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【RPA推進 連載企画】第1回:RPAの推進って何すればいいの?(後編)


RPAを社内で推進する方に向けたお役立ち情報をお届けする連載企画の第1回(後編)です。
社内でRPAを浸透させていきたい方は必見です。
第1回目(前編)をまだご覧いただけていない方はこちらから是非ご覧ください。
第1回目の(前編)では、RPAを推進する上で初めに押さえておきたい「自動化する業務の選定」「目的と目標の設定」についてご紹介しました。
後編では、「目的と目標の設定方法」「RPA推進の流れ」について、RPA研修講師が初めてのRPA推進で困っている課長へレクチャーしていきます。

<目次>

登場人物

 

目的は「定性的なこと」、目標は「定量的なこと」を設定する

 

目的と目標は現場にも共有することが大切

RPA推進に必要な「運用」「定着」「活用」フェーズ

まとめ

 

登場人物

 

課長 

地方企業に勤める30代後半の男性。9月からRPA推進チームのリーダー。
これまでに複数のプロジェクトでPMの経験があるものの、RPAは初めてで名前を聞いたことがある程度の知識で不安に感じている。

講師 

パーソルプロセス&テクノロジーの研修講師。30代女性。分かりやすい解説が人気で講師歴は5年以上。
これまでに30社以上のRPA導入企業の研修に携わってきた。RPAに関する知識が豊富で、講義後個別にRPA導入や運用について相談されることも多い。


RPA推進担当になり、外部の業者にロボット開発を依頼することを検討している課長。
前回の打ち合わせで、パーソルプロセス&テクノロジーの講師から、RPA推進には「目的と目標の設定」が大事だと聞き、
具体的な設定方法が知りたいと思っているようです。
>>第1回 RPAの推進って何すればいいの?(前編)

目的は「定性的なこと」、目標は「定量的なこと」を設定する

 

 講師:前回は、RPAで自動化できる業務と、業務を自動化するには目的と目標を設定する必要があることをお話ししました。

 課長:前回の続きということで、目的と目標の設定方法について具体的に聞いてもいいかな?

 講師:それでは、まず初めに目的と目標の設定方法について説明しますね。


目的と目標の違いは次のようになります。
目的:最終的に実現・到達したいこと
目標:目的を達成するために設けた目印
目的は、RPAを導入することでどのようになりたいかを設定するもので、「定性的な状態」を定めます。
定性的というのは、数字では表せない“”に関することを言います。
例えば、RPAを導入したことで「〇〇という新しい事業を実施する」、「属人化からの脱却」といったようなことです。
目標は、目的を達成するために「数値的な状態や事柄」を含んで設定するものになります。
例えば「〇〇という新しい事業を実施する」という目的に対し、「〇〇という新しい事業を実施するためには、月に20時間が必要」という観点で考えることで、
「月の作業時間を20時間削減する」といった目標を設定することができます。
大事なのは、RPAを導入することが目的ではない点です。
RPAを導入することでどのような効果を出せるのかというところまで、具体的に設定することが重要です。


 課長:なるほど。RPAを導入して達成したいことを定性的に考えたものが「目的」で、目的を達成するための定量的な目安が「目標」ということだね。

 講師:その通りです。組織としてRPAを導入する場合、目的と目標が両方設定されていないと、推進がうまくいかなくなってしまいます。

目的と目標は現場にも共有することが大切


 課長:この目的と目標は、推進メンバーだけで共有しておけばいいのかな。

 講師:いいえ。実際にRPAが導入される現場にも、目的と目標の共有を行うのが望ましいです。

 課長:推進を行うのは我々なのだから、推進メンバーが分かっていればいいのではないかと思うんだけれども、なぜ現場にまで共有しなければならないのかな?

 講師:それは、RPAのロボットは作成して終わりではないからです。作成した後、現場で正しく運用されるようになってようやく効果が出てきます。それなのに、現場には目的や目標を共有しないままRPAを推進すると、どうなると思いますか?


現場の人たちは、RPA導入に対して及び腰になってしまうことが多いです。
なぜかというと、今までに行ったことがない業務だからです。今までの業務内容を新しい内容に変更する、新しい業務を追加する、どちらも現場にとっては負担になります。理由も分からないまま、新しい業務だけを言い渡されたとしたら、ただでさえ忙しい業務がさらに忙しくなることで、不満や不安が大きくなり、RPAへの不信感が強くなってしまいます。
最終的にはRPAが正しく運用されなくなってしまうでしょう。


 課長:なるほど。確かに上の人間から、理由も分からないまま、いきなり知らない業務をやれと言われたら良い印象は受けないね。

 講師:RPAはあくまでも人間の仕事を手伝うためのツールです。うまく使えば大変便利なツールなので、そのことを現場に正しく理解してもらうためにも、目的や目標は必ず共有しなければなりません。

 課長:ありがとう、よく分かったよ。これから本社に掛け合って、RPAを導入した目的の確認をして、うちの支社の課題の整理をしよう。それから、目的や目標をそれぞれ決めていくことにしよう。

 講師:ぜひそのように進めていただきたいと思います。

RPA推進に必要な「運用」「定着」「活用」フェーズ

 

 課長:もし時間があるようなら、今後の進め方についても相談してもいいかな?

 講師:大丈夫ですよ。ではまず、RPA推進の大まかな流れについて説明したいと思います。


RPAを使って業務の自動化を進める場合、以下のようなフェーズが存在します。

RPA推進に焦点を当ててお伝えしようと思いますので、「導入準備」「導入」「開発」についての詳細は割愛し、
その先の「運用」「定着」「活用」についてご説明します。
「運用」は、「開発」フェーズで作成したロボットを、実際の業務の中で利用している状態を指します。
ここをゴールと設定する人が多いのですが、ロボットを作成してそれを使っているだけでは、RPAを活用できているとは言い切れません。
では「定着」と「活用」フェーズでは、どのような状態を目指すのかを見ていきます。
「定着」フェーズでは、以下の6項目が実現できている状態を目指します。

  • RPA導入の目的と目標が明確である

  • ロボットの開発、運用ルールが決まっている

  • RPAを運用する体制が明確になっている(チーム、部署大きさ問わず)

  • ユーザーのサポートと教育に関する体制が整っている

  • 業務分析が適切にできている

  • ロボットの効果測定が実施できる状態である

 

「活用」フェーズでは、以下の状態を目指します。
RPA導入の目的が達成できている状態、かつ、ロボットの効果測定を行い、改善し続けることができている状態
RPA推進では、単にロボットを作成して業務を自動化するだけでなく、RPAが組織に定着し、さらに活用できている状態を目指していく必要があります。


 課長:なるほど。RPAを使うといっても単にロボットを開発して、業務の自動化を行うだけでは駄目ということか。それではまず、RPAが定着している状態を目指して活動していけばいいということだね。

 講師:その通りです。それでは、「定着」フェーズで目指す6項目について、詳しく説明していきますね。

 課長:いや、今日はもうこの辺にしておこう。就業時間も終わるからね。

 講師:もうそんな時間ですか。気づかずに申し訳ありません。では次回からは、RPAの定着に向けて一緒にやっていきましょう。本日はありがとうございました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
目的と目標を正しく設定して現場に共有することは、RPA推進を成功させる上でとても大切です。
次回は、RPA推進の「定着」フェーズにおける「ロボットの開発・運用ルール」について詳しくお伝えしていきます。

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