方法を学習することで、RPAが具体的にどのように動くのかを理解できるため、例えば使用するファイルの格納先を勝手に変更してしまうことで発生するようなロボットのエラーを防ぐことができます。

RPAの教育というと開発スキルだけが注目されがちですが、開発スキルだけではなく役割に合わせた知識・スキルを身に着けるための教育が必要です。

また、RPAが社内で拡がっていくことによってRPA推進体制が変化し、それに伴いそれぞれの役割で必要な人数も変化していきます。
例えば、RPAを1つの現場だけで利用している場合、規模がまだ小さいので推進者と開発者は兼務で2名、利用者は5名といった体制を作ったとします。その後、1つの現場でRPA利用の成功事例ができたため複数の現場にRPAを展開することになった場合、開発者と利用者は1つの部署での人数×現場の数だけ必要となります。また、スムーズにRPAの展開を行うために開発者と兼務ではなく専任の推進者を立てることが必要です。
このようにRPAが社内でどのように展開していくのかということに合わせた形で教育体制を整えていくことが求められます。



では、RPA展開計画の中で教育が伴っていないとどのような問題が発生するのでしょうか。
まず、推進者に十分なRPAの知見がない場合、各現場の取りまとめがうまくできず現場ごとの独自のルールによってロボットが作成されてしまったり、業務選定が正しく行われず効果の薄い業務が自動化されてしまうというような問題が発生する可能性があります。

次に開発者が十分に育っていない場合、RPAの展開を進めていく中で開発者数が不足し運用中のロボットの保守作業だけで開発者の業務がひっ迫してしまうことが考えられます。そうすると新しいロボットの開発ができず、現場からあがってくるロボット開発の要望だけがたまってしまうという問題が発生する可能性があります。

最後に、利用者に十分なRPA知識がない場合、ロボットで操作するファイルやフォルダなどを移動させてしまいロボットが正常に動作しなくなることや、そもそも理解がないためロボットを積極的に利用しないといった問題が発生することが考えられます。

このような問題が発生しないようにRPA推進をするためには、RPAの展開計画を基に必要なタイミングで必要な教育ができるように体制を整えることが大切です。


 課長:RPAの教育というと開発スキルの教育ばかりを考えていたよ。開発者だけでなくて役割ごとの教育というのも必要なんだね。

 講師:はい。RPAは開発して終わりというものではなく運用して日々効果を発揮していくものです。今後RPAの推進をどのように進めていくのかということも併せて検討してみてください。

 課長:改めて教育の在り方を理解できた気がするよ。RPAの展開計画を改めて確認して、展開に合わせて必要な教育ができるような教育体制を作れるよう検討していこうと思うよ。

 講師:こちらこそありがとうございました。今回お話した教育は一度やれば終わりというものではありません。日々の運用変更やシステムアップデート、また人の入れ替わりなど状況に合わせて教育のサイクルを回していくことが必要不可欠です。今後も困ったことがあればぜひお声かけください。
次回は定着に必要なポイントの5つ目「業務分析」について話していきたいと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
ユーザーサポートでは問題が発生した際にその問題の切り分けが可能な体制を作ることが必要でした。これはRPAの利用者側、問い合わせ窓口側それぞれの立場に立って設計することが大切ということですね。
そして教育については役割ごとに必要な教育が異なること、また、RPAの展開計画に合わせて教育体制も日々アップデートしていくことが重要です。 次回はRPA推進の「定着フェーズ」における「業務分析が適切にできているか」について詳しくお伝えしていきます。
次回もお楽しみに。

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