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RPAで店舗の人手不足解消に挑む(西洋フード・コンパスグループ事例①)

左:西洋フード・コンパスグループ株式会社 石井 一志氏
右:「パーソルのRPA」 梅田 耕一郎氏

昨今飲食業界や小売業界では深刻な人手不足に悩まされています。今回お話を伺った西洋フード・コンパスグループ株式会社様(以下西洋フード・コンパスグループ)も例外ではありません。全国約1,600の店舗で社食運営や病院・老人ホームでの食の提供などを行っており、人手不足解消が課題となっています。

西洋フード・コンパスグループのRPA導入事例を前後編の2回にわたり特集します。今回の前編では、一人のキーマンが強いリーダーシップで社内を巻き込みRPAの導入を推進されたお話や、人手不足解消に貢献するためのRPA活用事例についてご紹介します。

お話は、西洋フード・コンパスグループ CIO/情報システム部 ディレクター 石井一志氏と、RPAエンジニアとして西洋フード・コンパスグループに常駐している「パーソルのRPA」の梅田耕一郎氏に伺いました。

情報システム部主導によるRPA導入再スタート

西洋フード・コンパスグループ株式会社 石井 一志氏

――RPAに取り組まれたきっかけについて教えてください。

石井氏:一部門が独自に外部委託してスタートしたのが、最初のRPA導入でした。しかしこの時はリソース不足や人の異動などでRPAロボットのメンテナンスが出来ず、1年ほどで使えなくなってしまいました。そこで、情報システム部を統括している私が旗振り役となり、各部門から人を募ってRPA導入を再スタートしました。


――会社全体としてRPAに取り組むために工夫されたことはありますか。

石井氏:予算を確保するため、動画を作成して経営会議で流しました。実証実験として私自身でRPAロボットを作成し、RPA導入によるインパクトの大きさを動画とプレゼンテーションで経営陣に説明して賛同を得ました。

人の確保という点では、チームメンバーはやる気がある人を集めたいという思いがありました。そこで、RPA展開のビジョンを描いて説明しました。ビジョンは3ステップで描きました。最初は自分で勉強して実際にRPAロボットを作り、次のステップでは業務効率化などのRPA導入効果を出し、最終的には世界中にあるグループ会社へRPAサービスを提供するといったビジョンです。

また「パーソルのRPA」のRPAエンジニアさんにも入ってもらっています。スタートから半年ほどは社内のメンバーだけで導入を進めていましたが、通常業務もあるため思うようにRPA開発に時間を割けず、自分たちだけでは継続が難しいと判断しました。そこで「パーソルのRPA」さんに人材を派遣してもらい、業務ヒアリングから、設計、開発、テスト、運用までをお願いしています。自社でRPAエンジニアを採用するのはなかなか難しいので、スキルがあり他の案件も経験している人材を派遣してもらえるのはとても助かりました。

RPAツールについても、最初のRPA導入時には国産のRPAツールを利用していたのですが、再スタートを機に「UiPath」に変更しました。コンパスグループは英国に本社を置き、45か国に拠点を持っています。描いたビジョンの通り、グローバル展開を見据えてグローバルチームとも連携を取りたいと思っていましたので、世界中で使われている「UiPath」を選びました。

店舗業務に注力するためのRPA活用

「パーソルのRPA」 梅田 耕一郎氏

――RPAを導入した目的をお聞かせください。

石井氏:1番の目的は人手不足の解消です。私たちの会社は約1,600の店舗でお客様にサービスを提供しています。飲食業界や小売業界はどこも同じだと思いますが、現場が1番重要にも関わらず人手不足です。RPAを活用することで現場の人手不足を解消し、必要なところに人を割り当てられるよう現場をサポートしたいと考えました。

今はまだ本社側の業務削減がメインで、店舗側のサポートは道半ばです。店舗単位では1時間の業務削減だとしても、1,600店舗分となると削減時間は膨大です。RPAの導入効果という意味でもしっかり取り組んでいきたい部分です。


――店舗業務の自動化としては、どの様な取り組みをされていますか。

梅田氏:店舗側で行っていた請求書作成やメニュー表作成業務を本社側に集約し、RPAで自動化しました。店舗側の負担は軽減され、本社側もRPAロボットが作業を行うので仕事量はほとんど変わりません。1つの業務を本社に集約したことをきっかけに、別の業務も集約してRPAで自動化出来るのではないかという声が上がるようになりました。こうした要望を実現し、店舗では安全面やサービス面といった本業に注力出来るようにサポートしていきたいです。

石井氏:私が最初に作ったRPAロボットも、店舗管理のためのシフト表集計ロボットです。シフト表は各店舗で作成するのですが、店舗内でシフト情報が閉じてしまうと本社側は適正な人員配置が出来ません。そこで、500~600店舗を対象にExcelでシフト表を作成してもらい、それをRPAロボットで集約して部門、事業部などの単位で集計、BIツールに連携するようにしました。

近い将来勤怠システムを導入することが決まっているため、このRPAロボットは不要になります。システムが控えているとはいえ、手作業で行うには大変な作業でしたので、一時的にでもソリューションを提供しようとRPAロボットを作成しました。

システムを導入したり改修したりすれば解決するような問題でも、すぐには話が進まず手作業でのカバーが発生します。RPAを使えば短期間・低予算で自動化を実現出来るので、そういったシステムの隙間を簡単に埋められます。これがRPAの強みであり価値だと感じています。

――RPAを導入した効果はいかがでしょうか。

石井氏:2019年はフルタイム10人分に相当する時間をRPAにより削減しました。浮いた時間で人手が足りていない他の仕事を行えたため、残業を減らすことが出来ました。

まとめ

店舗業務を本社に集約し、それをRPAで自動化したというのが成功のポイントです。他の店舗業務でも同様に本社集約と自動化が進めば、さらなる効率化が可能です。また、システムの隙間を埋める一時的なソリューションとしてのRPAの使い方は、他社でも真似しやすい部分ではないでしょうか。

後編では、自動化する業務選定の方法や業務改善の進め方、今後のRPA活用の展望についてお伝えします。

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